転生したら霜男だった件 それいけジャックフロスト   作:機関銃くん

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6話《ガビルVS俺!?討伐依頼、豚頭帝》

「ガッビル!あっそれ、ガッビル!」

 

 呆然と目の前で音頭を取るガビルを見る俺。

 周りにはリムルの町の住人達。

 

「なんでこんなことに………」

 

 数十分前。

 リムルさんから放たれた予期せぬ発言で蚊帳の外にいた筈の俺はリムルさんとガビルの話し合いに引きずり込まれることになってしまった。

 これも我関せずで笑っていた報いなのだろうか。トホホ……。

 リムルさんは良い機会だから特訓の成果を見せてみろ。

 なんか取って付けた用な理由だが。

 特訓の成果何て言われてしまっては頑張るしか無いだろうが、もし万が一ガビルに負けるような事があれば。

 特訓の激化、リムル守り隊からの非難の目が凄そうだ。

 

 それに。

 

「お前なら安心して任せられる」ニカッ!

 

 なんて言われたらやるしかないじゃない!?

 信頼されてるのか、体の良い面倒処理にされているのかわからないがな。

 

「……しょうがないか……リムルさんにはお世話になってるもんなぁ」

 

「ガンバ~」

 

 ガックシ。

 なんて気の抜ける応援だよ、たくっ。

 

「そろそろ始めようではないか。だが我輩は優しいからな忠告しておくぞ我輩は次期頭領なのですからなっ!!降参するのが身のためですぞっ!!」

 

「それはお気遣い……「よっ!ガビル様カッコいい~!!」……うるせぇからな!?被ってんだよ!?」

 

 ベニマルが審判の元。決戦の火蓋が今切られた!!

 

 ガビル、ベニマルの手が下ろされたと同時に全力ダッシュ。その勢いのまま手に持った槍で俺を串刺しにするつもりなのだろう。

 

冷血者(コゴエルモノ)

 

 俺がスキル名を唱えると同時に霜が地面を覆って行く。

 一方ガビルは余程俺の事を侮っているのか、それとも槍で突くことに集中しているのか、足元ががら空きだぞ。

 案の定俺の霜に気付くこと無く突っ込んできた。

 するとガビルの足が霜に触れた瞬間、ガビルは足に力が入らなくなったようでガクンと膝を折り地面に倒れ込む。

 

「ッ!?グガガガッ!!!」

 

 物凄い勢いで顔面から転倒、そのまま顔面スライディングで俺の横を滑り抜けて行った!!

 

「我が、我輩の足……足の感覚が……無い……無いんだけど!!!どゆことだ!?これどゆことなのだ!?!?」

 

「うっわぁぁあ………!!予想以上に派手に転けた……痛ったそうぅ……超痛そうぅ……大丈夫か?」

 

 一体全体何が起きたのか理解することも出来ないガビルはただただ呆然と自身の感覚の消えた足(・・・・・・・)を見ることしか出来ないようで。

 さっき迄自身の思うように動いていた筈の足を目を見開き信じられないといった表情で凄い見てるガビルに俺は………あれだよ。

 

 なんか…………。

 ちょー罪悪感!!

 

 自分でやっておきながら、言うのもなんだけど物凄く胸がいたい、ズキズキして苦しくなってくる。

 目の前で実際に足の機能を停止したせいでもがき苦んでいるのを見るのは思いの外堪えるものがあるなぁ。

 

「ごめんな、ちょっとやり過ぎたかも知れん。手を貸すよ」

 

「あ、これはすまない!」

 

 ガビルの身体を起こすのに手を貸した俺。

 単純に手を貸すつもりだったのだが……………。

 

 俺は失念していたんだよ、てへっぺろ。

 そう、あるスキルが発動していたままだったことに。

 そしてガビルの手を掴んだ瞬間。

 

 俺の脳内に世界の声が聞こえてきた。

 

『告。冷血者(コゴエルモノ)が発動されました。対象ガビルの腕の機能を凍結、停止します』

 

 ん?発動されました?

 え、何?どゆこと!?

 ん………んん………!?

 

 そして気付いてしまった。

 冷血者(コゴエルモノ)発動したままだったわ。

 

「あ……………やべっ……!!」

 

「我、我輩の腕が……腕がぁぁあ……!!!」

 

 だが、時既に遅し。

 ガビルの腕の機能は停止し力も筋肉も動かすこと叶わず、ダランと脱力し地面に落ちる。

 

 ゾクリ…………。ん?

