転生したら霜男だった件 それいけジャックフロスト   作:機関銃くん

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17話《中央都市リムルに災害来訪》

「ワタシは魔王、ミリム・ナーヴァだぞ!挨拶に来てやったのだ!!」

 

 と、まさかの魔王が来るとは。

 

 時刻は数時間前に遡る。

 先日、この街に訪問したドワルゴン王国、国王ガゼル・ドワルゴの提案によりこの街は正式に国として認められた。

 もちろん、条件有きだが。

 1つ目は国家の危機に際して相互の協力。

 2つ目がお互いの技術の提供。

 

 俺やリムルさん、多数の鬼人達が在籍しているこの街は戦力しては申し分ない。てか過剰戦力のような気もしなくないが、その戦力の提供。

 あとは俺が作る魔素を与えられるアイスやリムルさんの回復薬、その他異世界由来の技術提供。

 

 此処は何れ国として確立するだろう、その際魔物の国だからと敵対され、迫害され、力無い子達が淘汰される。

 そんな可能性もありうる。だがドワルゴン王国と盟約を結ぶ事は国として存在する際に後ろ楯になってくれると言う事。

 

 つまり、魔物の国を認めると言う事だ。

 

 それはリムルさんにとって願ってもないことだ、リムルさんは二つ返事でOKしたそうだ。

 これから此処は街として国として機能すると言うわけだ、ならば決めねばならない事がある。

 

 そう、呼び名はどうするか。

 一つの国家とするならば当然名が必要だろうよ、名無しの国などあるわけ無いんだし。

 

 でも、そんなに悩む必要ないだろうな。

 だってさリムルさんの国だし。

 

「リムルさんの名前を使えば良いんじゃね?だってここの国主はリムルさん以外ありえないんだしさ?トレイニーさんだってそう思いますよね?」

 

「えぇ、その通りで御座います。ジュラの大森林盟主リムル=テンペスト様ならば異議を唱える方は居ないでしょう」

 

 と俺は無意識のうちに会議に口を挟んでしまった訳だ。

 やべっと慌てて塞いだが後の祭り、俺の発言に乗っかる形で話しは大いに盛り上がって行き。

 リグルド、ベニマル達によって何がいいか、何れがいいか等会議が勃発。

 

 結果俺はリムルさんから恨めしげに睨まれ。

 

「………ヨクル……お前よくも……」

 

「あは……ははっ………ごめん」

 

 こうしてテンペスト国、中央都市リムルと命名された。

 国名が決まり、その他の決まりごとや雑務はトントン拍子で進み。

 

 都市の発展と共に物流の活発化、中央都市リムル原産の特産物の開発等。

 綺麗にレンガで舗装された道と商いの声。

 

「……綺麗な国になったなー、最初はみすぼらしい村だったのに」

 

 ここまで来るのは本当にあっという間だったな。

 俺がリムルさんにお世話になるようになってから何れくらいたったのだろう。

 

 何て事を考えながら俺は氷を削っていた。

 

「ヨクルさま!かきごおりがほしいです!!」

 

「あいよー」

 

 気の抜けた返答を返しながら俺はフワフワの氷を器へと盛って行き、果実を抽出して作った特性シロップを回し掛けた。

 

「そらシュニィ、仲良く食べろよ」

 

「うん!ありがとうヨクルさま!」

 

 落とさないように慎重に受け取るとかき氷をホブゴブリンの友達と仲良く分けて食べている。

 

 そうそう、俺も店を出したんだよ。

 俺の能力と言えばわかるだろ?氷菓子屋だ。

 アイスキャンディもかき氷もソフトクリームも売り出している、これがね、なかなか好評なんだよ。

 魔物達が見たことも無いような氷菓子の数々は好奇心を激しく刺激し、この国に商いに来た外からの行商人も目新しい物には興味津々だったからな。

 

 そのお陰か俺はちょっぴり金持ちなんだぜ?

