ペルソナ THE PHANTOM ELEVENS ~心の怪盗団と革命の風~ 作:ヒビキ7991
~ルブラン 店内~
モルガナとグッドストライカーを連れて帰る事になり、天馬と蓮は夜ルブランに戻った。
蓮・天馬
「ただいま。」
惣治郎
「お帰り。あー、悪いが上に行っててくれ。まだ営業中でな。」
2人は惣治郎の言う通り階段へ向かう。店内には惣治郎の他にお客が1人居た。パンクな服装をした、赤い瞳のミステリアスな女性だ。
女性
「………帰る。ご馳走さま。」
惣治郎
「またどうぞ。」
女性はコーヒーを飲み干し会計を済ませると、静かにルブランを後にした。
惣治郎
「さて、今日はこれで終わりだな。」
蓮
「今のは誰だ?」
惣治郎
「ん?ああ、近所にある診療所の医者だよ。」
天馬
「えっ?お医者さん?今の人が?」
天馬は先ほどの女性が医者だった事を少し意外だと思った。
惣治郎
「お前もそう思うか?何でも近所の間じゃ、適当な診察して聞いたこともねぇ薬を処方するって噂だ。ったく、関わり無いならソッとしとけばいいのによ………」
蓮・天馬
「へぇ………」
惣治郎
「さて、そんじゃ帰ってメシの支度すっか。」
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~屋根裏部屋~
2人はそのまま屋根裏部屋に移動し、モルガナとグッドストライカーを学生鞄からベッドの上に出した。
モルガナ
「おい、何処だ此処?」
グッドストライカー
「此処がお前らの部屋か?」
グッドストライカーの質問に、天馬と蓮は「うん」と答える。
モルガナ
「此処がか?一瞬廃屋かと思ったぞ………」
モルガナのコメントに少しイラッと来た2人。すると、惣治郎が屋根裏部屋に上がってきた。
惣治郎
「おい、ニャーニャーうるさいと思ったら猫拾って来たのか!?」
天馬
「えっ!?いや、あの………」
蓮
「すまない。道端で捨てられてて、かわいそうだったから、つい………」
慌てる天馬と、惣治郎に落ち着いて嘘の説明をする蓮。
惣治郎
「そうか、そいつは気の毒だったな………でもよ、ウチは飲食店だぞ?動物はねぇだろ………まぁでも、世話する生き物がいれば少しは大人しくしてるかも知れんか………しょうがねぇ。」
惣治郎は蓮達がモルガナを飼う事を認めた。
モルガナ
「飼うって、我輩はペットじゃねえ!!」
グッドストライカー
(誰に突っ込んでんだ………?)
惣治郎
「ただし、俺は一切世話はしないぞ?開店中は騒がしたり、店の中うろつかせたりするなよ?」
蓮と天馬は了解し、惣治郎は屋根裏部屋を去っていった。
モルガナ
「ここの城主か?」
蓮
「城主?まぁ、そんなところだな。」
モルガナ
「お前らを廃屋に押し込んでる割には、話の分かるオヤジだったな。と言っても普通の人間には猫の鳴き声にしか聞こえんみたいだが。」
惣治郎
「まったく、可愛い声で鳴きやがる………」
と、惣治郎が何やら皿を持って戻ってきた。皿には鳥の笹身が盛り付けられており、惣治郎はそれをモルガナの前に置いた。
惣治郎
「ほら、食いな。」
モルガナ
「ニャッフー!」
モルガナは大喜びで笹身に飛び付いた。
惣治郎
「そういや、名前とか決まってんのか?」
蓮
「ああ、名前はモルガナだ。」
惣治郎
「ふーん、モルガナねぇ………名前付けてやろうかと思ったんだが、まぁいいんじゃないか?後で皿洗っとけよ。」
惣治郎はそう言うと、再び屋根裏部屋を離れた。
グッドストライカー
「御主人はお前らよりも、モルガナを気に入ったみたいだな。」
天馬
「かもね。」
と、モルガナが笹身を平らげ話し始めた。
モルガナ
「お前ら、前に聞いたよな?我輩が何者かって………正直に言うとさ、生まれの事は何も覚えてないんだ。」
天馬
「覚えてない?じゃあ、記憶喪失って事?」
モルガナ
「ああ、異世界の歪みにやられて、本来の姿と一緒に失くしちまったんだ………」
蓮
「じゃあ、やっぱり正体は人間なのか?」
モルガナ
「多分そうだ。そうじゃなきゃ、何で猫が普通に喋れるんだって話だろ?それに姿を取り戻す方法だって大体分かってる。城に潜入したのも調査のためさ。」
天馬
「そうなんだ。」
モルガナ
「それはさておき………実は我輩は色々器用でな、潜入道具を知ってるんだ。お前らが我輩のお世話をする見返りに、我輩はお前らに潜入道具の作り方をレクチャーしてやる。どうだ?」
蓮
「潜入道具か………なるほど、悪くない。」
モルガナ
「へへっ、取引成立だな!」
モルガナは取引が成立し嬉しそうだ。
モルガナ
