ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
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感想の返信で軽く触れた荒いプロットからの抜粋ですが、そう言う訳でこの流れは一応予定通りだったりするのです。
マホカトール効果のしるしを登場させた伏線の回収ですね。うまく行ったかなぁ?
「……おねがいだよ……メラゴースト君はおれとポップの為にハドラーといのちがけで戦って、危うくいのちを落とすところだったのに、今だってじいちゃんのみがわりになって……」
もし、メラゴースト君が居なければおれはじいちゃんと戦わされていたかもしれないんだとダイは続け。
「それより、何より、メラゴースト君はおれ達の大事な兄弟弟子なんだよおっ……!!!」
ボロボロ泣きながら続けられた言葉は容赦なく俺の心を抉る。覚悟はしていた、だが。ダイの中の俺の評価ってちょっと高すぎないだろうか。
「クロコダイン! あなたそれでも戦士なの?!」
「なッ?!」
想定外の動揺を魔王の意思に抗うフリで俺がごまかす中、マァムの非難にクロコダインが身体をこわばらせ。
「誇りだのなんだのと言ってたからもう少し正々堂々とした男だと思ってたのに……! なにが『獣王』よ笑わせないでよ!!」
「そうだそうだ」
マァムの言葉に続く形でこんな少年相手に人質まがいの手で来るとはだとか武人の風上にも置けぬヤツよだとか恥を知れだとか居合わせた兵士達も口にし。
「ぬううううっ……だっ、黙れェッ!!!!」
言われ放題だったクロコダインが怒声を発した。
「……武勲のない武人など……張り子の虎も同然!! なんとでも言うがいい……誇りなどとうに捨てたわぁッ!!!」」
クロコダインも色々と葛藤はあったのだろう。だが、何とでも言っていいのであればと俺はその言葉に甘えさせてもらうことにする。
『ィ……』
「メラゴースト君?!」
『っちの、子に伝え……構わず、俺ごと、撃』
「ぬぐうっ?!」
「そんな、出来ないよ!! メラゴースト君ごと撃つなんて!!」
相変わらず抗うフリをしつつ絞り出した言葉へ即座に反応したのは、クロコダインとダイの二人だけ。
「な」
「えっ」
ダイの悲痛な声が通訳代わりになって他の面々がようやく俺の言わんとすることを理解し、クロコダインへ更なる非難の目を向けることになるのだが。
(聞き取り手が少ないから、俺って会話に割り込みづらいんだよな)
地味に収穫があったとするなら、クロコダインも俺の言葉が理解できることが解かったことか。これなら、俺も口でダイ達に加勢することは出来そうだ。
『叶うことなら、俺もアバンの、師匠の弟子として魔王軍と戦いたかった。だが、戦うことさえ許されないどころか敵を利してしまうというのであれば、人を傷つけてしまうというのならば』
途切れ途切れの内容をすんなり言葉にするならそんな感じだろうか。無論この内容は武人を自負していたクロコダインへのこっちは正々堂々どころか普通に戦うことすら許されずにいるんだぞと言う湾曲な非難の意味合いを持っている。武人を名乗ったクロコダインならば、戦うことすら許されぬ立場と言うのは俺の想像以上に辛かろう。だからこそ、それをお前がやらせてるんだぞとした時、きっと言葉は俺が想像した以上の威力を持つ。
(あとは、俺のアバンのしるしと魔法の筒か)
原作では人質をどうにかするためクロコダインの持つ魔法の筒を奪いに行く作戦をダイたちは立てるのだが、この戦場にはもう一つ、俺を救うためのアイテムが転がっている。先ほどうねっとしたモノに外された首飾りだ。
(クロコダインの懐に飛び込むよりは床に転がってるしるしを拾う方が安全で楽なはず)
だからこそ、ダイ達がどちらを狙ってくるかを予測するために位置を確認しようとしたのだが。
(あ)
落ちて転がってるであろう場所にアバンのしるしはなく。
(どこ、に)
何かを振り払うように頭を振るふりをしつつ周囲を見回せば、細長く伸びた何かが先端にテーブルの一部だった木片に絡みつき、木片に引っかける形でアバンのしるしを俺から遠ざけようとしていた。
(あー)
細長いモノをたどった先に天井からぶら下がる目玉の魔物を見つけ、俺はそう言えば原作でも居たなと思い起こして俺のしるしを外した者の正体を察した。複数の触手を持ち、見た映像をそのまま遠くの相手へと伝えることの可能な魔王軍の使い魔的な魔物。
(悪魔の目玉だっけ、となるとこの小細工をさせてるのもザボエラか)
俺を間違えて攫ってきた失態の埋め合わせか、それとも自身を欺いた俺への意趣返しのつもりなのか。テーブルの残骸を使っているのは、触手を使って直接触ろうとした時、マホカトールの効果にダメージでも負って学習したからというところだと思う。悲鳴も聞こえていたし。
(しかし、考えたよな)
ダイ達はクロコダインを見ているからこそ、しるしが遠ざけられていることに気付かない。いつの間にか印がなくなってるとすれば、原作通り筒を奪いに来るしかなく。
『っ』
突然、手前の床で炎が弾ける。
(魔法を撃つ銃での威嚇射撃?!)
組み合っては俺が分裂するかもしれないと考え、俺の足止めの為にマァムが撃ったのだろう。
(と言うことは)
「うぐっ」
思わず視線でダイを探せば、そこに居たのは魔法の筒まであと一歩のところでクロコダインから膝蹴りを受け呻くダイの姿。
「残念だったな……上手い作戦だったが……さっきのメラミのダメージでおまえのスピードは半減していたのだ……」
その姿勢のままクロコダインの語る敗因こそ、俺がダイにメラミを命中させた理由でもあった。
精神攻撃は基本。
次回、十話「窮地」に続くメラ。