 

「ごめん!わざとじゃないんだ!!ごめんな!!」

 

 予想外の展開に俺もパニックになってしまって。

 単純に冷血者(コゴエルモノ)を解除すればそれでいいと言うのに、その考えに至ることなく。

 

 咄嗟に俺は地面に倒れそうになっているガビルのもう一方の腕も掴んでしまい。

 

『告。冷血者(コゴエルモノ)が発動されました。対象ガビルの腕の機能を凍結、停止します』

 

「うわっちゃーー!!!ごめーーん!!なんか反射的に!!」

 

「うぎゃぁぁぁあ!!??もう両手両足の感覚が無いんですぞーーー!?!?」

 

「安心しろ!!大丈夫!!次はちゃんとやるから!!ちゃんとやるからさ!!」

 

「いや、いや!?お前もう我輩に触るでないわ!!近くに来るな!?来るなよ!?く、来んなぁぁぁぁあ!!??」

 

 ゾクゾク…………。んん?なんだ……?

 先程から感じる不思議な感覚。

 

 いや、今はそれよりもこの状況を何とかしないと!

 てかもう遅いよ。しっちゃか、めっちゃかだよ。

 これは既に決闘等ではなくただの茶番に成り果てていた。

 観戦しているリムルさん達もなんか遠い目してるしさ!?

 ガビルの取り巻き達なんて目も当てられないって目を隠してるし!?

 応援してくれてるのはベニマルだけだよ!?

 (頑張って下さい!ヨクル殿!!)

 ごめんね!!そんなキラキラして応援してくれるのにこんな決闘で本当にごめんね!!!!

 

 そして案の定。

 痺れを切らしたリムルさんから一言。

 

「おーい、ベニマル。そろそろ止めてやれ。ヨクルの勝ちには違いないだろ」

 

「は、そこまで。勝者ヨクル殿!」

 

 ですよね!?

 流石に終わりですよね!!

 しかし、その判決に否を唱えたガビル。

 だけど地面に寝っ転がって否を唱える姿は玩具を買って貰えず駄々をこねる子供のようだ。

 

「我輩の負け!?納得がいかんぞ!?」

 

「いやいや、お前その状態でどうやって戦うんだよ……」

 

 リムルさんにまだ戦えると証明しようと何とか四肢を動かそうと呻くけれど俺のスキルで停止した機能は戻らず。

 次第に踏ん張りも効かなくなりクターッと脱力するのだった。

 

 まぁあれだ。

 グダグダではあったけれど俺の勝ちでこの騒動は終止符が打たれて無事に終わったが。

 冷血者(コゴエルモノ)を解除されたガビルは情けなく敵に腹を見せ敗北したことが余程ショックだったのか。

 我輩、次期頭領なのに………。

 なんて肩を落とし取り巻き達に励まされながらリムルさんの町を後に。

 

 その後ろ姿を見送りながら。

 俺は自身の掌を眺め、戦闘の最中感じた不思議な感覚を思い返す。

 どうしてか……何故かわからないが。

 冷血者(コゴエルモノ)で手足の感覚が無くなり、それでも足掻き、身悶えし、苦しむガビルに対して面白い(・・・)楽しい(・・・)と感じてしまっている自分がいることに自分で驚いていた。

 こんな風に他人を虐げる趣味があったとは……思いもよらなかったな。

 あれか?転生して知らなかった自分に出会えたのだろうか?

 

 まぁいいか。

 多分、初戦闘で気分が高揚していただけだろ。

 

「おーいヨクル。豚頭族(オーク)の件で話し合いするぞー」

 

「あ、はーい。いま行きま~す!!」

 

 と、俺はこの時の感覚を気のせいと流してしまった俺。

 

『告。ーーーーーー、ーーーーーーーを獲得しました』

 

 謎の声にも気付かなかった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

「ーーーーー報告は以上です」

 

 ソウエイの分身体が偵察を終えて会議室に戻ってきた。

 蜥蜴人(リザードマン)の持ってきた情報を元に豚頭族(オーク)の話が事実なのかを確認することになった。

 

 そして結果ーーー。

 

「おそよ二十万を越える豚頭族(オーク)の軍勢を確認しました」

 

 そして豚頭族(オーク)の軍勢は大河に沿って北上し、俺が凍結した湖の近く、東の湿地帯。

 つまりガビル達、リザードマンの支配領域を目指しているようだな。

 

「てか、オークの目的って何なんだろうな。湿地帯を目指すだけならオーガの里は遠回りだろ?わざわざ戦力を裂いてまで襲う必要あったのかな?」

 

「………確かになぁ。オークの目的ねぇ………」

 

 するとカイジンが可能性の話をし出した。

 

「ふむ、オークはそもそも知能が高くない。この侵攻には本能以外の何かがあるんだろう、例えばバックで操っている存在とかな」

 

 黒幕………。

 

「例えば……魔王とかか?」

 

 魔王ね…………魔王!?!?

 魔王なんかいるのか!?!?

 

 いやー流石異世界だなぁ!!!

 

 なんて一人興奮していると。

 

「ーーーー初めまして、魔物を統べる者。それと白氷の子。及び従者の皆様。突然の訪問、相すみません。わたくしは樹妖精(ドライアド)のトレイニーと申します。どうぞお見知りおき下さい」

 

 つむじ風と共に現れた綺麗なお姉さん、トレイニーさん。

 話によるとこのトレイニーさん、なんとジュラの大森林の管理者らしく。

 とても偉い人なのだそうだ。

 へぇー管理者。

 あ…………俺、湖凍らせちゃった………怒られるのか?怒られるのか!?

