ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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四話「俺はちゃんと返す」

「えっ」

 

 単独では言葉が通じないためにロモス到着後、俺はダイの姿を借りてロモスのお城に向かったわけだが、ここで俺の思い違いが判明していた。ロモスの王は覇者の剣をダイに与えるなんて一言も言っていなかったのだ。

 

(や・ら・か・し・た……どこかの二次創作と混同したかもっと先の話だったのか)

 

 この為に別の理由をクロコダイン達に話してまっすぐやってきたというのにいきなり躓いたわけだ。

 

「じゃがよかろう」

「えっ?」

「そなたは魔物であるという特殊な立ち位置ではあるが、ダイに勇者の称号も譲り、敵将を倒したと言うのに何も求めなんだ。よって、そなたに覇者の剣を授けよう」

「王様……」

 

 瓢箪から駒と言うか何と言うか。ちなみに、王様の言葉からわかるかもしれないが、俺はちゃんと自分がモシャスで化けていることを明かし、一度モシャスを解いて変身しなおしている。

 

「モンスターでも変身を用いれば容易く潜入は可能である」

 

 という例を見せるためであり、加えてモンスターでもこうして人の目は欺けるのだから新しく人材を登用する時には気をつけた方が良いかもしれませんと王様には進言しておいた。

 

(原作だと魔王軍の手の者が潜入して覇者の剣もすり替えられて盗み出されるからなあ)

 

 これを防ぐために先手をとったというのもこのロモス行にはあった。

 

「王様、俺はどちらかと言えば呪文を主体に戦う魔物。この剣を持つのには本来相応しくありません。ですから、魔王軍との戦いが終わったら、この剣はお返しすることを誓わせていただきます」

「……あいわかった。じゃが、返すというのであれば、そなたは必ず生きてこのロモスへと戻ってくるのじゃぞ?」

「……はい」

 

 メラゴーストって時点で一度死んでるというか、生きてると定義していいのか微妙な気はしたが、俺は余計なことは考えず頷いておく。

 

「うむ。さてと、話を聞くにそなたはこれより武器を失ったという新たな仲間の元へ戻るつもりじゃな」

「そうですが……」

「あれもここへ」

 

 それが何かと問おうとした俺を前に王様は脇の騎士に何かをとってくるよう命じ。

 

「来たようじゃな」

「は?」

 

 運びこまれたそれを俺は思わず二度見した。なぜなら、それはやたら見覚えのある武器であったのだから。

 

「これって」

「うむ、敵将クロコダインの残した斧じゃ」

「ああ、それで見おぼえが……」

 

 口ではそう言いつつも、何でこんなところにと思った俺だったが、よくよく考えると原作でもクロコダインの愛斧はダイに素手で刃の部分を一部砕かれた上投げ飛ばされた時に手放し、当人は武器を失った状態でお城に置いた穴から落ちて言った気がする。つまり、武器を残していったことは不思議でも何でもなく。

 

(次に斧を使ったのってヒュンケルを助けた時だったっけ)

 

 敵地に残してきたモノを回収した上で修復するような時間やツテがあったとも思えないので、たぶんあの斧にはスペアがあったと考えるのが妥当か。

 

「戦利品として保管しておいたのじゃが、ここにあるより勇者一行が持った方が役に立つじゃろう」

 

 持ってゆくがよいと言われた俺は機械的にありがとうございますと答え。

 

(どうしよう、この斧)

 

 礼は言いつつも運用方法を思いつけなくて、内心頭を抱えていた。

 

(メラゴダイン専用に持っておくのも一つの手かもしれないけど、非力な元の俺には持ち運ぶだけでも消耗しそうだし)

 

 本物ダインに返しても困惑されそうな気がする。

 

(もう失ったモノと見て新しい斧を持ちだしてたとしたら、ダブるし……かと言ってダイは師匠に剣技しか学んでないもんな)

 

 やはりちょうどいい使い手は思い浮かばないが、礼を言ってしまった以上返すわけにもゆかず。

 

「うぐっ」

 

 流石に巨漢のクロコダインが持っていた斧と言うべきか。それなりの重量があり。

 

「はぁ、ダイに変身しててよかった」

 

 これがポップだったら持ち上げるのも無理だったかもしれない。

 

「それでは王様、ありがとうございました。俺はこれで失礼します」

「うむ、行けメラゴーストよ」

 

 頭を下げた俺は頷く王様に見送られてお城を後にし。

 

「ふぅ、これでモシャスがとけたら次はルーラで移動だけど……とりあえず運搬役にもう一人俺が必要そうかな」

 

 覇者の剣は鍔の部分が可燃性の素材ではなさそうだし、クロコダインの斧も刃と刃の間に金属製の弧のようなパーツがあって掴めるところのあるデザインではあるが、あくまで持つことができるだけの話だ。

 

「運搬、運用要員をかわりばんこに負担する……二人でも回せるけど、理想を考え……あ」

 

 ぽふんと煙が発生し、俺は元の姿に戻る。

 

『って、わわっ』

 

 当然ダイだった時の腕力は失われてあわや武器に潰されかけ。

 

『とりあえずルーラで飛ぼう』

 

 いきなり腕力が低下したことで支え損なった武器の下から抜け出すと、俺は呪文を唱えた。目的地はデルムリン島だ。

 

(あそこなら、ザボエラに攫われたときに残してきた分裂した俺が居る筈)

 

 師匠の結界がまだ残って魔王軍の軍団長クラスならともかく監視用の使い魔が入りこめないあの島は魔王軍に知られたくない魔法の練習などには持ってこいの場所なのだ。元が同じ俺ならば、分裂した自分を何体か置いて修行させていても不思議はない。

 

「うおッ?! っ、何じゃ、メラゴースト君か」

『あ、ごめんなさい』

 

 到着したすぐそばにブラスが居て驚かせてしまったのは、俺にとっても想定外だったが。

 

「しかし、今日は重装備じゃな」

『ああ、えっとそれなんですけど……』

 

 俺は仲間に武器を届ける途中で、メラゴーストの身体が運搬に向かないので分裂した自分にモシャスで力のある別人に変身して運んでもらおうとやって来たのだと伝えた。

 

(あとは不死騎団の俺が育てていたって赤ん坊の行方を知ることだけど)

 

 ロモスに赤ん坊が来た様子はなく、消去法でマァムの故郷かこの島かの二択になる訳だが。

 

(ここでブラスに聞いてもいいけど、島にいる俺なら知ってるだろうし)

 

 合流してそっちに尋ねればいいかと思った俺は、理由を聞いたブラスがこの島の俺を連れてきてくれるというのでそのお言葉に甘えることにし。

 

「すまんのう、ミルクの時間じゃったから寄り道させて貰ったんじゃ」

 

 思ったより連れてくるのに時間をかけたきめんどうしの言葉で、赤ん坊がどこに行ったのかを尋ねる必要は消滅したのだった。

 




四巻の裏でオリハルコン製の装備を手に入れるって早すぎやしませんかねえ(白目)

次回、五話「復活の魔鎧」に続くメラ。
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