ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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あれ?(日間ランキング四度見)

とりあえず前倒し投稿。


第三巻編
プロローグ「北方の国オーザム(第三者視点)」


「クワーッハッハッハッ……!! もろい……もろすぎるぜ……!!」

 

 氷と炎、左右で二色に別れた氷炎魔団の長は二人の騎士の屍を足元に哄笑を上げ、なんで人間ってやつぁこんな弱っちい身体をしてやがんだと疑問を口にするが、答えなど期待していないのだろう。喉の奥でクククと含み笑いを漏らし。

 

「いただきだな、この国も。最強の騎士とやらがこの程度の強さじゃあな……まして」

 

 上機嫌な様子で氷炎魔団長フレイザードは後方をかえりみる。そこに佇んでいたのは、先日失態を冒した同僚の代わりに消し飛ばされた炎の魔物とは別に自ずから勧誘して麾下に加えた人魂のモンスターの一体がオレンジの身体を揺らす様に佇んでいた。

 

「おまえらのような良い拾いモンも居る」

『では――』

「ああ」

 

 皆まで言わせず、フレイザードは拾いモンと称したモンスターであるメラゴーストの言葉に頷いた。

 

「人間ってやつぁ本当に面倒だな。もろい上に強さに関係なく飯ってモンまで必要なんだからよ」

 

 フレイザードが思い出すのは、この国を攻めるにあたって後方に控えているのと同じ群れから配下に加えたメラゴーストの具申してきた内容だった。

 

『軍団長閣下、人と言うモノは強さに関係なく生きるのには食料を必要とします。例えば俺達の様な最弱の部類の魔物にすら抗えないモノであっても――』

 

 ならばただ殺すより利用方法がございますと続けたそのメラゴーストが提示したのは、非戦闘員を敢えて殺さず国外に追い出し、難民として周辺国へ押し付けるというモノ。

 

『周辺国を攻める他の軍団長閣下への貸しが作れますし、わが軍があちこちに侵攻し、野生の魔物も凶暴化している今、非戦闘員のみで隣国に逃れるのは困難。他国に逃れようとする者が居るのであれば、護衛の戦力が必要となります』

 

 結果、国防に割ける戦闘力が少なくなり、オーザムの攻略も容易になる。そうメラゴーストは主張し、フレイザードはその言い分にも一理あるとして、方針の変更を認めた。

 

「最強があんだけ弱っちぃなら、どっちにしたってたいしてかわりゃしねぇ。加えて他所に恩が売れるってんならなァ」

 

 そちらの方が有益だと算盤を弾いて氷炎魔団長は笑む。先日処分した道具と比べて新たな道具は戦闘力こそ劣るが、知恵はまわり、自身とは違う着眼点と自分にない知識を持つ。

 

「クククッ、本当にいい拾いモンだったぜ」

 

 上機嫌なフレイザードは知らない。そのメラゴーストの弱者を活かして使う策とやらが、その実、オーザムの国民を出来るだけ殺さずに済ませるためにしたものであったということも、作戦具申するにあたってメラゴーストが参謀っぽいキャラを作っていたことも。表向き平然として控えるメラゴーストが原作知識によりこの後の展開をすでに予期していたことも。

 

「フレイザードさま~っ!」

「……ん!?」

 

 遠くからの呼び声に氷炎魔団長が振り返り、原作通りの知らせを受け取るのは、すぐ後のこと。

 

「全員集結だとぉ?! いったい何事だ!?」

 

 本拠地である鬼岩城へ集結しろと言う知らせにフレイザードは理由を問うも、控えたメラゴーストは平然としていた。既に内容が解かっているのだから、これは仕方のないことだったかもしれないが、余裕を見せて居られたのは、ここまでだった。

 

「なんでも新たな勇者の少年が誕生し、その仲間のメラゴーストがクロコダインさまを討ったとか……」

『えっ』

 

 思わず声を漏らしてしまったとしても、きっと仕方のないことだった。控えていたメラゴーストからすれば青天の霹靂であったし。加えて知らせを持ってきたモンスターへ向き直っていたフレイザードが急に自身を見たのだ、しかも凝視。やったのが自分で無いとはわかっていても、生きた心地はしなかったであろう。同時に何やってんだオリジナルと胸中で自分達の分裂元に罵声を浴びせてもいただろうが。

 

「……つまり、非常事態って訳だな」

 

 メラゴーストからすればかなり長く、実際にはそれほど長くない沈黙を挟んで結論を出すと、フレイザードはわかったと情報を持ってきたモンスターへ答え。

 

「オレは鬼岩城へと向かう。おまえらはこいつらに従ってこの国の後始末をしておけ!」

「はっ!!」

 

 未だに硬直したメラゴーストを示し命じれば、知らせを持ってきたモンスター達は即座に応じ。更に細かい指示をせずそのまま氷炎魔団長が発ったのは、配下にしたメラゴーストのことをある程度買っていたからであろう。

 

『……では、始めましょうか』

 

 メラゴーストが口を開いたのは、フレイザードが完全に見えなくなった後のこと。

 

『閣下に提案した通り、非戦闘員は近隣の国へ追い立てます。加えて、オーザムの王族は利用価値があるかもしれませんので活かして確保。引き返して来ない限り、人間どもの殲滅は必要ありません。王族を確保しておけば、それを盾に引かせることができるかもしれませんし』

 

 迅速な制圧を第一としますと続けたメラゴーストは、指示を聞き終えたモンスターたちが去るのを見計らい、智者のフリは疲れると密かに嘆息し。フレイザードの居た方を一瞥してから、去っていったモンスターたちを追うのだった。

 




氷炎魔団所属のメラゴースト、オリジナルの更なるやらかしを知るの回

次回、一話「再びパプニカの地へ」に続くメラ。
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