 

 しかし、トレイニーさんの用は俺にではなくリムルさんにだった。

 

「本日はお願いがあって罷り越しました」

 

「リムル=テンペスト……魔物を統べる者よ」

 

 

 

「貴方に豚頭帝(オークロード)の討伐を依頼したいのです」

 

 

 

 へっ?依頼討伐?

 豚頭帝(オークロード)って何?

 

「あ、それと白氷の子。ヨクル。湖を無闇に凍らせてはいけませんからね」

 

 ひぇ………ごめんなさい……!!

 

 その後はトレイニーさんを加えて再び会議が開始。

 

 トレイニーさんによってもたらされたオークの上位種族、豚頭帝(オークロード)の存在。

 リムルさん的には討伐依頼は保留に、あくまで鬼人たちの援護はするけど率先して藪をつつくようなことはしたくないと。

 

 そして、会議が進むにつれてオークロードの脅威が徐々に露になってきた。

 

 オークが豚頭帝(オークロード)に進化すると自動的に得られるスキルがあるらしく。

 その名はユニークスキル『飢餓者(ウエルモノ)

 酷い飢餓感が消えなくなる変わりに食べた魔物の性質を自分のものとする、正しく食べたものが身に付くと言うことだ。

 それは俺の『冷血者(コゴエルモノ)』やリムルさんの『捕食者(ほしょくしゃ)』と似ている。

 だが、一撃必殺技で奪取するわけではなく飢餓感に任せて食らう程奪取の確率が上がる。

 

 この事からオークの侵攻の目的は………。

 

「オーガやリザードマン、上位種の力を奪いたかった訳か」

 

「うーん……てかそれならリムルさんの町に来るのも時間の問題……?」

 

 だってこの町にはオーガから進化した鬼人のベニマル達、嵐狼牙(テンペストウルフ)、ホブゴブリン等々。

 上位種てんこ盛りな訳ですし。

 

「オマケに俺やリムルさんも居ますしね。最強のスライムなんて放っておくわけ無いでしょ」

 

「それを言うならお前もだろ。なんでもかんでも凍らせる天才何だからさ………はぁ仕方ないか」

 

「トレイニーさん。貴方からの討伐依頼正式に受けよう、豚頭帝(オークロード)は俺たちが倒す」

 

「ありがとうございます。暴風竜の加護を受け牙狼族を下し、鬼人を庇護する貴方様なら豚頭帝(オークロード)に遅れを取ることは無いでしょう」

 

「それと…………白氷の加護をその身に受け、同じく鬼人を庇護し凍結を司る霜男(ジャックフロスト)のヨクル様、貴方様にも期待しております」

 

「…………俺も………?」

 

「………えぇ期待してますよ」

 

 うッわぁにっこりした笑顔がこわぁい。

 てか寧ろ湖凍らせておいてこの森の危機から逃げられると思ってるのですか?

 ってトレイニーさんの心の声が超聞こえてくる。

 効果音的にはゴゴゴゴゴォ…………!!みたいな感じだよ!!

 

「わかった!わかりましたから!!俺超頑張る!戦闘?回復?なんでもござれってな感じですよ!!」

 

「おいおーい、あんまり張り切り過ぎるなよー?ヨクルくん?」

 

 こうして俺やリムルさん、町の皆で豚頭帝(オークロード)を倒すことに。

 

「次こそは遅れは取らんぞ……覚悟しておけ、豚頭帝(オークロード)……!!!」

 

 ギュッ………!

 隣で血が滲むほど拳を握りしめるクロウの姿に俺も覚悟を決めたさ。

 従者に情けない姿は見せられないもんな。

 

「やるしか無いんだよな平穏な生活とクロウの敵打ち……なんだからな………!」

 

 俺の闘志に触発されてか、魔素が漏れだしてしまい冷血者(コゴエルモノ)で足元がパキパキと音を立て凍り出す。

 

 すると再びガビルの時に感じた不思議な感覚が背筋を走り抜けた………。

 

 ゾクリ……ゾクゾク………!!

 

 

 

 

 

《ギハッ……!良いねぇ……良いねぇ!!殺るならトコトン楽しまなきゃ損だもんなぁ……!楽しんで行こうぜ、宿主(ヨクル)様よぉギハッハハッ》

 

 

 

 

 

 そして俺の脳内に声が響いた。

 粗暴で口が悪く戦闘を心底楽しむような男の声。

 

 だけど、その声は…………。

 

 俺の声と同じ声だった…………。

 

 

 




どうでしたか?
今回は謎のスキルその2が登場しました。

そしてトレイニーさんの白氷の子。
これは殆ど答えみたいなものですよね。
誰がヨクルに名付けしたのか……。
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