転生したら霜男だった件 それいけジャックフロスト   作:機関銃くん

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20話《大激闘》

「………ということで、一旦君の育成中止ね。怪我しないように街で避難してるように」

 

 暴風大妖渦(カリュブディス)進行に伴いヨウム一団には一旦避難しておいて貰う事となった。

 此方は戦闘の準備やらで大忙しいな訳で構っている暇がないのだ。

 

 だが、ヨウムとしては納得が行かないらしい。

 

「いや、そりゃないぜヨクルさん!俺達だってアンタらに世話になった!加勢するぜっ!!なぁお前ら!」

 

 そうだっ!そうだっ!

 

「いやいや。折角育てたのに死んで貰っちゃ困るんだよ?分かる?邪魔だから避難してて」

 

 はっきりとそう言ってやりると激昂し食って掛かるヨウム、俺は胸ぐらを捕まれ足が宙に浮く。かぁー高身長が!!

 負けじとヨウムの胸元に手を当てる。こっそり絶氷者(ヴィネア)で体温と体力を奪ってやれば胸ぐらを掴んでいた手は悴み自然と力が抜けて行く。

 

 スタッ……!

 

 地面に降り立つ俺は項垂れるヨウムの肩を軽く叩きスキルを解除する。

 

「分かってくれよ。俺も君らを守れるか分からない、君らは良い奴だこんなところで死ぬなよ。それに俺達が死んだら後は任せたぜ?英雄様よっ」

 

 そう言い残すと俺は部屋を後にした。

 閉めた扉の奥から打撃音と怒号が響いたが確認することなく俺は戦場に向かった。

 

 あ、そうそう。

 フューズと三人組もこの街での生活をエンジョイして休暇を楽しんで貰っていたのだが、急に大型モンスター来訪じゃん。

 だから、街の住人達と避難して貰う予定だ。

 お客様だからな、怪我して返すようなら此方の沽券に関わるってものだろう。

 

 それに、負けるとは思わないがもしものことを考えれば暴風大妖渦(カリュブディス)の情報を残しておかなければならないし、俺達が死んだ後、街の住人の保護も検討して貰わなければならないからな。

 リムルさんもそれを考えているんだろうな。たぶん。

 

 さてと。

 傍らに凍雪を背負わせたシベリアンハスキーと背後にシュニィとクロウを引き連れ。

 俺はリムルさん達のいる広場へ向かった。

 

 そこにはこれから、来るであろう暴風大妖渦(カリュブディス)との戦闘を行うと宣言するリムルさんの姿。

 やはりそこにはフューズさんも居た。

 

「こんちは、フューズさん。あんまり話出来なかったから最後に話しますか?」

 

「ヨクル殿……縁起でも無いことを仰るな」

 

「ヘラヘラ。まぁ負けるつもりは無いけど、万が一があるじゃん?そこはリムルさんからも聞いてるっしょ?」

 

 そう聞けばヒューズさんは言葉に詰まったようで、二の句は告げられなかった。

 

「……………ヒューズさんも良い人だから、任せられるよ」

 

「………ハハッ……随分と私は信頼されているようだ……貴方もリムル殿と同じく魔物らしくない方ですね」

 

「そりゃそうでしょ。俺、元は魔物じゃないもん」

 

「!?……それはどういう……」

 

 ヒューズさんが驚いたように目を丸くする姿をしてやったりと悪戯が成功した子供のようにニタニタ笑った後。

 俺はその場を後にした。勿論ヒューズさんの問いには沈黙で返した。

 

「ヨクル。準備はいいか?」

 

「おうよ!リムルさんこそ遺書は書いたか?」

 

「抜かせ。死ぬつもりなんかねぇよ!」

 

「だよなー!とことんやってやろーじゃないか!」

 

 おぉぉぉぉぉおお!!!!!

 

 俺とリムルさんの宣言に皆が拳を突き上げ吠える!!

 俺達はヤル気満々、今なら魔王だって倒せるさ!

 

 そうして、俺達は決戦の地へ進軍した。街の住人、ヒューズ組、ヨウム一団も今頃街から避難しこの戦いの結末を見ているのだろう。

 

 決戦の地はドワルゴンへの街道である、広く街からも離れている。道を整備し舗装してくれたゲルド達には申し訳ないが、直すの手伝うから許して。

 

 暴風大妖渦(カリュブディス)

 俺はこれから戦うであろう敵のことを考えていた。

 ヴェルドラの因子がなんたらで魔物の死骸を依り代にして復活するとかなんとか。

 魔物の脅威度的には厄災級だが力だけなら魔王に匹敵するらしく、そして持っているスキルがとにかくキモい!

