ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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二話「旅立つ理由」

『ヒュンケルとの戦いはクロコダインの姿と能力を使わせてもらったおかげで何とかなった。けど、基本的に魔法使いの俺では呪文の効かない相手が敵だとなす術がないし、打開策を求め一人で考えてふと気が付いたんだ。師匠の魔王討伐の旅の仲間がまだ健在だってことに』

 

 師匠は居ないけれど、その人たちに師匠のことを聞くことで何かヒントを掴めるのではないかと思ったと、まずダイ達にも明かしたことを話し。

 

『次に……俺には分裂することで自分を増やせる強みと合体することで各々が得た経験や修行の成果を統合してパワーアップすることができる。これはダイ達には明かさずに来ちゃったんだけど』

 

 もし分裂した俺が各々師匠の、つまり勇者アバンの仲間達に教えを請い、それぞれの弟子としていろいろ学べたとしたら。

 

『合体した俺は、複数の職業のどれをもこなせるメラゴーストになれる。もっとも、これは上手く弟子入りさせてもらってその上で実力がつけられればだけど』

「それは……実現したとしたら、とんでもないことになるな」

 

 一時言葉を失い沈黙を挟みつつも、クロコダインは俺の口にしたメラゴースト像を想像したのかごくりと唾をのみ。

 

『あくまでうまく行けばだけどね。もっとも、これって俺がダイのところに居たままでも分裂した俺に任せれば済む話だからさ。俺がダイ達の元を離れた本当の理由に当たるのは別にあるんだ』

「何ッ?! 本当の理由だと?」

 

 話に目を剥くクロコダインに俺は頷くとちらりとヒュンケルを見て。

 

『責めるつもりはないんだけど、このパプニカを攻めていたのって不死騎団で、前線指揮官がメラゴーストだよね? だから、このパプニカのお姫様を助けに行こうってダイとメラゴーストの俺がそのまま一緒に居るのは誤解を招きそうでさ。あちらから攻撃されて関係がこじれるようなことになってダイ達の足を引っ張りたくなかったから』

 

 一度ダイの元を離れたんだと俺は明かす。

 

『ダイ達がパプニカのお姫様と合流して俺って仲間が居ることを話した後なら合流してもいいのかもしれないけど、その間を作るって意味でも一度俺が抜けるのが良いって思った』

「ぬぅ、しかしそれは――」

『うん。余計な気遣いかもしれないけど、他にも理由はあって……』

 

 何か言いかけたクロコダインの言葉に被せるようにして明かしたのは、不死騎団のメラゴーストが拾い、ヒュンケル達が育てていた赤ん坊について。救出して分裂した俺に託した赤ん坊がどうなったかを確認しておきたいという理由だ。

 

『ダイ達には魔王軍との戦いって言う一番大変で危険な場所を任せちゃうから、その分他のことはなるべく俺がしたくて――』

 

 一時は迷ったが、次の目的地はクロコダインにとってかつて襲ったロモスの国。別れた後こちらについてこられても二重の意味で困るので、俺はカールを救援に行くつもりであることは明かさず。

 

『ヒュンケルのことも気になるから、目を覚ましてある程度火傷が良くなるのを見届けるまでは一緒に居るつもり』

 

 かわりに口にしたのはもう少し一緒に居るという宣言だった。不死騎団のメラゴーストにも本物ダイン達についてゆくと言ってあるので、このまますぐ出立するつもりはなかったのだ。

 

(師匠にモシャスしてヒュンケルと対面するとかちょっとやってみたいかなって誘惑はあったけど)

 

 俺だってやっていいことといけないことの区別くらいはできる。できる筈。

 

(だよな? 一瞬ドスの効いた感じで『へえ?』って言う別の俺のイメージが浮かんだけど)

 

 気のせいだと思う。

 

「……そうか。言いたいことはあるが、オレごときではお前を翻意させることは出来んだろうしな」

『え?』

 

 クロコダインの口ぶりに俺が思わず振り返ってしまったのは、きっと仕方ないと思う。

 

(今、クロコダインの俺への評価がおかしかったような……)

 

 何かものすごく高評価されてた気がしたが。

 

(色々あって疲れてるんだな、きっと)

 

 願望からの幻聴だったとは思いたくない。

 

『さてと……モシャス!』

 

 うじうじ気にしていても、きっとろくなことにはならない。精神衛生上も良くないと俺はモシャスでマァムに姿を変える。

 

「念の為にヒュンケルへべホイミをかけておくね? たぶんそれで俺の魔法力はほぼ空っぽ。休めば回復するとは思うし」

 

 ヒュンケルもまだ安静が必要だろうからちょうどいいだろう。

 

「悪いけれど、魔法力を回復するためにも休みたいから見張りをお願いしてもいいかな?」

 

 そう頼めば、クロコダインは任せておけと請け負って俺に背を向け。

 

「ありがとう」

 

 礼を言って目を閉じ、次に目を覚ました時のこと。

 

『に゛ょ』

 

 変な声が出てしまったのは無理もないと思う。起きたらすぐそこにヒュンケルの顔があったのだから。

 




酷い寝起きドッキリだったメラ。

次回、三話「戦士復活!!」に続くメラ。
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