ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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前倒し投稿。


番外4「???(???視点)」

『はぁ……』

 

 憂鬱げに嘆息し、俺ことC6は遠くなった視線を空に投げる。たぶん同じ空の下、別の俺も似たようなことをしているのではないだろうか。その原因については、少し前のことになる。

 

◇◆◇

 

「クククッ……!! おまえらがこの辺りで噂になってるってメラゴーストどもか」

 

 それはある日のこと。俺達の前に突然半分炎で半分氷などこかで見た奴が現れた。

 

(いや、アバンが居た時点でダイの大冒険の世界だってことは解かってたから、そう言う意味ではこいつも存在はするんだろうけれども)

 

 氷炎将軍フレイザード、この世界での敵方、魔王軍に居る幹部の一人だった筈だ。何故こんなところにという疑問を覚えた俺だったが、他の俺も元は俺と同じオリジナルから分裂した存在、考えることは一緒だったようでちらりと周囲を窺うとまるでシンクロしてるかの様に周りの俺も周囲の様子を窺っている。

 

「何、難しい話じゃねぇ。このオレの部下になれってだけのことだ」

 

 俺達の様子から、いやそもそも問いかけだけで要件を全く口にしていなかったからか、フレイザードが切り出した時、俺は思わず心の中でつぶやいた。

 

『どうしてこうなった』

 

 と。普通に考えればメラゴーストなんて雑魚中の雑魚モンスター、魔王軍の幹部が直々に足を運んでスカウトする必要性など皆無な筈なのだ。

 

(魔王軍のスカウトなんて来るとしても配下のモンスターがせいぜいだと思ってたのになぁ)

 

 噂がどうのについては、何だそれはと思うことはない。あの日オリジナルと別れた俺達はどうすれば魔王の意思の影響から免れられるかを考え、ふと思い出したのだ、原作にも魔王の意思の影響を受けないモンスターが存在したことを。

 

◇◆◇

 

『チウだったっけ? あのネズミのモンスター。あれも魔物としての格はかなり下だったよな』

『ああ。しかもそんなに強くもなかった筈』

 

 にもかかわらず魔王の意思の影響を受けてなかったことを鑑み、俺達は理由になりそうなモノを考え。

 

『「アバンの仲間だった武闘家に師事する」か』

 

 たぶんこれではないかと言う理由を推測はしたが、問題は俺達が今どこに居るかが解からないのだ。

 

『武闘家の居場所は原作知識でおおよそではあるものの知っているんだけどな』

『分裂で数を増やしてしらみつぶしに探すとかは悪手だし』

 

 メラゴーストの超大量発生なんてことになったら、周辺の人間だって脅威に思って放っておかないだろう。

 

『となると、あとは「魔王の意思を跳ね除けるぐらい強くなる」ぐらいしか思いつかないな』

『そうなるな』

 

 仮に魔王の意思の影響を受けてしまうとしても、弱いままでは凶暴化して何かに襲いかかったところで返り討ちで終了だ。弱者として他者に怯え続けるままと言う立ち位置もよろしくないと思った俺達は決断した、強くなろうと。

 

『幸いにも俺達には分裂能力があるし、物理攻撃も一定確率とはいえ躱す回避能力もある』

 

 後は数の優位を生かせば、メラの呪文に耐性でも持っていない限り些少の格上でも倒すことは可能。

 

「ブモーッ!」

『『ッ』』

 

 そんなことを話し合っていた折、鳥と牛を混ぜ合わせたようなモンスターが突然襲いかかってきて、俺達は慌てて迎撃することとなった。もっとも、こちらには数が居る、件のモンスターはあっさり倒せたし。

 

『急に襲いかかってくるなんて危険だし、まずこいつらから狩ろう』

 

 全俺が同意するのに時間は不要だった。みんな俺なのだから。

 

『ただ、当然だけど人間は襲わない。見たら逃げる方針で』

『妥当だな。心情的にもだけど、人間の強さはモンスターと違ってピンキリだし』

 