 まぁ、金を使うところがないから、貯まる一方なんだがな。

 

 なんて感じでのんびりとただただ日々を過ごしていた俺、もう和やか過ぎて店番しながらうとうと船を漕ぎ始めた所で。

 

「…………んっ?」

 

『主さん、こいつはヤベェ。ドでかい魔素を纏った何かがこっちに向かってきてる』

 

 解離者(カワリモノ)の発言に只今お休みに入る寸前だった俺は不機嫌になりながら瞼を擦り、そのドでかい魔素とやらに視線を向けた。

 

「…………えー、マジかよ…………。これまた呼び出し案件じゃね?」

 

 視線の先には空の一角を塗り替えるほどデカイ魔素の塊、それが一直線にこっちに向かって来てる。

 

 恐らくだが何を目指してるかはわかっている。

 

 リムル=テンペスト。

 先の大規模戦闘を皮切りに世界が、あのスライムに興味を持ち始めた結果だろう。

 仮にも魔王を打倒したスライムに。しかも、今回の反応は豚魔王の比しゃない、これはリムルさんでも勝てないと思う。

 

 だからこそ、俺は直ぐ様耳を塞いだ。

 

 いや、無理じゃね?

 俺に何が出来ると?

 

 嫌じゃよ、死ぬくね?ヤバすぎだろこれ!

 

 しかし、現実は無情。

 

 嫌々気になってる俺のもとに通信が入る。直ぐ様着信を切りたい思いだが、勝手に通信されるんだもんよ。これ。

 

『ヨクル、すぐに来てくれ。ベニマル達が死ぬぞ、これ』

 

 うっそやろ。

 まさか、まさかと魔素反応の方を確認してみれば。

 なんと鬼人達大集合。

 

 ちゃっかりクロウも居るし。

 雷なんか出しちゃってるしさ、殺る気MAXかよ。

 

「……………ハァ………行くしかないかぁ……」

 

 俺ごときが行ったところで何が出来るかわからないけど、行くしかないよな。寧ろ行かないと後が恐ろしい。

 重い腰を漸く上げた俺は足元を凍らせるとスケートのように靴を滑べらせて行く。暫く小高い丘へと向かい移動したところで見えてきた。

 

 バチバチとやりあっている戦場だ。

 

「……………なにしろと?」

 

 今しがたピンク髪の狂人がドラゴバスターとかなんとか叫びながら大穴を拵えたんだが?

 ほわい?

 

 なんと言うことでしょう!

 青々とした草木が生い茂っていた丘に、巨大なクレーターが逆ビフォーアフター。

 

 ホントに俺何するの?てか何やらされるんですか!?

 俺は内心ガクブルでリムルさんに声を掛けた。

 

「おーい、リムルさーん!何事っすかねー!?」

 

「ヨクルーっ!!お前を待ってた!!」

 

 と、ここで冒頭に戻る。

 リムルさんに手招かれるまま、魔王ミリムの前に立たされた俺。眼前には幼女の化物。

 めっちゃでっかい魔素を纏うミリムは正直言って恐怖しか感じない、だが、挨拶には挨拶で返すのが礼儀だろう。日本男児なもんで、剣道男児なもんで!

 

「どーも、ヨクルだぞ!挨拶を受けてやったのだ!」

 

「ブホッ……ヨ、ヨクル君!?死ぬ気なの君!?」

 

「いや、なんか独特な言い回しが魔王の礼儀なのかと………とりあえずお近づきの印にどーぞ」

 

 ペコペコと会釈しながら取り出した物を手渡す、暫くそれを凝視していたミリムだが一口ペロリ。

 

「…な、な、な、何なのだこれはーーー!!!!」

 

 ふふん、驚くのも無理はない!

 それは長年試行錯誤を繰り返したどり着いた究極のソフトクリームなのだから!

 

「甘くて冷たい……旨すぎるのだーー!!!」

 

「そうだろう!例え魔王と言えど。この旨さには抗えまい……ふっふっふっ!」

 

「これは……なんという食べ物なのだ!?教えるのだ貴様!!」

 

 ガシッ……!!

 

「え……グエッ……アガガガッ!!」

 

 超加速で接近した狂人は俺の胸元を鷲塚むなり、めちゃくちゃに揺さぶってきた。

 あー、脳が揺れるーー!!

 

「助けてーーー!!」

 

「さっさと教えるのだーーーー!!」

 

 このピンク髪のぶっ飛んだ狂人は頭の中までピンク一緒なのだろう、教えろと喚き散らす癖に俺に喋らせる隙なんて与えない。

 どうやって喋ろと言うんだ。頭凍らせてやろうかこの野郎!

 

 リムルさんが仲裁するまで揺さぶられ続けた俺、その結果。

 

「おえっ…………おろろ……」

 

 キラキラを吐き出したのは言わずとも分かるだろう。

 

 しかし、流石の魔王、俺の事など歯牙にもかけず今度はリムルさんにご執心。

 まるで今来たばかりだよ?威厳たっぷりな魔王様だよ?

