ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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カール救援編
プロローグ「生存報告は気まずい」


『あ』

 

 ルーラの呪文でダイ達と模擬戦した場所へと飛んだ俺が耳にしたのは、どこからか聞こえてくる槌の音だった。

 

(そう言えばヒュンケルとの戦いでダイの防具がボロボロになってたっけ)

 

 おそらく、防具を修理しているのであろう。この場合はダイ達の居場所を探さなくて済むので助かるが。

 

(さてと、問題はここからどこまで話すかだよな)

 

 不死騎団の俺から託された赤ん坊は無事と言うメッセージを伝えることは確定だが。

 

(クロコダインにも手伝ってもらうことがあるから合流は先になるって伝えておくべきだよな)

 

 原作と違って死んでると思われてるわけではないのだから、何故合流しないのかと言う疑問がダイ達から出てきてもかしくない。そこは俺がフォローすべき点で。

 

(ヒュンケルの生存については伏せておこう)

 

 こちらは、理由なら簡単にでっち上げられる。怪我の回復中だったので、とか何とか。

 

(普通に考えれば死んでるレベルのムチャな訳だし、回復の見込み無く亡くなって……ぬか喜びさせたら拙いと思ったってしておけば、理屈は通る)

 

 ただ、ヒュンケルの生存を伏せると、地底魔城で俺は完全な役立たずだったってことになってしまう訳だが。

 

(この後パーティーを抜けるって伝えるなら、好都合)

 

 力不足を痛感して修行の旅に出る、とかにしておけば抜ける理由としても申し分ないだろう。

 

(カールの救援に向かうなんて正直に話したら心配されそうだしな)

 

 こちらはクロコダインとヒュンケルにだけ明かして、折を見て話してもらうって形にしておけばいい。

 

(原作だとダイ達がフレイザードと戦ってる裏でカールは滅んでるから、フレイザードとの決着がついてる頃にはカールでの戦いも終わってる筈)

 

 俺だってカールを滅ぼす軍勢を一人でどうにかするのは厳しいと思っている。そもそも俺の目的はこの世界で穏やかに暮らすことなのだ。

 

(危なくなったらルーラの呪文で撤退もやむなし。相手が相手だもんな)

 

 俺の原作知識だと、交戦の可能性があるのは戦いたくない敵のうち、五指に入る二人だ。

 

『けど、だからこそ……とも言えるわけで』

 

 そんな危険な相手に単身挑みに行ったとなれば、暫く危険に身を置かなくてもあの時頑張ったからで見逃してもらえると思うのだ。

 

(真っ当に交戦するつもりはないし、適当に戦うだけでお目こぼししてもらえるなら些少の危険はね)

 

 下手に善戦して相手を本気にさせると今後が拙いと言う大義名分だってある。

 

(確か、師匠の故郷には師匠がしたためた指南書みたいなのがあったって聞いた気がするし)

 

 俺がカールに向かう理由の一つは、アイテムの回収でもある。

 

(勇気を出したり引っ込めたりしてアイテムを漁る、か……うん、どこかで聞いたような話だなあ)

 

 なんだか、やってることがどこかのニセ勇者と変わらない気がしてしまったのは、きっと気のせいだろう。

 

『って、あれ?』

 

 自分の考えに浸りすぎたからか、気づくと槌の音が途絶えていて。

 

『拙……ってほどでもないか』

 

 一瞬焦ったが、よく考えれば、この後ダイ達が行く場所は解かっているしそちらで合流しても問題はなく。

 

「うわあッ! 新品みたいだ!!」

『あ』

 

 思いなおした直後だった、ダイの嬉しそうな声が聞こえたのは。

 

「めっ、メラ公!!」

 

 ちょうどいいと声の方に進んだ俺がダイ達を見つけ声をかけようとしたところでこちらを見つけたらしいポップが声を上げ。

 

「おま、無事――」

『うん、心配かけてごめん。ちょっとね』

 

 駆け寄ってくるポップから気まずげに視線をそらし、俺は地底魔城に居た赤ん坊を不死騎団のメラゴーストから託され、避難させていたのだと明かした。

 

「赤ん坊?」

「は? 赤ん坊ってどういうこった?」

 

 俺が姿を見せなかった理由はダイとポップには意味不明だったようだが、マァムは別のようで。

 

「良かった、あの子は無事なのね」

『うん。偶々見つけて、状況が状況だったから、モシャスで変身した俺が連れ出して預けてきた』

 

 若干アドリブを入れてしまったが、そこはお目こぼし願いたいと思う。

 

(避難先については地底魔城に戻って残ってるであろうあっちの俺から聞けばいいし)

 

 そも、この世界で赤ん坊を預けられそうな場所となると、マァムの故郷かロモス、もしくはデルムリン島くらいしか思いつかないので、このいずれかだろう。

 

「そっか、それじゃメラゴースト君が姿を見せなかったのって」

『うん。流石にあんな場所に赤ん坊を置いておけなかったから。ダイのライデインだと思うけど雷鳴ってたし、年代物のお城だから戦闘の余波で崩れたりしてくるかもって思ってさ。溶岩はちょっと想定外だった』

 

 マァムからの説明もあって納得した様子のダイに俺は首肯を返してからどこか遠くを見て。

 

『それで無事脱出できたから、いったん生存だけ伝えておこうと思ってこっちに寄ったんだけど』

 

 そう前置きしてから、切り出す。

 

『俺、このパーティーを抜けようと思う』

「えっ」

 

 即座に返ってきたのはダイからのリアクションのみ。言葉が伝わらないのだから当然と言えば当然だが。

 

「抜けるってどういうことだよ、メラゴースト君?!」

「はぁ?! 抜けるぅ?!」

「ええっ?!」

 

 ダイの問いでこちらの発言の一部を理解し驚く二人を含む三人に俺は伝える。実力不足を痛感して、修行の旅に出たいということを。

 

「実力不足って何だよ?! クロコダインを倒したのだって、ダイがやられそうだった時に庇ってヒュンケルの野郎の一撃を代わりに受けたのだって……メラ公、お前だったじゃねえか!」

『それはそうだけど、結局ヒュンケルとの戦いの時には何も出来てないし……それにね』

 

 強くなれそうなあてがあるんだと俺は言い。

 

「強くなれそうなあて?」

『そう。うまく行けば次に会った時には成長した俺が見せられると思う』

 

 オウム返しに尋ねるダイに俺は胸を張ったのだった。

 




お待たせしました、カール救援編がはっじまっるよー♪

次回、番外10「なんだそりゃ(ポップ視点)」に続くメラ。

プロローグの後に番外編ぶっこんでくるスタイル。
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