ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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三十三話C「秘策3」

「さてと、張り切ってるところ悪いけど」

 

 いつの間にそんな言葉が口をついて出かけた。

 

「っ、死神、貴さ」

 

 ハドラーの側、何もない場所から生じた大鎌がハドラーの身体を引っかけ、引きずりこむ。

 

「キルバーン、待」

「ンフフッ、ハドラー君には不本意だろうけど、こっちは危険物同士で仲良くやらせてもらうから、後は頼んだよ」

 

 俺は原作知識で知っている。キルバーンの所有する魔界の決闘用マシン。通称ジャッジと呼ばれる魔界の遺物でその鎌には空間を斬り異空間へと相手を引きずり込む力が秘められている、だったか。

 

「くっ」

 

 自身とハドラーを隔離した理由なんてわざわざ考えるまでもない。黒の核晶の爆発に巻き込まないためだ。黒の核晶が起爆すれば、もう一方も誘爆する。勝とうが負けようがこれでもうハドラーが戻ってくることはなく。どいつもこいつもと言う言葉を俺は辛うじて呑み込み。

 

「は?」

 

 あんぐり口を開け顔芸を披露するのは、ハドラーの横に立っていた、リビングピースの王、マキシマム。主であるバーンを除けば頼みに出来る最大戦力が一瞬でどこかに消えてしまったのだ。無理もない。

 

「みんな、今の内に攻撃だ!」

 

 キルバーンには言いたいことがいくつもあった、だが、ハドラーをこの場から退場させてくれたことを無駄には出来ない。それに、切り札を十全に活かすにはまだこのドームの中に入れていない分体達に中へ入って来てもらう必要もあった。入り口で立ち止まってなど居られないのだ。

 

 

「うむ」

「おう、いくぜ!」

 

 頷いたバランが背の剣を抜いて床を蹴り、兵士が拳を握りしめて走り出すのに関しては敵と混同されないかと思って止めようとしたが遅く。

 

「まだ護衛の必要はない、ならオレも攻めに加わらせてもらおう」

「はぁ、不本意だが今の私ならあちらと間違われることはないか」

 

 ヒュンケル、そして嘆息した乳牛騎士シグマが二人に続く。

 

「げっ、げぇぇっ!!!!」

 

 マキシマムからすれば、割と最悪の状況だろう。原作より弱いヒュンケルは良いとして、同じチェスの駒の二人は同じ駒程度の戦力だとしても、バランは拙い。もちろん俺もただ棒立ちのつもりはなく。

 

『ピオリム』

『スクルト』

 

 ドームに入ってくるなり分体達が攻めに出た味方へ補助呪文で援護する。

 

「よーし、おれも一丁」

「ごめん、ポップ。あいつらオリハルコン製だから攻撃呪文は効かないんだ」

「へっ?」

 

 少し遅れて加勢しようとしたポップが俺の言葉に固まるけど、実際呪文は無効なのだから仕方ない。

 

「それと」

 

 この状況でバーンが動かない筈もなかった。視界の端にちらりと見えた大魔王は不死鳥を模った炎を掌に浮かべていて。

 

『マホカンタ』

 

 炎の闘気が俺の手にした武器形態のフェンブレンに反射呪文を施し。

 

「アバン流刀殺法鏡面海破斬ッ!」

 

 俺の放った斬撃はヒュンケル目掛けて放たれた炎の不死鳥を弾き散らす。

 

「バラン!」

「ぬっ」

 

 その一方で不死鳥を追う様に飛び出していたことにも気づいて俺がかけた声でバランが振り返り、杖を振りかぶって襲いかかってきた大魔王と切り結ぶ。

 

「やっぱり、こっちの攻め手に横撃を加えてきた……」

 

 ハドラーの出オチレベルの退場は大魔王にとっても想定外だったのだろう。半身を失った上、バランと俺が健在では分が悪いと見て何の口上もなく襲ってきた辺り、追いつめられてるんだと思う。

 

「バラン殿に抑えて貰うってのも選択肢の一つだけど」

 

 原作知識であちらの手札が解かってる分、大魔王の相手は俺がした方が良い。

 

「ニュンケル、分体のみんなの指揮はお願い!」

 

 振り返りはせずそれだけ指示を投げて俺は走り出す。

 

「いくよ、フェンブレン!」

 

 走りながら声をかけた己の武器を振りかぶり。

 

「でやあああっ!!」

 

 力いっぱい投げつける。

 

「なにっ?!」

 

 普通なら斬りかかってゆくタイミングでの投剣。だが。

 

「変形、僧正フェンブレン!!」

 

 空中でフェンブレンは人型に変じ。

 

「挟み撃ちか」

 

 空を仰いだ大魔王が手にした杖の先をフェンブレンへ向けた瞬間だった。

 

「アバンストラッシュ・アローッ!」

「ちいっ」

 

 飛来した剣風を弾いてバーンの迎撃は一瞬遅れ。声で援護の主を元ドラゴンキラーことラゴウと判断。俺はそのままフェンブレンの方へと手を伸ばし。

 

「ルーラっ!!」

 

 空中のフェンブレンが瞬間移動呪文で俺の手元に戻ってくる。形状は人型のままだが気にしない。

 

「挟み撃ち自体が虚構?!」

「いくぞ、はああっ!!」

 

 その足を掴み重量武器として横に薙ぐ。

 

「うぐっ、舐めるでないわァッ!」

 

 だが、大魔王はこれにも反応した。杖の柄で腰斬しようとしたフェンブレンを受け止め。

 

「くっ、流石にそう簡単に一撃を入れさせてはくれないか」

 

 飛び離れ人型のままのフェンブレンを俺は手放す。流石に人型はちょっと重すぎた。

 




一瞬でも流星の様にでしたっけ?(決闘カードゲームのごとくいきなり除外されたハドラーのことを思い出しつつ)
次回、三十四話C「大魔王バーン」に続くメラ。

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