ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
『けどトゥース様、ビショップ作るのは少しだけ待った方が良いと思いますよ』
残るオリハルコンの駒へ注入されてくれそうな分体がほぼそろったところで、そう進言されたのは、親衛隊の製作の為に場所を移そうかとしたタイミングだった。
「待つ?」
『はい、今のままだと、完成した僧正はビショップにも関わらず僧侶系の呪文が一切使えない詐欺仕様になります』
「あ」
指摘されて気づくのもアレだが、言われてみればその通りだった。原作同様注入しなければ真空の刃で敵を切り刻むバギ系を極めたビショップが誕生するかもしれないが、作り手が俺で分体も注入しないとなると、オリジナルよりスペックの劣ったビショップになってしまいかねない。
「しかし、僧侶の呪文、かぁ」
一応のアテはある。マァムの母親に師事してる分体だ。だが、あの分体は立ち位置的に勇者側。大っぴらに接触するのは問題があると思うのだが。
「うーん、そっちに何か考えでも?」
『はい、一応は』
「え」
少し悩んで聞き返してみるとあっさり案があると言われて俺は面を喰らう。
『ただ、準備に少しかかりますから、俺が注入されるのとビショップの加工は後回しにして他のメンバーから作成しておいて下さい』
「そ、そう」
『あ、ただし僧侶の呪文使わせたい親衛隊が他にもいるならその駒の親衛隊化も待ってもらえるとありがたいですけど』
「んー、それなら作成は見合わせて先に他のことしてる、かな」
ニュンケルを始めとしてマホプラウスを使える分体が増えたにもかかわらず、検証の方はまだ手つかずだった気がするのだ。
「お披露目前に色々見せちゃうと興ざめだろうし、こういうのは隠れてこっそりとやりたいとこだけど」
口にしたのは表向きの理由。このマホプラウスだが大魔王を討つつもりならば要となる呪文なのだ。
「どこかちょうどいい場所は……あ、あった」
『トゥース様?』
「ごめん、何人かついてきて」
俺が思いついた場所は、軍団長ならともかく、偵察用の使い魔ではとてもではないが入ってこられない場所。俺は向かう先を外へと変えて。
「レムオル、ルーラッ!」
透明化呪文で行先を悟られないようにしてから、瞬間移動呪文で飛び立つ。向かう先はそう、あの島、デルムリン島だ。
「マホプラウスの真価、確認させてもらうよ」
死の大地が後方に遠ざかる中、俺は呟き。
◇◆◇
「はぁ、はぁ、はぁ……成功、した」
人気もモンスターの姿もないデルムリン島の森の中、俺は呼吸を整える。
『話してもらえれば理論上は可能かも、とは思ってたけど』
『トゥ……A1は変態。これだけは確か』
『一歩間違えば自爆技って辺り、メドラから成長がゼロだよなぁ』
呆れの成分を含んだ分体達の言いたい放題に反射的に叫びたくなるが、今は我慢するしかない。大魔王戦の切り札が実現可能なことが判明しただけでも成果としては大きい。
「けど、マホプラウスの方だけじゃなくてこっちも成功とは、うん」
両手持ちの形で俺が握るのはプラスとマイナスの魔法力を合わせて作り上げた全てを消失させる巨大剣。炎の闘気と俺自身がメラとヒャドをそれぞれ担当することで作り上げているものだ。
「『メドラ・ブレード』とでも名付けようかな……ただ、うっ、く」
撃ち出す形の参考元であるメドローアと違い、展開してるだけでかなりの魔法力を持ってかれる燃費の方は最悪の呪文だ。
「もっとも、近接で使えるメドローアってとこがミソだけどさ」
直接相手にぶつけるタイプであり、常時展開型であるからこそ反射呪文の内側に飛び込んで斬りかかればマホカンタでも防げず、原作でメドローアを払いのけた大魔王の手刀でも一時的に刀身を散らすことしか出来ない。
「確か黒の核晶もメドローア系なら爆発させる前に消滅させられるって聞いた気がするし」
大魔王だけでなくこれはミストバーンやキルバーン、そしてそう言えば謁見で姿を見なかった気がするハドラーとの戦いになっても猛威を振るってくれるはずだ。
「じゃあ、帰るか。レムオルとルーラを誰かお願い」
達成感と確信を胸に、魔法力は殆ど使い果たしていた俺は自分のかわりに呪文を使ってくれるよう頼み。
「ただい」
『どこ行ってたんですか、アンタらぁッ』
「ほばっ?!」
バーンパレスに戻るや作成の為の部屋に入ったところでまるで武闘家か何かの心得があるかのような動きの分体に俺は殴られたのだった。
うぐぐ、揃うところまで書けなかった。
と言う訳で近接消滅呪文の最終形態が完成。何だかすれいやーずのラグナ何とかっぽくなったけど気にしない。
次回、十九話C「親衛隊、揃う2」に続くメラ。