ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
「ルーラッ」
意識を失ったポップを担いで俺は瞬間移動呪文でその場を飛び立つ。殺すつもりもないが、適当なところに放置してきては、何故置いてきたかと問われるのは間違いない。このまま魔王軍に居るつもりであるなら、最低でもポップは次の作戦にでも使うからと言い訳してどこかに閉じ込めておく必要がある訳で。
「良し、人気はなさそうね」
俺がルーラで飛んだのはカール国内にあるとある村はずれの木こり小屋だ。バーンパレスの牢、ヒュンケルと同じところに放り込んでおくと言う選択肢もあるのだが、押し込んでおく場所と言うなら今目の前にある小屋でもポップをロープか何かで縛った上猿ぐつわさせておけば問題はない。
「とはいうものの」
ここに運んだのはワンクッション置いて考えるためだ、今後、どう動くかについて。そもそも俺が大魔王側に与したのは、黒の核晶による地上の爆破を防ぎ、人間が滅ぶのを防ぐのが目的だった。ザボエラの独自呪文が会得できそうなことも、ロン・ベルク作の装備を貰ったことも、オリハルコンの駒と禁呪法による魔法生物の作成法を得たのも嬉しい誤算であり、想定していなかったことである。
「とりあえず、小屋に入ろう」
自己犠牲呪文を使う前に気絶させたが、左の二の腕をバランの紋章閃で貫かれてるポップは明らかに怪我人であり、放置すれば失血死するかもしれない。そう言う意味で回復呪文の使えるバランにモシャスしたのは正解だったと思うが。応急手当てをしたなら、今度こそポップをどうするか決めなくてはならない。
「ここに監禁するか、バーンパレスに連れて行くか……」
前者は村人に見つかって解放される可能性もあり、後者はヒュンケルと一緒に脱獄させるなら悪くない気もするが、その先の選択次第では別の選択もあると思う。俺が大魔王に反逆し倒さんとする場合だが、戦力になってもらうという選択肢だ。もちろん現状のポップもヒュンケルも実力が足りてないので、戦力と言っても囮に近いモノになるのだが、この時分体の一人にアバンのしるしを渡して囚われた俺のふりをして行動を供にして貰うつもりでも居る。
「確実に勝てる敵が居るとなれば、少なくともあの駒の王は動く」
ミストバーンやキルバーンがそちらに向かうとすれば、大魔王バーンを守る者が減る。大魔王を討つつもりなら、好都合だろう。もちろんポップ達を捨て駒にするつもりもなく、そこは分裂して増やした分体にフォローさせたり、おびき出された連中を奇襲させたりするつもりだ。
「マホプラウスが会得出来れば、大魔王に勝つ為の材料は揃う」
竜魔人バランへのモシャスの成功、魔改造アルビナスの製造、多数の分体達がバーンパレス内に存在する事実。
「個人的には、虚影衆の育成完了も待ちたいけど――」
時間的にそちらは厳しいかもしれない。バーンへ仕掛けるタイミングもいつでもいいと言う訳ではないのだから。バーンパレスにはキルバーンの仕掛けた悪質なトラップが複数あったはずなのだ。原作では師匠が呪文やアイテムを使って解除してくれたが、これについては俺ではどうにもならない以上、キルバーンを先に倒しておくか、罠の設置がされていないであろう場所を戦場に選ぶしかない。現時点で仕掛けるタイミングとしての候補は、先にバーンが口にしていた俺との手合わせの時か、マホプラウスのお披露目の時の二択。
「まぁ、これはバーンと戦って倒すと決めた場合なんだけど」
ことを起こすなら、分体の一人と接触して計画を伝えることも必須だ。これについてはモシャスの練習と称して分体に集まってもらい、ダイに化けた分体に思念波で伝えれば、合体分裂による記憶の伝達で作戦自体はいきわたるだろう。
「うん、手段を択ばなきゃ、勝てる」
脳内で流れをシミュレートして、問題なしと判断する。よって、バーンと戦うつもりなら俺はポップを連れてバーンパレスに戻ればいい。ザボエラをメインにした作戦行動の準備を隠れ蓑に他のオリハルコンの駒を加工し、大魔王への反逆に備える。
「帰ったらまた殴られそうだけど」
バランの前で俺に言及したポップを見捨てることはできなくて、俺は密かに覚悟を決めたのだった。
Cルート:ポップをバーンパレスに連れて行く。
Nルート:ポップを残して一人バーンパレスに戻る。
次回、十三話C「控えめの凱旋」に続くメラ。
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