ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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四話「失敗」

 

「あれ? ひょっとして、敢えて見逃された?」

 

 可能性に気づいたのは、もう二人が影も形も見えなくなった後。よくよく考えれば、誰もいないなら、勇者も挨拶なんてする必要はない。

 

「そうなると、何の意図があって見逃し……あ゛」

 

 そこまで考えてから、俺は最大のミスに気付いて固まった。

 

「主要登場人物との接触、無駄にしちまったぁぁぁぁ!」

 

 現状、詰んだと言っても過言のない俺だ。どのみち生き延びられる可能性が低いなら、あそこで土下座でも何でもして、仲間になりたそうに見つめて同行させてもらっておくべきだったのではないか。

 

「魔物を仲間にできるシリーズのものだと例外もあるけど、仲間になったモンスターは成長出来たもんな」

 

 ついでに言うなら、さっきの勇者は魔王の意思の影響をシャットアウトする結界的な呪文の使い手でもあったはずだ。俺は命惜しさのあまり、助かるかもしれない可能性を自分から投げ捨ててしまったという訳だ。

 

「っ、どうする? 今からでも追いかける? いや、最後の挨拶が『今回は見逃しますけど次はないですからね?』的な意味だったとすると出合い頭に斬撃が飛んできても不思議は、ない」

 

 やらかした。俺は完全にやらかした。

 

「おまけに結局、現在地の情報も二人から聞けなかったし」

 

 ここはどんな国の何と言う地方でどこに町や村があるのか、どんなモンスターが生息してるのか、全くわからなかった。解かったのは、ここがダイの大冒険の世界で、主人公であるダイがまだ師である勇者アバンと出会う前の時期だということぐらいだ。

 

「ポップが弟子入りしてるってなると、原作開始前とは言いきれないんだが」

 

 うろ覚えの記憶だとあの少年は主人公より一年先輩の兄弟子だった筈。だが、原作ではその前に偽勇者が主人公の生まれ育った島を荒らしたり、島にやってきたお姫様を暗殺から救う話があって、アバンへの弟子入りはその後だったと記憶している。

 

「うん? 弟子入り……あ゛」

 

 そして、原作の知識を掘り返して気づいたのは、主人公とアバンの出会い。

 

「家族同然に過ごしたモンスターたちが魔王の意思で凶暴化したのをアバンが結界的な呪文で止めるんじゃなかったっけ?」

 

 つまり、魔王の意思とやらがモンスターを凶暴化させるまでもう時間的な猶予は一年もない。

 

「駄目じゃん!」

 

 一年に満たない時間、独力だけで魔王の意思をはねのける方法を見つけ出して実用化までこぎつけるなんて言うのは無理だ。そも、現状の情報では、長くて一年未満だとわかっただけなのだし。

 

「駄目だ、アバンについてゆく以外の助かりそうな道がない……」

 

 逆に言うなら、そこさえクリアしてしまえば一応生きて行くことは出来る。アバンについていって、主人公の暮らす島のモンスターたちのところで新入りとして迎え入れてもらえたらなら、という前提条件はあるが、島はアバンが結界で守護するので、魔王の意思の影響を受けずに暮らしてゆけるのだ。

 

「くそっ、今からで追いつけるのか?」

 

 わからない、だが為さねば俺の助かる道はない。俺はあわてて二人の去った方へ走り始めた、足はないけど。

 

 




五話「走れ、メラゴースト」に続くメラ。
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