転生したら霜男だった件 それいけジャックフロスト   作:機関銃くん

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24.5話《仲間の死》

 

「嘘……だろ……ヨクルっ!!」

 

 そこには自身が信頼し盟主代理を任命した友が横たわっていた、腕は骨折し肉を突き破り露出した骨、腹は凹み内蔵もミキサーに掛けたようにグシャグシャ。

 綺麗であった白い肌は血で汚れ痣も見受けられる。

 

 友の亡骸。

 そしてこれまでの時間を共にした仲間達の死はリムルと言う人物の根幹を揺るがし亀裂を入れる。

 何故こうなった。

 魔物の国が原因か。魔物の国など認められぬと大国からの圧力か。

 何故、何故、何故、何故っ!!

 

 リムルが課した人間とは争うな。その言い付けを守った結果、ヨクルは一人で一万もの兵士と刺し違える事となった。

 

「あぁ悪いのは全部俺じゃないか……」

 

 過去に引き摺られ、今を見ようとしてなかった。

 人間とは手を取り合えると信じてやまなかった。

 

 そのツケがやってきただけじゃないか。

 

 力あるものを。理解が及ばないものを。人間は悉くを淘汰してきた、その歴史を知っていた筈だったのに。

 だから、ヨクルは関所を設け警備を強めた。街に散らばる氷の欠片がアイツの努力を物語っているだろうが……。

 

「クソッ……」

 

 しかし、いくら過去を後悔しようがもう遅い。

 死した肉体が甦りリムルに微笑みかけたりなどしないのだから。

 

 だが仇を打つにしろ、泣き寝入りするにしても………ヨクルは手懸かりを残してくれていた。

 ヨクルの魔素残子、それは新たに街に来たであろう女から発されており、恐らく今回の一件に関わっている容疑者。

 それを確かめないことには、このどうしようもない感情を抑え込めろと言う方が無理だろう。

 

「ヨウム、その女をこっちに寄越せ」

 

 ヨクルの魔素の残子を辿った先、胸の中心から氷が広がり震えるミュウラン。

 そしてミュウランを庇うように立ちはだかるヨウム。

 

「リムルさんっ!待ってくれ!!」

 

「黙れ。俺は今戯れ言に付き合ってやれる程、余裕は無いんだ。それにヨウム、こいつはお前の師匠の仇からもしれないだぞっ!」

 

 濃く濃密なリムルの魔素に当てられたヨウムとミュウランは血の気が失せ青い顔を浮かべるがそれでも引かない。

 こいつは悪くないんだと擁護するヨウムにリムルは操糸を操作しヨウムを椅子に拘束する。

 

「お前は黙っていろ………大人しくしてれば危害は加えない……さて、お前が街に結界を張った本人だな……」

 

「………ッ………」

 

 リムルの問いは返答を必要としていない。確信を持ってお前だと指を指されている。

 そう理解したミュウランは下唇を噛み覚悟を決めた。

 どっちにしろ失敗した自分はアイツに殺されるのは目に見えてる、なら少しでも愛した人と一緒に。

 

「ヨウム。私貴方を愛していたみたい……ごめんなさい……幸せになってね……」

 

 ミュウランは涙を目尻に浮かべながら微笑み愛した人へさよならを告げた。と共にリムルの腕がミュウランの胸を貫く。

 パキンッ……!!

 胸の氷が宙を舞いゆっくりと後ろに倒れて行くミュウラン、ヨウムはその光景を歯を食い縛りながら見ているしか出来ない。

 

「うあぁぁぁあっ!!!リムルッ!!!許さねぇ!!」

 

「…………はぁ……俺だって本当はこんなことしたくねぇよ。でもこうでもしないとまともに話出来ないからな……」

 

 何を意味のわからないことを。と言い掛けた言葉は起き上がった人物を見た途端に息が詰まり声に成らなかった。

 

「…………あれ、私……何で……?」

 

 何故か胸を貫かれ絶命した筈のミュウランが起き上がり自身も不思議そうに貫かれた胸に触れている姿があったからだ。

 

「さて、お前のバックには誰がいる?嘘は許さん、真実のみ話せ。さもなくば………わかるよな?」

 

「ええ……心得ています。私の心臓を手中にし指示を下していたのは魔王、クレイマンです……」

 

 その後ミュウランは全てを語った。

 オークロードの一件、カリュブディスの一件、そして今回の一件。その全てに魔王クレイマンは関わっていたのだ。

 

「…………許せると思うか……?」

 

 仲間を殺され、同郷であったヨクルも死んだ。

 これでまだ他種族と揉める訳にはいかないと自分を殺し納得し怒りを呑み込んで許すと言えるものか?

 

「……………断じて否だっ!!ぶち殺してやるよ魔王クレイマン……!」

 

 その瞬間。

 中央都市リムルの街に重厚な魔素が重くのし掛かった。だが、それを苦に思う者は誰一人として居なかった。

 これはリムルの怒り、悲しみ、不甲斐なさ、様々な感情を孕んだもの。

 こんなに我々は思っていただけている。

 そう感じさせる魔素に皆は感謝し決意を固める。

 

 そう、これは開戦の狼煙だ。

 

 同時刻。

 中央都市リムルが襲撃された件を知った三人組。

 ヨクルとも街の皆とも知らない中ではない、恐らくは心配で訪れたのだろう。

 しかし、どうにしてもタイミングが悪い。

 ガバル、ギド、エレン。

 人間によってヨクルをシオンを仲間達を殺害されたばかり、傷も癒えないままに街に訪れた人間に視線が刺さる。

 

 それでも、エレンの歩みは止まらない。

 確かな意識を持ち視線や罵倒の中を進んで行く。その後ろに隠れるように怯えた様子で着いてくるガバルとギドに呆れながら。

 エレンはリムルの執務室に通され。

 漸くリムルと対面したエレンは絶句する。

 

 あんなに優しくかっこよかったリムルさん。だが、今の姿を見てその面影は微塵も感じない。

 しかし、それでも話さなければならない。

 

「リムルさん。皆さんをまだ救えるかもしれません……!」

 

 ざわっ…………!!!

 

 執務室に重苦しくのし掛かる重圧。雰囲気の話でも空気が重いわけでも無い。

 言葉通り、リムルさんの怒気と共に放たれた魔素が空気を震わせ、息が止まる。

 

「……………どういうことだ?冷やかしなら………わかってるだろうな……?」

 

「…………古いお伽噺で、こんな話があるんです……」

 

 エレンはポツポツと話し出す。

 かつて友の竜を蘇らせた少女の話を……。

 

「なるほどな………こりゃ魔王になるしか無いようだな……」

 

 こうして、リムルさんの一団はファルムス王国から進軍してきていた人間達を千切っては投げ、肉をネジ切っては炭にして、沢山の人間の命を捧げ。

 

 覚醒魔王となったリムル。

 

 皆を蘇らせたらしい…………。

 

 

「…………って……嬉しいけど。リムルさん怖っ……」

 

 後に話を聞いた俺はそう呟くしか出来んかった。

 確かに俺が死んだ事でそこまで思ってくれるとは嬉しい限りですけど、それで。ん?覚醒魔王とやらになってしまったリムルさんに何か申し訳無い。

 

 しかし、俺の脳内にも何か、聞こえるんだよね。

 

《魔王の進化を行いますか?行いますか?》

 

 とりあえず、次回に続くって事で!!!

 

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