キリングバイツ 平和島   作:池袋の取り立て

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また変なのに絡まれたりして

 静雄の部屋にてベッドを占領する気満々な瞳とそんな瞳に呆れながらも女を床に寝かせる気はないのか布団を買って戻ってきた静雄、そして瞳に土下座していた大男。

 

「で、誰だよお前」

「自己紹介が遅れもした。おいの名前は、岡島壱之助。石田財閥所属の獣闘士(ブルート)でごわんど」

 

 岡島と言うらしい大男も獣人らしい。

 彼いわく獣闘士(ブルート)は三門、八菱、角供、石田の4大財閥何れかに属するらしい。

 

「知ってたか?」

「知らねえ………」

「………と、とにかく! 石田財閥に所属して、おいの仲間になってほしかと!」

「やだ」

「……………」

「……………」

「……………」

 

 瞳の即答に空気が固まる。先に復活したのは岡島だ。

 

「み、味方は多い方が良かっと。いつ他の財閥所属の獣人がおはんだけでなく平和島殿も狙うかわかん。おいと組めば、奴等も早々好き勝手はできもはん。平和島殿の安全のためにも……」

「うるさい。別に問題ねえだろ。そいつ強いし……私にも味方もいらねえ」

「な、なぜでごわんど………」

「私が一番強いから」

 

 その言葉に静雄は目を細める。何となく解っていたことだが、この女かなりの傲慢である。

 静雄は知らぬことだが獣人とはそもそも人の遺伝子に含まれる動物の因子を抽出し強化する。ライオンや豹などの大型動物の縄張りに入り込み平然と居座り獲物を盗み見つかれば逆ギレする食物連鎖の外の動物とも言えるラーテルの因子を引き継ぐ瞳はそれ故に傲慢で恐れ知らずな性格をしている。

 

「つってもな、俺としては仲間を作って欲しいがね。俺からすりゃ、お前って最強か?って感じだし」

 

 しかし、静雄という食物連鎖に参加したらただ一匹頂点に刻まれる存在からすれば、ラーテルの因子を引いていようがライオンの姿に変身しようが、等しく下。見下す、ではなく事実として上なのだ。

 

「ああ!?私の実力疑ってんのか!?朝のあれは不意をつかれただけだ!私の方が強い!」

「………確かにおはんは強か」

 

 静雄に噛みつかんばかりの瞳だったが岡島の言葉に意識をそちらに向ける。

 

「じゃっどん、このままでは負けもす。天分の才で生き残れる程「牙闘」(キリングバイツ)は甘くはなか」

「てめぇ、誰に向かって説教してんだ。()んのか。ああ?」

「瞳、落ち着け」

「離せこの静雄てめえ!」

 

 一種即発の気配に流石に部屋で暴れられては敵わない静雄が瞳と岡島の肩に手を置き二人を話す。岡島は自分の巨体があっさり押された事に驚き目を見開く。

 

「つーか岡島さんだったか? その派閥ってのは全員入ってるもんなのか?」

「実力があるなら大体は入ってもうす。フリーではデストロイヤルにも出られぬ故」

「デスト? 良くわからんが、その手のに出て欲しいなら祠堂のおっさんから連絡が来ると思うんだよ。何処に所属して欲しいとかもな。俺はあくまで預かってるだけだし、悪いけどここで決めるのは」

「そっか! 一応祠堂さんに連絡しなきゃだよな! って、メール来てる!?」

 

 と、携帯を使うためにカバンを広げる瞳。と、携帯にメールが届いているのに気付く。

 

「………解った。協力する!」

「………は?」

 

 と、その時静雄も己の携帯にメールが来てることに気付く。祠堂からだ。石田財閥に臨時雇で仮登録しろとのことだ。

 

(……このタイミング。どっかで監視してんのか? あと多分、デスなんとかってのがちけえのかもな)

 

