とある戦姫の翳裂閃光   作:ドナルド・カーネル

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どうも作者です。
活動報告にも書いたのですが、4月からこちらも更新が遅れます。
申し訳ございませんが、これからも応援よろしくお願いします。
そして小ネタです。
題名::黄色い炭酸と白い泡が繋ぐ絆
小萌・セレナ「「んぐんぐんぐ、プハーーーっっ!!!!!」」
小萌「ふはー、相変わらずいい飲みっぷりですねーセレナ先生〜」
セレナ「そちらもいい飲みっぷりですよ小萌先生〜」
小萌「本当、この1杯のために生きてるって感じですね〜」
セレナ「はぁ、どうしてこう仕事終わりのビールって格別なんですかねぇ」
小萌「それは、自分が今日1日頑張った証だからじゃないですかね〜」
セレナ「なるほど〜」
小萌「それでは〜、今日1日頑張った私達に!」
セレナ「はいっ!私達に!」
小萌・セレナ「「カンパーイっっ!!!!」」


催眠術なんて信じない/fifth days

1

「・・・本当にできちゃった・・・・・」

 

「ZZZ・・・・・・」

 

ベッドの上でぐーすかと眠っている上条当麻と、ノート片手に呆然と立ち尽くしていた立花響という状況が読めないシーンになっていた。

 

(こいつ、本当に催眠術にかかったよ!?)

 

何故こうなったのか、時間は少し前まで戻る!!

 

 

 

 

 

 

 

2

「・・・しゅくだいもうやぁ」

 

「・・・幼児退行したところで気持ち悪いだけだからさっさと終わらせなよ」

 

「あまりのツッコミの辛辣さで余計やる気無くすわ!」

 

だが上条もまたあの態度は気持ち悪い反応だわな、と余計にやる気を無くしていた。

さて、中学生上条当麻が自宅の机に向かっていたのは夏休みの宿題(この世全ての○)を片付けるためだったが、そんなものは上条の経験則からいえばやる気を出してやるものではなく、尻に火がついてから終わらせるものなのでこうやってチマチマやるのは勝手が違いやる気がなくなっていた。

 

「・・・そもそもこういうのって、7月時点で終わらせとくものでしょ。しかもあんた、今受験生なんだから受験勉強とかやんないとヤバいんじゃないの?」

 

「うるせー!この優等生めっ!あれですか、やさぐれ不良娘感醸し出してるのに実は裏では人一倍勉強している的なギャップ萌えでも狙ってるのかっての!?」

 

「え、何で私怒られてるの・・・」

 

最近よく見るキレやすい少年の八つ当たりを受けても、立花は怯む様子もなく上条の隣にいた。正確に言えば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()にである。

 

上条の住んでいる寮はお世辞にも広い場所とは言えない。

元々一人暮らしのワンルーム部屋で食う寝ることさえ出来ればいい場所であるため、4人も集まれば歩くことすら少し難しいものだ。

しかし今は2人しか部屋にはおらず、ここまでくっつかなくても座るスペースはあるのにも関わらず、立花は上条の真横でたまに勉強を教えながら、彼のことを見ていた。

 

「・・・あの立花、もうちょっとスペース開けても「嫌」そ、そこを何とか「迷惑じゃないんならいいでしょ」は、はい・・・・・」

 

(嫌ではないんだけどさ、ちょっと勉強に集中するのが難しいんだよ!こう匂いとか感覚がリアルすぎてさ!!)

 

思春期少年にはあまりにも甘美で、少しでも触れてしまえば恐ろしいことになりそうな距離感。

嬉しいという気持ちよりも、焦りのほうを感じていた。

 

「・・・手、止まってるよ」

 

「わ、分かってるよ!」

 

全然集中なんて出来ないまま、目の前の問題に取り組み始めた。

そして、そんな彼を見ている立花はというと・・・。

 

(・・・ああ、なんだか落ち着くな)

 

そう思いながら、あと少しで彼に触れる距離まで近づこうとする。

近づく度に、少年の匂いや少年の体温が濃く、感じやすくなる。

 

(・・・未来がいたときも、こうやってくっついてたっけ)

 

