転生したら霜男だった件 それいけジャックフロスト   作:機関銃くん

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5話《特訓、特訓、特訓!!》

「くらぁぁぁあ!!」

 

 俺が放った氷の柱は真っ直ぐにリムルさんに向かって行くが、身体が瞬時に粘液状に変化すると氷を取込み補食、そのまま距離を詰めて来る、不味い不味いー!

 近づかれてはなす術がなくなるわ!!

 俺は焦って背後に飛び退こうとするが、足が地に張り付いたように動かない。

 

「いつの間に!?」

 

 俺の足を見てみればいつ使用したのかもわからないが。リムルさんのスキル、粘糸によって足が絡め取られ地面に固定されているではないか。

 不味いぞ!!これじゃあ動けない!! 

 そして、焦っている内に距離を詰めてきたリムルさん。

 

「いやちょ!?まっ!?!?」

 

「待つ訳無いだろー!!」

 

 華奢な細腕から繰り出されたとは思えないくらいに重い拳が俺の鳩尾にめり込む。

 

 クリーンヒット!!

 

 ミシミシと軋む音を立てながら、えぐり込むように放たれたボディブロー。

 しかも、足元が固定されているために威力を分散させること無く威力が一切逃げること無く俺の身体に叩き込まれる。

 

「ぐほっおぉぉぉお!?」

 

 あまりの威力に胃液が逆流してきて口内が酸っぱくなり目の前がチカチカ発光する。加えて足元の粘糸が威力に耐えきれずブチブチと千切れてしまい。

 俺は錐揉み回転しながら背後の木々に背中を強打する羽目に。

 

「いってぇぇぇぇえ!!ごはっ、ごほっ!!」

 

 俺、霜男(ジャックフロスト)のヨクルは只今、えっ?本当にスライムですか!?

 聞きたくなるようないや問い詰めたくなるような強さを存分に見せ付けてくるスライム、リムルさんの鬼畜特訓を受けていた。

 

 ていうのも先日の俺のスキル。

 呪怨者(クロキモノ)事件という騒動があったのだが。

 その際にリムルさんの大賢者様に改めて俺の事を解析して貰ったのだ、俺の事だが俺が一番良くわからないからな、ここまで良く手探りで来れたものだと感心するわ。

 

 と言うことで解析結果がこちら。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 個体名:ヨクル。

 

 種族:霜男(ジャックフロスト)

 

 所有スキル。

 ユニークスキル

 ・冷血者(コゴエルモノ)

 ・呪怨者(クロキモノ)

 

 エクストラスキル

 ・氷細工(アイスワーク)

 ・魔力感知

 

 種族固有スキル

 ・森術士(ドルイド)ー脈動回復、大自然          

 ・雪遊び

 ・雪隠れ

 

 耐性

 ・痛覚無効

 ・凍結無効

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 なんか、知らんスキルが沢山出てきたんだが………。

 まぁいいか、とりあえず一番使うスキルを知っておかなければまた呪怨の(クロキモノ)の二の舞になってしまう。

 さぁこれが俺のメインウェポン、基本攻撃にして最恐の凍結スキル冷血者(コゴエルモノ)の詳しい詳細がこれだ。

 

 ・冷血者(コゴエルモノ)

 凍結:接触状態にある対象に自身の魔素を流し込み、対象の魔素の動きを阻害、停止させ凍らせる。効果範囲は物質体、精神体、スキル、魔法、身体機能、五感等。

 強奪:凍結した対象からスキル、魔素を奪い取る。

 

 なんか、単純に凍らせてるのかと思っていたのにこれも魔素を流し込む系だったみたいだな。

 冷血者(コゴエルモノ)呪怨者(クロキモノ)と同じように本人の技量に左右されるようで俺に依存するようだ………あぁ……辛い。

 

 そして。

 メインウェポンの補助スキルで応用。

 エクストラスキルの氷細工(アイスワーク)

 

 ・氷細工(アイスワーク)

 造形操作:魔素を流した氷を操作し氷像を造る。

 生命付与:込めた魔素に応じて氷像が意思を持ち行動する。

 

 そして、冷血者(コゴエルモノ)の氷を使って氷細工(アイスワーク)で氷像を作った場合。

 氷像は冷血者(コゴエルモノ)の特性を引き継ぐ……らしい。

 

 この引き継ぐの意味が今一ピンと来ないが……その内試してみよう。

 