 モンスターならある程度こいつは天敵だというのが見た目でわかるが、相手が人間となるとそうはいかない。

 

『そも、人は魔王が倒されてまとめ役の存在しない今のモンスター側と違って、国家があって集団だもんな』

 

 討伐体が編成されて数をもって攻められると、数の優位が無ければ物理と一部の呪文耐性を除けばただの雑魚である俺達に勝ち目は殆どないと見てよい。

 

◇◆◇

 

(しかし、何やってるんだA1は)

 

 過去から現実へと意識の戻ってきた俺はボソッと胸中で零す。圧倒的強者のスカウトを蹴られる筈もなくフレイザードの部下として氷炎魔団入りすることになった俺達だが、魔王軍入りしたことでオリジナルと思しきメラゴーストの情報を得ていた。

 

(アバンと行動を共にしていたってあるし、間違いなくオリジナルだろうけれど)

 

 ハドラーに重傷を負わせたと聞いて、魔王軍に入った俺達は総じて何やってるんだと心の中でツッコんだものだ。

 

(俺達はまだマシな方、かな)

 

 ちなみにスカウトに来たのはフレイザードだけではなく、俺達とは別行動していた別の俺達の元には不死騎士団長が現れたそうだ。結果として不死騎士団に入ることになった俺達は今頃頭を抱えていることだろう。原作通りの流れなら、ダイやオリジナルとぶつかるのはあちらが先なのだから。

 

(まあ、こっちはこっちで気が進まないお仕事が待ってるんだけど)

 

 原作とはあちこち乖離し始めてるが、それでも氷炎魔団に配属された以上、俺の任務はおそらく北方の国オーザム攻略の戦力だろう。原作で氷炎魔団に襲われたオーザムは壊滅、フレイザードが生き残りどころか人の痕跡まで焼き尽くせと命令を出していたので、生存者は居なかったと思われる。

 

(原作の流れを遵守するなら、その命令を俺も受けることになる訳で)

 

 俺達は加入の時に軍団長に一度だけモノ申す権利をくれと条件を出していた。ダメもとでもあったそれがすんなり認められたのは、今になって思うと俺達をフレイザードが不死騎士団長と奪い合う形でスカウトしていたからだと思う。

 

(そう言えばフレイザードがやって来たことでパニックになって気づいたの少し後だったけど、魔王の意思の影響受けなかったんだよな、俺達)

 

 スカウトが来た時点で跳ねのけられる程度に強くなっていたからという可能性もあるが、それはそれ。

 

(ともあれ、オリジナルはやらかしてるんだし、こっちも多少はやりたいようにやらせてもらおう。魔王軍のしかも氷炎魔団に所属する形になったのも、ある意味運命みたいなモノかもしれないのだし)

 

 もはや賽は投げられているのだ。割り切ることにした俺は、今後の行動方針について考え始めた。

 




と言う訳で、分裂した他のメラゴーストたちの現状、でした。

群れを作ってレベリングしてたら、噂になって、それを聞きつけた魔王軍がスカウトに来たと流れですね。
ハドラーにメラゴーストが深手を負わせたなんて情報を軍団長二人が得て居なかったら、こうはならなかったかも。

次回、最終話「原作にない一幕」に続くメラ。

いよいよ二巻編も終わり、かな?

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おまけと言う名の没展開

『なんか静かだな。森の中にはモンスターもいないしあの時とはえらい違いだ』
『ああ。ここに居たモンスターは軒並み狩ってしまったのかもな』
『まぁ、そんなのもう関係ないけどな』
『上機嫌だな』
『そりゃそうだ。みんな強くなったし、C6も頑張ってたし、俺も頑張らないと』
『ああ。(そうだ。俺達がやって来たレベリングは全部無駄じゃなかった。これからも俺達が立ち止まらないかぎり活路は開く)』

「クククッ……!! おまえらがこの辺りで噂になってるってメラゴーストどもか」

(何しに来てんだよ、氷炎魔団長ぉッ!)

【没理由:他作品パロ】
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