ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

71 / 256
十七話「ダイ、魔剣に死す……!!?」

『さて、ここからはマァムがダイ達と合流できたかを確認するためにも、マァムの逃走経路をたどる訳だが』

 

 行き止まりに出くわしたマァムと鉢合わせるとまずいからなと続けた不死騎団所属の俺は、マァムが呪文を撃ちだす銃で開けたであろう穴から牢の隣の部屋に進むと通気口に潜り込み、呪文を唱える。

 

『モシャス』

 

 ポンッと煙が出て、晴れたところに居たのは一匹のネズミ。

 

『なるほど、ネズミなら居ても不自然じゃないし、ぱっと見で見つけづらいな』

 

 ネズミになったこの不死騎団の俺が先に行って、マァムと鉢合わせしそうになったりした場合は引き返してきて教えてくれるのだろう。

 

『けど、それなら俺もネズミに変身すれば……って、手本が居ないか』

 

 しいて言うなら、モシャスでネズミになったメラゴーストが視界の中に居はするが、変身した者に変身するのは試したこともなく。そも、そんな暇もない。

 

「チュチュッ」

 

 行くぞとでも言ったつもりなのか、鳴き声を上げてからネズミは通気口を進み始め。

 

『っと』

 

 俺は慌てて通気口に潜り込み、ある程度の距離は保ちつつネズミの後に続く。

 

『これは、ロープか』

 

 少し進んだところで落ちていたソレはマァムを縛っていたものだろう。ここを通ったのは間違いないらしい。そのまま俺達は更に進んで。

 

「チュ」

『前方に明かり……』

 

 隠し部屋かなとつぶやいたのは、原作に通気口から続く隠し部屋があったからだ。

 

『そっか、先に行ってマァムが引き返してくるかを確認してくれる、と』

「チュ」

 

 少なくとも、マァムが通気口を進んだのは間違いがなく、まだ鉢合わせになる可能性は否めない。俺はネズミになった俺に偵察を任せて暫くその場で待機し。

 

(そろそろいいかな?)

 

 待っても引き返してこなかったことで先に進むと、たどり着いたのはやはり隠し部屋だった。壁の燭台には蝋燭に火がともり、部屋の隅に一つぽつんと置かれた宝箱は大きく口を開けていた。マァムが中身を持ち出して行ったのだと思う。

 

『それじゃ、ここからは再びマァムを……って、この蝋燭誰が火をつけたんだ!?』

 

 さらっと流しかけて慌てて燭台を二度見する。

 

『ここ、隠し部屋だよな? 地底魔城のモンスターの中にここのことを知ってて蝋燭を補充してる魔物が居る?』

 

 もしくは消耗せず半永久的に周囲を照らす魔法の燭台的なサムシングだったりするんだろうか。

 

「チュ」

『あ、ごめん』

 

 俺が隠し部屋でとどまっていたからか、さっさと来いとでもいう様に別の通気口からネズミの鳴き声がし、俺は謝りつつ隠し部屋を後にする。

 

(そうだった、今すべきはマァムの行方と戦いの決着を見届けること)

 

 些細な事を気にしてる場合じゃないのだ。俺はただネズミが前方から戻ってきたりしないかだけに気を配りつつ通気口を進み。

 

(ん?)

 

 しばらく進んで、じっと立ち止まっているネズミを前方に見つける。

 

(マァムが戻ってきてるなら、引き返してる筈。ってことは、これ以上進むと見つかる可能性があるか、前のマァムが何らかの理由で立ち止まってるのか)

 

 そこまで考えてから耳を澄ませば、どこかから雷鳴が聞こえ。

 

(出口もそんなに離れてなさそうで、あの雷鳴はダイの雷撃呪文かな)

 

 俺は先に進むタイミングを図るためちらりとネズミを見て。

 

「ピイッ!? ピイイッ!!」

 

 ネズミが何か行動を示すより早く、前方で聞き覚えのある鳴き声がした。

 

(今のはゴメちゃんの――)

 

 どことなく悲痛な声だったような気がして、俺はネズミに視線を戻すと、頷いたネズミが走り出し。

 

「ダイ~ッ!!!」

 

 進むにつれて聞こえてきたのは、ポップの叫び。出口から顔を出すと、倒れてるダイの姿とヒュンケルの方へと走ってゆくマァムの背が見え。

 

(原作通りに一撃を貰った? けど、俺との模擬戦もあるし、そう簡単にあの大技を受けるような気は……あ)

 

 しないんだけどとまで言いかけて、ふと思い至る。

 

『そういえば、何とか傀儡掌って技――』

 

 ヒュンケルは暗黒闘気で相手の動きを縛る技が使えたのだが、よくよく考えると俺はダイとの模擬戦で剣技しか使わなかった。だから、動きを止める技への対処法を用意できなかったんだろう。

 

「ムダだ、ブラッディ―スクライドは一撃必殺。もう助からん……」

「う……うるせぇッ……!」

 

 ダイの名を呼んでいたポップがヒュンケルの言葉に喚き、ヒュンケルは剣を振り上げながらポップに向き直る。

 

「……あの世で会うんだな……!」

 

 ポップにとどめを刺すつもりなのは明白で。

 

「待って! ヒュンケル!!!」

 

 これ以上出て他の面々に見つかるわけにもいかない俺の視界の中で、マァムがこれを制止する。

 

「お……おまえ――」

「ピイ~ッ!!」

 

 ヒュンケルからすれば自身の身柄と引き換えに解放されたはずの相手の乱入。だが、マァムはヒュンケルには見向きもせず脇を抜け、ダイの元へ一目散に飛んで行った金色の有翼スライムに続きダイへと駆け寄るのだった。

 

 




次回、十八話「見守る中で」に続くメラ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。