ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
プロローグ「バタフライエフェクト(三人称視点)」
「今のは……間違いねぇ、ハドラー様に何かあった」
身体の中央を押さえ片膝をついたのは、地位にある半身が炎、半身が氷でできた大魔王6軍団の軍団長の一人。創造主の名を口にした氷炎将軍フレイザードは自身に触れていた手を離すと掌に視線を落とし。
「呪法で命を作られたオレはハドラー様が亡くなれば、消滅しちまう。が、今のところその様子はねぇ」
消滅していないこと、それは乃ち創造主が生きているということではあるが、その命が創造主とリンクしてるが故に離れた場所に居てもフレイザードは異変に気づくこととなったのだ。それも、どこかのメラゴーストがハドラーに余計な痛手を負わせたからであり、原作通りの負傷であれば、フレイザードとてハドラーの負傷には気づかなかった可能性もあるのだが、神の視点でも持ち得ぬ限り一連の事態がどこかの一匹の大ポカによるものだなどと知りうることは不可能だった。
「調べてみるか。オイ」
ただ、自身の生死に関係するとなれば、捨て置けないのは当然であり。思考にふける短い沈黙を挟んで、氷炎将軍は配下のモンスターを呼ぶ。
「何かご用でしょうかフレイザードさま?」
「ああ。少々気になることがあってよォ」
創造主に何があったかを調べてこいと命じて送り出したフレイザードは熱気と冷気を半々に含んだため息を漏らし空を仰いだ。
「こういうのはザボエラのじじいの領分なんだろうがな……あいつに弱みなんて見せた日にゃ、何を企まれるかわかったもんじゃねぇ」
ただ、この自身が部下に命じた調査がきっかけとなり魔王軍の中で一つの騒ぎが起こることになることなどフレイザードとて予想すらしていなかった。
◇◆◇
「はぁ? ンな訳ゃねぇだろ!」
幾らかの情報を手に入れた部下のモンスターが戻ってきて、報告させたフレイザードは握りしめた拳を岩壁に叩きつけた。
「メラゴーストがハドラー様に大怪我させただぁ?!」
フレイザードからすればありえない内容であるのだ。まず、メラゴーストと言えば、メラ系の最下級呪文を一発しか撃てず、人間を襲って返り討ちにあったと言われても驚かない程に脆弱な魔物。
「あり得ねぇ……が、確認だけはしておく必要があるか。だったら次は――」
それでも頭を振って考え直し、追跡確認を命じようとするフレイザードだったが、事態は終わらない。
「お、お待ちください。その、まだ報告が」
「なんだ?!」
「じょ、情報を調べて回っていた仲間が、見咎められて、他の六団長の方にも……」
調べて居た内容が幾らか漏れてしまったと消えいりそうな声で漏らす部下をフレイザードは危うく消し飛ばすところだった。
「ドイツだ?」
「へ?」
「ドイツだって聞いてんだよ! 五人全員って訳じゃねぇんだろ?」
「あ」
苛立ちも露わに視線で突き刺してくる上司に震える声でそのモンスターは白状し。
「不死騎士団長ヒュンケルさま、で」
言葉を最後まで言い終えるより早くフレイザードの一撃で消滅した。
「ヒュンケルだとおっ?! よりにもよってヤツに……」
フレイザードからすれば、不死騎士団長は人間の身でありながら自身と対等の立場にある気にいらない相手。それに加えて、件の人物が率いる軍団はアンデッドモンスター達で構成されているのだ。
「メラ『ゴースト』、アンデッドなら自分にも関わりがあると割り込んできたって不思議はねぇ」
フレイザードからすれば、何か企んできても不思議でない別の軍団長よりはマシな相手ではあるはずだが、嫌悪を抱く相手に首を突っ込まれることが癪に障るということはどうしようもなく。
「知られちまったとなっちゃ、ぼやぼやしてられねぇ。オイ」
舌打ちを一つして、自分で消し飛ばしたモンスターの代わりに指示を申しつける部下を呼ぶのだった。
メラゴースト君への六軍団長の興味二人分追加入りまーす♪(原因は概ね主人公のポカ)
次回、一話「旅立ちの時」に続くメラ。