転生したら霜男だった件 それいけジャックフロスト   作:機関銃くん

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 はじめましての人ははじめまして。他の作品を見てくれていた人はよろしくお願いします。
 転スラ面白いですよね、ついつい妄想が捗ってしまって困っちゃう。てな感じで書いてしまいました。

では、お楽しみください。




1話《転生したら霜男だったんだぜ》

「……さ、む……………しぬ……こ、れ」

 

 俺は今、大雪が轟々と音を立てながら吹く雪山で現在進行形で遭難している。

 視界は一面白景色で一寸先も見えはしない、寒さで手足が悴んで録に前にも進めない。かといって止まればもう動けはしないだろうと言う確信が有り、それは死を意味する。

 嫌だまだ死に無くない、そう思って無駄に足掻きはすれど背後にピッタリと死が付きまとう。

 

「………なんで……俺が、こんな目に……」

 

 こんな状況を呪いながら何で、何でと意味の無い自問自答を繰り返す、けれど仕方がないだろう。何かを呪っていなければ折れてしまいそうなんだから。

 

 事の始まりは今朝の事だ。

 今日は暫く続いた出張から戻ってきて久しぶりの休日だった、だから部屋でのんびりグダグダしていたんだが、何処から聞き付けたのか中学からの腐れ縁で長い付き合いの親友から連絡が入った。

 

「げっ………今日はゆっくりしたかったんだが……」

 

 一瞬知らんぷりでもしてやり過ごそうか等とも考えたが、一向に鳴り止まない着メロに観念し通話ボタンを押してしまった。

 

 ここで維持でも無視していれば未来は変わっていたのかも知れないが、後のも悔やみである。

 

 親友からの電話はこうだった。

 

『今からスキーに行かないか!?俺めっちゃスキー嵌まってんだよ!!なぁ!!いいだろ!!』

 

 元来ここまで押しの強い奴ではないのだが、長らく出張で会えていなかった訳だし、久々に会いたいのだろうか。

 親友にここまで頼み込まれてしまっては断るわけにもいかなくなり。

 

 まぁいいか。

 

 そんな軽いノリでOKをしてしまった。

 

 その結果。

 

 遭難する羽目になってしまった。

 親友とスキーを楽しんだ。長い時間滑っていた為、日も沈み始めており、折角なら最後に上級者コースに行ってみようと言うことになった。付き合いで一緒に滑ることになり恐る恐る滑り始めた、最初は良かった、しかし流石上級者コースと言うべきかふざけ半分で滑れるようなものではなく。

 俺はスキー板の操作を誤りコース外の雑木林に突っ込んでしまい、坂を転げ落ち気絶してしまった。

 

 そして、暫くして目を覚ますと日はすっかり落ちてしまっていて吹雪が吹いていた。

 ウェアの中にも雪が入り込んでいた為に濡れて冷えたウェアが体温を急激に奪い取る。

 それでも何とか戻ろうとしたのだが、この有り様である。

 

 足掻いた結果、自身が何処にいるかも分からず雪足を取られ転倒、転倒した拍子に更に斜面を転げ落ちて木々に衝突、腕から鈍い骨折音が聞こえた。

 

「も、もう………だめ………だ」

 

 俺の身体は重力に従い前に倒れ一ミリも動かすことが出来なくなってしまった。

 雪がだんだんと身体を覆い尽くして行き次第に視界は雪で遮られた。

 

 あぁ、もう死ぬんだな。

 こんなことになるなんて、呪うぜ親友よ。

 もっとやりたいことが有ったのに、このままじゃ凍り漬けじゃないか。

 寒さをもう、感じたくない指の悴む感じも嫌だ、身体の痛みも死に近づいてるそんな感覚も嫌だ嫌だ嫌だ!!

 

 何でどうして……身体は凍り漬けなのに意識だけは一人で勝手に思考し先走るんだ、いっそのこと一瞬で全てを凍り漬けにして終わらせてくれれば楽なのに。残っていれば嫌でも考えてしまうじゃないか………こんなに醜い自分を最後に知ることになるなんて、最悪じゃないか。

 

 あぁ……嫌だ……嫌だよ。まだ死にたく無い、死にたく無いよ。何で何でこんな目に遇わなくちゃ行けないんだ。俺が何をしたって言うんだ。

 どうして俺がこうなるんだ……何故何故何故何故何故何故何故!!

