転生したら霜男だった件 それいけジャックフロスト   作:機関銃くん

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21話《大勝利からの宴会祭り》

「えー無事、危機を乗り越えた我らにかんぱ~い!!」

 

「「「「かんぱーい!!!」」」

 

「もっと酒を持ってこい!足らんぞ足らんぞっ!!」

 

「良い呑みっぷりではないか!!かんぱーいなのだ!!」

 

 と、ただいま絶賛宴会中で御座います。

 我々は無事に暴風大妖渦(カリュブディス)の脅威を退けることに成功し、大健闘を称え食えや呑めや騒げや状態な訳である。

 俺の知らん間に来ていた、トレイニーさん達やドワーフ達とガゼル王も宴会の席についていた。

 

 だが、まぁ詳しく言えば倒したのは俺達では無くミリムであって。

 黒幕も捕まっては居ないのだから、脅威が去った訳ではないという問題もある。

 

 と言うのも。

 思い出されるのはミリムが暴風大妖渦(カリュブディス)が爆殺死散した後、肉の焼ける匂い焦げた嫌な黒煙の中からプスプスと煙を立てながら落ちてきたフォビオをキャッチさせられた俺は焦げた臭いに顰めっ面をしながら嫌々、そっと地面に下ろした。

 

 横たえたフォビオの肉体、その胸元に気色の悪い肉の塊。

 

 ドクンッ……!ドクンッ……!

 

 それは未だに熱く高く鼓動を打つ。

 

「………おえっ……マジキモい……」

 

「おい、可哀想だろ!」

 

「それが……核ってやつなんでしょ……?取れるのそれ……?」

 

 暴風大妖渦(カリュブディス)は話によると、核を元に精神的肉体を構築し復活と封印を繰り返す化物だったはず。

 なら核を分離させただけではまた某かの依り代を使い復活するだろう。

 

「なぁ、ヨクル。お前これ凍結できる……?」

 

 は?

 

「……だから、これ……凍結させて……?」

 

 は?俺にこれを触れって?

 触れっていうの?

 

「嘘でしょ……?嘘と言ってよ……!?」

 

 だが、リムルさんの目はガチだった。

 確かに絶氷者(ヴィネア)で核としての機能を凍結させてしまえば簡単に取り外せ、リムルさんの暴食者(グラトニー)とやらで喰ってしまえば2度と復活はしないだろうよ!

 

 だけど…………!!

 くぅー触りたくないー!!

 

「……苦肉の策だ……!」

 

 凍雪をゆっくり抜き取ると核にそっと沿わせると核の鼓動はピタリと止まり、肉の表面に霜が降りる。

 核が完全に停止したことを確認したリムルさんはヒョイと核を取り除くとパクり。

 

「良くあんなゲテモノ喰えますね」

 

 その数分後。

 無事に核の摘出に成功したフォビオはミリムの攻撃によるダメージは残っていたが意識を取り戻した。

 と共に自分の置かれている状況を直ぐ様理解したのだろう、リムルさんに向かい深く土下座をし謝罪した。

 

「スマン!……いやスミマセンでした!今回の一件は全て俺の一存によるものだ!罰するのは俺だけにしてくれ!カリオン様は関係ないんだ!!なんとか俺の命で許して欲しい……!お願いだ……!!」

 

 いやいや、許す許さないの問題じゃないだろう。

 肝は何故こうなったか、だ。

 

「貴方は何故カリュブディスの封印場所を知っていたのですか?あれは我ら森妖精(ドライアド)しか知り得ぬ場所、偶然見つけたとは言わせません」

 

 トレイニーさんがそう問い詰めればフォビオはぽつぽつと語り始めた。

 カリュブディスの封印場所を教えてくれたのは二人組の仮面の道化であったと、そしてそれは泣いた仮面と怒った仮面の二人組。

 

 はて?そう言えばオークロードの一件でも似たような話が出ていたような。

  

「中庸道化連だ。奴らは何でも屋だと言っていた」

 

