ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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一話「そして二人の元へ」

『それじゃ、行ってきます……の前に』

 

 何とかダイ達の元を離れることを納得してもらったところで、俺は餞別を残すことにした。

 

『マァムの……銃っていったっけ、それ? それって呪文を込めて撃ち出すんだったよね』

「――だって」

「え、ええ」

『だったら――』

 

 ヒュンケルとの戦いとかで弾丸の呪文を消費してると見た俺が申し出たのは、弾丸への呪文の封入だ。ダイの通訳を受けて頷いたマァムに弾丸を出してもらい、込めたのはポップがまだ使えないであろう攻撃呪文を二つ。

 

『とりあえずベギラゴンとイオラを一発ずつ詰めておいた。後は何か入ってるみたいだからこれだけかな』

 

 マァムがヒュンケルとの戦いで使ったのはメラミとマヌーサで二発、その分を埋め合わせたわけだ。

 

(守備力を上げるスカラ系とかは確かダイ達に使って見せたことはなかっただろうし、説明が要る上にそれで

 

理解してもらえるかってのと魔王軍にこの呪文の存在が知られて敵陣営を現段階で強化しちゃうと目も当てられないってのがあるからな)

 

 個人的にはルーラの呪文ならどうかとも考えたが、瞬間移動呪文を込めた場合どこに飛ぶのかがちょっとわからなかったため、そちらは諦めた。

 

(呪文を込めた者の認識した場所に飛ばすとかなら、活火山の火口に飛ばす『一部の存在以外ブチ殺し確定ルーラ』とかできるんだけど、きっと無理だろうしなぁ)

 

 これが成立した場合、溶岩に焼かれて死ぬ存在で呪文の使えない相手であれば高い確率で葬ることが可能なのだが。

 

『あ』

「どうしたの、メラゴースト君?」

『いや、なんでもないよ』

 

 よくよく考えるとこれで倒せそうな強敵はクロコダインとヒュンケル、どちらも既に敵じゃなかったと遅れて気づいた。

 

(せいぜいフレイザードが半分溶かせるぐらいで、後の奴らは効かないか呪文か道具で何とかされるわ、うん)

 

 なら味方の脱出用ならどうかと言うと、撃ち出した人間が置いてゆかれるという欠点がある。せいぜい使えて敵を飛ばすことによる一時的な分断くらいだが、それも撃ち出した者か込めた者のイメージしたところに移動する効果だった場合。

 

(普通に要検証だけど、今更残って検証したいなんて言えないしな)

 

 そもそも、クロコダイン達を待たせてる手前、長居は厳しい。

 

『ああ、そうそう。俺の力が必要なら分裂した俺に時々様子見に来てもらうつもりだから、そっちの俺に相談してくれれば……って、実力不足を感じて修行に出る俺が言うのも微妙か』

「ううん、そんなことないよ! メラゴースト君のルーラが無かったら、パプニカに来るのだってもっと時間がかかってただろうし、最初にヒュンケルと戦った時だって、殺されずに済んだのメラゴースト君のおかげだろ?」

『っ』

 

 ダイは言外に修行の旅に出る必要なんてないよと言ってるのかもしれないが、もう決めたことだ。

 

『ありがとう。分裂した俺は今いるここに向かわせるから、そこで話をしてもらえる?』

 

 礼を口にした俺はそう伝え。

 

『それじゃ、俺も力を付けて戻ってくるから……ルーラッ!』

 

 ボロを出さない内にと移動呪文でその場を離れる。向かう先は地底魔城。

 

(ヒュンケルの手当てにある程度移動してるかもしれないけど、戻ってくるとは伝えたし、見つけやすい場所に居るか手がかりとかを残すくらいはしててくれるよね?)

 

 考えつつたどり着けば案の定と言うか何と言うか。

 

「クエ」

 

 出迎えるように鳴いたのは、クロコダインが空を移動する時に使っていた鳥の魔物だった。おそらく案内役なのだろう。

 

『なるほど、ついていけばクロコダインのところに案内してもらえると』

「クエ」

 

 肯定する様に鳴いて飛びあがった魔物の後に続き、歩くこと暫し。

 

「おお、戻って来たか」

『うん。待たせてごめん』

 

 再会したクロコダインに詫びると、俺はクロコダインの近くの地面に寝かされたヒュンケルを一瞥する。

 

『まだ意識は取り戻してないみたいだね』

「ああ。おまえが助け出して手当したようだが、それでもいくらかは溶岩に浸かっていたようだからな」

『あー、うん』

 

 普通に考えれば、あれだけでも生きているのがオカシイのだが、きっとそこに触れてはいけないんだろう。

 

『それじゃ、ヒュンケルにはクロコダインへ伝言を頼んだ方がいいかな? 俺はちょっとやることがあってダイ達の元を離れてきたんだけど』

「なッ?!」

『あ』

 

 打ち明けてピンクのワニさんが驚く様に記憶を掘り起こし、俺は勇者ダイ一行から離れることはクロコダインに話してなかったことに遅れて気づく。

 

「どういうことだ? 何故ダイたちの元を」

『あ、うん。それを今から説明する』

 

 さっそく俺はやらかしたわけだが、充分リカバリーの効く範囲内だったのでうろたえることなく俺は説明を始めた。

 




次回、二話「旅立つ理由」に続くメラ。
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