ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

66 / 256
十四話「潜入! 死の迷宮」

「単独で動くぅ?!」

 

 ダイ達が二人がかりとは言えライデインの呪文を会得して疲労から倒れ、バダックと俺で隠れ家と思しき洞窟に運んだ日の夜のこと。一度デルムリン島に行って戻ってきた俺はダイとポップに単独行動する旨を伝えに来ていた。

 

『うん。ほら、俺ってモシャスの呪文で変身できるでしょ? 単独なら敵に変身して拠点に潜り込めるからさ』

 

 ぶっちゃけ見つかって戦闘になる危険を冒してダイ達が潜入するより、俺がモシャスを使って潜入した方が気づかれる危険は少ない。

 

(原作じゃ、俺という存在が居なかったからダイ達は自分たちで乗り込んで……って、ダイが仲間のことを他人任せにする筈もないか。ポップなら俺に任せようって言ったかもしれないけど)

 

 ともあれ、変身して紛れ込めるからというのは、俺が単独潜入する理由としても充分だと思う。

 

「……メラゴースト君の言うことはわかるよ。そっくりだったもん」

『じゃあ』

「待て、メラ公! 言ってることは相変わらずダイに翻訳して貰わねえとわからねえが……『問題ないならこのまま一人で潜り込む』とかそんなとこだろ?」

 

 いいよねと続けようとした言葉を遮ったのは、ベッドから上半身を起こし腕を組んだポップだった。

 

「確かにおまえのモシャスの呪文はすげぇ。こういう時にうってつけの呪文だとは思う。けどよ、もし姿を変えて忍び込んだのがバレちまって、それがもしあのヒュンケルに見つかっちまったらどうすんだ? ヒュンケルやクロコダインに化ければ呪文以外でも戦えるってのは、ダイとの模擬戦を見てたからわかる。……だが、場所が場所だ。気づかれたらヒュンケルだけじゃねぇ、そこのモンスターもあちこちから殺到してくるかもしれねえんだぞ?」

『っ、けどそれってポップ達も条件同じじゃん』

 

 指摘され一瞬言葉に詰まるが、お互い様であることに気づいた俺はすぐ反論し。

 

「うぐっ」

 

 あっと声をあげたダイの通訳を介して俺の指摘を聞いたポップは苦い顔をした。

 

『大丈夫、若干複雑だけどあっちにもメラゴーストはいるから、メラゴーストに化けるのは簡単……うん、なんていうか言葉としておかしい気もするけど、ともかく、無謀なことはするつもりはないしさ。それよりも……ダイ達って俺がするなら、先行偵察と別動班のどっちがいい?』

「え?」

『だから、紛れ込みやすいのを利用して先に拠点の中を下見してきてダイ達に伝えるか、見つかったとしても相手の注意が分散するように二手に分かれて潜入するかって話。他にも俺がダイに化けて拠点のモンスターを引っ張り出してからルーラで逃げる囮ってのも可能ではあるけど』

 

 俺は言いたいことを言ってから、ダイが俺の言葉をポップに伝えるのを待つ。デルムリン島に戻った時に俺がどういう行動をするかは島に残った俺に伝えてある。

 

(クロコダインのことは気にする必要はない、だっけ)

 

 一つだけ教えてもらったのは、原作でもあったフレイザードの乱入をダシに「分裂して偵察してた俺が別の魔王軍軍団長が戦いに横やりを入れようとこの大陸に占有しようとしているのを掴んだ。そちらを抑えるのに協力して欲しい」と連れ出し、戦いの場から遠ざけるというモノ。

 

(決着がついた後にダイ達と合流すればフレイザードが現れたことは聞けるだろうから、嘘にはならないもんなぁ)

 

 元は同じ俺だというのに、どうしてこうも頭が回るんだと落ち込んだが、俺のポカを埋めてくれているのに俺がどうこう言えるはずもない。

 

『どう? 決まった?』

 

 だから、俺は少し待ってからダイ達に尋ね。

 

「……ああ。マァムの安全を考えると、メラ公、おまえの手を借りざるをえねえ」

 

 どことなく悔しそうに頷いたポップが俺に頼んできたのは、先行潜入からのマァムの救助。

 

「俺とダイで囮をやる。……けど、マァムが人質に取られたままじゃ引き付けた魔物たちと戦えるかすらわかんねえからな……。マァムが無事なら、おれもダイも戦えるし、拙いと思った時だって逃げられる」

『なるほど』

 

 わかったよと頷きつつ俺は心の中で遠い目をする。原作のマァムは潜入したダイ達が見つかりそのことを魔物たちが話してるのを聞いて牢を脱獄したはずだ。

 

(潜入が気づかれなかったら、マァムも脱獄しようとしないよなぁ。そして、俺が代わりに助け出しに行く、と)

 

 どう考えても原作よりめんどくさいことにしかならない気がする。

 

(あっちの俺、ここまで想定してるんだよな?)

 

 不安は覚えつつも賽は投げられていて。

 

◇◆◇

 

『じゃあ、後は宜しく』

 

 翌日、デルムリン島を経由して戻ってきた俺はダイ達とともに地底魔城の入り口に居て、後方に居るダイとポップそれに老兵士の三人へ軽く手を振ってかららせんに続く階段を降り始めた。

 

(はぁ、前情報として内部構造知っておきたかったんだけどな)

 

 お前はやらかすからダメと言われ、今日の潜入は中で落ち合う予定の別の俺が手引きしてくれることになっている。

 

(内部のメラゴーストはみんな別の俺、か)

 

 そして、俺がデルムリン島を立つより早く、本物ンケルはルーラで運ばれて行った。

 

(人質交換もどうなったのかな? おそらく手引きしてくれる俺が教えてくれるだろうけれど)

 

 別の俺と合流を果たさないことには、どうにもならない。

 

『モシャス』

 

 俺は呪文でアバンのしるしはないが一度合体したことでスペック上は自分と変わらない別の俺に変身すると、らせん階段の底、岩壁に空いた通路の入り口へと入ってゆくのだった。

 

 





次回、番外8「地底魔城にて(???視点)」に続くメラ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。