 『魔力妨害』と『超速再生』その諸々+お供の小判鮫(メガロドン)も『魔力妨害』を持っているという。

 俺のスキル泣かせ、しかし超至近距離から魔素をぶちこめば効くんじゃないか俺は思う、てか思いたい。

 じゃなきゃまたしても俺お荷物だし。

 

 それに俺には秘策があるんだよ。

 リムルさんにもそれは話してある、発動のタイミングは俺に委ねられてるからな。

 と考え込んでいる内に結構時間が足っていたらしい。

 

『来るぜっ!』

 

 上空に高密度の魔素を感知。

 それはリムルさんも同じようで俺と同じ空をじっと見ていた。

 まだ距離があるが空に黒い影が現れた、それは悠々と空を泳ぎゆっくりと此方に向かってくる。

 次第に輪郭がはっきりとしてくると影の全貌が明らかに。

 

「あれが暴風大妖渦(カリュブディス)……天空の支配者ね」

 

 青い鱗がビッシリと身体を覆い、鯨のような髭を生やしたでっかい口と黄色い単眼。

 周りにはお供を侍らせた魔物。

 

「やっば!想像よりキショくね!?」

 

 いま決戦の火蓋が切られたのだ!

 現れた暴風大妖渦(カリュブディス)あーんど小判鮫(メガロドン)に向かい。

 大将ベニマルの黒炎獄(ヘルフレイム)をお見舞いしてやる、黒い炎の結界が敵を焼き尽くさんと業業、燃え盛る

 

 だが、炎が収まると落ちてきたのは小判鮫(メガロドン)一匹のみであった。

 

「えー、ベニマルさーん加減したんすか?」

 

「俺は全力でやったわ!!」

 

 ベニマルに肘で突っついて煽ってやる。

 しかしまぁ、ベニマルの火力は生半可じゃない、それが一匹を仕留めるのみとは『魔力妨害』想像よりも厄介かもな。

 

「さーて、俺達も行きますか!シュニィ!クロウ!周りの雑魚を蹴散らすぞー!」

 

「おー!!」「ハッ!お任せを!!」

 

 各々が眼前の敵を屠らんと行動する、俺とシュニィとクロウ。その他にソウエイと忍者隊。カビル達ドラゴリザード隊。ランガ&シオン。

 

 そしてリムルさんは後方彼氏となっている。

 

「さてー、クロウ!シュニィを持て!」

 

 シュニィがクロウの掌に乗り、クロウが腕を思い切り振りかぶる。

 このあとは想像できるだろう。

 

豪雷鬼神(ごうらいきじん)

冷たい顕現(イタカ)

 

 クロウの肉体に黒雷が走り、筋肉が膨れあがる。

 一方シュニィの肉体には冷気が漏れ、氷の武装が身体を覆う。

 

「放てーーー!!!」

 

「ハッ!行ってこいシュニィ!!」

 

「はーーい!!」

 

 ドゴンッ…………!!!

 

 振り抜かれた豪腕は空気を大地を割り、シュニィは弾丸のように空に打ち上がる!

 

「シュニィー!やっちまえー!!」

 

冷たい顕現(イタカ)

 

 再び発動されたシュニィのスキル『冷たい顕現』は周りを浮遊する小判鮫(メガロドン)へ狂気を伝染させる。

 これは魔素でもたらされた現象ではない。これは本能的恐怖、宇宙的恐怖。

 死してもなお、生理的に受け入れがたい狂気は正気を失わせ発狂をもたらす!

 

「「「ギャオアァァア!!!」」」

 

 発狂した小判鮫(メガロドン)は混乱し敵味方問わず噛みつく、遣えるべき暴風大妖渦(カリュブディス)のヒレにも噛みつき、鱗を剥ぐ。

 

「よーし、畳み掛けろー」

 

 その後は順当に一匹に対して複数で、味方のカバーを行いミスを拾い誰一人掛けること無く命大事に!