 面倒くさいことになりそうだ、と静雄は頭をかいた。その日は何故か岡島も静雄の部屋に泊まった。

 

 

 

 

「おう静雄………隣の嬢ちゃんは?」

「すいませんトムさん、ついてくって聞かなくって」

 

 翌日、金融の仕事のために高校でも仕事先でも先輩であるトムと合流した静雄だったがトムは静雄についてきた瞳を見て何とも言えない顔をする。

 

「まあ仕事の邪魔はしないそうなんで」

「そうか? あんま見てて気持ちいいもんじゃねえと思うがねえ。嬢ちゃん俺等の仕事知ってる?」

「ああ、闇金!」

「………うちは合法なんだけどなあ。まあ静雄が少しやり過ぎることはあるけどそこは金で解決してるし」

「お〜、悪い奴らっぽい」

 

 

 

 

 そして瞳も伴い移動する静雄とトム。その光景が、ネットで騒がれていた。

 

『平和島静雄が女連れてるぞ!』

『またその話かよ』

『今度は別の女だ!JKだ!』

『まじかよ、普通にやばくね?』

『いや俺も見たけどあれどっちかっつーと妹っぽくねえか?ジュースあげてるし』

『平和島静雄の妹?』

『そういや昨日平和島静雄が車にひかれたって。ほら、あの今朝ニュースでやってた事故車!運転手がバーテンダーがどうのこうの言ってたって!』

『マジかよ、じゃあ今静雄怪我してんのか?』

『なんか前にもなかったかこんな事』

『あん時とはちげえ。今、俺ちょっと良いもん手に入れたんだよ。今なら、勝てるかもしれねえ!』

 

 

 

 

 早速借りた金を返さない男の居るマンションにやって来た。結構いいマンションに住んでる。インターホンを鳴らすと軽薄そうな男が出てきた。

 

「やあお兄さん。貸してた金を返してもらいに来たよ」

「ああ? 金だあ。俺はんなもん借りてねえよ」

「いやいや、ちゃんとお兄さんの印鑑と免許証、住所全部書類に残ってるからさあ、そういう嘘はちょっとねえ」

「なんだよ。俺が嘘ついたって証拠あんのか?名誉危険罪だなあ。つーかなんだあんたその格好。だっせぇ! 金返せなんていうぐらいだもんなあ? 相当安物なんだろ?」

「あ〜……こりゃ静雄の事知らねえ馬鹿か」

 

 ピクピク静雄のこめかみが震えてるのを見てトムはそっと距離を取る。

 

「何だどうした?」

「お?何だそのおっさん。ギャハハ、だっせえ!」

 

 部屋の奥からぞろぞろ出て来る男達。中にはビール片手に顔の赤い男までいる。

 

「ちょっとはかっこよくなるように俺が模様つけてやるよ」

 

 その男がビール缶の中身を静雄に向かってかけようとしたが、静雄が手を払いビール缶が通路に転がる。

 

「何すんだテメ………え、あ……あれ?」

「おいおいどうした〜?」

「う、腕ぇ!!俺の腕がああああ!?」

「「「!?」」」

 

 ニヤニヤしていた顔は一点。驚愕に染まった顔で腕を折られのた打ち回る仲間を見る男達。

 

「さっきから、黙って聞いてりゃ好き放題………借りた金は返さねえ幽の服は馬鹿にする。いい加減にしろよてめぇ等ああああ!!」

 

 トムは静かに合唱。次の瞬間、ビルの通路に静雄の足が叩きつけられ亀裂が走る。

 そして、腕が折れた男が池袋の空を舞った。

 

 

 

 

「やっぱ闇金じゃん」

「器物破損はしてるが法外な金は請求してねえって」

 

 結局暴力で解決する静雄を見て瞳がそんな事を言う。トムははぁ、と肩をすくませた。というか途中からこの女の子も暴力に参加しようとしてなかったか?

