ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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九話「捕虜と俺と」

「なっ?! 百獣魔団長クロコダイン……だと!?」

 

 他に選択肢がなかったとはいえ、目的地の選択を誤った感がぬぐえないのは、視界の中で驚きの声を上げるロモスの騎士が居たからだろうか。

 

(俺に散々やらかすとか何とか言ったけど、さ)

 

 マヒして動けなくなったヒュンケルとマァムを突き飛ばした骨の剣士と共に瞬間移動呪文でデルムリン島に連れてこられた俺は、どうするんだよこれとばかりにアバンのしるしを首から下げたメラゴーストを見た。ロモスからダイの育ての親であるブラスを守るため人員が派遣されてたことを忘れてたのだろうか。

 

(クロコダインってそのロモスを襲った張本人じゃん)

 

 ロモスの騎士がクロコダインの格好をした今の俺を見たらどういう行動に出るかなんて考えるまでもない。

 

「おのれ! 一度やられておきながらッ! 今度は」

『待って!』

 

 ブラスが狙いか、とでも言おうとしたのだろう。騎士が俺に槍を向けようとしてメラゴーストの姿の俺が止めようとするが、メラゴーストのままでは言葉が通じず。

 

「なんじゃ、いったい」

「いけません!! お逃げください!!」

 

 騒ぎを聞きつけて一人のきめんどうしがやって来てくれなければ、このややこしい事態の収拾は更に先になったことだろう。

 

『……と言う訳で、幸運にも敵の軍団長を捕らえることには成功したのですが、ダイ達は怪我をしていたので先に逃がし、俺達はモシャスの呪文が解けても魔王の意思の影響を受けないこの島で体勢を整えようと移動呪文で飛んできた訳です』

「そ、それで、ダイは? ダイやポップ君達は」

『二人は無事です。モシャスで変身した俺の一人がついてますし、一番の脅威になる筈の敵の軍団長がここですから。ただ――』

 

 メラゴースト姿の俺は一緒に離脱する筈だったマァムが敵の手に落ちてしまったこと、離脱際に敵が軍団長の身の上とマァムを交換すると叫んだ事までブラスに伝え。

 

『マァムを取り返すためにも、まずこの敵の軍団長を身体の痺れが消える前に武装解除し、抵抗できない様縛り上げておく必要があります』

「そ、そうじゃな。聞いてくだされ、実は――」

 

 ブラスがロモスの騎士に通訳して事情を話す間、俺はヒュンケルと人骨の剣士を見張っていた。ヒュンケルは動けない筈だが、油断は禁物であるし、骨の剣士はなぜか動かないが突然動き出してヒュンケルを奪還しようとする恐れもある。

 

「なる程、そういうことでしたか」

 

 俺達の言い分が信用してもらえたのは、ブラスに事情を説明したメラゴーストの首からアバンのしるしがかかっていたからだろう。一部の兵士には攻撃呪文をぶちかましてしまった俺だが、クロコダインにとどめを刺したこと、ダイ達が仲間として認めていることなどで、相応の信頼を得ていたらしい。

 

『さてと……これでとりあえず一息ぐらいはつけるかな?』

 

 ロモスの騎士の協力もあってヒュンケルは武装を解除した上、ロープで拘束され。時間経過でモシャスが解けメラゴーストの姿に戻ったために俺に向けられていた警戒も消えた。人骨の剣士に関しては、人質交換の為の連絡要員が居るからという理由でここに俺を連れて来た別の俺がどこかへ連れていってそれっきりだが、言うことももっともだし、伝言を持たせてパプニカで開放してきたのだろう。

 

『向こうの俺と情報交換もしてきた』

 

 と次に顔を見せた時話していたので、ルーラでパプニカに戻っていたのは間違いない。俺はその間のヒュンケルの見張りをロモスの騎士や島のモンスター達と協力して行っていた。

 

「何だ……無様をさらしたオレを笑いに来たのか」

 

 見張りを交代した折のこと。アバンのしるしを下げてない俺を見て、クロコダインに化けていたメラゴーストだと気が付いたか、そんなことを言ったヒュンケルに俺は頭を振って、そこから少し話をした。

 

(モンスターが協力的なことには驚いてたし、そう言えば原作のヒュンケルってダイの生い立ちとか知らなかったのかも)

 

 少なくとも最初に戦ったところでは。

 

(ダイはヒュンケルに自分を重ねてたけど)

 

 似通った生い立ちであることを知ったなら、ヒュンケルもダイにアバンの使徒や人間の味方をやめろとぐらいは言ったんじゃないだろうか。ヒュンケルとの会話を思い出し、俺はそう思った。

 

(何にしても、島のモンスターのみんなのおかげで動揺したのもあってか、ヒュンケルからはその生い立ちとかを聞くことができたし)

 

 原作知識で内容は知っているが、ダイ達に明かした時その場に居合わせなかった俺が何も聞かないのは不自然なのだ。

 

(そして、俺もヒュンケルの事情は知ったことになった訳で)

 

 捕虜になったマァムの説得が望めない状況である以上、ヒュンケルとOHANASIするのは俺達の役目の様に思われるが、これ以上やらかすわけにはいかないので、それは俺をここに連れて来た俺に任せるつもりだ。

 

(正直、こんな重要ポジション俺には務まんないだろうし)

 

 ダイ達を運んでいった鳥の魔物の俺と交代して修行の相手でもしてるのが妥当だろう。それなら、流石にやらかす要素はないだろうから。

 

(別の俺と相談してみよう)

 

 決意を胸に、俺は別の俺を探すべく歩き出すのだった。

 




次回、番外6「目覚めて、そして(ダイ視点)」に続くメラ。

尚、次以降のタイトルは以下の予定。


十話「ダイ、修行中」
番外7「牢にて(ヒュンケル視点)」

ネタバレにならないように工夫したつもり。
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