ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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十六話「神出鬼没な謎の少年」

『はぁ、昨日は生きた心地がしなかった……』

 

 あの後敵の最後尾に俺が未完成ライデインストラッシュをぶちかまし、A5がイオナズンを三連斉射した直後にルーラの呪文を唱え、俺達は戦線を離脱した。そして飛んだ先でランタンを回収し、モシャスの切れた俺がランタンに入ってダイにモシャスしたA5に回収されて、透明化呪文でカールの城下町に帰還。宿に戻って今に至る。

 

(けど、一時的にも退いたってことは流石に被害を無視できなかったんだろうな)

 

 俺が去った後駆けつけたカールの騎士団が残ったドラゴン達と戦ったようだが、まともに戦えないドラゴンもそれなりに居た上、指揮する軍団長は雷の落ちた場所へ急行して指揮どころではなく。

 

(散々振り回して俺達はルーラで姿を消し、残ったのは数が減って手傷を負った手勢。しかも一部が交戦中で被害が拡大するのは火を見るより明らか)

 

 姿を消した俺達がまたどこからか現れない保証もない。敵の軍団長からすれば業腹だったかもしれないが、手勢には脅威となる謎の敵が存在するという想定外の事態だ。

 

(俺が軍団長だったとしても一時撤退を選んだだろうな)

 

 そして、次に手を撃つとしたら、索敵だ。

 

(思いつく手段としては、捨て駒にここでも近くの村でもいいから襲わせておびき出し、敵を確認する。もしくは悪魔の目玉を大量に動員してあちこちを調べさせる)

 

 ザボエラが居るなら部下をモシャスでその辺の村人に化けさせて潜入し情報を探らせるなんて手を取るかもしれない。

 

(しかし、モシャスか……この世界のモシャスの呪文ってレベルが下の相手しか能力ごとコピーできないんだっけ)

 

 例えば最初にクロコダインと戦った段階で、俺は師匠を能力ごとコピーすることは出来なかった。ダイとヒュンケルが最初に遭遇した時、不死騎団のメラゴースト達と一旦合体することで得た経験値、そしてヒュンケルとの戦いで得た経験値、ダイとの模擬戦で得た経験値と実戦経験や修行などもろもろで得た経験でレベルアップした結果、師匠のレベルを超えてようやく実力や技まで模倣できるに至ったのだ。

 

(つまり、強者にモシャスして同じ強さになるにはその強者を超えたレベルに至らなければいけない訳で……簡単に強くなれないように上手くできてると言えばそうなんだけど)

 

 故に敵の軍団長と出くわした場合、その姿と実力を俺がモシャスするのは、たぶん無理だろう。

 

(けど、そう言う仕様で救われてる部分もあるんだけど)

 

 例えば魔王軍でこのモシャスの呪文の使い手であるザボエラは自身の保身を優先で考え、前線に立つのを避ける性格をしている。

 

(もし自分が矢面に出てきてガンガン実戦経験を積んでゆくやつだったら、モシャスで実力をコピーする相手はより取り見取り)

 

 俺の様に近接戦闘が向かなくても実力以下で近接戦に向いた同僚の姿と力を一時的に借りるなんてことができたはずだ。

 

(万が一を考えるなら、そこに気づかれる前に倒しておくのも一つの選択かもな)

 

 原作の流れを修正不可能レベルで変えてしまうのは間違いないので個人的には気が進まないが。

 

『それでA5、今日はどうする?』

「ん? あー、敵の動きを探るためにもいろいろするよ? まず人間に化けた部下に情報収集させてる可能性を考慮して、買い物ついでに神出鬼没な謎の少年の噂をばら撒く。『カールの北の方でよく見かける』みたいなちょっとした偽情報と一緒にね」

 

 A5曰くこれにつられるようなら敵の使い魔なり人に化けた敵が潜入している可能性があるってことだからと続け。

 

「その上でここから北の方を見に行く。もちろん透明化呪文をかけた上でね。後は敵の出方次第かな? 軍団長が居たらスルーして帰ってきてもいいけど」

『居なかったら?』

「それこそ敵次第。敵が居るなら広範囲を攻撃できる強力な呪文や技で不意打ちしてからとんずらとか。脅威が敵軍団長一人だから、分裂とモシャスでライデイン要員複数作って錯乱するのとかもありかも」

『一時は効果ありそうだけど、それ多用すると敵の軍団長がブチ切れしかねないし、モシャスのからくりに気づかれない?』

 

 そう俺が指摘すると、じゃあこれは無しだねとA5は案を引っ込め。

 

「それで、A。今回の戦いの落としどころはどう考えてる? 軍勢の方はどうにかなっても、軍団長には勝てないってのはAもわかってると思うけど」

『うーん、やっぱり原作の通りカールの女王様だっけ? とにかく王族には落ち延びてもらうしかないと思ってる。だから、ある程度戦って敵に本気を出させ、カールの人達に勝ち目がないことを知ってもらった上でお城を捨てて逃げ延びてもらう、みたいな』

 

 俺が昨日の戦いで敵軍に犠牲を出したのも、それが理由の一つだ。

 

「なるほどね。けど、それって敵軍団長の強さをカールの人達が知る必要が出てくるよね?」

『俺達が敵と戦うのをやめれば、必然的に戦いの矢面に立つのがカールの人達になる筈。さっきの神出鬼没と絡めて「その少年は助けを乞われてここ以外の町や村に向かった」ってことにしておけば』

「ここが攻め時であり『苦戦すれば噂の少年が駆けつけるかもしれない』と敵の総攻撃を誘う訳か……それ、俺達でカバーできないから犠牲は出るよ?」

『けど、これしか思いつけなかった……よそ者が「敵わないから逃げてくれ」っていっても聞いてくれると思えないし』

 

 そう、と短く漏らしたA5はちらりと窓の外を見る。

 

「噂を撒いて、それに引っ掛かるかの確認に一日。この日に介入を減らして他の町や村に姿を見せるとして、決戦は早くて二日後か」

 

 窓ガラスに映るダイの顔をしたA5に俺は無言で頷いたのだった。

 




尚、バランのレベルは45だそうです。フレイザードが35。

主人公、届いてるか本当に微妙なところ、なのかなぁ?

次回、十七話「プチ遠征」に続くメラ。
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