 あとは…………。

 謎スキルの雪遊びと雪隠れ、大自然だが、これはまた今度にしよう。

 

 と、とりあえず大賢者様に解析して貰った訳だが。どうやら俺のスキル殆どが魔素コントロールに依存する物が多いようで。

 リムルさんみたいに大賢者様のバックアップが無い俺は必死こいて魔素コントロールを身体に叩き込むしか無いんだろうな。

 

 なんて意気込みリムルさんに特訓をつけて貰おうとした俺だが。

 

「お前………もう超精密に魔素をコントロール出来てるじゃないか」

 

 リムルさんと大賢者様に手解きして貰って10分後にはリムルさんを越える程の超精密コントロールが出来てしまっていたのだから超ビックリ。

 

 自身の腕を凝視すれば辛うじてうっすらと見える超極薄の魔素の膜。

 

「魔素コントロールはもう出来てんだろ?なら実戦で身体を慣らさないとな!」

 

「……………え……?」

 

 こうして俺は地獄に片足を突っ込んだのだった。

 

 そして話は冒頭に続くんだよ………。

 

「いってぇぇぇぇえ!!ごはっ、ごほっ!!」

 

「スキル込みの実戦はこんなもんでいいだろ、次は……ハクロウ!」

 

「……はっ!お任せを……さぁヨクル殿刀を取りなされ」

 

 リムルが声を掛けると瞬時に姿を現したハクロウ、刀を鋭くヨクルに突き付けるとニタリと笑った。

 

「ぜぇはぁぜぇはぁ……俺に休みは無いのかぁぁぁあ!?」

 

 怖ぇ……。

 だが、逃げ出せる訳にもいかない、てか逃げられん。だって前方の(リムル)、後方の(ハクロウ)

 ここからどうやって逃げろって言うんですか、ちょっとやりすぎじゃない?

 だけどそんなこと言える雰囲気ではないんだよ。

 

 ならやるしかないじゃない!?

 俺は渋渋と刀を掴んださ、仕方無いからな、仕方無いからな!!

 ………だが、嘗めるなよ?

 俺相手に気持ち良く勝てると思うなよ?

 

 俺が構えると同時にほぼ残像のハクロウが斬りかかって来たが、俺は紙一重で避ける。

 

「………むっ……ほほぉこれは中々……楽しめそうですな」

 

「はっは!嘗めんなよ白爺!」

 

 そのつぎも、そのつぎも、そのつぎも。

 俺はハクロウの剣戟、その全てを紙一重で避け続ける。

 

 次第にハクロウは緩急、フェイントを織り交ぜ攻撃を仕掛けてくるが。

 

 残念ながら俺には分かるんだよな(・・・・・・・)

 

「ヨクル殿。お主刀を噛っておるな……」

 

「ご名答だ、俺は昔剣道をやってたからな。その頃から俺には相手の攻撃の道筋がわかるようになった。呼吸、リズム、気配、視線、その全てが伝えてくるんだよ、ここに打ち込むってな!」

 

 ガッキィィイン!!!

 鍔迫り合い、両者の刀がギチギチと競り負けまいと火花を散らす。

 

「話してる途中で攻撃するのはっ、どうなんだよ!」

 

「ほっほっほ、いやはや当たらないとはムカムカするものですな。少々ズルかったですかな?」

 

「分かるから良いけどさ?」

 

「面白いではないか、では先読みしてみよ」

 

「上等!俺に剣道で気持ち良く勝てると思うなよ!!」

 

「勝気は無いのかよっ!?」

 

 鍔でハクロウの身体を押し退けると距離を取り、再び遠間から攻め始める。

 ジリジリと摺り足で距離を詰めて行く、けっして焦らずゆっくりと相手の動きを誘うように足を運んで行く。

 しかし、流石剣鬼(けんき)と名高いハクロウ。俺の誘いには中々乗ってこない。それ所か寧ろ俺が誘い出されている気さえしてくる、その間も終始ハクロウは余裕の笑みを浮かべ。俺は表情の詠みづらいハクロウにギリッと奥歯を噛む。

 

 じっくり、じっくり。

 次第に交わり出す両者の切先。

 カチン、カチン。

 刀が鳴り響き、周囲に木霊する

 

 ハクロウが上段に刀を構え勢い良く振り下ろす!

 

「ハッ!!」

 

 俺は下段から振り下ろされた刀を擦り上げるように刀を振り上げる。

 ガキンッ………!!