 

 はぁ…………………やってられるかよ………こんな人生。

 

 こうして、俺こと深海(しんかい) 直継(なおつぐ)。24歳。は死んだ。

 

《告、呪いで検索。特殊能力(ユニークスキル)獲得、呪怨者(クロキモノ)

 

《告、痛覚の遮断。能力(スキル)獲得、痛覚無効》

 

《告、凍結で検索。能力(スキル)獲得、凍結無効。…………スキルの変質を確認………凍結無効が変化》

 

《告、凍結無効の変質により特殊能力(ユニークスキル)獲得》

 

《…………冷血者(コゴエルモノ)を獲得しました》

 

《告、凍結、氷結、雪関連で種族を検索。………ヒット。人間の体組織を分解、再構成を経て変容》

 

《種族名、霜男、又の名をジャックフロスト》

 

 まさか、異世界に転生し新たな身体、生を受けるとは思いもしなかった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 ザッザザ…………。

 酷いノイズが脳内を書き乱し気持ち悪くて胃の中身が逆流しそうだ。

 

「………あら…………あなた…………よ……耐えて…………しろいわ…………そうだわ………名を…………『ヨクル』……」

 

 暗い砂嵐の中で誰かの声が聞こえてた、けれどノイズが酷くて良く聞き取れなかったが『ヨクル』という名前がはっきりと聞こえてきていた。

 

 

 

 

「…………………ん?んんー?生きてる??」

 

 聞いてくれ。雪山で遭難し凍え死んだ俺だが、目を覚ましたら何故かポカポカとした陽気に包まれた新緑の森の中に居たんだ。

 何を言ってるのかわからないだろ?

 安心しろ俺も訳がわからないから。

 

「てか、ここ………何処だ?」

 

 え?待て待て待て…………。

 俺は確かに雪山に居た……その筈だ。確かに覚えている最後に見た景色、一面の白景色、そして徐々に失って行く体内の温度を俺は覚えている。

 

 そう、俺は死んだ筈なんだ。それはだけは変な話だが確信出来るといっても言い。

 

 だが、しかし、胸に手を当てれば感じる心臓の鼓動とじんわりと温かい命のぬくもり。

 …………って何でこんな手白いの?えっえ?何でこんな色白何だよ。

 

 何故か姿容姿が変わっている。

 俺は森の中を駆け回り小さな湖を見付けると一目散に駆け寄り、そーっと、恐る恐る水面に写る自分の顔を覗き見るように確認すると絶句した。

 

 本来の黒髪から白髪へ、しかも根元から毛先に掛けて青いメッシュが入っている。正直言ってチャラい。

 それはまだ許せる、ちょっとお洒落しちゃったみたいなノリで行けるかもしれんが。

 

 何で目の色変わってるん?

 平々凡々の黒目からなんと外人顔負けのライトブルーの瞳に様変わり。

 

 わぁ綺麗………じゃねぇから!!

 

「はぁ……一体どうなって」

 

 俺は一体全体何がどうなっているのか理解できずに脳が情報に耐えられずに処理落ちしそうで少し目眩がするよ。

 もしかしたら寝ぼけているのか、なんて現実逃避しながら湖の水を掬い顔を洗い目を覚まそう。一縷の望みに掛け、これが夢であって欲しいそう願い。

 水を掬おうと俺の指先が湖に触れた瞬間、湖の表面に氷の膜が張ったかと思いきや次の瞬間には凍り付いてしまったではないか。

 

「………なぁにこれぇ?」

 

 湖を凍りつかせスケートリンクに変えてしまった俺は理解し得ない現象に怖くなりその場から逃げ出した。

 誰だって自分の手が触れた途端に湖が凍り付けば恐ろしくもなるだろうが。

 

 実際逃げながら寄りかかったり触れたりした木々は凍り付いてしまうし、動物の身体が少し当たっただけで動物は命を感じさせない氷像に変わってしまうし。

 

 ついでに何か魔物みたいな変な生き物も現れるし、いよいよもって此処がもしや異世界だったりするのかと突拍子もない事を思ったり。

 

「………はぁ……はぁ……まさか本当に異世界転生なのか……はははっまさか本当に……いやいや、マジ……!?」

 

