ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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このままだと更に投稿が遅くなるので。


十三話「バトンタッチ」

「……たいしたしぶとさだ……もはや一分の勝ち目もないのになぜそこまで耐える……?」

 

 杖は砕け、ポップの魔法力も尽きたと思っているクロコダインは貴様に一体なにができるというのだと問う。

 

(確かになぁ)

 

 原作を知らなければ、俺とてポップの意図には気づかなかったと思う。起き上がることもなくポップはやがて笑い出し。

 

「……ついに気がふれたか……?!」

「へへへっ……ふれちゃいねえよ、全部計算ずくさ。杖を砕いたのも、魔法力を温存したのも……!」

「な……なにッ!?」

 

 笑い出したことに驚いたクロコダインがポップの答えに目を剥くが、ポップのしかけはもう終わっている。だからこそ俺は密かに魔法力を練り始めた。

 

「イチかバチか……これが最後の賭けだぜ!」

 

 横に転がってうつぶせになったポップが拳を握りしめて唸り、俺の周囲の床が輝き出す。

 

「ご、五芒星……?!」

「これこそ我が師アバンが得意とした伝説の呪文……!! 邪なる威力よ……退け……!!」

 

 床の光が盛り上がり、輝きと共に小さなドームを形成してゆく。

 

『うっ、うう……これ、は』

 

 今こそ原作の流れに合わせる時、俺は正気に戻ってゆくフリをしつつ周囲を見回し。

 

「……やったぜ!! これでメラ公は、っ」

 

 呟いたポップが脱力したように突っ伏し。

 

『ポップ、ありがとう。状況は、おおよそだけどわかる』

 

 ポップ自身には伝わらないだろうが、クロコダインには俺の言葉が伝わる。だからこそ礼を口にし、俺はクロコダインへと向き直った。時折魔王の意思に抗っているフリをしつつしゃべっていた俺には原作のブラスへしたようなポップからの説明は要らない、ただ。

 

「メラ公、わかってると思うけど、その魔法陣からは絶対に出ちゃだめだぞ!!」

『わかった』

「おのれッ!」

 

 俺への釘差しと、これに頷いた様子を見て、今まで抗う程度だった俺が明確な行動をしたことで何かあったことは理解したのか、クロコダインは振り上げた腕を俺に叩きつけようとし。

 

「こっ、これは……?!」

『ベ・ギ・ラ・マァッ!』

「ぐわああああッ!!」

 

 火花を弾けさせつつ結界に阻まれたところで、俺は練り上げていた魔法力をもって容赦なく閃熱呪文をぶちかました。

 

『手を出すなとは言われていたけど、こっちに危害を加えようとしたなら、話は別』

「ぐっ、うううっ……小僧ッ、貴様一体何をしたのだ……!!」

「破邪呪文……魔を拒む光の魔法陣をつくり出す呪文さ……」

 

 先生みたいに島ごととはいかねえけどあのぐらいのやつならおれにだってとポップは横たわったまま答え。

 

「バカめ! その代償に、己の力量もわきまえず大呪文を使ったおかげで起き上がることもできない程に消耗してしまったではないか……!!」

 

 カウンターで呪文を喰らったからか、原作の様にポップに走り寄って吊るしあげて問うことはなかったが、理解しかねるといった顔をクロコダインはする。

 

(原作のブラス一人と比べると取り返した戦力は大きいもんなぁ。いまさら俺を動けるようにしたところでなんになる、とはならなかったんだろうけど)

 

 取り戻した戦力も魔法陣から出られないのだ。一方で、クロコダインの斧は原作でポップのメラゾーマの直撃をも防ぐ真空の刃を巻き起こす力がある。

 

(あれって呪文扱いだから破邪呪文で防げる保証はない上に、メラゴーストって真空呪文が弱点の一つなんだよなぁ)

 

 現在は気づいてないかもしれないが、魔法陣から出なくても効果的にダメージを与えられるかもしれない手段がクロコダインにはあるわけだ。

 

「……し、心配ねえさ。ダイが……まだ……ダイが居る……!!」

 

 俺さえ無事ならダイが思う存分戦えるとポップは言い。

 

(あれ? 魔法陣から動けないと思われてるからって、俺は戦力外?)

 

 戦力としての言及がなかったことで驚く俺を他所にポップは続ける。

 

「てめえなんざ軽くやっつけてくれるさ。……あいつは……あいつは……本当に強いんだ」

 

 おれなんかとちがってなと締めくくったポップの言葉には結局人質としての俺しか出てこず。

 

「……貴様、ダイとそこのメラゴーストの為に生命をすてる覚悟だったのか……!?」

「へっ、そんなカッコイイもんじゃねえよ。おれだって、できたら死にたかねえぜ」

 

 ダイを一瞥して振り返ったクロコダインへポップは片目を閉じたまま言葉を返す。

 

(って、ダメだダメだ。呆然としてる場合じゃない)

 

 ダイのかわりにクロコダインへ勝つなら、ここからは俺が戦わないといけないのだ。さすがにポップとクロコダインの会話の最中に不意打ちなんかしては何のためにここまで傍観者ポジションだったのかってことになるから、攻撃をするつもりはないが、今の俺にもやれることはある。

 

「おれにだってプライドってもんがあるんだ。仲間を見捨てて、自分だけぬくぬくと生きるなんて……」

(そう、こうしてポップから飛んでくる言葉の刃にえぐられながら、耐え忍ぶ――じゃなくて!)

 

 原作なら、名シーンの筈なのだが、原作の流れに戻す為味方を見捨てた俺にポップの言葉が容赦なく突き刺さり。いたたまれなさのあまり、何とか誤魔化そうと胸中でノリツッコミしてしまう俺だが、為すべきは精神集中。

 

「死ぬよりカッコ悪ィやって……そう思っただけさ……」

 

 精神集中、精神集中。

 

「ううっ」

「えええ~いっ!! クロコダイン!!! なにをボ~ッとしとる?!」

 

 クロコダインが怯む声が聞こえ、悪魔の目玉ごしに喚き散らすザボエラの声まで、他者を非難してるのに心なしか俺まで非難されてるような気がして。

 

(って、気を散らしたらだめだ。ここからは俺のターンなんだ!)

 

 俺は胸中で頭を振るのだった。

 




次回、十四話「来るか、俺の出番」に続くメラ。
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