ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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二十六話C「選択」

「ザボエラ殿、どうしてここに?」

 

 そう問いかけるべきか、否か。俺は迷った。ザボエラが現れた理由にいくつかの可能性があったからだ。一つは単純に何も知らされておらず、それでもパレス内の異変に気付いて指示を求めに来たというケース。一つは大魔王側についてそ知らぬふりでだまし討ちの為に近寄ってきたケース。

 

「おーっほっほっほ、トゥース様、ここはお任せになって!」

 

 俺が一瞬迷ううちに前へと進み出て、ザボエラと俺の間に割り込んだのは、無駄に巨大な胸を弾ませるアルビナス。ザボエラが体内で様々な毒を調合できる体質であることを鑑みたのだろうか。オリハルコン製の身体なら、毒はまず効かない。大魔王について不意打ちしてきたとしても制圧できると考えたとかか。

 

「それじゃ、任せたわぁん」

「なっ?! と、トゥース様?!」

 

 女王に丸投げしたことにザボエラが驚くが、正直、今の俺は冷静な判断を下せる自信も、状況をザボエラに説明する自信もなかった。今俺が置かれた状況を説明すれば、どうしてもプレイハードの死に触れてしまうから、それに。

 

「あ、きっ、貴様はヒュンケ――」

 

 ザボエラの捕らえたことになってるヒュンケルが自由の身でいる現状もよろしくない。ザボエラは原作でも牢に放り込まれたことを根に持って居たような描写があった。ヒュンケルには憎しみを抱いて居るはずで。

 

「おーっほっほっほ、アレはモシャスで変身してるだけですわ。そんなことより、もっと重要なことがありますの」

 

 高笑いと共にそう言ってのけた女王が俺に目くばせする。

 

「ありがとう、それじゃ、よろしくね」

「お任せくださいまし」

 

 胸部を込めれば一人で三人分の戦力を持つ女王なら、ザボエラに後れをとることはない。大魔王側についたとしてもアルビナスが足止めしていてくれれば、バーンとの決戦に姿を見せることはない筈。原作でバーンと戦ったハドラーへしたように決戦の時に不意打ちで動きを拘束してくるようなことがあれば拙いが、決戦に姿を見せなければ警戒をせずに済む。

 

「ブロック、念のためアナタも残って」

「ぶ、ぶろーむ」

 

 オリジナルのリスペクトか、指示を出すと城兵はそう応じて足を止め。

 

「トゥース様、いいんですかい?」

「ええ」

 

 ミストバーンですら撃破された今、大魔王が戦力を分散させて刺客にするとは考えにくいがザボエラと更になにがしらかの戦力をアルビナス一人でとなると派遣される相手次第で不覚をとるかもしれない。もうプレイハードのような犠牲は御免だった。

 

「フェンブレン、フェンブレンは武器に」

「うむ。変形、形状・三日月刀ッ!!」

 

 俺が呼びかけると武器に変形した僧正は俺の手に収まる。監視用の悪魔の目玉はザボエラがトップの妖魔師団に所属している筈、そのザボエラがここにいる以上、僧正に密かに仕込んでおいたこの変形能力が今すぐバーンに知られる可能性は低いだろう。

 

「急ぐわよ」

「「はっ!」」

 

 残る親衛隊二人の返事を聞きつつ俺は足早に廊下を進む。バーンから見た残る敵対戦力、つまりニュンケルと文官手伝いをしているであろう分体達と合流すべく。

 

「もし、アタシがバーンなら――」

 

 牢に差し向けたミストバーンを続けて向かわせるか、ハドラーを含む他の戦力を動かすか、キルバーンの帰還を待って罠を使わせるか。思いつく方針はだいたいそんなところだと思う。

 

「いくら力至上主義だったとしても、流石に文官の必要性ぐらいわかってるはずだし、文官を捲き込むとは思えないことを考えると……モシャス部屋で待ち伏せして……ううん、時間がかかりすぎるし、仲間が戻ってこなきゃ警戒する。現実的じゃないわ。となると――」

 

 文官に指示を出して、まず分体と分離させると言った辺りだろうか。なら、文官と分体がどういう状況にあるかで大魔王がどう動こうとしているかが少しくらいはわかるだろうか。

 

「……とか考えたんだけど」

「「トゥース様、何故こちらに?!」」

「トゥース様?!」

「ええと、どういったご用で?」

 

 たどり着いた先で俺が目撃することになったのは、何も事情を聞いていない様子で突然の魔軍司令の訪問に驚く文官たちとこれに混じった分体達だった。

 

「これはどういう」

「なぁ、トゥース様……思ったんだけどよ」

 

 困惑する俺を呼び止めてそう切り出したのは、親衛隊の兵士ことヒム。

 

「さっきの戦いがあっちも想定外で、そのショックからまだ立ち直れていないんじゃないのか?」

「あ」

 

 文官達に聞かせるのは拙いとボカした内容ではあったが、言わんとすることを理解して俺は思わず声を漏らした。あの大魔王がミストバーンの死に衝撃を受けるとは思わないが、若さを隔離させた自分の分け身を滅ぼされれば衝撃を受けたとしても不思議はなく。次の手を打つのが遅れて居る中で先に俺達が分体と合流したというなら説明はつく。ただ。

 

「おい、トゥース……でいいんだよな?」

「あ゛っ」

 

 ついてきた形のポップが追い付いてきて俺に声をかけてきたのは、想定外だった。

 




下手な敵と戦うよりピンチな状況、到来?
次回、二十七話C「どうしよう、その一言に尽きた」に続くメラ。
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