ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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番外6「目覚めて、そして(ダイ視点)」

「う……ううっ……」

 

 身体のあちこちが痛んだ。

 

「おお! 気がついたかダイ!!」

 

 目を開くとぼんやりとした視界に映る人の姿がはっきりするにつれてポップになっていって。

 

「ポップ……ここ、どこだ……?」

 

 まだ纏まらない頭の中で何があったかを思い出そうとして、おれは気づく。最後の記憶は、ヒュンケルと戦って、それから。

 

「ヒュンケルは……!?」

 

 思い出して身体を起こし、周囲を見回したおれの目に映るのは、左右の崖。そして正面に広がる景色の中、少し離れた場所にあちこち崩れたお城だった建物とその向こうに城下町や港が見えた。

 

「……だめだ……やられた。おれたちだけで逃げてきたんだ……」

 

 たぶんあそこがおれ達の居たところ、そうわかったおれに俯いたままポップは言って。

 

「マァムは……?」

 

 ポップははっきり言っていたのに、おれは理解できていなかった。もう一人の仲間を探し、目が合ったのは、岩にとまる鳥のモンスター。デルムリン島の仲間に似てるような気もするけど、どこか違う気もして。

 

「……こいつだれ?」

「じつはだなあ……」

 

 ポップが教えてくれようとしたすぐ後だった。ガシャッと音がして、振り返れば剣を持った人影がそこに居たんだ。

 

◇◆◇

 

「レオナが……生きてる……!」

 

 そうやって出会ったおじいちゃんの兵士は隠れ家にしてる洞窟でおれ達に手当をしてくれた上、レオナが無事だってことを教えてくれた。ポップがどこに居るかを聞くと残念そうにそこまではわからんって言っていたけれど、ヒュンケルの率いていたモンスター達は村や町を襲っても、決して女の人や子供は殺さなかったって言う。

 

「不死騎団の襲撃で神殿が破壊された時、みんなとははなればなれになってしまったが、まだ不死騎団に落とされておらん村も残っておるかもしれん。それに、姫のそばには常にパプニカ最強の三賢者がついておる!」

 

 きっとこの大陸のどこかに無事生きておられるはずじゃと言う言葉と、確かに生きててもおかしくないといういくつかの理由で俺はようやく一息つけた。

 

「よかった……」

「まったくだ。これで姫様まで死んじまってたら、ホントに救いがねえよ」

 

 おれの心からの言葉にポップが頷いて。

 

「君のことは姫様からよく聞かされていたよ」

 

 まさかと思い助けてよかったわいと笑ったおじいちゃん兵士のバダックさんは、レオナがおれが来れば必ず勝てるとそれまでみんなでがんばろうと他の人を励ましていたと教えてくれて。

 

「まあゆっくり休みたまえ。ここならやつらに見つかる心配はない……」

 

 手を振って洞窟の入り口の方へ去ってくバダックさんにおれは何も言えなくて。

 

「あのじいさんガックリくるぜ……おれたちがヒュンケルにボロ負けしたって聞いたら……」

 

 静かなのに耐えられなかったのか、口を開いたポップは、続いておれに聞いてきたなんで紋章の力を使わなかったのかって。それはつまり、あの時、ハドラーと戦った時の力のことなんだろうけど。

 

「……おれ、……おれ、ヒュンケルの話を聞いてたら……なんだかわかる気がしてきて……」

 

 おれもあいつもモンスターに拾われて育てられたから、どうしても、もしじいちゃんがヒュンケルを育てたガイコツみたいに死んじゃったらって考えてしまったんだ。そうしたらあんな風に悪いやつになっちゃったかもしれない。

 

「そう思ったら……なんかおれ……ヒュンケルに対して本気で怒れなくって……」

「……バッ! バッカ野郎ッ!!!」

 

 正直に話すと、おれはポップにとっちめられた。

 

「てめえがそんなんでどうすんだよ、奴を倒せなけりゃ……マァムも……姫様も……メラ公も、メラ公も救えねえんだぞ!!」

 

 最後のは、アバン先生にメラゴースト君のことを頼まれたからなんだろう。怖いぐらいの表情で、戦うんだとポップは言って。

 

◇◆◇

 

「ダイ君!」

 

 次の日の朝、険しい表情で飛び込んできたバダックさんを見ておれの眠気は吹き飛んだ。手には剣を抜いていて、ただ事じゃない様子なのが窺える。

 

「どうしたんですか?」

「『やつらに見つかる心配はない』と大口を叩いた翌日だというのに何と言っていいか……不死騎団が攻めて来たんじゃ!」

「ええっ?!」

 

 驚く俺にバダックさんは続けて言った。

 

「あのオレンジの人魂の様なモンスターは間違いない! あやつがガイコツを何匹か引き連れた姿をワシは何度か見ておる! 今日の奴は首飾りの様なモノを下げておったが」

「え」

 

 そこまで聞いて、おれは振り返りポップと声をかけたけれどベッドは空っぽで。

 

「ポップは……!?」

「あ、ああ。ポップ君なら外で見かけたが、同じ話をしたら駆けだして行ってしまってな」

「そっか」

 

 メラゴースト君のこと、よほど心配だったんだろう。おれは少し気分が軽くなって。

 

「って、あれ?」

 

 そこで首を傾げた。メラゴースト君とは町ではぐれてそれっきりだった気がする。

 

「あの後どうしたのかも聞かなきゃ。きっともうポップと話をして……あ」

 

 そこまで言ってから、気が付いた。おれが通訳しないとポップとメラゴースト君じゃ会話が成り立たないことを。

 

「急がなきゃ」

 

 ポップはおれを待って首を長くしてることだろう。おれはバダックさんにポップを見かけた場所のことを聞いてから急いで走り出したのだった。

 




こう、主人公が居ないだけで話が原作通りに進む感が割とハンパない件について。

次回、十話「ダイ、修行中」に続くメラ。
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