 うっそ異世界転生かよ、そう言えば死ぬ直前になんか変なアナウンスが聞こえてきたような気もしてきた。

 もしやあれが俗に言う神の声という奴なのだろうか、やっべ何も覚えてねぇや。

 

「………あーー、どうすっかなぁ……」

 

 此処が異世界だと言うのなら俺は始めてやったゲームのチュートリアルを全スキップして最初の森に放り出されようなものじゃないか。

 俺は途方に暮れたさ。もうどうしようもないくらいにな。

 けれども神は俺を見捨てては居なかった。

 

 それは俺が途方に暮れて空を見上げていた時、近くの茂みからゴソゴソと何かが動く気配。

 俺は身構えたがこの異世界に来てまともに戦闘などしたことが無いわけで。若干腰が引けてしまっているがいざとなればこの手で触れれば一瞬で凍り付くから大丈夫だ、そう言い聞かせて茂みの中に入っていけば、そこに居たのは鬼だった。

 

 そう鬼。

 傷を負っている大きな黒い鬼が居た、黒い角を生やした筋骨隆々とした男の黒鬼が傷付き呻き声を上げているではないか。

 深く切りつけられた傷や肉を抉り取られた傷からはドクドクと止めどなく血が流れていて息も弱い。これは素人の俺でも理解できてしまった。

 

 このままでは確実に命を落とすだろうという事が。

 

 ………そんなことさせるわけねぇだろうが!!

 

「折角の情報源を失うわけにはいかん!!それになぁ……死んだばかりの俺の前で簡単に死ねると思うなよ!!」

 

 と言っても俺に何が出来るのかさっぱり分からない、だが指を加えて見てられるか。

 

 とにもかくにも出血を止めなければ、俺は傷口に掌を当てそして傷口を氷で塞ぐイメージを強く意識する。

 すると、触れた指先からパキパキと音を立てながら薄氷が傷口を覆って行く。数秒で完全に傷口が氷で塞がる。

 

「………よし、傷口はこれで一先ず良いだろう………次は……体力の回復か?何か食い物は、てか気失ってるから食えんか……なんか、なんか無いのか!?」

 

 自棄糞気味に転生特典か何かに掛けて叫べば、何か声が聞こえてきた。

 

《告、ジャックフロスト固有能力、森術士(ドルイド)の脈動回復を使用しますか  YES/NO》

 

「何だよ、こいつ直接脳内にって……んな事言ってられるか!?助けられるんだろ、何でも良いからやれよ!!YES!YES!!イエーース!!!」

 

 そう俺が叫ぶと、俺の周りに純白の花が生えてきて花弁を揺らす。花弁から降る小さな光が黒鬼に降り注ぎ、身体に溶け込むように消えて行く。

 暫く花の光を浴びせていると徐々に顔色が良くなってきたようだ、荒かった呼吸も落ち着いてきたようだし。

 峠は越えたのだろう。俺はほっと胸を撫で下ろし地面にドサッと座り込んだ。

 

「はぁぁぁぁ…………よかったぁ」

 

 人の命が掛かっていたんだ、そりゃ緊張もするし腰も抜けるだろうが、治療途中はアドレナリンがドバドバでハイになっていたが今になって恐ろしくなる。

 もし、助けられなかったらと思うと手指が震えるよ。

 

「まぁ、無事に助けられたみたいだし。見殺しにしてたら夢見悪いもんな」

 

 しかし、黒鬼が起きるまではまだまだ時間が掛かるだろうな。まぁいいさ時間は沢山あるからな。起きるまで自分の能力の把握に努めよう。

 

 そうして黒鬼が起きるまでの間、俺は自分の能力に四苦八苦しながら格闘するのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

「…………っつ……こ、こは……」

 

 と、能力の練習に建てた氷の鎌倉から声が聞こえてきた。きっと黒鬼が起きたんだろう。

 

 さてと、先ずは何よりも先に体調を確認しないとな、治療した身としては気になるところですな!

 

「あ、起きた?傷は痛みは無いか?血は止まってるか?」

 

 そう声を掛けながら鎌倉に入り込むと目を覚ました黒鬼が治療された傷口を擦りながら此方を見る。

 

霜男(ジャックフロスト)……そうかお前が助けてくれたんだな。礼を言う」

 

 

 ほー、俺って霜男(ジャックフロスト)って言うんだな。

 やはりと言うべきか。俺、やっぱ人間じゃなかったわ。

 黒鬼は 俺を正面に見据えると傷口も塞ぎきっていないだろうに痛む身体を酷使してまで頭を下げてくれた、あんて男気溢れる鬼だろうか。

 や、やだー。マジイケメンー!!

