ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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一話「再びパプニカの地へ」

『立ち寄りたいところもないみたいだから、これから俺の瞬間移動呪文でパプニカに向かう訳だけど――』

 

 ルーラの呪文を使うべくモシャスを解いたせいでまたダイ以外に言葉が通じなくなってしまった俺だが、済んでのところで思い出したことがあって、一つの提案をすることにした。

 

「『だけど』何なの、メラゴースト君?」

『あ、移動呪文で瞬時に現地につけるのはいいけど、よくよく考えるとあちらの詳細情報とか俺達は持ってないなって、今気づいたってのが一つ。パプニカにも魔王軍の魔の手が迫ってるとは容易に想像がつくけど、今その国はどうなってるのか、差し向けられてる魔王軍はどんな奴らなのかとか。ここで聞けるなら聞いていった方が良いかなってさ』

 

 原作だと船で向かう途中にその辺の説明があったようなのを俺は今思い出したのだ。

 

(原作なら読者のための説明でもあったんだろうけど、俺が呪文で船での移動部分をすっ飛ばすと、ダイたちは事前情報抜きでパプニカに降り立つことになる)

 

 これは拙い。うろ覚えだが原作知識のある俺は大丈夫だが、情報の出所が説明できない以上、出発前に埋め合わせておく必要があるのだが。

 

「言われてみりゃもっともだけどよ、おまえ本当にメラ公か?」

 

 ダイと言う通訳を介して俺の提案を聞いたポップは腕を組んだまま、訝し気にこちらを見る。

 

『え』

「おれの知ってるメラ公はここぞって時にやらかすメラゴーストだった筈だ! こう、現地に飛んでから『しまった、情報がなかった』ってオロオロするような、な?」

『ちょっ、確かに今までいろいろやらかしてはいるけど、その認識はさすがに酷くない?!』

 

 まぁ、実際にあと少し気づくのが遅れたらその通りになっていた訳だけれども。

 

「ポップ……」

 

 微妙そうな表情をしつつもダイは俺の言葉を翻訳してくれて。

 

『まぁ、俺も今問題に気が付いたから提案したんだし、そうなってた可能性もあったかもしれないけど』

 

 しぶしぶ認めると、通訳を挟んでからポップは得意そうな顔をして、名を呼ぶマァムから非難の目を向けられていた。マァムは顔通しから時間があまりたってないし、ポップの言いようはあんまりじゃないのと思ってくれたのかもしれないが。

 

(やらかしてきたのは事実だしな)

 

 思わず視線が遠くなってしまうが、ここは現実逃避をしてる場合じゃない。

 

『そしてもう一つ。俺はモンスターだから、先の師匠やポップとの来訪の時にはパプニカの町中を歩かせては貰えなかった』

 

 故にルーラで飛べるのは、町や村の入り口の手前だとかそう言う場所になってしまうのだ。

 

(って、ことは船で来ると思ってる不死騎士団の団長とか港で待ちぼうけをくうんじゃ?)

 

 俺が瞬間移動呪文を使ったのは、マァムの故郷からデルムリン島へ緊急脱出した時の一度だけ。ダイ達とは別行動だったし、魔王軍の監視がダイ達にのみ向いていた場合、魔王軍には俺がルーラの使い手であることが知られていないってことは十分考えられる。

 

「腕を組み海を眺めつつ来ないダイたちを延々待ち続ける不死騎団長の図」

 

 なんてモノが脳裏に浮かびあがる。

 

(シュールッ! と言うか、これも原作ブレイクだな、うん)

 

 もっとも、現地のどこかで魔王軍と接触すればそれが伝わって不死騎団長は出張ってくると思うので、せいぜい待ちぼうけを食わされたことでちょっとイラッとしてるのと戦場が変わるぐらいの変化に収まるだろう。

 

(クロコダインは倒したのが俺なのと受けた傷のことを除けば、結末もほぼ変わらなかったし)

 

 原作への乖離が致命的なことになるとは思えない。

 

『ともかく、そう言う訳だから誰か詳しい人にパプニカの現状について聞いて、魔王軍との戦いがまだ始まってない地域とかがあるなら、そっちにまず飛んで、パプニカの詳細な情報を得てから動いても遅くはないんじゃないかな?』

 

 移動に時間をかけないルーラがあるからこそとれる手を俺はダイ達に提示する。もっとも、原作の知識で、パプニカは最大の激戦区になっていたことを俺は知っている。だから、パプニカの情報を求めていった先で聞いた話は、予想通りのモノ。

 

「……なんか……まずいんスか?」

 

 情報提供者として尋ねたロモスのお城に務めている文官は険しい顔でポップの問いに頷くと、パプニカが激戦地になっていることを明かしたのだ。

 

「そ、それじゃ、戦火の及んでいない場所、とかは?」

「ない、かもしれない。と言うよりも、激戦地だからね。こちらにも情報が入ってきていないんだ」

「そんな……」

 

 頭を振る文官にマァムが言葉を失い。結局のところ分かったのは、パプニカを襲っているのが不死身の軍隊であることだとか、パプニカのあるホルキア大陸は十五年前に魔王軍、つまりハドラーの拠点であったとかぐらい。

 

「しかし、何故パプニカに行くんだい?」

「それは」

「へっへっへ……! そりゃあなんたってあこがれのお姫様に会うためよ」

 

 説明しようとするダイに被せる形で答えたポップが揶揄うような目をダイに向け、同意を求め。じゃれ合いに発展する中、ダイとパプニカのお姫様が友人であるということをマァムが知ることになる訳だが。

 

「『ルーラで飛べる場所の大半がホルキア大陸内であるから』って説明するのにずいぶん時間がかかっちゃったじゃないか」

 

 ダイが不満気な顔でポップにジト目を送ることになったのも、まぁ仕方ないと思う。

 

『とりあえず、情報収集も終わったし、そろそろパプニカに向かおうと思うけど』 

 

 どこに飛ぶかと聞いて、ダイが希望したのは、パプニカの城下町の入り口から更に少し外だった。つまり、パプニカに向かった俺が入っていた巨大カンテラに覆いがかけられた場所で、ルーラでいける場所の中では、パプニカのお城に最も近いところとなる。

 

(パプニカの城下町の宿屋は屋内の上に今も残ってるか不明だしな。けど、結局城下町の外れとなれば、飛んでしばらくした段階で敵の軍団長と顔を合わせるのは必至か)

 

 気になるのは、一応アバンの使徒ってことになってるメラゴーストの俺を見た相手の反応だが。

 

(ハドラーと戦ってあちらに情報は伝わってるだろうし、今更か) 

 

 そも、ここまで来てルーラでダイたちを送り届けた後俺だけデルムリン島に引っ込んだりできるはずもない。

 

『それじゃ、そろそろ行くよ。心の準備はいい?』

 

 半ばなるようになぁれと言う投げやりな気持ちで聞き、頷く三人を確認した俺は移動呪文を唱えたのだった。

 




ヒュンケルの放置プレ、もとい待ちぼうけは何とか防がれそうな模様。

次回、二話「エンカウント」に続くメラ。
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