ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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Cルート
十三話C「控えめの凱旋」


「ルーラッ」

 

 手当てをしたポップを担いで俺は瞬間移動呪文でテランへ飛んだ。何のことはない、鎧の魔杖を別れた分体に預けっぱなしだったことを思い出したのだ。

 

「んー、バーンパレスに戻ってる可能性もあるんだけどぉん、テランで待ってたら悪いものねぇん」

 

 すれ違いもめんどくさいことになるが、本物ンケルに続いてポップまでバーンパレスにご招待となると、俺の正体を隠してくれる装備は必須だ。それを提供してくれた魔王軍の首魁をぶっ倒すというのはある意味恩知らずとそしられそうな気もするが、黒の核晶を埋め込まれてるハドラーの扱いを引き合いに出せば反逆したって仕方ないという説得力は持たせられると思うのだ。そも、俺はもう大魔王を倒すつもりで覚悟を決めた。

 

「バラ……トゥース様」

 

 降りてくる俺を見つけたようで駆け寄ってくるのは装備を預けた分体だ。おネェ口調をやめたのは、俺が装備を受け取りに来たと察したからか。バランと間違えかけたのは俺がまだ竜魔人バランの姿だからで。

 

「はぁい、ご苦労さま」

「いえ、それよりも」

 

 頭を振った分体の視線がポップに向くが、説明しろと言外に言ってるのはわざわざ聞かなくてもわかる。

 

「あ、モシャスが切れたら次はダイちゃんになってもらえるかしら?」

 

 だが、俺が口にしたのは説明ではなく要求で。

 

「なにを……勇者ダイに?」

「ええ。ほら、成り済まし作戦失敗続きじゃない? 次の作戦の布石に盛り込むかで迷ってるんだけど」

「……わかりました」

 

 短い沈黙を挟んだもののの素直に応じたのは要求の裏にあるモノを察してくれたからだと思う。つまり、思念波による内緒話であり。

 

『モシャス』

 

 分体がダイへ変身しなおした後に俺は伝えた。ダイが記憶を取り戻しパワーアップに至る流れが失敗で終わり、バランに勝てる見込みもなさそうなのでメガンテを試みようとしたポップを気絶させ確保したこと、ダイがバーンを倒す流れが絶望的になった以上、俺がどうにかしなければいけなくなったこと、などを。

 

《バーンを放っておけばダイはバランに保護されて無事かもしれないけど、残りの勇者一行のメンバーの生存は絶望的だし、地上が吹っ飛ばされるのも御免被るからね……魔界って殺伐してそうでのんびり暮らせるような気がしないし》

 

 ポップの言葉も変心に一役買ったことは黙って理由を上げれば思念波はすぐに返ってこず。

 

《……はぁ、魔王軍の目があるかもしれないって状況じゃなきゃ殴ってたのに》

 

 返ってきたら返ってきたで俺の顔は引きつりそうになるが、無論不自然なので借り物の表情筋を総動員するイメージで務めて平静を装う中、分体は思念派で事情は把握したと答え。

 

「うーん、見た目は完ぺきだと思うけど、まだちょっと不安が残るわねぇ。あ、ありがと、もういいわよ」

 

 監視の目を意識して分体の変身した姿を評価したフリをした俺は、捕虜が居るからそろそろ帰るわと告げてから一度ポップを下ろし、衣の魔杖を装着し。

 

「それじゃあね、ルーラッ」

 

 ポップを担ぎなおすと片手を上げて分体に挨拶し空へ飛びあがる。このタイミングで計画を伝えられたのは本当に大きいと思う。分体達への情報伝達は想定より早まるだろう。出来ることなら勇者側についてる分体とか修行中の分体の何割かも引き上げて合体、修行の成果を統合した上で戦力になってもらえるとありがたいと思うのだが。

 

「っと、もう着いたのねぇん」

 

 流石瞬間移動呪文と呟きつつ俺は死の大地をバーンパレスの入り口に向かって進む。無論正面入り口ではなくいつも利用している裏口からだが。

 

「ポップちゃんはその途中で牢に入れて来ればいいとして」

 

 ブツブツ呟きつつ俺は密かにポップの様子を窺う。気絶したふりをしているようならここで独り言のふりをしてわざと情報を渡し、行動を制限するなんてことも考えたのだが。

 

「とにかくポップちゃんはヒュンケルちゃんと同じ牢でいいわよね。それなら見張りも少人数で済むし」

 

 やっておいて損はないだろうと俺は独り言を続ける。

 

「けど裏口だからってここ、見張りとか居ないわよねぇ。人員の配置がえとか提案しようかしら。バーンさまの居城に侵入者が、とかよろしくないでしょうし」

 

 流石に敵の本拠地に捕まっていると知ればポップだって安易に逃げ出したりはしないだろう。仲間が捕まってると聞けばなおのこと。出来るだけこちらの思い通りに動いてくれるように情報を渡してるつもりだが。

 

「はぁ」

 

 そのまま進むも魔王軍のモンスターと出くわさない状況に俺は嘆息する。こうして捕虜を連れてきたところを見せて、ちゃんと魔王軍やってますよと言うアピールしようと思ったのだが、こんな時に限って目撃者になってくれる魔物がいないのだ。ままならないなぁという嘆息が胸中で漏れた。

 




次回、十四話C「報告と下準備」に続くメラ。

ドラゴンキラーをベースにした新キャラの名前は?

  • スレイフ
  • ムンク
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  • メラトス
  • シェル
  • ラゴニア
  • メキーラ
  • ラゴウ
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