「潜入道具については追々レクチャーしてやる。取り敢えず、今日は明日に備えて寝ようぜ。」
蓮は皿を片付け、一同は眠りについた。
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~秀尽学園 屋上~
次の日、4月16日 土曜日の放課後。
天馬・蓮・モルガナ・グッドストライカー・竜司・杏が屋上のアジトに集まった。
竜司
「これで全員揃ったな?んじゃ行くか!」
竜司が先陣をきるが、モルガナが待ったを出した。
モルガナ
「待て、パレスを甘く見るな。先ずは潜入する準備を整える必要がある。」
杏
「準備って、具体的には何をするの?」
グッドストライカー
「先ずは装備を整える。現状の装備じゃ少し心細いからな。次に薬の確保だ。パレス探索は体力を消耗する。」
竜司
「装備って武器の事か?なら武器は俺に任せろ。渋谷のセントラル街に売ってそうな店を知ってる。」
モルガナ
「分かった。薬については我輩に心当たりがある。蓮、天馬、我輩達は一旦四茶に向かうぞ。」
天馬
「えっ、四茶に?」
蓮
「どういう事だ?」
モルガナ
「いいから来い!今日はこれで解散だ!」
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~四軒茶屋 武見内科医院~
蓮と天馬はモルガナに連れられ、ルブランの近くにある診療所《武見内科医院》にやって来た。
天馬
「ここって、もしかして昨日惣治郎さんが言ってた診療所?」
蓮
「モルガナ、お前まさか………」
モルガナ
「そのまさかさ。昨日ルブランで会った医者、御主人の言ってた噂でピンと来たんだ。そんな噂が立つ奴なら、相談に乗ってくれるかも知れん。」
蓮
「確かに。だが、どうやって薬を手に入れる?」
天馬
「適当に嘘ついて、処方してもらうしか無いか………内科だけに。」
蓮
「………行くぞ。」
天馬のギャグはスルーされ、一同は診療所に入った。受付には昨日ルブランで会った女医が居た。
女医
「どうも………あら?貴方達は昨日の………どうしたの?」
天馬
「実は、最近あまり寝付けなくて………」
蓮
「俺も、何だか夢に魘されてる様な………」
女医
「ふぅん………」
と、女医は何故か2人をじっと見る。
女医
「取り敢えず診察室に。面倒だから2人一緒に来て。」
3人は診察室に入り、女医は診察室の鍵を閉めた。
女医
「じゃあ診察を………すると思った?」
天馬
「えっ?」
天馬は少し驚き、女医は2人を睨み付ける。
女医
「アンタ達健康でしょ?それが見抜けない程、私はバカじゃないよ。ウチの噂聞いて、此処に来たんでしょ?」
どうやら女医はお見通しだった様だ。
蓮
「なら逆に聞くが、噂は本当か?」
女医
「さぁね、オカゲで訳有り患者ばっか来るけど………OK、薬処方してあげる。」
女医はあっさりOKした。
天馬
「いいんですか?」
女医
「まぁね、一応2人とも真面目そうだし。ただ処方するのは体調回復に効くやつに限るけどね。あと、薬は私のオリジナル。自由診療みたいなモノだから、体調を崩しても自己責任。それでも構わない?」
蓮
「ああ、それで構わない。」
天馬
「俺もです。」
女医
「OK、じゃあ少し待ってて。」
女医は薬を用意し、2人に処方した。そして2人が診察室を出ると、1人の中年男性が診察室に入った。
『いい加減にしたまえ!!』
蓮・天馬
「っ!?」
男性の怒鳴り声が聞こえ、2人はそっとドアに耳を傾ける。
男性
『君しか居ないんだよ、あんな非常識な薬を作れるのは!』
女医
『さぁ、何の事でしょう?』
男性
『しらばっくれるな!アレを飲めば、間違いなく非常識な力が手に入ると、もっぱらの噂になってる!新薬、生薬、漢方薬、見事に医学体系を無視した配合だ!スーパーマンでも作る気かね!?』
女医
『私、ただのヤブ医者ですよ?』
男性
『また私の顔に泥を塗る気か?学会の恥なんだよ、貴様は!学会から逮捕者など出せん!今すぐ薬を廃棄し、医者から手を引け!』
天馬・蓮
「………」
2人はソッと診療所を離れ、診療所入口で話し合う。
天馬
「何だか物騒な事聞いちゃったね………」
蓮
「しかし、さっきの話にあった薬というのは気になるな。」
モルガナ
「あのネーチャン、ひょっとするともっと強力な薬を持ってる可能性があるな。強力な薬なら、パレスでの戦闘に役立つかも知れん。」
蓮
「あの男が居ない時に、また来るとしよう。」
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~渋谷駅前広場~
次の日、4月17日 日曜日。
