ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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最終話C「決着、最終決戦」

「ぬんッ!!」

 

 斬りかかった俺にバーンは杖を振るい。

 

「っ」

 

 明らかにコンパクトすぎる振りに俺が身体を傾けようとすれば、案の定か。バーンは杖そのものを俺に振り下ろすのではなく両手持ちにして脇に構えた。原作ではダイの竜闘気砲呪文を杖から出る光の刃の放出で相殺して耐えた描写があったが、構えからするにバーンが行おうとしているのは、それと同じ。

 

「ならッ」

 

 俺は傾けるどころか床に倒れ込みつつ、消失呪文の剣で床を削った。

 

「なに?!」

 

 バーンが驚きの声をあげるにも構わず、俺は出来た穴へと飛び込んで。

 

「危なッ」

 

 放出された光は、俺が先ほどまでいた場所を薙ぎ払っていた。俺が穴の外を見たのはその一瞬で。

 

「からのッ!」

 

 穴の中で消失呪文の剣の向きを変える。ぶっちゃけあてずっぽうだが、床を貫通して足元からバーンを狙ったのだ。

 

「うぐっ」

 

 短い大魔王の呻きが聞こえたが、攻撃が当たったと慢心はしない。

 

「フェンブレン!!」

「当たっておらん」

「そう」

 

 穴の中から呼べば返る答えで誘いだったと俺は知り。

 

「メラミ!」

 

 穴の外へと呪文を放つと、それに続いて外に飛び出る。

 

「ちっ!」

 

 そして見たのは、床下からの攻撃で出来た穴、呪文が飛び出なかった方に杖を振るったバーンの姿だった。

 

「裏の裏、で何とかなったか」

 

 メラミを囮にもう一方の穴から出てくるとバーンは踏んだようだが、小細工は成功だったようで。

 

「おい、メラ公!」

「トゥース様、いけるにゅん!」

 

 着地してバーンと向き合っていたところで、待ち望んでいた知らせが届く。

 

「そう、ありがと。こっちはこのまま押さえとくから……フェンブレン、打ち合わせ通りに」

「うむ」

 

 俺が話を振れば、僧正は頷いて。

 

「みんな、やるにゅん!」

「むうっ?!」

 

 ニュンケルの号令にバーンが警戒するそぶりを見せるも。

 

「獣王会心撃ッ!」

 

 片手から闘気を俺はバーン目掛けて放つ。

 

「ぐっ」

「邪魔はさせない!」

 

 クロコダインには悪いけど、俺が使っても会心撃ではバーンを軽く仰け反らせる程度にしかならない、だがそれでも。

 

『『『バイキルト!!』』』

『『スカラ!!』』

 

 声を揃えた分体達の攻撃力倍化呪文が防御力増強呪文がドームに響き。

 

「攻撃呪文ではない、だと?!」

「集束呪文の攻撃呪文以外への転用、これがオレたちの切り札、にゅん!! トゥース様!!!」

 

 集まった攻撃力倍化呪文がニュンケルから俺にかけられる。

 

「まったく、最後の最後までとはなぁ」

 

 攻撃力を倍加する呪文を集束するのだ。検証した時は腕を振るえばどうなるかある程度の予想がついたからこそ微動だに出来なかった。分体の人数を鑑みれば今の俺の攻撃力は数百倍ではきかない。反動でまず間違いなく腕もぶっ壊れるであろう諸刃の刃。だからこそ、防御力増強呪文もかけてはみたが。

 

「これが、おまえに打ち勝つための、答えだッ!!」

 

 それはもともと原作で完全体の大魔王が放つ最大のカウンター攻撃を使ってきた時、どうすればいいかを考えて出した答えでもあった。一度に三動作で必殺技を三発放つなら三発でも相殺できない程強力な攻撃をしてしまえばいいという実に脳筋すぎる答え。結果として、完全な姿の大魔王を前に使う機会は失われたが、握る拳へ炎の闘気が勝手に収束する。

 

「A5……おおおおおおッ!!!」

「ぐっ、図に乗るなああーっ!!!!」

 

 殴りかかる俺を迎え撃たんとバーンが杖で応戦するが。

 

「な」

 

 杖から出た光の刃は一瞬で潰れ、杖が砕け、俺の拳に纏った炎の闘気の大半が消し飛ぶ。

 

「そ」

 

 そんなことが、とでも言おうとしたのだろうか。闘気を犠牲に反動で変身が解けるのを免れた俺の拳は、跡形もなく大魔王を消し飛ばし。

 

「ぐ、ああああっ!!!』

 

 俺の右腕も耐えきれずに消し飛んで、煙に包まれた俺の姿はメラゴーストに戻る。

 

『トゥース様! ベホマッ!』

 

 床でのたうつ俺に誰かが回復呪文をかけた。おそらくは分体の誰かだろう。

 

『あり……がと、戦況、は?』

「終わったぞ」

 

 とぎれとぎれに礼を言いつつ尋ねれば、フェンブレンの声がして。

 

『そう』

 

 マキシマム相手にバランを含むあの戦力は過剰だったもんなぁと思いつつ俺は空を見上げた。青い、青い空がそこにはあった。攻撃力が高まり過ぎたあの一撃はバーンを消し飛ばして終わりではなくドームの天井と死の大地の表層までをも消し飛ばしていた。

 

『黒の核晶と同じかそれ以上の威力の拳とか、笑えない……よなぁ』

 

 A5の居なくなった今、自分も消し飛ぶ覚悟がなければ同じことはできないだろうけれど。ちなみに、当初の予定では拳で殴るのではなく、三日月刀にしたフェンブレンで斬りかかる予定だったのだが。

 

「ワシは絶対嫌ですからな」

 

 何を考えていたのか、見抜かれたようで、フェンブレンは両腕でバツを作って言った。ともあれ、こうして俺達は大魔王に勝利したのだった。

 




次回、エピローグC「戦いは終わり」に続くメラ。

という訳で、このお話ももうすぐ終わりです。

お付き合いいただきありがとうございました。
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