まだ自分の世界にいたときも、幼馴染みであり、自分の親友だった少女に今以上にくっついっていたな、と思い出にふける。

それは楽しくて温もりを感じる記憶であり、思い出す度に心が締め付けられる記憶でもあった。もし彼が居なければ、泣いてしまいそうなくらい辛い記憶なのだ。ぽっかりと穴が空いたような感覚はとても辛かった。

 

そして、少女の心は気づいてはいないが、どこかでその少年のことを陽だまり(居場所)になって欲しいと思い始めていた。

だからこそもっと近づいて彼に触れたいと思いながら、心の何処かで彼に嫌われたらどうしようかと考え出すと、あと一歩が近づくことが出来ないままだった。

ただ今は、この微妙な距離感を噛みしめていた。

なんだか複雑そうな少女の顔を見た上条は、気をつかい暇つぶしなるようなものを探し出す。

 

「・・・なあ立花、暇だっておもうんなら本棚にある本読んで時間潰してても良いんだぜ」

 

「・・・・・、」

 

彼からの提案に乗ったのは、暇だと感じていたからなのだろうか。言われたとおり本棚から本を選び出すが、如何せん男子向けの漫画かライトノベルしか置いておらず、これが読みたいなと感じる物はなかった。

そうやって本棚を触っていると、一冊だけ、漫画ではなく大学ノートが挟まっていた。

ノートの題名部分には『雲川芹亜のさいみん☆ノート』といったふざけた文字が書かれていた。

 

「・・・何これ?」

 

「あ、それ先輩から借りたノートじゃん」

 

「先輩って・・・?」

 

「ほら、昨日会った頭にカチューシャ付けてた人だよ」

 

「・・・・・アイツか」

 

いつもより少しだけ低く、冷たい声が立花の口から漏れた。

あの女。上条の先輩であり、彼にベタベタとひっつき、まるで自分の所有物だと言わんばかりにその光景を見せつけた女。

彼は私のものではない。だからといってお前のものではないだろうが。そんな苛立ちを感じ始めていると、上条が何か思いついた顔をしていた。

 

「なあ立花。もしよかったら催眠術体験してみねえか?」

 

「・・・はぁ?なんでまた」

 

「さっきっから何か暇そうにしてたし、俺も休憩がてらに本当に効くか試してみたいんだよ。なあ頼むよ~」

 

「・・・分かった。ただし私も後であんたに催眠かけさせて貰うから」

 

(まあこうすれば、こいつもふざけた命令は出来ないでしょ)

 

そんな風に立花は考えながら上条にノートを手渡した。いくら超能力がざらなこの町だからこそ、催眠術で人を操れるなんて本気で信じてはいないであろう。

そして上条はノートの手はず通りに五円玉に糸を通し、いかにもといった振り子を作り出した。

 

「よーし、じゃあベッドに座ってくれ」

 

こくり、と頷いて立花はベッドに腰掛けた。上条はそんな彼女の目の前に立ち、彼女の顔ではなく、ノートを見ながら、

 

「じゃあ行くぞ。まずは・・・この振り子をきちんと凝視して下さい、っと・・・・・」

 

(・・・なんかこういかにも、ってやつだな。本当にこんなので催眠なんかにかかるのかな・・・・・)

 

少年の指示に従い、振り子の動きを目で追いかける。

と、

 

「見せかけてからのドーーンっ!!!!」

 

パァン!!と顔の前で手を叩いた。

急に耳の響いた音に驚いたが、顔に出さないよう気おつける。

テレビショーなんかだと、この後催眠にかかるのだはそんな感覚には陥っていない。

 

「あれ、成功した、のか・・・?あのー、リラックスしてくださーい」

 

「・・・・・、」

 

立花はベッドの座り込んだまま体をだらんとさせ沈黙を続ける。

もしかしたら今までのは準備運動で、ここからが本番なのではないのかと次の指示を待つ。

だが、少年は少女の顔の前で手を振ったり、明らかにもう最後の段階に進んでいるようにしか見えなかった。

 

「ちゃんとかかった・・・。すごい、『先輩』のノートはまじだったんだ!俺みたいな素人でも成功するって、やっぱり『先輩』はすごいなーっ!!」

 

(いやかかってないし!?てかなんで、私の演技力を褒めずにアイツのこと褒めるのよっ!!?)

