ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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十四話「出したり引っ込めたりする勇気2」

 

「どっ、ドラゴンだッ!!」

 

 町の方だろう、誰かの声がした。それに続いて騎士団を呼ぶんだとか逃げろという声が上がり。

 

「グガアアアッ」

 

 おびえた声に触発されたかの如くどこかで咆哮があがる。

 

「あっちか!」

 

 俺はすぐに咆哮の聞こえた方へと走り出して。

 

「く、くそっドラゴンがなんぼのもんだ! 騎士様さえ来てくれりゃ、どうってことはねぇ! お前らは逃げ」

 

 聞こえる人の声の方向だけ確認して鞘から剣を抜き放つ。

 

「アバン流刀殺法――海破斬」

「へ?」

 

 横手で再び声が上がった気もするが、気にしてる余裕はない。俺が剣を振り切ると絶叫すら残せず斬りとんだドラゴンの首が転がり、頭部を失った身体は崩れ落ちながら慣性で前にすすみ、つんのめって派手に転倒した。

 

「うわあああっ?!」

「ごめんっ、ギリギリすぎて色々余裕が」

 

 本来なら負傷させるに止めるつもりだったが、殺されるかもしれないような人が居ると、そうも言っていられなかった。

 

「おれはアレックス、アレックス・ディノ! ここはおれが引き受けるから、騎士の人を呼びに行って」

「いや、けどよ」

「ドラゴンなら大丈夫、見てたでしょ? けど、誰かを巻き込まない保証までは出来ないから」

 

 早く、とせかせば、首を失ったドラゴンの死体という動かぬ事実があったからだろう。

 

「わかった! すぐに呼んでくるから死ぬなよ!」

 

 それだけ叫んで見知らぬ誰かの足音が駆け去っていった。

 

「さてと」

 

 ここからだ。

 

(流石オリハルコン製の剣。デルムリン島のダイはドラゴラムで竜になった師匠の鼻先を軽く斬りつけただけだったけど)

 

 俺がモシャスの呪文でコピーしたダイはヒュンケルとの戦いに勝利した後のダイだ。やろうと思えば魔法剣も使えるし。

 

(A5と合流すれば補助呪文の恩恵も受けられる)

 

 そろそろA5も分裂は終えた頃だろう。

 

(このまま戦いながらA5と合流して補助呪文をかけてもらえば、効率も上がる)

 

 とりあえず名も知らぬ誰かには俺と言うドラゴンと戦う存在は伝えたのだ。

 

「って、うん?」

 

 思わず声を上げたのは、その直後だった。前方の上空に何故か雨雲が集まりだしており。

 

「なる程、そっちに行けばいいんだね。それじゃ――ライデイーン!」

 

 剣を天にかざすとそこに稲妻が落ち。

 

「喰らえっ、電撃大地斬ッ!」

 

 放った斬撃が後続のドラゴン達の中心で爆発し複数の絶叫が上がった。

 

(ドラゴンの生命力なら纏めて複数にぶちかまして威力の分散したアレなら死んでない筈)

 

 それでも念のため、倒れ伏したドラゴンの一頭がピクピク痙攣してるのを確認して俺は視線を前方に戻し。

 

「ちょ」

「「フシャアアアッ!」」

 

 思わず声を上げたのは、多頭の竜がこちらを認識して威嚇の咆哮を上げていたからだ。

 

「ええい、こうなったら――ライトニングスクライドォッ!」

 

 電撃を纏ったままの覇者の剣で俺はヒュンケルの技を繰りだし。巻き込まれた幾本もの首が飛び散り、胴に大穴を開けた多頭の竜は倒れて動かなくなる。それどころか、後ろにいたドラゴンも右前半身をごっそりと抉られて悲鳴を上げて崩れ落ちた。

 

「うわぁ、魔法剣でブラッディスクライド放つとこんな凄まじい威力になるんだ……これまだライデインなんだけど……」

 

 上位呪文と合わせたらどれほどの威力になることか。

 

(竜の騎士恐ろしッ、ダイには逆らわないでおこう……うん)

 

 その父親と接触するつもりだったことは、とりあえず忘れようと頭を振り。

 

「と、とりあえずこのまま攻め手のドラゴン達に消耗を強いて攻勢をそご――」

『バイキルト……アレックス、はっちゃけすぎでしょ』

 

 次の獲物を探していたところで声がして、俺に補助呪文がかかった。

 

「い、いや。けど雨雲呼んだのはそっちだろ?」

『いや、そうなんだけど。予定外に二人増えちゃったんだけどさ、片方が「俺にいい考えがある」って言い出してね。ポップに変身したかと思えば雨雲呼び出して……確かに位置を知らせるにはよさそうだったよ。けど、異変を察してドラゴンも集まってきてさ。増えた二人はルーラで離脱したけど、俺はアレックス置いていけないじゃん? 透明になって逃げまわりながら雷が落ちたのみつけてここまで来たけど』

「うわぁ」

 

 とりあえずA5が苦労したのが解かって俺は微妙な表情になる。

 

『ともあれ、もうしばらく戦わないといけなそうだね。地面は任せていい?』

「地面?」

 

 俺が聞き返すとA5はあれと少し前方の空を示した。そこには黄色く細長い和風のドラゴンが体をくねらせており。

 

「スカイドラゴンか、ヒドラと言い攻撃初日にしては大盤振る舞いすぎない?」

『原作だと勇者ダイ討伐の総攻撃からハブられてこの軍団の軍団長って機嫌損ねてたし、八つ当たりの面はあるんじゃないかなぁ』

「うわぁ、迷惑……となると派手に暴れすぎても拙いか。気の立った軍団長の相手なんか普通にしたくない」

『うん、そこは同感』 

 

 ハハハと言うA5の乾いた笑いを聞きながら、俺は覇者の剣を構えなおすのだった。

 




ただの無双回でした。

いやあ、しかしライデインぶっ放すとこれはもう誤魔化せませんね。(白目)

次回、十五話「出したり引っ込めたりする勇気3」に続くメラ。
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