転生したら霜男だった件 それいけジャックフロスト 作:機関銃くん
つい、嬉しくて二話目を書いてしまいました!
ては、どうぞ!!
先日のクロウ、ビフォーアフターから数日が経過しており、俺は何故かクロウの主となってしまったようだ。
突然の主呼びに理解が追い付かずクロウに説明を求めるけれどクロウの言い分は「命を救われ名をも戴いたこの身、主の為に」
らしい。
全く全然そんなつもりでは無かったんだがな。
本当なら今すぐ辞退してしまいのが正直な本音だが、クロウの熱い視線がそうさせてくれなく。
俺はなし崩し的に主となってしまった。
それと俺は未だにジュラの大森林を抜けることが出来ず、長いこと迷いながら散策していた、ただ散策しているのもつまらないだろうから歩きながら、ネームドの詳しい概要をクロウに説明して貰い、休憩時間を利用して俺の未だ理解できていないスキルの調査も行っている。
クロウの話によるとネームドとは魔物で名前を持っている強力な個体のことを指すらしい、魔物には名前がないのが普通らしい訳だ。
その話を聞いて何故クロウが名付けの時驚いて頼み込む勢いだったのか、納得が行ったな。
それと、俺のスキルの一つ、手で触れた物を一瞬で凍らせてしまう不思議現象、あれは
触れたものを凍らせることは勿論のこと、五感の凍結、記憶等の概念的な物も凍結出来るみたいだが、正直怖くて使った事はないんだが……いつか機会があれば使ってみようかなと考え中だ。
あと、えっ!?こんなに強くて良いのか!?
実はこの
「なぁなぁ、クロウ。俺格好いいか!?」
「うむ、勇ましいですぞ」
そして現に今背中に生えている白い翼は空から襲ってきた魔物を凍らせ翼を『奪い取る』事で生やした物だ。
それに生やした理由もあるんだ、決して格好いいからと言う理由だけではないからなっ!!
俺の手足、肌に触れた場所から温度が急激に下がって行き、霜と氷を撒き散らしてしまうんだよ。
「…………つかぬことをお聞きしても宜しいか主」
「んー、なんだ?」
「主のお名前をお伺いしたい」
クロウに聞かれてそう言えば名乗ってなかったなぁと思い出した、出会いが劇的過ぎであった事もだしクロウビフォーアフターですっかり忘れていた。
そうだな、俺の名前は…………。
「………
あ、れ?
何で………俺、確かに生前の名前を言ったつもりだったのに、口を付いて出てきた名前は『ヨクル』と言う聞き覚えの無い名前。だけど……何故か心に、魂に刻み込まれた様なピッタリとフィットする感覚。
どうしてだが、これが俺の名前だと確信できてしまう。
「うむ、ヨクル殿だな。改めてヨクル殿、我のこの身、魂を貴方様に捧げよう」
「あ、うん。よろしくなクロウ」
何だかわからないけれど、とりあえず良いかなと思うことにした。だって転生して魔物になったのだし、名前が変わったって全然変じゃないような気がするんだから。
魔物で日本人の名前って言うのも何かチグハグで変な感じがするし『ヨクル』…………うん、良い名前じゃないか?
オッス俺直継改め、ヨクルだぜ!
なんてクロウと楽しくお喋りしつつ浮遊しながら森を散策しているわけだが、ぶっちゃけ暇。
こう、見渡す限り森、森、森な訳で。
たまに出てくる魔物も大したことなく手で触れて凍らせて吸収して行くだけの今では流れ作業に等しく飽きて来ても仕方がないと思う。
だが、人語を介する魔物の間で面白い噂話を聞いたんだ、その時俺は心が踊ったよ、この退屈な散策に終止符が打てるのだから!!
噂話の内容はこうだ。
《ジュラの大森林でゴブリンの村を統合し統治するスライムがいる》
という話だった。
ん?何処が面白いの?