 

イライラゲージが溜まり出すが、もうちょっとこのままの状態でいて、時を見計らって驚かしてやろう、とタイミングを見計らい始める。

それと、遠回しにふざけた命令はやめろと言った彼はどんな命令を出すのか気になり始めた。

 

「じゃあ最初の命令は・・・・」

 

と、ノートを見ながら上条当麻は言った。

言いやがった。

 

 

 

「じゃあ、服を脱いで下着を見せてください」

 

 

 

「・・・・・ッッッ!?!?!?!?」

 

思わず心臓と手が飛び出しそうになる。

手を出さなかった自分を本当に褒めてやりたい。

表情には出なかったが、身体は小刻みにプルプルと震えていた。

だがそんな様子に上条は気づいていない。

 

「アレ、上手くいかないな。まずこれを試さなきゃダメだって書いてあんのに・・・」

 

「・・・・?」

 

薄くまぶたを開け、ノートに書いてある文字を読んでいく。

 

「『恥』は人間の抵抗力を表す重要なパラメーター。相手を制御下に置いているのかを確認するため、まずは強い『恥』を与える命令でテストする必要あり。例えば自分の手で下着を見せるとか・・・」

 

(あの女・・・・・っ!全力で適当な事書いて・・・・・っっっ!!!!)

 

このインチキノート。少なくとも目に見える範囲では、卑猥なことに向かうように書かれてある。

一体誰に、やらせることを目的に書いたのか。まさか自分にやらせる事を前提でこれを作ったのではなかろうか。

どちらにせよ、こんなものを真に受けてやるのは本当のバカだけで、目の前の少年はそれに該当する事が分かった。

 

「で、でもまずいぞ・・・。催眠に失敗してるのにだらーんとしてるのってまずくないか!?確か催眠を解除するページ・・・っ!?」

 

(ちょっとまて。まさかこいつ、この馬鹿げた催眠を誰かにやったことあるのか・・・っ!!?)

 

「あった!・・・そうそう、緊急時の催眠解除方法。催眠の失敗は、場合によっては記憶や人格の破綻をもたらす恐れがあり」

 

(はぁっ!?そういった説明先にやるべきでしょっっっ!!!!??)

 

「緊急解除の際は躊躇しないこと。ただし強く呼びかけたり、頬を叩いても効果無し。命令を拒む力を生み出す最大の『恥』の感情を最大限膨らませること」

 

(え、それって・・・)

 

「例えば、パンツを脱がしたり、口づけをするなど・・・」

 

「それはだめでしょうがぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!!!!??」

 

ついに感極まったか。

少女の拳が少年の腹に突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

3

「・・・おい起きろ。バカ」

 

「ぐへぇ」

 

横腹に鈍い痛みが走った。どうやら足蹴りされたようであった。ゆっくりと息をしながら声のした方を見る。そこにはいつもの何倍も不機嫌そうでありながら頬を赤くしていた立花がいた。

 

「・・・あんたさぁ、それ一回やったことあるんだよね。じゃあその時どうなったかを憶えてないのかなぁ!?」

 

「い、いや俺これやったのも読んだのも初めてなもんで・・・」

 

「その割にはどのページに何が書いてあるか分かってたじゃん!」

 

そう言葉の追撃を受けるが上条の記憶にはこの催眠術を誰かに試した記憶(思い出)はなかった。

だがどのページに何が書いてあったかという記憶(知識)はあった。

それは、違和感としか言い様がなかった。そしてそんな違和感を、ここ最近も感じたのを思い出す。

四日前、銀行強盗があったあの日。銀行に行く前、朝食を作っていたときに見覚えのない紅茶缶があったのを思い出す。

今もあの紅茶缶を何時貰ったのか思い出すことも出来ない。

 

(やっぱり、俺なにか忘れてるのかな・・・)

 

「・・・ねえ上条、聞いてるの上条っ!!?」

 

「!ご、ごめん。聞いてなかった・・・」

 

「ハァ。聞いてないならもう一回言うよ、さっさとベッドの上で横になって」

 

「え、なんでまた「拒否権があると思ってんの、このセクハラ変態色魔め・・・」は、はい・・・・・」

 