 高笑いしながら敵の返り血で真っ赤になるシュニィ、黒い流星と化したクロウ。

 首をぶった切るシオンの首斬り包丁。ベニマルによって作られた鮫の丸焼き。

 

 それと目につく小判鮫(メガロドン)同士の共食い合戦。

 

「うわー、話には聞いてたが恐ろしいスキルだな」

 

 絶氷者(ヴィネア)で造り出したでっかい鷹に乗り、リムルさんがいる上空まで飛行した俺、開口一番言われたシュニィのスキル。

 まぁ想像は出来たけど流石クトゥルーの系譜。

 

 近くに迫る小判鮫(メガロドン)の目に凍雪を突き刺し、絶氷者(ヴィネア)を使い内側から凍結させる。

 

「まぁ味方ならオッケーでしょ」

 

『主さん。今の鮫から『魔力妨害』を奪っといたぜ』

 

「お、ナーイス。さてとあれどうする?」

 

「どうしたもんかな……攻撃を通そうとも鱗が邪魔で鱗を剥ごうにも『超速再生』が即時鱗を再生する……」

 

「俺ならスキル凍結させられるけど……近寄れるかね」

 

 暴風大妖渦(カリュブディス)の周りを高速で回転する鱗の本流に苦笑い。

 

「まぁでもやってみる価値はあるっしょ、死ぬわけにはいかんからね」

 

「だな、俺もサポートするからやってみろ!ヨクル!」

 

「おうよ!」

 

 鷹を操り暴風大妖渦(カリュブディス)へ接近して行くヨクル、近づくにつれ密度を増してく鱗の弾幕。リムルさんが何か新しいスキル『暴食者(グラトニー)』で鱗を食い付くし。

 俺に道を作ってくれる、絶氷者(ヴィネア)の操作を解離者(カワリモノ)に任せ。俺は氷技工で鷹の操作に全神経を注ぐ、時に囮の燕を造り鱗を誘導してのらりくらりと避けて行く。

 

 すると暴風大妖渦(カリュブディス)の単眼からビームが発射されるがビームに沿って眼前まで近づき急上昇。

 

 そして暴風大妖渦(カリュブディス)の上空にやっとこさたどり着いた俺は大きく息を吸い込むと急降下。

 空中で鷹から飛び降り凍雪を巨体に突き立てる。絶氷者(ヴィネア)で刀に氷を何重にも纏わせ巨槍のように形成すると思いっきり突き刺す鱗を砕き肉に深く深く刺さった凍雪へ。

 

絶氷者(ヴィネア)!!氷尽くせ!!!」

 

 今持てる全魔素を注ぎ込む。

 パキパキと音を立て、突き立てた肉が血液に霜が降り氷結して行く。身体能力、スキルをも巻き込み。

 凍って行くが………何か違和感がある。

 

「………何か……中に居る?(・・・・・)

 

『解析したぜ。こりゃユーラザニアの使者だな、名前は………フォビオって奴らしい。ミリムーミリムーって呼んでんぜ?』

 

「へ?それって……おっつ!?いってー!?おい!解離者(カワリモノ)!防御は任せてただろがっ!!!」

 

 悪事を働いてる俺に気づいたのだろう、鱗の一点集中攻撃に堪らず逃げ出した俺は解離者(カワリモノ)に叫ぶ。

 

『仕方ねぇだろ、こちとら解析してんだ馬鹿野郎がっ!!』

 

「なっ…このっ……ふぅ……今はそれよりリムルさんにも伝えないとな」

 

 今は怒りを抑えよう、大丈夫クールに行こうぜ。

 てな感じで再び鷹を造形し背中に着地した俺はリムルさんのもとへ急ぐ。

 

「リムルさん!」

 

「ヨクル!」

 

「「あいつ(カリュブディス)の目的はミリムだっ!」」

 

 あれー?なんで知ってんの?

 ………愚問だった、リムルさんには大賢者大先生がいるんだったわ。俺の苦労とは一体?

 と思ってると話を聞いていたのかミリムがすぐ近くまで飛んできており、首をかしげていた。

 

「呼んだか?」

 

「あぁ、ミリム。あいつの目的はお前らしい、分かるよな?」

 

「………?…………!!わかったのだ!!任せるのだ!マブダチよ!!私に掛かれば一瞬だぞ!!」

 

「ミリム!核は傷つけるなよ!手加減だ!て・か・げ・ん!!」

 

「任せるのだ!!私の『竜眼(ミリムアイ)』には全てお見通しなのだ!見よー!これが手加減というものだーー!!」

 

        竜星拡散爆(ドラゴバスター)

 

 ミリムの両手に集まる輝く魔素の粒子は一際強く輝くと幾つもの流星が暴風大妖渦(カリュブディス)の身を焼き、抉り、蒸発させて行く。

 

 あまりにも圧倒的な力を前に。

 俺は思った。

 

 やっぱり最初から任せれば良かったんじゃないのか?

 

 と。





本編よりも簡潔に書いてしまったような気がする。
けれどみんな知ってるかもなので削りました。
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