ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
「えーと」
お前はもう用済みだって言われるかと思ったらすんなり退出を許された件について、そんな題名が脳裏に浮かぶ中、俺はかつてアルビナスを作った場所へと向かって歩いていた。魔改造アルビナスの実戦は幸か不幸か今のところないが、分体三人分の魔法力と三回行動は正直今の自分でも敵に回したくない相手と思える程だと自負している。分体を注入するだけでギラ、イオ、メラ、ヒャド系の呪文全ての他、補助呪文にルーラと言った移動呪文など様々な呪文を使用可能になるのだ。
「まぁ、分体の同意が不可欠でもあるんだけど」
俺の分体が生き延びることに拘ってるなら、原作での退場が早く生き延びる方策もなかった駒の人気がなかったのも納得ではある。例外はポーンの駒だが、あれはハドラーが作ったから創造主の死後も生き延びた気がするし、俺と分体で同じことができるかと言うと疑問に残るというのもある。
「あ、そっか。同意もだけど――」
武器も用意しないといけないかと俺が呟けば。
「他の親衛隊のことでして?」
「あ、うん。まぁ、勇者一行はもう再起も厳しそうだけど、親衛隊が全員無手ってのもあれだし」
口を開いた魔改造アルビナスに頷きを返す。他の親衛隊をそろえることは駒を下賜したバーンも承知の上だろうから口に出すが、バーンとの戦いに備えてとはいえないので俺はそう返し。
「それならミストバーン殿をあたるか、ハドラー殿を当たる必要が有りますわね」
「え?」
ミストバーンは解かる。だが何故ハドラーをと思ったのが解かったんだろう。
「トゥース様が欲しがりそうな装備を調べておきまして、その一つであるシャハルの盾はおそらくですけれど、ハドラー殿がお持ちですもの」
「へ」
返ってきた言葉に思わず俺は振り返ったが、ああそうかと自己解決して視線を前に戻す。原作ではオリハルコン製の親衛隊はハドラーのものだったのだ、きっと俺は忘れてるが原作にハドラーから貰ったとか言ってる描写があるんだろう。ただ、元は同じはずなのによく覚えていたなあと思い。
「そっか」
そう言えば魔改造アルビナスは一人で三人分だったっけと納得する。うまくかみ合えば他の二人が一人の思考や記憶を補佐することでオリジナルをしのぐこともできるってことなんだと。まぁ、喧嘩とかした時はすごく大変そうだが。
「じゃあ、残りの親衛隊が完成したらハドラー殿のとこにも足を運ばないとなぁ」
マホカンタの呪文はあるものの、それとは別に反射呪文の効果のある盾は欲しい。差し出せる対価がないのが難点だが、そこは親衛隊を完成させてハドラーの元に向かうまでに用意できればいいだけの話であり。まず、俺がすべきことは別にある。
「トゥース様?」
「いや、親衛隊になってくれる分体探さないと」
俺は行く先を報告の前に足を運んだモシャス用の部屋へと変えた。あそこならマホプラウスの伝授の為に分体が集まってると踏んで。
「あ、トゥース様」
『ちょ押すな』
『どうしたんです?』
『んぷ、誰だよ今の』
実際その通りだった。狭い部屋にぎゅうぎゅう詰めとまではいかないものの、部屋の中はかなりの人口密度、もといメラゴ―スト密度だった。
「あー、作戦が一段落したから、今のうちに親衛隊を揃えておこうかなって思って」
『『あー』』
すぐに納得したような声があちこちから洩れて重なったのは、俺が魔改造アルビナスだけ連れているからというのもあるのだろう。
「こう、コイツのこともあるからいっそのこと親衛隊は全員女性にしてそれぞれ三人に注入してもらうのもどうかなって考えたんだけど」
生存を望むなら、アルビナスと同じ一部盛り過ぎの三位一体は悪くないと思うのだ。そも、原作でマァムとアルビナスが戦うことになったのは親衛隊の中でアルビナスが紅一点だったというのもあると思う。他をみんな女体化させれば、マァムとぶつかる可能性が女王に限らなくなって他の駒でも妥協してくれるのではというアイデアだ。
『トゥースさま』
『ご自分の言ってること、ちゃんと理解されてます?』
だが返ってきたのは、生暖かい視線で。
「え?」
『そこの女王みたいな超乳お化け五人侍らせるってことですよ?』
「あ゛」
指摘されてようやく気付く、そのビジュアルのアレ加減に。
「わかったよ。じゃあナイトの頭部は乳牛にしよう」
『ボケて現実逃避しないでください、トゥース様』
何とか誤魔化そうとして口にした思い付きもあっさり突っ込まれる。
「だってさ、こっちとしては親衛隊は揃えたいんだよ? けど、乗り気じゃないから――」
俺なりに頑張ったのだ。頑張って考えたのだ。
『とりあえず努力は認めますから』
『それにまぁ、オリハルコンボディに興味がない訳でもありませんし』
『俺はおっぱいでもいいですけどね』
「おい、そこ! まぜっかえすなよ!」
思わず膝を抱えたくなったところで声をかけてくれた分体が居るかと思えば、今更ながらに胸部でいいと言い出す奴もいて。
「ええと、ありがとう」
なんやかんやで希望者を一定数揃えられそうなことに俺はとりあえず礼を言うのだった。
次回、十八話C「親衛隊、揃う」に続くメラ。