 

「見事………!!」

 

「へへっ……中々やるもんだろ?」

 

「だが…………まだまだ青いですな。油断大敵ですぞ?」

 

 一瞬ハクロウの言っている意味がわからなかった俺だったが、直ぐにその言葉に意味を理解する。

 ハラリ。

 確かにハクロウの刀は受け止めた筈だった、しかしハクロウの台詞と共に俺の来ていた服の片袖が切れて落ちた。

 

「いつの間に……!?」

 

「ほっほっほっ……面白い勝負であったが儂の勝ちですのぅ」

 

「そうかよ、それは良かったな。次は負けねぇし気持ち良く勝てると思うなよ!」

 

「楽しみにしてますぞ、ヨクル殿」

 

 悔し紛れに叫んだ事にハクロウは穏やかだが闘争心にギラギラ輝かせる目に俺は叫んだ事を後悔した。

 売り言葉に買い言葉。

 俺の言った事でいずれリベンジする事が確約されてしまったのだから。

 

 そして魔素コントロールを完璧にするだけに始めた特訓は趣旨がガラリと変わり。

 リムルさんによるスキル指南、ハクロウによる剣術指南そして何故かクロウによる本格体術教室。

 

 そうリムルさんから告げられた俺は頬が引き取り苦笑いするしか無いだろうが、だって再びあの地獄のような特訓をしなければならないんだから。そりゃ断りたいのは山々なんだよ?

 だけどこの世界で生きていくにはこうする他ないんだよな。

 

 てか何故クロウも混ざってんの?

 俺に剣術の他に体術も修めろって言うのかこの従者は、それよりも

 お前(クロウ)がいるなら俺が無理に体術覚える必要なくね?

 そうだよ、クロウが守ってくれればいいじゃん!

 そうすれば体術の特訓は削れる筈だ。

 俺はクロウに話の趣旨を説明するとクロウなら守ってくれるフレーズがグッと来たのか満更でも無さそうな顔を浮かべるクロウ。

 イエス、後もう一声。

 

「……しかし、主殿。主殿の攻撃方法は遠距離に片寄っております。勿論我が主殿を何時なんどきでも御守りいたします………ですが、もしも、万が一を考えますと…………」

 

 ……わかったよ!!

 だから、そんな筋骨隆々の癖に子犬のような目をするな!?

 

 

 こうしてリムルさんによる。スキル連、剣術、体術のトリプル特訓。俺、ヨクルの超強化特訓が開始された訳で……。

 

 そんな特訓の日々にも心の休まる一時があった。

 

「はぁーうまっ……さいっこう」

 

 口の中に広がる優しい甘味、ミルクの香りが頬を緩ませる。

 そう、ソフトクリーム!!

 これまでは果実のアイスキャンディしかバリエーションが無かったが先日ミルクが手に入ったと聞いた俺。

 その日の特訓を秒で終わらせミルクに飛び付き、ソフトクリームの開発に取り掛かった。

 と言っても本格的なソフトクリームを作れるわけもなく。

 なんちゃってソフトにはなってしまうけど食べたい欲求は凄まじい物で………。

 

 砂糖の変わりに果汁を何度もろ過して濃縮させた果汁を煮詰めて何とか砂糖擬きを造り出し。

 ミルクに砂糖擬きを加え冷血者(コゴエルモノ)氷細工(アイスワーク)を駆使し。

 ボウルと泡立て器を作成し超泡立てた、それはもう超頑張った。

 

 その結果。

 ジャーン!!

 

 なんちゃってソフトクリームゥ!

 

 果汁から砂糖を作っているからか仄かに香る柑橘系の香りがサッパリ感を醸し出して、これはこれで上手いんじゃないかという仕上がりになったソフトクリーム。

 

 ペロペロッ。

 はぁ、至高の旨さだわ。

 これは止まらんね、うん。

 

 それにジャックフロストになったお陰かかき氷やアイス。

 氷菓子を食した際に起こる頭キーッン現象が起こらなくなったのだ。

 そのお陰で何個でも食べれちゃう。まぁ頭キーッンも癖になるんだけどさ。

 

「それにしても……結構特訓の成果って実感できるものだなぁ」

 

 前よりも精密に繊細に氷細工(アイスワーク)で造形を出来るようにもなったお陰で泡立て器のような細かな造形を出来るようになったし、それに触れただけで凍り付くような事も無くなったもんな。

 

 あとは未だ試せていないスキルの詳細が気になるよなぁ。

 

「……………雪遊びと雪隠れ……あとは大自然だっけか」

 

 試しに大賢者様に解析をして貰ったんだよ、この間。

 そしたらさ何て言われたと思う?

