ペルソナ THE PHANTOM ELEVENS ~心の怪盗団と革命の風~   作:ヒビキ7991

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Act.09/再潜入、鴨志田パレス《前編》

~秀尽学園 生徒指導室~

 

 

翌日、4月18日 月曜日の朝。

ホームルームを終えた天馬と蓮は、川上に連れられ生徒指導室の前に来ていた。

 

 

天馬

「あの………俺達が呼ばれたのって………」

 

川上

「ちょっと二人に確認しておきたい事があるだけ。大丈夫、すぐ済むから。」

 

 

ガラガラガラ………

 

 

生徒指導室の扉が開き、中から鴨志田と生徒指導の教師、そして何故かかすみが出てきた。

 

 

鴨志田

「早速今朝の件を進めてくれてる様で、助かります川上先生。」

 

天馬

「芳澤さん?」

 

かすみ

「あ、松風君!それに雨宮先輩!おはようございます!」

 

 

かすみは元気に挨拶し、天馬と蓮は共に「おはよう」と挨拶をした。そのやり取りを見て、鴨志田は少し驚いた。

 

 

鴨志田

「何だ芳澤、お前知り合いだったのか?」

 

かすみ

「松風君とは同じクラスなんです。雨宮先輩には前に助けて貰った事がありまして。」

 

蓮

(助けた?………ひょっとして、この間の電車での事か?)

 

 

笑顔で言うかすみに対し、鴨志田は何やら心配そうな表情を見せる。

 

 

鴨志田

「やめておいた方がいい、君の輝かしい未来に傷が付く。さっき話しただろ?この学校には、関わらない方がいい生徒が何人かいる。その筆頭が、その二人だ。」

 

 

鴨志田の言うことに、かすみは驚いた。

 

 

かすみ

「まさか、二年の前歴持ちの転校生って………」

 

川上

「あの………いいでしょうか?指導室、入らせて頂いても………」

 

鴨志田

「おっと、すみません。」

 

 

鴨志田と指導教師はその場を離れ、かすみも「失礼します」と礼をしその場を離れた。天馬・蓮・川上は生徒指導室に入り、川上が二人に話し始めた。

 

 

川上

「単刀直入に聞くけど、鴨志田先生と何かあったの?」

 

 

二人は一瞬動揺した。恐らく先日の退学の件だと思ったからだ。

 

 

天馬

「いえ、自分は特に何も………」

 

蓮

「俺も特には。どうしてそんな事を?」

 

川上

「今朝、お小言貰っちゃったの。君達の名前出されて、監督不行き届きとか何とか………あんまり詮索とかしたくないけど、面倒な事起こさないでよ?」

 

天馬

「わ、分かりました………」

 

蓮

「はい………」

 

川上

「それと、さっきの女子。ちょっかいとか出してない?」

 

 

川上がそう言うと、天馬と蓮は全否定した。川上も「ならいいわ。」と答え、二人の指導は終わった。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~屋上~

 

 

放課後、天馬・蓮・竜司・杏・モルガナ・グッドストライカーが屋上に集まった。が、竜司は何やらイライラしていた。

 

 

竜司

「今朝鴨志田と校門で会ったんだけど、アイツ半笑いで俺の事見てきやがった!」

 

杏

「何それ?スッゴい腹立つ………ヨユーぶってるつもり?」

 

竜司

「俺、むしろヤル気出てきた。作戦ゼッテー成功させようぜ!」

 

天馬

「確か、次の理事会って5月2日だよね?」

 

蓮

「その日が、俺達のタイムリミットって事か。」

 

杏

「それまでにあの城に行って、お宝を盗めばいいんだよね?」

 

モルガナ

「パレスのお宝は主が持つ歪んだ欲望の象徴、言うなればパレスの核だ。盗ってしまえば、パレスは形を失い消滅する筈。だが鴨志田のお宝が何なのかは、我輩にも分からん。」

 

グッドストライカー

「多分隠し場所も、城の最深部だろうよ。後生大事に仕舞ってあるに違いねぇ。」

 

モルガナ

「取り敢えず現状の目標は、パレスの何処かにあるお宝の場所を見つける事だ。不測の事態を避けるためにも、出来るだけ余裕を持って行動しろ。お前らの活躍、期待してるぜ?」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~鴨志田パレス 古城 正門~

 

 

一同は屋上を離れ、学校前でナビを起動。怪盗姿となって鴨志田のパレスに侵入した。

 

 

竜司

「そう言や、高巻のコードネーム決めねぇとな。」

 

杏

「コードネーム?」

 

蓮

「俺がジョーカーで、竜司がスカル、天馬がライデン、それからグッディにモナだ。こっちで活動する時は、コードネームで呼び合う様にしているんだ。」

 

モルガナ

「杏殿の格好だと………」

 

竜司

「尻尾といい仮面といい、この格好はもう………」

 

蓮

「うむ………《キャットガール》とかどうだ?」

 

杏

「待って、まさか今後ソレで呼ぶ気!?絶対イヤだし!!」

 

 

蓮の考えたコードネームを全力拒否する杏。

 

 

天馬

「じゃあ、同じ猫科で《パンサー》とかどうかな?」

 

杏

「パンサー?………ふぅん、割と良いんじゃない?」

 

竜司

「どういう意味だ?」

 

蓮

「英語で《豹》という意味だ。」

 

グッドストライカー

「なるほど、正しく女豹だな!」

 

杏

「女豹言うな!」

 

 

※女豹とは、人間の女性の妖艶かつ野趣あふれる様子を形容する言い方として用いられる語である。

 

 

杏

「って言うか、鴨志田!」

 

竜司

「おっとそうだ、行こうぜ!」

 

 

一同は城に向かって歩き出す。

 

 

キイイィィィン!!

