ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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三十話C「いざ決戦へ」

「え、えーと……」

 

 何とか誤魔化せないかと考えるも、無理だった。とぼけるならまだしも、こちらから反応してしまったのだ。

 

「……とりあえず、大魔王を倒そう」

 

 ならどうするかと言えば、棚上げ以外の選択肢を俺は思いつけなかった。と言うか、そもそもバーンも俺やバランを排すべく動き始めているのだ。

 

「あちら側に時間を与えるのはよろしくないし……ミストバーンのことも、キルバーンのことも大魔王バーンからすれば想定外の筈」

 

 やはりミストバーンのことに言及すると微かに胸が痛んだが、立ち止まる訳にもいかなくて。

 

「立て直される前に分体を引きつれてこっちから攻めないと」

 

 今ならザボエラもアルビナスたちが押さえてくれている筈。

 

「バラン殿はそれでいいよね?」

「うむ。バーンが地上を地獄に変えるつもりならば、捨て置けん」

 

 竜の騎士としても看過できないのだろう。これで大魔王戦でバランは頼れると見て良く。

 

「ポップ、ヒュンケル……」

「おれの答えは決まってらあ。けどな、後で色々きっちり説明してもらうからな! ……で」

 

 腕を組んで視線を背けたポップは俺にくぎを刺すとヒュンケルの方を見て。

 

「むろんオレも付き合わせてもらう。弟弟子だけを行かせることなどできん。それに大魔王の素顔にも興味がある」

「ああ、ヒュンケルは直接会ったことないんだっけ。そう言えば、素顔を見たことのあるのってミストバーンとキルバーンだけだったって言ってたし」

「そう、だな。間接的に接していただけで圧倒的な威圧感を覚える、そんな相手ではあったが……素顔を見たことがある弟弟子が平然としているのに」

 

 ここで二の足も踏めんとヒュンケルは言い。

 

「そう。それじゃ、ポップ達はラゴウ……あの緑の鎧っぽいのと一緒に動いて」

 

 ヒュンケルからすれば元部下、行動を供にするなら一番相性がいいだろうと踏んでそう指示し。

 

「俺は今いる親衛隊とさっきの場所に居た分体を率いるよ。あちらの分体の指揮はニュンケルに……あ゛」

 

 任せると言いかけて、思い至る。そう言えばこの流れ、本物ンケルにニュンケルが対面してしまうのではと。

 

「どうした? それにニュンケルとは?」

「あー、えっと……」

 

 ピンチと言うやつはどうしてこうも身近にゴロゴロと転がっているのだろう。

 

「空いた不死騎団長を埋めるためにモシャスでヒュンケルに変身してる分体……かな?」

 

 いずれ解かってしまうこと。仕方なく白状する俺はヒュンケルとは目を合わせられず、ただ願う。どうかニュンケルが本物を怒らせませんように、と。

 

「とにかく、ここを出て引き返そう」

 

 ザボエラから伝授されたマホプラウスを最大限に活かすにも参戦できる分体は多ければ多いほどいい。問題は文官達から分体を借り受ける名目だが、これは不意に閃いた。

 

◇◆◇

 

「秘匿呪文お披露目のリハーサル、ですか」

 

 俺が伝えた借り受ける理由を反芻したのは、文官の一人だ。

 

「そう。呪文の特性上、参加者は多ければ多いほど良くてさ」

 

 その実リハーサルではなく本番でお披露目どころか大魔王と戦うのに使う訳だが、そこまで親切丁寧に説明する気はない。ただ、未だに大魔王の伝令やら刺客が来ないことをありがたく思いつつ文官達からの返答を俺は待ち。

 

「わかりました。トゥース様の連れてきていただいた彼らのおかげで仕事が立ち行かなくなることもほぼなくなり、私達も今では休憩する時間まで捻出できるようになりました。そのお礼と言うにはなんですが」

「……ありがとう」

 

 俺が礼を口にすればそれはこちらのセリフですよと言葉を交わした文官は言い。

 

「それじゃ、ニュンケル。モシャスが解けたら素の姿のままでここの分体の指揮をお願い」

 

 丸投げに近い形で文官手伝いの分体と一緒に居たニュンケルにも声をかけ、歩き出す。さすがに書類仕事の場でメラゴ―ストの姿はさせられないが、かといって本物のヒュンケルの前でヒュンケルの格好をさせ続けるのも拙い。ニュンケルが変なことを言わないか気が気でなく、精神衛生上さっさと離れることを望んで歩き始めたわけではあるが。

 

「ニュンケルの言動に本物がブチギレるのではないか」

 

 と言う不安は付きまとい、だからこそ振り返れないままに俺は大魔王の元へと向かう。

 

「いざ決戦へ」

 

 できるだけシリアスな顔を作ってぐっと拳を握る俺には何も聞こえない。怒号も悲鳴もドタバタと言うけたたましい足音も何も聞こえなかった。

 




次回、三十一話C「秘策」に続くメラ。
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