 

 雪遊び:楽しくなる。

 

 雪隠れ:雪に消える。

 

 大自然:育つ。

 

 ………………何だこれ。

 って感じだよな!?

 楽しくなる。雪に消える。育つ。

 おちょくってんのか!?ってなるよねっ!?

 

 そん時のリムルさんの顔よ。

 

 うっわぁドンマイッ!

 

 って顔よ!?

 

 でも確かに使ってみないことにはどうなるかわからないし?

 楽しくなるなら楽しくしてほしいよね!(ヤケクソ

 何か思い出してたらムカムカしてきたぞ……。

 

「あぁいいさ!!試してみようじゃないか!!」

 

 正に今スキルを試そうとした瞬間。

 

「主殿!!急ぎお伝えしたいことが!!」

 

「うひゃ!?ク、クロウ!?」

 

 飛び出してきたクロウに邪魔される形で俺のスキルは不発で終わり。

 この盛り上がった気持ちはどうすれば良いのかと自問自答しながら先ずはクロウの用件を聞こうか。

 俺は自らの気持ちを飲み下しクロウの伝言を聞くことに。

 

「リムル殿からの言伝で御座います。町の入り口に奇っ怪な集団あり急ぎ対処せよとの事」

 

「……………遂に俺は雑用処理まで押し付けられるようになってしまったのか………」

 

 恨むぜリムルさんよ………。

 文句を言いながらもトボトボ重い足取りで町の入り口まで向かったヨクル。

 すると確かに町の入り口に屯している輩がいるな。

 だが人じゃないな、まぁジュラの大森林で人間がいる方が珍しいのだがな。

 屯している集団は長い口と全身を艶やかな鱗で覆われており、長い尻尾が揺れる。

 そう、蜥蜴にそっくり、てか人間サイズの蜥蜴だな。

 

 集団で来ている割には攻めてくる様子もないし、先頭で何やら音頭を取っている蜥蜴人が町の責任者と話がしたいと訴えているみたいだ。

 

「我が名はガビル、この町の責任者と話がしたい!!」

 

 え、何々?リムルさんに後用事?

 仕方無いなぁ、話し合いを求めているなら俺がでしゃばる訳にはいかないよなぁ?

 

「おーい、リムルさぁん!話し合いがしたいんだってさあ!!」

 

 そりゃ呼びに行ったさ。

 町の事を俺が決めるわけにはいかないからさ。

 

 呼びに行けばリムルさんは俺というかガビルと名乗る蜥蜴人をめんどくさそうに見るが、呼ばれてしまっては仕方がないと話し合いに応じることに。

 

 内容は豚頭族(オーク)の討伐協力依頼だった。

 何でも急激に力をつけジュラの大森林を荒らし回っている豚頭族(オーク)に対抗するために蜥蜴人族(リザードマン)が中心となり人員を集めているらしくここがゴブリンの村と聞いて来たようだった。

 だが、ここはもうゴブリンの村と言うよりリムルさんの町だし。

 リムルさんからしたら徒党を組むメリットがあまり無いように思える。この町には転生者のリムルさん、そして同じく転生者である俺、鬼人のクロウ達と嵐牙達とホブゴブリンのリグルド達が居るわけで。

 そんじょそこらの魔物に負けるとは思えない程の戦力が集結しているのだから。

 

 それに加えてあろうことかガビルは傲慢にもリムルさんに対しスライムがリーダー、責任者の訳がない何ぞとほざき、我輩の配下になれば守ってやるなんて言ったものだから。

 リムル守り隊の鬼人達がヤバイくらい殺気立つ。

 

 リムルさんを抱えるシオンなんてリムルさんを絞め殺す勢いで腕と暴力的な胸で圧迫して行くし。

 ベニマルは超良い笑顔で殴っても良いですか?なんて聞き始める始末。

 

 あーあ、あいつ死んだわと輪の外でボーッとしてながら様子を眺めていた俺。

 ヘラヘラヘラ。

 俺は関係ないよね、我関せずで笑っていた俺にまさかのキラーパスが放たれる。

 

「わかったわかった。ガビルって言ったか?このヨクルに勝てたら子分にでも配下にでも何でもなってやるよ」

 

「うえぇぇぇぇえ!!!???」

 

 

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