ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
『軍団長の父君は言ったそうだ。「たとえ敵でも女は殺すな、武人として最低の礼儀だ」と』
ガシャガシャ音を立ててついて来る人骨の剣士達へ俺は感じ入ったと続ける。
『我らは不死騎団。つまり誇りある騎士の集団だ。女子供、弱者は殺すな! 我らが誇り高き武人の集団であると示すのだ!!』
不死騎団長のヒュンケルから授けられ、今率いている部隊へと俺はそう命じた。他の俺も今頃同じように配下になったアンデッドモンスターに指示を出してるはずだ。
(原作だとヒュンケルが人間を滅ぼそうとしたのって勘違いの結果だったからな)
誤解を知り、魔王軍を離れた時には既に大勢の人間を手にかけていた。出来ればヒュンケルの誤解を解いて犠牲者が出る前に魔王軍から離反させたかったが、説得がうまく行く保証がない上に、ここでヒュンケルが抜けても魔王軍は軍団長を挿げ替えるだけだろう。
(となると、俺達にできるのは理屈をこねくり回してこの国の人死にを出来るだけ減らすぐらいだから)
原作で師匠のアバンを敵と狙ったのも人間を滅ぼそうとしたのも父親への深い情愛が原因だ。なら、その父親が口にした言葉を持ちだせば、ヒュンケルも文句はつけられないだろうと考えた俺達だったが、これは正解だった。
(不死騎団に自己判断を下せるモンスターがほとんどいなかったのも幸いしたよな)
おかげで俺達はモンスターを率いる部隊長のポジションにつけられ、命令権をもって女子供への被害をほぼゼロにしている。
(俺の言葉が人に理解されないって問題もあったけど、それも何とかなったしな)
振り返れば骸骨剣士の一人が持つのは、俺の言葉を木の板に焼きつけることで文字として書き記したモノ。こうして看板を持たせ、戦いで捕虜になった騎士などが出た場合には武装解除した上、看板を読ませてから解放するなどしてこちらの言葉を持ち帰らせた。
(とりあえず、原作より被害は減らせてる、筈)
原作に悪い影響は与えず、それでもより良い方向に動いてくれることを願いつつ俺は襲撃する村の中を進み。
『うん?』
聞こえてきた泣き声に足を止める。それはどう聞いても赤ん坊のものの様であり。
『いいか、女子供は殺すなよ。そこのお前だけついて来い』
配下のモンスターの殆どにくぎを刺しつつ、一人だけ供に連れて声の方に進めば、物陰に白いおくるみが見えた。
『俺は軍団長の父君じゃないんだが』
なぜこうもピンポイントに重なるような状況がやってくるのか。思わず空を仰ぎ。
『その赤ん坊を持ちあげろ。いいか、きずつけないようそっと、な』
自分の腕では包む布に引火してしまうが故に骸骨の剣士に指示を出すと密かに嘆息する。
(まさか、メラゴーストの身体で子もちになる日が来るとは)
連れ帰ったとして、自身の生い立ちを考えれば、赤ん坊の時モンスターに拾われて育ったヒュンケルは育てることに否とは言わないだろう。
『しかし、赤ん坊と言うことは乳がいるな』
原作ではその辺りどうしていたのか疑問に思うが、ヒュンケルの拾われた頃の魔王軍はアンデッドモンスターのみでの編成ではなかったし、生物系の女性と言うか雌のモンスターから母乳が調達できたのかもしれない。
(同じことはこの不死騎士団じゃ無理だろうし。となると、ここかどこかの村で家畜を調達してくるとかだな)
俺は決断すると他のモンスターの元に戻り、部下の一体を他の自分達への伝令に差し向けた。赤ん坊を育てるなら、ミルクの確保は最優先だ。
『他の村を襲ってる隊が乳牛を手に入れてくれれば、ここに居なくてもなんとかなるかもしれんしな』
帰還すれば他の俺から冷やかされるだろうなとは思いつつ、ちらりと赤ん坊を抱えた人骨の剣士を見る。
「あうー、きゃっきゃ」
誰かに抱えられたという状況に安心したのか赤ん坊の笑い声を聞きつつ。
『そう言えば、名前どうするよ』
別の問題で頭を悩ませることとなるのだった。
と言う訳で、パプニカの現在でした。
不死騎団入りしたメラゴースト君達、やりたい放題ですよね。(白目)
これにて二巻編は終了、次からは三巻編が始まります、たぶん。