 的なムーブでマントを翻す魔王ミリム。しかしながら、もう遅い手遅れなほど遅すぎる。

 

「なにが魔王だよ。魔素さえあれば魔王なのか?クソが。他人様の街に急に来て挨拶だよwって頭ん中お花畑なのかな?」

 

「ヨクル、ドードー、落ち着けー」

 

 要するに本当に只の挨拶だったわけだ。

 全くもって迷惑極まりない魔王の来訪だったが挨拶が目的なら用は終わった。ならば直ぐに帰るのかと思いきや、この魔王。

 

「さぁ町を案内してくれもいいのだぞ!それと貴様、先程の冷たくて甘いものを寄越すのだ!」

 

 とぬかしやがる。

 

 氷で武装した拳骨をこの魔王の脳天に叩き……込みたかったが、いつの間にかクロウに羽交い締めにされていた俺。

 

 じたばた暴れてみるがクロウとの対格差を覆せる訳がなく、俺は捕縛された宇宙人の用な格好でそのまま町に連行された。

 ちゃっかりアイスを盗ったベニマルとミリムは許さん。

 

 前方を歩くランガとその上に跨がるリムルさんとミリムをじと目で見てみれば俺の姿に苦笑しながらもミリムの話に相槌を返すリムルさん。

 しかし、何やら話していたと思いきや急にランガを飛び降り俺を拘束するクロウから俺をもぎ取ったミリム。

 

 なにか俺は玩具か何かなのか?おん!?

 そう視線で訴えれば返ってきたのはめっちゃキラキラした瞳だった。

 

「うむ!貴様もなかなかの強さなのだ!強い奴は好きなのだ!リムルはマブダチだからな、貴様も友にしてやろう!」

 

「はぁ?何言って………」

 

 フフンと無い胸を張るミリムの背後で悪いと手を合わせるリムルさん。

 

「あー、はいはい。友達ね友達。俺達友達だよー」

 

「うむ!貴様、名はなんという!?」

 

 え、さっき一応名前言ったんだけど。と言いたいところだったが、きっと名前を聞きそびれたんだろう。

 そう無理矢理納得させ再び自己紹介をすることに、だって無理に張り合うと疲れるだろ?

 

「……ヨクル=ライフ。よろしく」

 

 そう言いながら手を差し出すとミリムが勢いよく掴み、一振り。

 ブンッ!!!!!バキッ!!!!!

 

 あ、腕イッたわ。

 ミリムが手を離しリムルさんの所に向かったと共に宙に離された俺の腕はダランと垂れ下がる。

 

「………………はぁ………殺したい………」

 

 片手でイカれた腕に回復を掛けながら本音が零れた。

 恐らく聞こえていたのは傍にいたクロウだけだろう、何故ならクロウの口角がひきつっていたからな。

 

 街に着くと。

 何やら広場に人だかりが出来ていた、ガヤガヤと不安げなホブゴブリン達の様子にまた面倒後とかと頭を振り。

 人だかりを掻き分けて行けば。

 

 倒れたリグルドの姿と初見の魔物達。

 ゴブリン達の中でもリグルドの耐久力は折り紙つきだ、何せあの筋肉だからな。

 そのリグルドが負傷しているならばそれなりの手練れな訳だ。

 

 俺はそっとリグルドを助け起こすと怪我をしている胸元に手を添え回復を掛ける。

 

「申し訳ありません……ヨクル様」

 

「いんや、気にするなよ。直ぐに良くなるからな」

 

 リグルドを倒して気分よくなったのか、高らかに宣言する魔物。

 自分達は獣王国ユーラザニアの使者である。我らが王、魔王である獣王カリオンの軍下に下れ、だそうだ。

 

「俺はカリオン様直属のっぐはぁ!!??」

 

「…………おー、よく飛ぶ」

 

 二の句を告げようとしていた直属の某さんは黙らされる事に。それはもう物理的に。

 しかも、この街の仲間でなく挨拶に来ていた魔王ミリムがめっちゃ殴った。

 

「マブダチの仲間に何をするか貴様ーーー!!!!!」

 

「ホントにマブダチになってよかったんすか?これ。国際問題になりません?」

 

「ぐぬぅ………」

 

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