ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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十五話「出したり引っ込めたりする勇気3」

『あ、そうだ。ちょうど一緒に居るわけだし、あれも試しておかない? 軍団長専用の奥の手』

 

 A5がそう言い出したのは、俺が剣を構えた直後だった。

 

「え? あれってまさか……」

『そう、あれ。俺もモシャスしたことはあるし、おおよその勝手は解かってるから、維持だけお願いできる? 理論上可能なはずだし』

「あー」

 

 それはここまで来る途中の休憩中に二人で話し合って形だけ作ったモノ。だが、実際軍団長と刃を交える可能性のある今、やっておいた方が良いのは確かで。

 

「わかった」

『それじゃちょっと柄の先っちょに触れるね』

 

 頷いた俺に断りを入れ、電撃が消え始めた刀身へA5は呪文の力を注ぎこむ。

 

『ベ・ギ・ラ・ゴ・ンッ!』

 

 呪文の種類こそ違うが、各上呪文でやったらどうなるかの答えが、今まさに顕著した。極大の閃熱によってオリハルコンの刀身はまばゆい程に赤みがかった白い光を放ち。

 

『維持だけよろしくね』

「っ、わかってるけどぉ――」

 

 ライデインでさっきの惨状である。

 

(けど、原作のダイって竜の紋章出てる時、バギ系なら極大呪文扱えたような)

 

 何故使わないかと言う疑問が一瞬頭をよぎったが。

 

「グルアアアッ」

「わっ、そう言えば戦闘中だった?!」

 

 俺は飛びかかってきたドラゴンへ慌てて剣を振り下ろし。

 

「グギャアアッ」

「は?」

 

 アバン流刀殺法すら使わぬただの斬撃で襲いかかってきたドラゴンは断末魔を上げ、息絶えた。

 

『うわぁい、流石は極大呪文だー。凄いぞアレックス―、強いぞー』

「ちょ、現実逃避すんなって共犯者!」

『じゃ、現実に立ち返るけど……魔法剣の維持ちゃんとしないと。集中切れて消えかかってる』

 

 思わずツッコむ俺にA5はこちらに向き直るなり覇者の剣を示し。

 

「へ? うわわっ」

 

 俺は慌てて維持の為剣と剣にかかった魔法に意識を集中させる。

 

「はぁ、危なかった……」

 

 極大閃熱呪文は素の俺も使う呪文だからか、理論上可能なはずとA5が言った通りA5の手が離れても維持は出来ていたが、消えかかったところから持ち直すのはちょっときつかった。

 

「まったく、そう言うことはもっと早めに――」

『マヒャド! マヒャド! マヒャドっと!』

 

 言ってくれよと視線をA5の方に戻そうとすれば、上空目掛けて呪文を三連続で斉射するA5がそこに居て。

 

「シュギャアアッ」

「フシュアアアッ」

 

 黄色い龍達はA5の呪文を浴びて身体を凍てつかせ、風に乗る力を一時的に失ったことで絶望の色を帯びた断末魔を上げながら墜ちて行く。

 

『あの高さからあれだけの巨体で落ちれば、まぁ、まず助からないだろうし、一丁あがりっと』

「はっちゃけ過ぎとか人のこと良く言えたね、A5」

 

 俺は呆れ半分に非難の目を向けるもA5は仕方ないでしょと悪びれもせずに言った。

 

『この世界で電撃魔法を操れるのは、竜の騎士って呼ばれる存在だけ。そろそろ逃げないと、出てくるよ、軍団長』

「あ゛」

 

 同じ俺だというのにこの差は何なんだろうか。

 

「ちょっ、まだ心の準備が」

『だろうね。と言う訳で、今日は撤退するよ? ルーラッ!』

「あっ」

 

 少々強引に瞬間移動呪文に巻き込まれた俺だったが、抗議するつもりはない。

 

(むしろ助かったよな、今のは)

 

 ちらっと背中に剣背負ったオッサンが飛んでくるのが遠くに見えたような気がしたが、あれは気のせいだと思いたい。

 

『ふぅ、到着』

「っと」

 

 そして、A5の瞬間移動呪文で俺が連れてこられたのは、小さな木こりの小屋だった。

 

「そっか、ここならカールの城下町からあんまり離れてないし、村人に見つかることもない……」

 

 欲を言うならもう少しカールよりの移動先があればよかったが、この小屋から先では魔王軍のさまようよろいと幾度か出くわした。一時的に敵の勢力圏内になってる場所へ考えなしに飛ぶ愚をA5は避けたんだろう。

 

『大丈夫だと思うけど、村の方も気になったし、村の様子を見てから俺達の手が必要なさそうなら、さっきのドラゴンの群れに今度は後方から攻めかかるよ?』

「えっ」

 

 感心していたところでまた戦いに出ると聞いて俺はA5の顔を二度見し。

 

『軍団長はAにつられて前方に出張ってきてたし、派手に大きなのぶちかましてから、今度は撤退。それなりに敵軍に被害は与えたし、このまま被害を無視して力攻めとかまともな指揮官ならしないでしょ』

「そ、それはそうかもしれないけどさ」

『あとここから余計な会話は禁止ね。敵の軍団長に原作だとザボエラがくっついてきたはずだから。監視用の悪魔の目玉だっけ? あの使い魔はザボエラの部下だった筈だから、今後は監視の目が広がる筈』

 

 こっちの情報持ってかれるのは拙いでしょと言われるとぐうの音も出ず。

 

『あ、雨雲まだ残ってるからそっちはライデイン系の剣技でよろしく。軍団長がカールの方に向かってゆくと被害増えるから雷でこっちに誘引する意味も兼ねて』

「あー、うん」

 

 誘引に効果がありそうなのは思い知った後だけに拒否もできず。

 

「けどルーラは任せたよ? 捕捉されるわけにはいかないんだから」

 

 かわりに俺はA5に念を押したのだった。

 




次回、十六話「神出鬼没な謎の少年」に続くメラ。

本日もう一回更新するかは未定。
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