 

「いやいや、気にすんな。俺も目の前で死なれるのは嫌だったからな、俺の夢見を最高にするためだからさっ!」

 

「………そうか、それでも我が今も生きているのは貴方のお陰だ」

 

「やめろよ、むず痒いだろ!」

 

 今絶対紅くなってるよ、色白で赤面してるとか恥ずかしすぎるだろうが、けれど俺の力が役にたったのだと思うと少し誇らしいな。

 

 と、鬼の無事も確認したことだし。此処が何処なのか聞いてみることに。

 此処は何処で、何故あんなにも瀕死の怪我を負うことになったのか。

 状況把握は必須として、鬼なんて強そうな奴が負けて死にかけるまで追い詰めた魔物なんて俺なんかが鉢合わせに何かなったら死ぬしか無いじゃない!

 俺の問い掛けに黒鬼は悔しげに歯を噛み締めながらも話してくれた。

 

 先ず此処はジュラの大森林という場所らしい、話によると長年ヴェルドラとか言う天災レベルの魔物っていうかドラゴンが封印されていたようで不可侵領域となっているのがこの森だ、そうだ。

 しかし、ひと月位前に森の奥に封印されていた筈のヴェルドラの反応が突然消えたらしく。その為新たな縄張りを求めて魔物達が押し寄せている、みたいだ。

 

 そして黒鬼が負っていた怪我はその縄張り争いで負傷したのだとか。

 

 だが、鬼の様子からしてそんな簡単な話では無いのだろうな。

 ただ互いに縄張りを巡り争い怪我したというなら自業自得感はあるけれど。

 語る口調悲痛な面持ちに何かあったんだろうな。と感じた。

 

 だがたまたま居合わせた俺が図々しく踏み込む事でもないだろう、気にはなるが…………まぁいいさ。

 それに聞きたい事は聞けたしな。

 

「………所でお前の名前は?鬼とか黒鬼なんて呼びづらくて敵わん」

 

「俺はネームドでは無い、故に名は無い」

 

 また、知らないワードだぞ。ネームド?

 名前があるとネームドって呼ばれるようになるのか?

 

「ふーん、でも俺が呼びづらいし俺で良ければ渾名つけても良い?」

 

 俺としてはかるーいノリで言ったんだ、呼びづらいから渾名で呼んでもいーい?みたいな。

 しかし、俺が思っていたよりも名付けと言うものは特別なものらしく。黒鬼は目を見開き、頭まで深々と下げて寧ろ付けてくれと言わんばかりだ。

 

 あまりの剣幕に少し怖かったぞ!!

 そりゃ自分よりもデカくてゴツい鬼に詰め寄られたら怖いに決まってんだろうが!!

 

「是非我に名を!!」

 

「わ、わかったから!?ちょ、ちょっと落ち着けよ!!………えーとそれじゃあ黒鬼だから……クロウ。お前の名は『クロウ』だ」

 

 と安直で呼びやすい名前がいいなとつけたクロウ、そう名付けた直後俺は全身の力が吸いとられるような感覚に晒されると貧血を起こしたかのような酷い目眩に襲われその場に倒れる。

 

「………あ、れ…………?」

 

 何が起きたのかサッパリ分からないが、俺は気絶した。

 

「主!?」

 

 視界が暗転する直前にクロウから主なんて呼ばれたが、何だよ主って。

 

 そして、何れくらい眠っていたのか分からないけれど目を覚ますと目の前には人?が居た。

 

「むっ目を覚まされたか、我らが主よ」

 

「主………?」

 

 俺の事を主と呼ぶ浅黒い肌と短く切り揃えられた銀髪が眩しいワイルドイケメン。

 俺を抱き起こす腕は太く逞しく同じ男として敗北感、しかも手首から肩に掛けて青い炎の入れ墨が入っているではないか。

 ふぇ、筋肉の盛り上がりで本当に炎が揺らめいてるように見えるー…………ていうか、俺こんな人知らないんだけどクロウ助けてー。

 

「………えーと……どなた?」

 

「何を言っておられますか、我はクロウです」

 

「ええええええーーーー!!!!」

 




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