そう思っただろう、しかし、この森で数日間過ごして俺なりに分かったことがある、基本的に魔物の間で遵守されるルールはただ一つ。それは弱肉強食と言うことだ。
強者が弱者を虐げ喰らおうとも、喰らわれた弱者が、虐げられた弱者が悪い。
こんな単純で野蛮で自然の摂理に乗っ取り行動するのが魔物だ。しかし、弱肉強食の世界でスライムが複数のゴブリンの村を統合し統治していると言うのだからこの噂話は凄いのだ。
スライムと言えば最弱で名高いだろう、それは俺の前世でも今世でも変わらない事実。だが、そんなスライムがゴブリンを従えている。
その特異性にあるスライムに対して俺の中にある憶測、可能性が生まれる。
《もしや、そのスライム俺と同じ……………?》
村を纏めて町を造り森を開拓し領地を広げて行くスライム、まるで人間のようではないか。
「……………会ってみたいな………そのスライムに……」
「御意に」
「えっ……ちょ!?まっ!?!?」
つい願望が漏れでた。
それだけだったのにクロウの忠実で正確な耳はその呟きをガッチリキャッチしてしまった。
クロウは短く了承の意を示すと俺の身体を抱き上げ物凄いスピードで駆け出したのだから俺、超ビックリ。
大森林を全速力で駆け抜けるクロウ、道すがらすれ違う魔物に道を尋ねながら一切速度を落とすこと失く走り続ける。
そして、数十分後俺はあの噂の町らしき所にたどり着いていた。
クロウは逞しい腕でガッチリとホールド俺をゆっくりと地面に下ろすと同時に俺は膝から崩れ落ち両手を付いた。
はっきり言おう気持ち悪い。
「………おぇ、気持ち………うぷっ」
そう、両手をついてしまったのだ。
俺が触れた箇所から瞬く間に霜と氷が放射状に走り出す、俺はしまったと顔を青くしながら手を離すがもう遅かった。
「やっばぁ…………」
俺は不慮の事故ではあるが端から見れば町に先制攻撃をしているような物ではないか。
第一印象最悪過ぎだろがっ!!
そして案の定、町から続々とゴブリン?
いや、何かでっかい緑の巨人?
と、クロウと同じ様な鬼が二人現れ。その内の一人が大事そうにクリアブルーのスライムを抱えていた。
………………俺が悪いのだが、やはり出てきた住人は皆武装をし敵意全開で俺を睨む。
「…………えっと………初めましてヨルクです」
と、とりあえず先ずは自己紹介だよな。うん、魔物と言えど礼節に乗っ取り行動しないとな。
しかし、住人達の反応は芳しく無かったよ。
寧ろネームドだと分かると更に警戒心MAXになっちまったぜ。
「貴様……この町に何のようだ、これ以上攻撃を加えるというのなら容赦せんぞ」
赤髪の鬼がスライムを抱える紫髪の鬼の前に歩み出ると腰の刀に手を添える。
「お主こそ我の主に牙を剥けるとは、余程命が惜しくないと見えるな。少々灸を据えてやらねばな」
すると俺の傍らに控えていたクロウも我慢ならないと言わんばかりに俺を庇うように前に出ると足を前後に引き腰を落として拳を固く握りしめた。
だが、クロウの登場に向こうの鬼達が驚き戦く。
「…………生きていたのか……!?」
「あぁヨクル殿のお陰でな、若旦那」
え、知り合いなの?
え、え?
話しぶりからして既知の間柄なのだろう、これはもしや丸く収まるのでは!?
と、淡い期待を抱く俺であったが、事はそううまく運ばないもので。
「だが、主が違えば既知の間柄であろうと」
「うむ、忠誠を捧げる主に勝利を捧げて見せよう」
え、えぇぇ…………。
正しく一触即発の雰囲気だよ、何かこれが異世界クオリティーなのか?
なんか二人からオーラみたいな気が見えるんだけど、どうなってんのよこれ。
《告、エクストラスキル、魔力感知を獲得しました》
あ、そうですか。
みんな、安心してくれ俺の目が悪くなった訳ではないようだぜ……。
てか魔素?
魔力的なものかな?因みに俺はどうなんだろうな。
そう思って自らの手を見てみれば。
おぉ!確かに何か出てる出てる、なんか、こう、あれだよ。凄い感じだよ!!
