ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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七話「そう言えばあの村で覚えてるところって村のど真ん中なんじゃ」

「そう言えば、あの村で覚えてるところって村のど真ん中なんじゃ」

 

 A5にそのセリフは出来れば呪文が完成する前に行ってほしかったというのは酷だろうか。

 

『え゛』

 

 思わず振り返ったときには周囲の景色は変わっており。

「うわぁ、メラゴーストだ!!」

「モンスターだ! モンスターが現れ――」

 

 たまたま居合わせた村人が驚き悲鳴を上げ出したところだった。思わず固まってしまう俺だったが。

 

「って、メラゴースト?」

「と言うか、よく見たらマァムと一緒に旅立った子も一緒じゃないか、ということは……」

 

 ダイの姿にモシャスして荷物持ちしてるA5が一緒だったからだろう。

 

「ダイと一緒に居る=悪いメラゴーストじゃない、もしくはあの時のメラゴースト」

 

 そんな認識があったようで、逃げようとしていた村人達は足を止め。

 

「なんじゃ、この騒ぎは……うん? 君達は」

 

 村人の悲鳴が聞こえたのか現れた老人が俺達の姿を認めて目を丸くし。

 

『えーっと、って俺が言っても伝わらないか。A5、説明頼む』

「あー、そうなるよなぁ。騒がせてごめんなさい。実は――」

 

 説明を任せたA5は俺と分裂した俺が修行の為マァムの母親を尋ねてルーラでこの村を訪れたということを話し。

 

「パーティーにはマァムもいますけど、回復役が二人以上居た方が緊急時には対応できると思うんです」

 

 そう、僧侶の修行をしたい理由についても明かし。

 

「なるほどのう……確かに理に適ってはおるじゃろうが」

「魔王の意思を受けてモンスターが凶暴化するのではと言う懸念ですか?」

 

 不安材料を先回りで口にしたA5はこちらを見る。きっと、対策は考えて居るんだよなと言う確認の目だろうが、一応俺もその辺りは考えて居た。

 

『ちょっとだけ、不安もあるけど、大丈夫。モシャスッ』

 

 頷いた俺は呪文を唱えると、ポップそっくりの姿へと変身し。

 

「なんと?!」

「人に変身した?!」

「師匠に変身するか迷ったけど、あっちは完全にコピーできるかまだ未知数だから……っと、この薪借りますね?」

 

 驚く老人や村人をよそに近くの家から薪を拝借して地面に魔法陣を描き。

 

「邪なる威力よ退け! マホカトールッ!」

 

 唱えた呪文が結界を作りだす。

 

「うん、大丈夫。これはお試しだからすぐ消えるけど、全魔法力をつぎ込めば数日くらいなら持つだろうから」

 

 分裂した俺はその中で修行したり滞在してもらうことを俺は伝え。

 

「まさか……まさか、まともな対策を考えてただなんて」

「どういう意味ぃ?!」

 

 おののくA5に俺はツッコんだ。やらかすこともあるが、俺だってやる時はやるのだ。ともあれ、これで安全は証明できただろう。

 

(師匠の姿でモシャスはまだ実力方面までコピーできるかが確認とれてないしな)

 

 竜に変化する呪文であるドラゴラムは魔法使いでもかなり高等な呪文に部類されたはずだ。

 

(って、あれ? それを言うなら普通に使ってるモシャスも同じ高ランク呪文だよな? 色違いのモンスターが得意としてるから補正かかってるかもしれないけど)

 

 やはりモシャスで実力ごとコピーできるかは試してみるべきであるという結論に達しつつ俺は老人に向きなおるとマァムの母親の居場所を尋ね。

 

◇◆◇

 

「僧侶の修行を、ですか?」

 

 案内された先で俺達の話を聞いたマァムの母、レイラさんと言うそうだがレイラさんは首を傾げた。

 

「アバンさまのお弟子さんに、私が教えられることがあるかしら?」

「あ」

 

 そう言われて、俺は遅れて気が付いた。マァムもこの村に訪れた師匠の指導を受けていた時期があったのだ。つまり、本職のレイラさんより師匠の指導の方が優れていたということであり。

 

「構いません。複数の師に教わってこそ見えてくるものがあるかもしれませんし」

 

 それだけでなく、俺達の知らない師匠のことを話してほしいとも俺達は訴えた。例えば、師匠の仲間だったほかの人物の居場所など。

 

「強くなるヒントがあれば、手に入れて、強くなってダイ達の役に立ちたいですから」

 

 言っていることに嘘はない。ただ、俺自身は平穏にのんびり暮らしたくてそのためにもダイ達には勝ってもらわないといけないという事情もあるが。

 

「わかりましたわ。ただ、かわりと言っては何ですけれど、村に居る間は村のお手伝いもしていただけるかしら?」

「喜んで!」

 

 実際、そのお手伝いをするのは分裂した俺だが、指導が受けられると言われて俺は反射的に叫んでいた。

 

「それじゃ、俺は元の姿に戻って分裂してきます」

 

 今だ自由に分裂できない俺は障害物の多い場所を駆けまわるか、お互いに殴り合うしか手段がなく、それを人様に見せるわけにもゆかず、レイラさんに一礼すると村の外に向かって進み出し。

 

 

『じゃ、やるぞ!』

 

 モシャスの効果が切れた所で、俺は右腕を天につき上げた。

 

『まずは分裂だ。出来れば三体増やしたい。こことこの近くに居るって言う武闘家の元に修行に出す二人とダイ達の方へ差し向ける連絡要員兼魔法使いへの弟子入り要員だな』

『まぁ、戦士は故人だしそうなるか』

『加えて、師匠にモシャスして能力も扱えるかも試したい。うまく行けば、それでダイ達はまだ会得できてないアバン刀殺法第三の技も使えるようになる筈』

 

 これを下地に繰り返しで身体に覚え込ませれば、ダイやヒュンケルの姿でも第三の技が放てるようになり、うまく行けばオリジナルを越えられるかもしれない。

 

『もっとも、合流したころにはダイは空裂斬覚えてそうだけど』

『それでも覚えておく価値はありそうだな』

『ああ。問題は……俺達、師匠の技って海破斬は模擬戦でよく見せられてたけど、空裂斬は殆ど見た記憶がないんだよな』

『あっ』

 

 ただ、指摘されて思わず声を漏らしたのは、失念していたからだ。野良魔物退治で使ってた可能性もあるが、アバンストラッシュだとか空裂斬を必要にする魔物との遭遇なんて稀だったし、師匠が空裂斬を使わなくてもポップが呪文で対処できてしまった例もある。

 

『少ない記憶のうろ覚えからどこまで再現できるか、だな』

 

 遠い目をするA5に目標は割と遠いと知らされた昼下がりだった。

 

 




次回、八話「後は任せた」に続くメラ。

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