 ゲルドの話でオークロードの一件、ゲルミュットと結託していた道化はフットマンであり、その裏でカビルにも接触していた道化、ラプラスとなのる者も現れ。

 さらにはミリムの話では本当の黒幕は魔王クレイマンでは無いかという話も出てきて。もうしっちゃかめっちゃか。

 

「……あー、もう頭こんがらがってきた!とりあえず今日はお開きにしよう!折角皆いるんだし!勝利の祝杯でも上げよう!リムルさんいいだろ!?」

 

「うーん、そうだなー。みんな頑張ってくれたし、援軍を頼んだガゼル王も来るだろうしな。来てもう終わったよーなんて言おうものならどうなることやら。よしっ!今日は宴会だ!」

 

「そこのフォビオも来るだろ?」

 

 と俺が声を掛ければ、何いってんだこいつみたいな顔されたんだが酷くね?

 

「はっ!?俺は許されないだろう!!」

 

「だってお前騙されたんだろ?こっちの被害は無いしリムルさんも気にしてないでしょ?」

 

「まぁな、寧ろフォビオも被害者みたいなもんだし。ミリムもいいよな?」

 

「うむ!一発殴りたかったが我慢してやろう!カリオンもそれで良いだろう?」

 

 …………ん?カリオン?

 すると、ミリムが顔を向けた方から歩んでくる人影。

 

 「やはり気づいていたか。よう、そいつを殺さずに助けてくれたこと礼を言うぜ」

 

 大柄で金髪、筋骨隆々。

 この世界の男はイケメンかマッチョしかおらんのか!?

 なんともワイルド系イケメンである男がユーラザニアを治める魔王カリオンらしい。

 

「魔王カリオンが出向いてくれるとはな。俺はリムル〓テンペスト、この森の魔物達で作ったテンペストの盟主だ」

 

「フッたかだかスライムが国を興すとは……」

 

 とカリオンは言葉を濁すとリムルさんをそして何故か俺を凝視する。

 

「お前ら豚頭帝(オークロード)を喰ったな?」

 

「え、俺は喰ってないけど……リムルさんはそりゃもう爆食でしたけど、でも仕方ないじゃないか。じゃないとこっちが死ぬところだったんだから」

 

「お前……黙ってろよ。馬鹿が露見するぞ……?」

 

「くッ……ふははは!面白い奴だ!ミリムが気に入るわけだ!改めて悪かったな部下が暴走したようで。俺の責任だ、ここは俺の不始末で一つ許して欲しい。今回の件は借り一つにしておく、何かあれば俺様を頼ってくれて良い」

 

 おー、意外。

 魔王ってもっとぶっ飛んでる奴なのかと思いきや、義理堅いんだな!

 しかもナチュラルに俺様って似合ってるのがまた。

 

 そしてリムルさんは貸しをその場で使い、カリオンは貸しを返すこととなった。

 それはユーラザニア国とテンペスト国間での不可侵協定。

 

 と、これで一段落かと思いきや。

 突如激しい打撃音が響いたかと思うと先程まで土下座していた場所にフォビオの姿は無く、カリオンの足元その数メートル先でピクピクと痙攣をしていた。

 

「めっちゃ体育会系やん……!てか待って待って!」

 

 血だらけのフォビオを肩に担ぎ、颯爽と帰ろうとするカリオンの手を俺は掴んだ。

 

「あ?何だ?まだ俺様に何か用があんのか?霜男」

 

「あぁ、そっか自己紹介がまだだった。俺はヨクル=ライフよろしく。それでこれから宴会なんだ。不可侵協定を結んだなら、問題ないだろ?一緒に親睦を深めよう!」

 

 一人より二人、二人より沢山。

 宴会は人数が居れば居るだけ楽しいものだ。

 それにテンペスト国には物珍しい物が沢山あるはず、此方に興味を持たせて貿易関係に持ち込めれば更に安泰と言うものだろう。

 

「ぶっ……ふははは!!貴様、ヨクルと言ったか、面白い奴だ!そうか、そうか親睦か仲良くはするべきだよな?クククッ……!」

 

「おうよ!お近づきの印にはい!これ!」

 

 懐から取り出したるはいつものアレ!

