ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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十二話「ヒュンケルの元へ」

「ポップ、お前は言ったな……ダイが居ればオレなど軽くやっつける、と」

 

 その機会は俺が割り込んで奪ってしまった訳ではあるのだけれど、だからこそあのままダイを殺させるわけにはいかなかったらしい。

 

「それじゃ何か? 実際に戦っておれの言ったことが正しいかを試すためにもダイを殺させるわけにはいかないから庇ったって?」

「それもある。だが……いや、これ以上は言うまい。……割り込んだのがあのヒュンケルとの戦いではなく、仲間との模擬戦だったとなればな」

 

 何と言うか、本当にクロコダインには悪いことをしたと思う。決死の覚悟で盾になったのに、それはただの模擬戦だったのだから。どう考えても黒歴史だ。ポップの問いに答えるクロコダインの目が気のせいで無ければどこか遠くを見ている気もするし。

 

「けど、それが理由ならどうするの? 傷を治したらダイと再戦するつもり?」

 

 ただ、話を聞いたからこそ確認しておかなければいけないこともあり。ヒュンケルの顔で尋ねる俺に微妙そうな表情をしつつクロコダインはいやと軽く頭を振った。

 

「おまえたちにオレは負けた。そして解かった……いや、教えられたよ、色々とな……そして、興味が沸いた」

「興味?」

「うむ、なんだ……おまえたちの行く先を、見てみたくなってな」

 

 ダイの言葉に頷きつつクロコダインの視線が向く先は、間違いなく俺の顔。今はヒュンケルの顔なんだけど、それはそれ。

 

(これって、俺がクロコダインを倒しちゃったから?)

 

 原作にないことを言い始めたピンクのワニさんの視線を受けつつ、俺は心の中でどうしようと空を仰いだ。

 

(また別の俺にしばかれる)

 

 きっとこれも俺のやらかしに換算されるんだろう。

 

「つまり、仲間になってくれるってことでいいのかな?」

「……ああ」

 

 獣王が加入するのは原作でもあったことなので、単刀直入に問えばクロコダインは頷いて。

 

「クロコダインが仲間に……」

「ダイ、いけるぞ! ……あの呪文が当たるようになった上に、メラ公とこいつまでいりゃ……」

 

 まだ実感の湧かない様子のダイとは違ってポップが喜色を見せるが、二人でどうにかしないといけないと思ってたところで戦力が倍になったのだ、無理もないだろう、ただ。

 

「なら……ダイ、ポップ、俺は悪いけどここを離れるね」

「「え」」

 

 俺が切り出すと、名を呼ばれた二人が揃ってこちらを見る。

 

「メラ公」

「メラゴースト君、何で?」

「いや、何でって言われても……さっき技を当てちゃったときに気が付いたんだけど、俺達との戦いの時の傷が完全に癒えてないみたいだし、どこかで治療する必要があるからさ」

 

 原作でダイ達が手当てを受けてたのもバダックとか言う老兵士の使ってた隠れ家みたいなところだったと思うし、ベッドだってあっても人間用だろう。

 

「ちょっとこの人……人でいいのかな? ともかくクロコダインには手狭だろうし、ルーラでデルムリン島まで言ってそっちで手当てしようかなって。ほら、島にはブラスさんも居るし」

 

 あそこなら回復呪文の使い手も居る。

 

(加えて、クロコダインなら俺よりはるかに効果的な説得をヒュンケルにしてくれる筈)

 

 原作でもヒュンケルの心に波紋を投げかけたりしたわけだし、きっと効果はあると思う。それには実はヒュンケルを捕まえてることを話さなきゃいけない訳だけど。

 

(打倒ヒュンケルに向けて特訓してるダイ達にはとてもじゃないけど言えないしなぁ)

 

 話すのは島についてからになるだろう。

 

「け、けどよメラ公……デルムリン島って今、ロモスの騎士が滞在してるんじゃなかったか? 大丈夫かよ?」

「あー、それなんだけど」

 

 今もあちらに居るであろう俺の気づかなかった問題にポップは一発で気が付いたらしい。俺は若干遠い目になりつつ、実はとデルムリン島には一度ルーラで飛んだことだけは明かした。

 

「クロコダインにモシャスしたまま島にいっちゃったってぇ?!」

「うん。あわや騎士の人たちと戦いになるとこだった。騒ぎを聞いてブラスさんが来てくれて事なきを得たけど」

 

 ともあれ、そう言うことが一度あった後なのだ。

 

「本物連れてっても、『またか』って思われるだけな訳か……」

「うん」

「……なんだかなぁ」

 

 俺達が会話する中、クロコダインだけは顎が外れそうなほど口を開けて呆然としていた。

 

(いや、まぁ、仕方ないか)

 

 自分のあずかり知らぬところで、自分そっくりの別人が騒ぎを起こしかけたりしてたとか聞かされたんだから。

 

「とりあえず、そっちも修行の途中なわけだから、俺はルーラで島からこっちに一日一回、修行の進展を確認しに来るつもり」

 

 マァムを助けに行くだけにしてもヒュンケルと決着をつけるにしてもコンディションは万全にする必要があるからと俺は残ることになる二人に言い。

 

「ただ、元々二人だけで行くつもりだったから二人で行くって言うならそれでもいい。人魂で明るい俺とか身体の大きなクロコダインは忍び込むには向かないし、不死騎団の拠点に潜り込んでマァムを助けてくるだけならかえって二人だけの方が良いかもしれないから。もっとも――」

 

 その場合もサポートはするから、そうするならこっちに戻ってきた時に話してくれと言ってから俺はモシャスの効果時間が終わるのを待って、クロコダインだけを連れて瞬間移動呪文でデルムリン島に飛ぶ。

 

「な……ああ、また変身呪文ですか」

「むぅ」

 

 一瞬驚いたもののすぐ警戒を解いたロモスの騎士に、本物は何とも言えない表情をするが、メラゴダインでこの島に一度飛んだことは話してあるし、他に話したいこととやってほしいことがあるから、今は堪えてと問う直前に言ったからか、誤解を解こうとはせず。

 

『この辺りなら、いいかな。ええと、これから話す事はダイとポップには黙っててほしいんだけど』

 

 俺は人気のない場所までクロコダインを連れていってから、実はヒュンケルに勝って捕まえてあることを明かし、クロコダインにその説得をお願いしたいという旨を伝えたのだった。

 




本物ダインが居れば説得は成功したも同然だよね? 勝ったな。(慢心)

次回、番外7「牢にて(ヒュンケル視点)」に続くメラ。
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