 

「あれ?おーい、静雄さ〜ん!」

「ん?ああ、舞流、九瑠璃、茜もか」

 

 その声に振り返ると三編みに眼鏡の活発そうなスレンダーな少女とショートヘアで無表情の胸のでかい少女、そして小学生ぐらいの少女が居た。折原姉妹と粟楠茜だ。

 

「こんにちは〜!」

「………こんにちは」

「こ、こんにちは静雄お兄ちゃん」

「あれ?あれれ?静雄さんったらまた別の女の人連れてる!」

「……かわいい」

 

 舞流が興味深そうに瞳の周りでクルクル回り、九瑠璃もジッと見つめている。

 

「ていうか私達とおんなじぐらい? 静雄さんってば年下もいけたの? じゃあ幽平さんに彼女出来ちゃったし静雄さんあたし達と結婚しようよ!」

「何でそうなる」

「………幽平さん、義理の弟」

「おお、一石二鳥!」

 

 静雄ははぁ〜、と長い溜め息を吐いた。

 

「あのなあ、そんな理由で結婚しようとする奴と、結婚したいなんて思えるわけねーだろ。第一まだお前等ガキだろ」

「え〜。じゃ、私達が大きくなったら考えてくれる?」

「そうだな……そん時は、もう少し考えてやるよ」

「あ、でもその頃には幽平さんも彼女さんと別れてるかも!?」

「ないとは言わないけどよ、あんま不吉な事言わないでくれ。つーかその頃には俺にだって彼女出来てるかもしれねーぞ?」

「し、静雄お兄ちゃんは彼女が欲しいの?」

「あ〜。まあ、父さん達にも孫の顔見してやりたいとは思ってるよ」

 

 まあ当分先だろうがな、と笑う静雄。茜はホッと胸を撫で下ろす。

 

「丁度いいや。この子見てやってくれないか? 次は女房や子供もいて見てて気持ちいいもんじゃねえから」

 

 トムはそう言うと静雄を連れ去っていく。瞳はまあ静雄なら襲われても大丈夫だろうと歩き疲れていたので休む事にした。

 

「なんか前にもあったねこんなの〜」

「………あった」

「また変なのに絡まれたりして!」

「……不吉なこと、いわないの」

 

 とはいえ、と折原姉妹達を見る瞳。平穏な日常を生きる彼女達とは、どうにも空気が合いそうにない。

 

「ちょっとトイレ行ってくる」

「いってらっしゃ~い」

 

 

 

 

 トイレの個室でふと静雄のことを思い出す。車で逃げようとしていた相手に、止まれの標識をぶん投げて車の目の前に突き刺し無理やり止めたりしてた。本当に人間なのだろうか?

 だけど、そんな力を持ちながら日常を謳歌する。平気で、警戒心の欠片もなく抱き着いてこようと舞流などどれだけ平和ボケしてるのか。

 

「反吐が出るよね。あんな平和ボケ共がこの世に存在するなんて」

「!」

 

 不意に上から声がする。

 

「………誰?」

 

 見上げれば、そこには同い年のツインテールの少女が天井と壁の隙間からこちらを覗き込んでいた。

 

「私、中西獲座(エルザ)。八菱財閥の獣闘士(ブルート)よ。よろしくね♡」

「八菱?」

「うちのが一人挨拶に行ったと思うんだけど」

「私が知るかよ。静雄がぶっ飛ばしたんだろ」

「嘘ばっかり! ただの人間が、あの「山荒」(ラウディ)に勝てるわけ無いじゃん」

 

 と、笑いながら個室の中に降りてくるえるざ。

 

「あんな男より、私が興味あるのはあなただけよ」

「何だよ、こんなところで()ろうってのか?」

「そうね」

「!」

 

 と、不意にエルザはその場でしゃがみ込み瞳の下着に手をかける。

 

「ココでヤッちゃうのも、アリかも♡」




果たしてこのあと現れる熊とかゴリラとかの運命や如何に
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