 

「………?何だこれは……?」

 

「あれー?魔王様知らないの?これはアイスキャンディーだ!めっちゃ旨いんだからなっ!」

 

 俺から受け取ったアイスキャンディーを訝しげに見た後、男は度胸と言わんばかりに噛み砕く。

 

「!……ふむ、なかなかどうして……旨いものよ」

 

「あっ!ズルいのだ!ズルいのだ!!私にも欲しいのだ!!」

 

「ほれ!ミリムは大活躍だったから大サービスだ!持ってけ泥棒!!」

 

 アイスの大盤振る舞いをした後に皆で仲良く宴会に向かったのだった。

 

 これが騒動の結末。

 

 俺は目の前の器に注がれた果実酒をチビチビ呑みながら思う。

 俺は何をするために転生したのだろうか……と。

 

 死にたくなかった。それもあるだろう、だが実際第二の人生を経て俺はどうしたいのか……それが分からなくなってきた。

 

 リムルさんには明確な目的がある。その第一として魔物の国、テンペスト国を建国した。

 

 なら俺は………?

 

 とまで考えていた所で俺の意識は現実に戻された。後頭部の激しい痛みでた。

 

「いってぇ!?何すんだよ!カリオン!!」

 

「わはは!俺様誘っておいて一人で呑むなんざ許せん!酌をしろ!ヨクル」

 

 絡み酒かよ。

 未だジンジン痛む頭を擦りながら、並々と果実酒を注ぐ。と共に一気に呑み干すカリオン。

 そして、再び俺の前へ器を突きつける。

 

 その顔はニタリと挑発的な笑みを浮かべて。

 ならば乗ってやらねばなるまいて!

 

 俺も器に入っていた果実酒を一気に呑み干すとカリオン並びに俺の器へ並々と酒を注ぐ。

 

「「乾杯!」」

 

 ゴクゴクッ………プハァ!

 

「なかなかやるじゃねぇかヨクル」

 

「へへっ……まだまだこんなもんじゃないわい!」

 

 2杯、3杯、4杯、5杯。

 次々と空になって行く酒樽に周りのテンションも爆上がり。

 呑めや、呑めやの掛け声を受け胃に酒を流し込んでいた俺だったが、遂に限界を迎えた。

 

「…………う……もう……げん……かい……」

 

 俺はカリオンにもたれ掛かるようにしてギブアップ、勝者はカリオンとなった。

 皆の歓声が頭に響く。

 

「流石カリオン様!ヨクルなど敵ではありません!!」

 

 とフォビオ。

 

「ヨクルさん!あんたはこんなもんじゃねぇだろ!!」

 

 とヨウム。

 

 お前らいつの間に仲良くなったんだよ……。

 

 こうして宴会は大成功で終わった。

 カリオンも満足したようで、果実酒並びに俺の特性アイスのレシピを欲しがっていたそうな。

 

「ヨクル、宴会への招待感謝する。この街はいい、魔王による圧政も無く皆が生き生きと人生を謳歌している。その様は実に気持ちの良いものよ」

 

 俺はカリオンに連れられ夜風を浴びていたら、そんな事を言い出すカリオン。

 なんだ急にと思いながらも、俺は思ったままを口に出す。

 

「………当然だ……リムルさんが盟主なんだからな………うぇ……」

 

「ふっ……そうだな。リムルにヨクル、その名覚えておこう」

 

「ケラケラ……俺は覚えられる程の者じゃねぇさ……」

 

 俺は酔いに負けてそのまま寝てしまった。

 

「クククッ……俺様の肩で寝るような胆力を持つお前は大した事あると思うけどなぁ」

 

 そう言い笑っていたカリオンの言葉は俺には届かなかった。

 後日、滅茶苦茶ネタにされ弄られたのは言うまでも無いだろう。

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