天馬と蓮は渋谷駅前広場で竜司と待ち合わせをしていた。杏は今回、志帆の見舞いに行くとの事で不在である。
竜司
「例の売ってそうな店は、セントラル街の中にある。行こうぜ?」
竜司の案内で2人はセントラル街を目指す。すると………
「皆さん、気付いて下さい!この国は歪んでいます!」
天馬・蓮
「ん?」
青ガエルの前で熱心に演説をする1人の中年男性の姿が目に入った。
演説する男
「一見豊かに見える日本社会。ですが仕事が無い、保障が無い、貯えが出来ない等………未来を担う沢山の若者は、その恩恵を受けれていません!」
竜司
「演説なんて今時珍しくねぇよ。それに政治なんか興味ねぇだろ?それより早く行こうぜ?」
竜司に引っ張られ、天馬と蓮は若干強制的にその場を後にした。
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~セントラル街 アンタッチャブル~
3人はセントラル街の裏通りにあるミリタリーショップ、《アンタッチャブル》にやって来た。
竜司
「此処だよ。」
蓮
「なるほど、ミリタリーショップか。」
天馬
「何、この店?」
竜司
「ミリタリーショップ、簡単に言えばモデルガンを売ってる店だよ。取り敢えず入ってみようぜ?」
蓮を先頭に、3人はミリタリーショップに入る。カウンターには無愛想な男性店員が居座っていた。
店員
「いらっしゃい。」
3人は取り敢えず、店員にオススメの商品を訪ねてみるが………
店員
「オススメねぇ………じゃあオートマチックとリボルバー、どっちが良い?」
竜司
「オートマ?おいオッサン、車の話じゃねぇよ!」
竜司はどうやら意味が分かっていない様だ。
店員
「此処はマニアの来る店だ。ビギナーが来ると常連が嫌がる。」
天馬
「じゃあ、ワルサーP38かコンバットマグナムをお願いします。」
蓮
「俺は取り敢えず、リアルな奴を。」
店員
「ほぅ………」
店員は天馬の蓮の要望を聞いて、何やら目の色を変えた。
店員
「茶髪坊主、お前も見る感じビギナーだが、かなり良い趣味してんな。でもって黒髪のお前は鑑賞派か………そっちの金髪よりかは話が通じるな。」
竜司
「う、うっせぇ!」
店員
「買う前に一応、注意事項だ。人には絶対向けない事。運搬時は鞄に入れる事。あとサツの世話にはなるなよ。ミリ屋の偏見が高まるのは迷惑だ。」
蓮
「分かってる。警察は嫌いだ。」
店員
「奇遇だな、俺もだよ。」
店員は蓮を見てニヤリと笑った。
店員
「まぁよく見りゃモデルガンと分かるんだが、本物は重厚感が違う。お前らにその気があるのなら、もっと良いモノを拝ませてやる。」
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~喫茶ルブラン~
その日の夜、ルブランに戻ると店内には惣治郎と、常連とおぼしき偉そうな男性客が居た。
男性客
「マスター、知ってるかい?先日の地下鉄事故も、車掌が異常な言動をしてたってね。」
惣治郎
「精神がどうのとか騒いでるヤツ?」
男性客
「何でも人格そのものが変わってしまうんだってさ。まるで心を盗まれた様だって………」
惣治郎
「そんなバカな話、有るわけ無いだろ?悪いがもう閉店だよ。」
惣治郎は男性客を睨んだ。
男性客
「そうやってゴアイサツだから、客が来ないんじゃないの?味は悪くないのに店がこれじゃ、せっかくの豆が泣くよ?」
男性客はそう言うと、会計を済ませ出ていった。
惣治郎
「ったく、面倒くせぇなぁ………」
天馬
「あんな接客で大丈夫なんですか?」
惣治郎
「良いんだよ、店さえ潰れなきゃな。愛想笑いしてまでやる気なんざ無い。」
蓮
「ポリシーってヤツか?」
惣治郎
「そこまで大した事じゃねぇよ。此処に居る限り、みんなが放っておいてくれる。煩わしい話も面倒くせぇ繋がりも無い、隠れ家みたいなモンさ。だから無くなっちゃ困るのは事実だ。お前らも暇なら、皿洗うくらいはしろよ?」
天馬は「はい」、蓮は「分かった」と返事をし、惣治郎は片付けを済ませルブランを離れた。
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~屋根裏部屋~
その後、2人は屋根裏部屋でモルガナの指導の下、潜入道具の製作を始めた。
蓮
「よし、完成だ。」
天馬
「こっちも出来たよ。」
2人が作ったのは、怪盗には必要不可欠のアイテム。鍵開けに使うキーピックだった。
モルガナ
「これで取り敢えず準備は整った。明日からいよいよパレス攻略だ。しっかり休めよ。」
2人は頷き、一同は明日に備えて眠りに着いた。