って、今はこんな。いや確かに興奮するけど、それどころじゃなかったよ。
「「ストーーーップ」」
俺とスライムさんの制止がハモるとスライムさんはなんか凄い糸を出して赤鬼を雁字搦めに俺はクロウの身体を氷で拘束した。
「クロウ、今回は俺が悪かったしさ謝ろう、なっ」
「ベニマルも落ち着けよ。あっちも悪気が有ったわけでも無いようだし」
俺がそう声をかければクロウも納得してくれたようだった。結局俺が気にしてないと先に言っていればこんなことにはならなったんだろうな。
「それにお前怪我してんだろうが、自分の身体を大切にしないのは嫌だな。俺が治療したのを無駄にするつもりなのか?」
俺がそう言って目元を伏せれば、クロウは目に見えて狼狽え。
「いえ!!そんな………申し訳ありませんでした」
「俺のために怒ってくれるのは嬉しいけどさ……クロウが怪我するのは俺、嫌だからな」
「…………我はヨクル殿の望むままに」
「あぁ、ありがとうなクロウ」
俺の前で跪くクロウの肩に手を置くと俺の脳内に再び不思議な声が響く。
《告、スキル、氷結操作獲得。
おっ?またスキル?
おっと、スキルの確認は後に回すとして、今は………。
「さっきは俺の不注意で騒がしくして、すみませんでした」
「まぁ確かに驚いたが、謝ってくれるならいいさ。えっと俺の名はスライムのリムル・テンペストだ。プルプル、ボク、ワルいスライムじゃないよ?」
「……スライムが仲間になりたそうにこちらを見ている。ですか?」
「おお!俺の鉄板ネタが分かるとはお主もしや?」
「やっぱりそうなんすね!!俺は
やっぱりリムルさんは俺と同じ転生者だった。本当にもう驚きだよ。
他に転生者が居れば良いなと思っていたが、こんなに早く出会えるとは。
でも、何て心強いんだろう。
クロウも確かに俺の味方であるのは間違いないが、やっぱり同じ境遇の人が居るってだけで心の持ちようが段違いだ。
その後リムルさんに連れられ町を案内して貰うことに、町はまだ発展途上らしいが俺からしたらこれを0から造り上げたリムルさんマジ半端ない。
だって、ゴブリンの村を前に見掛けたことがあったが、ゴブリンが住んでいたのはボロボロのテントみたいな作りだったのに対してこの町の住居はちゃんと家として機能しているのだから。
それに加えてこの町では鬼、ゴブリン、牙狼、ドワーフが共存生活をしている、これがあり得ない。
魔物の根本は弱肉強食。これは本能に近いと言うのにここでは互いに協力し生活を豊かにしているのは信じられなかった。
「………リムルさんの超絶カリスマ術のなせる技なのか」
「何言ってんだよ、俺は何もしてないさ。この町はこいつらが悩み考え造り上げた努力の結晶さ」
とリムルさん謙虚だわ聖人なの?
けれど、それは違うと思うな。だってそう言うリムルさんの後ろではそんなことありませんと異議を唱えたいのを耐えている仲間がいるし、そもそもがリムルさんが居なければ成立してないような。
そのまま町を案内されリムルさんの家に招かれた俺、クロウは鬼達と積もる話しもあるだろうと外で待機して貰った。
「さて…………」
互いに向かい合う形で座るとリムルさんの眼光が鋭くなる、俺はその目にゾクリと身体を震わせた。
「ヨクル、お前は
その
「………悪いけど、俺は知らない。力に成れなくてすんません、その……
「あぁ、俺が探している訳ではないんだが………仲間の敵なんだよ」
その言葉で何故かピンと来た。
「…………それなら俺も無関係じゃ無いかもな」
クロウが負っていた傷、ジュラの大森林で起きている縄張り争い、リムルの元に居る鬼。
そしてクロウの悔しそうな顔……………。
「…………もう、俺の家族だもんな。クロウの問題は俺の問題だ」
「…………お前良い奴だなっ!」
「やだなぁ。照れるじゃないっすか!?」
どうでしたか?
今回はリムルとの初対面編ですね。
そのうちヨクルのスキル等を後書きに載せようと思いますので、少々お待ちを。