ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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四話「俺には謎でもない剛剣士」

「……間違いない」

 

 先ほどの斬撃を思い返していたのだろう。背中しか見えないダイがあの技は先生の技だよと口にし。

 

「じゃあ、あの人もアバンの使徒……私たちの仲間なのね……!」

「……そ、そうかぁ? なんとなく悪党っぽい面してるぜ……」

 

 すんなり受け入れた様子のマァムとは違いポップは声の調子からしてもどうにも納得のいかないような感じで。

 

「……人の事どーにか言える顔じゃないでしょあんたも……!!」

「なっ……なにをっ……!!」

 

 そんなポップの様子にマァムが発した言葉でムッとしたポップが振り返る。

 

「おい、メラ公! あいつに――」

 

 おそらく俺に助勢を求めようとしたんだろう。だが、俺が居ると思った場所には誰も居らず。

 

「って、メラ公が居ねぇ?!」

「えっ?!」

「ええっ?!」

 

 パプニカのお城が廃墟になっていた衝撃と、骨の剣士達の襲撃、それを消し飛ばした自身が学んだのと同じ流派の斬撃。これだけ色々あれば、俺が居ないことに気が付かなかったとしても無理はない。

 

「少し距離があったからな。追いかけてくる途中でへばったのかもな」

「それなら、ここで待ってれば追い付いて来ると思うけれど」

 

 ダイ達は知っているのだ城下町にもモンスターが潜んでいたことを。

 

(これはちょっとまずいか?)

 

 このままダイ達が俺を探して引き返してしまうと、原作と流れが変わってしまう。かと言って姿を見せるわけにもゆかない。

 

(いや)

 

 迷ったのは、一瞬。このまま様子を見ようと結論付けさせたのは、視界の中で一人の人物が動いたからだ。

 

「どうすんだ? 引き返」

 

 動揺しつつ問うポップの言葉が終わるより早く、先ほど斬撃を放った銀髪の人物がお城の元は二階だったであろう部分から飛び降りる。

 

「メラゴースト君のことはおれも気になるけど、あの人に助けてくれたお礼だけでも言わなきゃ」

 

 辛うじて聞き取れたダイの意見は相手が不死騎士団長で、モンスターの襲撃を含めて自作自演と知らなければ至極もっともなものだった。詳細を知らず言葉が通じて、俺もあちらに居たら礼ぐらいは言っただろう。

 

(俺の場合なら、仲間を探すのを手伝ってもらえるかもって打算もしたかもしれないけれど)

 

 ともあれ、これで流れは原作側へと戻ると思う。

 

(とはいうものの、予断は許さないけど)

 

 クロコダインが来るかもわかって居ない以上、俺はこのままダイ達が負け、マァムを残してダイとポップが逃げ伸びるまでここを動くことは出来ないのだ。

 

「助けてくれてどうもありがとう! あなたも……あなたもアバン先生の弟子なんですか!?」

 

 だから俺にできたのは、俺だけが敵と知る銀髪の人物に駆け寄ったダイがお礼を口にし、続けて尋ねるのを傍観することぐらい。

 

「……おまえたちは……?!」

 

 問い返した銀髪の人物はダイが何かごそごそとやると、そうかとだけ呟く。おそらく、ダイの取り出したアバンのしるしを見たんだろうが、ダイ達からそれなりに後方の物陰に潜んでる俺には、三人については殆ど背中しか見えない。

 

(それでも原作知識である程度は補完できるんだけど)

 

 だから、些少会話を聞き逃したって、何を言っているかは予想がつくのだ。

 

「確かにオレはアバンから剣を教わった……」

 

 原作の通りアバンの弟子であること、その最初の一人であることを明かしつつ銀髪の人物は剣をやたらゴツい鞘に納め。一番弟子であることにダイが驚き、マァムがすごいと声を漏らす中、ポップだけがただ無言だった。

 

(原作の通りなら、ゴツイ鞘を見て本当に味方なのかって疑いの念を強めるんだっけ)

 

 ただ。

 

「おい、ダイ! 挨拶が済んだなら行こうぜ」

 

 ここからが原作とは違っていた。

 

「メラ公を探さねぇと」

「あ」

 

 ポップの言葉ではぐれた俺のことを思い出したのだろう。

 

「メラ公?」

「あ、えっと……メラ公、おれはメラゴースト君って呼んでるんですけど、メラゴースト君はモンスター何ですけど、アバン先生の弟子の一人で」

 

 訝しんだところダイが説明を始めれば、説明の途中で銀髪の人物の動きが一度止まり。

 

「どうしたんですか?」

「いや」

 

 口ではそう言いつつも遠巻きに見ている俺でもその動きが解かったのだ。何でもないと言う様に頭は振ったがそんな筈はないと思う。

 

(メラゴーストってことはアンデッドモンスターだもんなぁ)

 

 ひょっとしたら育ての父のことでも思い出したのか、それとも配下にいるであろう別の俺のことを考えたのだろうか。

 

「それで、少し前まで一緒だったんですけど、麓の町からこの丘を登ってここに来るまでにはぐれてしまったみたいで」

 

 ダイは急いで探しに行かないといけない旨を伝え。

 

「けど、この国は……いったいどうしたの……?!」

 

 見渡す限りの廃墟に加え、ダイがこの国の姫君の安否を気にしているからだろう。原作とはタイミングがずれたが、マァムがここで銀髪の人物に尋ね。

 

「魔王軍の不死騎士団による侵攻を受けて居る。まだ抗戦している地域もあるようだが」

(え゛)

 

 返ってきた答えに俺は固まった。原作では二日前に滅ぼされたと語っていたのだ。なんで、どうしてと疑問が頭を回り。ふと浮かんだのは瞬間移動呪文。

 

(しまったーっ! 原作より早く着いたせいでパプニカが滅びきってねええええええっ!!)

 

 やらかした。移動呪文で飛んできたが故に原作より一日か二日早くパプニカについてしまっていたのだ。これでは原作通りにクロコダインが復活、魔王軍を離反して助けに来ようとしたとしても、到着は明日か明後日。身体を張って敗北したダイを逃がす者も、ダイ達を離脱させる者もいない。

 

(どうする? こっそり分裂してモシャスでクロコダインと鳥の魔物を分担する? いや、鳥の魔物はともかく、クロコダインは無理だ)

 

 盾になって攻撃を受けたところでモシャスが解けてバレるし、そも不死騎士団長の攻撃を俺が喰らって耐えられるとは思えない。俺はトンデモナイ難題に直面して物陰で頭を抱えたのだった。

 




本作最大のやらかし、それはルーラッ。

次回、五話「やっぱ無理ゲーじゃね」に続くメラ。
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