ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
「マァム、こっちがメラゴースト君。ポップはメラ公って呼んでるけど……」
クロコダインを倒し、魔王軍を退けた祝勝会的な式典も終わって、原作ならもうやることの残ってなかった俺を待っていたのは、新たな加入メンバーであるマァムとの顔合わせだった。
「メラゴースト君に、メラ……公? ダイ、このメラゴーストに名前はないの?」
「ああ、それは――」
紹介のされ方を鑑みればもっともな疑問を口にしたマァムに、ダイは俺がダイへと伝えたことをそのまま説明する。つまり、分裂できるから下手に名前を呼ぶようにするとメンドクサイことになるという理由を。
『そう言う訳だから好きに呼んでもらってる。分裂した俺達の中では、「A1」って呼ばれてるから、揺るがない呼称って言うとそれになるけど』
ダイを解さなければいけないが、俺はそう補足し。
「そう、だったら私はA1さんって呼ばせてもらうわね?」
納得した様子で言うマァムに俺は呼び捨てでいいと言おうとして、あっと声を上げた。
「どうしたの、メラゴースト君?」
『いや、何でもないというよりやって見せた方が早い。……モシャス!』
訝しむダイにヒラヒラ腕を振ってから俺は変身呪文を唱え。
「「え」」
「ほら、こうして人に変身すれば通訳は要らないって気付いたんだ」
目を見張るダイたちの前で、俺はクロコダインとの戦いの時居合わせた兵士の一人の姿で明かした。
「そう言えばブラスじいちゃんの姿の時のメラゴースト君って普通に話してたっけ」
「うん。だから、誰かに変身すればこっちの言ってることも伝わるって気付いて。それと、この兵士の人の格好を選んだのも、さっき最後にすれ違って一番格好が頭に残ってたからで、深い意味はないよ。師匠に変身するのもアレだし、ここにいる誰かに変身するのもただ混乱を招きそうだったから」
逆に魔王軍を混乱させる目的でモシャスを使うのはアリかもしれないが、俺がモシャスの呪文を使えるのは悪魔の目玉を通してザボエラに知られてしまっている。故に大した効果は期待できないかもしれない。
「と、話が脱線した。話を戻して、A1さんって呼ぶっていうことだったけど、これから行動を供にするんだろうし、呼び捨てで構わない。それと一応あらかじめ言っておくけど、俺も男だから」
ないとは思うが同性と勘違いされて二人きりの時に無防備に着替えとかされてあとあと問題になるとあれなので、先に言明しておく。
(時折やらかすもんな、俺)
失敗回避のための予防線は張っておいてしかるべきだろう。
「そう、わかったわ、A1。これからよろしくね?」
「うん、よろしく」
こうして俺とマァムの顔合わせは割と何事もなく終わり。
「話は変わるけど、次の目的地はパプニカでいいんだっけ?」
瞬間移動呪文の使い手であるからこそ、俺はダイを始めとした他のメンバーへと確認する。
「オレは構わねえけど……ダイ、いいのか? メラ公の移動呪文ならデルムリン島にも寄れるはずだぜ?」
「っ、い、いいよ。……ありがとうポップ。けど、じいちゃんたちの顔を見ると出発が辛くなりそうだから……」
「……そっか。なら――」
礼に続いて理由を話すダイに得心がいったか、ポップはマァムを振り返り。
「……私もいいわ。村のみんなへの挨拶は二人を追いかけて村を出てくる時にしてきたから……」
どうやら心残りらしいものはマァムもないらしかった。
「じゃ、大丈夫かな? デルムリン島にはここの王様も兵士を派遣してくれるって話だったし」
俺も分裂した俺を一人、島には残してきているがザボエラはそれを知らない筈だし、ブラスを攫うのは一度失敗してるのだ。失敗したことを再度試みることは、たぶんないだろう。
「けど、パプニカか……前に行ったときは殆ど見て回れなかったけど」
「メラ公はでっけえカンテラの中だったもんな」
「うん」
ポップの言葉に頷きつつも考えるのはパプニカ国土の景色ではなく、原作知識由来のパプニカでの戦いについて。
(ハドラーとクロコダイン、ザボエラはともかく、他の軍団長とは接点ない訳だし)
かの地では師匠とポップに同行しただけで原作を乖離するようなことは何もしていなかった筈だ。分裂したのだって海を渡る前だったのだから。
(テランとベンガーナに向かうのは結構先の筈だしな)
今考えるべきは、パプニカに侵攻してるはずの不死騎士団とその軍団長にしてアバンの弟子でもあったヒュンケルとの戦いのことのみ。
(時間がある今の内にどう立ち回るか考えないとな)
そう毎回毎回やらかすわけにもいかない。俺はポップの誤解は正さず、これからの戦いへと思考を傾けるのだった。
次回、エピローグ「???(???視点)」に続くメラ?
サブタイトル伏せてるんで、もう内容はお察しかもしれない。