言われたとおりベッドに横たわる。立花の手を見ると、催眠ノートが手にあった。

真剣な表情でノートを読み込んでいるようで声をかけるのを少し躊躇うほどの顔であった。

 

「・・・よし、じゃあ今か言うとおりにしてもらうから」

 

「お、おう。何でも来いやぁ!!」

 

 

 

数十分後。

 

 

 

「ZZZ・・・」

 

「なんで成功したのよ・・・っ!?」

 

小声で目の前の事態にツッコミを入れる。彼がノートから手を離したとき、どうやら自分にかけたのは女性のかける専用であり、男性はまた別の方法でかけるようだったのだ。

そして実際に成功するなんて思ってもおらず、彼の人の良さを鑑みるに自分と同じく催眠にかかった振りをする考え、先程の恨みを晴らすべく催眠をかけたのだったが、

 

「まじか・・・・・」

 

頭に手を当て、困った顔をしてしまう。完全に爆睡状態に入っており、こちらの指示を聞く様子はなかった。

グッスリと眠ってる彼を見て、ここ最近の彼の睡眠状態を思い出す。

明らかに眠る場所で寝ておらず、それを気にかける様子を見せずに生活していた。だけど身体は限界を迎えていたようで、眠るべき場所で眠っていると、グッスリと眠っていた。

 

「・・・・・、」

 

催眠ノートによると、この催眠をかけられた人物は人の言うことを聞くか、半日以上眠ったままになるかである。

彼は後者の方であったようで、もう彼が今日起きることはありえない、という状況。

 

「・・・今なら――」

 

今なら、自分の願いを叶えることが出来るのではないのだろうか。

そう思った彼女の行動は早いものだった。

幸か不幸か、彼の眠っているベッドには人が一人眠れるスペースがあった。

 

「ZZZ・・・・・」

 

「・・・・・いい、よね」

 

誰にも、少女の呟きは聞えず、彼女は少年のベッドの横に寝転がる。

眠っている彼の顔がとてもよく見える。呼吸が、体温が、匂いが、先程よりも鮮明に伝わってくる。

ゆっくりと、彼の寝顔に手を近づける。体温と感覚が、掌から伝わってくる。

 

(・・・当り前だけど、生きてる。今の私は、一人じゃない)

 

ここに、彼が居ることを示している。現実の存在することがはっきりと、分かってくる。

 

(・・・だめだ、眠く、なって・・・・・)

 

ゆっくりと、少しずつ眠くなってきた。

意識が少しずつ落ちていくが、それでも何か、彼との繋がりが欲しくて、少女は彼の服を掴みながら、眠りに入った。

その時の、少女の寝顔はとても嬉しそうな顔であった。

 

 

 

 

 

 

4

「でさー、そいつビビりながら俺に金渡してたんだぜ」

 

「相変わらず、小遣いの稼ぎ方が荒えなお前」

 

二人の男が話しながら、深い夜の公園を歩いていた。

会話の内容からして、彼らはスキルアウトと呼ばれる人間達であった。

彼らは無能力者ではあるが、いや無能力者であるがゆえに、彼らの懐にはナイフや拳銃といったものを何時も懐に忍ばせていた。

公園の真ん中あたりまで進むと、そこに『ナニカ』が立っていた。

 

「ん、なんだあれ?」

 

「新手のホログラム映像かバルーンじゃねえの」

 

男の一人が、見慣れぬそれに近づいた。

 

「なんか人みたいだな」

 

それは、人のような形を模しており、色は黒色であった。

男はゆっくりと、興味心から手を伸ばす。

そして、それに触れた瞬間、

 

()()()()()()()()()()()

 

 

「!?」

 

それを見た男は驚き叫びながら、懐に忍ばせていた拳銃を取り出し撃ち始めた。

パンパンッ!火薬が破裂する音と共に弾丸が『ナニカ』に襲いかかる。

男は完全に当たったと確信した。

そしてその自信は、数秒後に崩れ去った。

 

なぜなら、弾は『ナニカ』をすり抜けていった。

 

(なn

 

考えるより先に、人でいう手にあたる部分がのび、男に接触した。

それと同時にその男もまた炭と化した。

 

翌日、公園で謎の炭の山が見つかったとのニュースが報道された。




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