 

 

すると突然、杏の手の中に光る玉が現れ、光る玉は猫耳が付いた赤い新幹線型のアイテムに変化した。

 

 

杏

「何これ?新幹線?」

 

 

杏は不思議そうにアイテムを見る。

 

 

モルガナ

「おいそれ、VSビークルじゃねぇのか!?」

 

グッドストライカー

「ああ、間違いねぇ!ジョーカー達に続いて今度はパンサーから出てくるとか、どうなってやがんだ?」

 

杏

「VSビークル?」

 

蓮

「パンサーが今持ってる電車の事だ。」

 

 

蓮は杏にVSビークルについて説明をした。

 

 

蓮

「そいつをライデンの持ってる銃に使えば、パワーアップしたり巨大化させて呼び出したり出来るらしい。」

 

竜司

「俺達もこの間忍び込んだ時に、何故か手の中に出てきてよ。で、俺達が持ってても意味ねぇからライデンに預かってもらってんだ。」

 

杏

「そうなんだ。じゃあ、悪いんだけど預かってくれない?ライデン。」

 

天馬

「うん、分かった。」

 

 

杏は自身から出現したVSビークルを天馬に預けた。

 

 

天馬

「パンサーは電車だから、《エックストレインパンサー》だね。」

 

モルガナ

「それじゃ、改めて行くとするか。パレス攻略については、追々我輩が教えてやる。」

 

 

一同は、モルガナを先頭に古城へと向かう。

 

 

「そこの囚人。」

 

 

天馬・蓮

「っ?」

 

 

突然、聞き覚えのある少女の声が聞こえた。天馬と蓮が辺りを見ると、正門の影にジュスティーヌの姿があった。

 

 

蓮

「お前は………確かジュスティーヌ!」

 

ジュスティーヌ

「主より御言葉です。参りなさい。」

 

 

ジュスティーヌの横に青く光る鉄格子の扉が現れ、二人は扉の中へと入る。そして次の瞬間、二人はベルベットルームの檻の中に居た。

 

 

蓮

「此処は、ベルベットルーム!」

 

カロリーヌ

「囚人雨宮蓮及び松風天馬、戻りました。」

 

イゴール

「実に結構、私の言葉を覚えていた様だな。更生させる甲斐もあろうというものだ。」

 

蓮

「イゴール、いい加減教えてくれないか?更生とは何なんだ?」

 

イゴール

「そう焦るな。別に勿体ぶってる訳ではないのだよ蓮。お前が成すべき更生の何たるか………お前達が美学を共有する仲間と出会い、現実に自身の居場所を見出だしたとき………その時に改めて話そう。蓮、今回はお前への支援について話させて頂きたい。」

 

蓮

「支援だと?」

 

イゴール

「お前は『ワイルド』と言う素養によって、多数のペルソナを扱うことが出来る。ワイルドは無限の可能性。その素養の育成を我々が支援しよう。そのために、お前のペルソナを処刑させてもらう。」

 

天馬・蓮

「処刑!?」

 

 

処刑と聞いて、二人は動揺した。

 

 

イゴール

「案ずる事は無い。ペルソナ、即ちお前に眠る内なる人格の幾つかを捨て、新たな人格に生まれ変わらせる事、それが処刑だ。言うなればペルソナ同士の合体………実際にやってみるかね?」

 

蓮

「なるほど………有り難いが、今は遠慮しよう。せっかく手に入れた俺のペルソナ、アルセーヌを失いたくない。」

 

イゴール

「ほう、最初に手に入れたペルソナ故の愛着か………まぁそれも良かろう。今後お前は幾多の戦場へ行く事になる。ペルソナを集め、多くを此処で処刑し、より強いペルソナを生み出して行くのだ。力を養う事がお前の更生であり、やがて破滅に抗う重要な鍵ともなろう。」

 

ジュスティーヌ

「更生が捗るよう、処刑の方法は幾つかの祭儀から選べるようにしてあります。」

 

カロリーヌ

「しかも貴様らの励み方次第では、更に新たな祭儀の開発も考慮されるそうだ。ないて喜べ、囚人!」

 

イゴール

「お前の心は着実に抗う力を付けている。更生は順調の様だ………実に喜ばしい。そこで、私からお前達に贈り物をする事にした。」

 

 

そう言うとイゴールは、手から青い光の球を出現させる。光の球は蓮に近づくと、光の粒子となって蓮の瞳に吸収された。

 

 

天馬

「何、今の………?」

 

蓮

「イゴール、今のは………」

 

イゴール

「《サードアイ》。心の眼を開き、闇に隠された獲物をも見透かす賊の技。今のお前なら使いこなせよう。より一層の更生に励むといい。」

 

 

イゴールがそう言うと、二人の視界が真っ白になる。そして気が付くと、二人は古城の入口に居た。

 

 

天馬

「此処は?」

 

蓮

「どうやら戻ってこれたみたいだな。」

 

モルガナ

「おいジョーカー、ライデン、何ボーッと突っ立ってんだ?」

 

 

そこへモルガナが声をかける。どうやらモルガナ達には二人が突っ立っている様に見えたらしい。二人は急いでモルガナ達と合流し、一同は古城内部に侵入を開始した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~古城 西館二階~

 

 

監視の目を掻い潜り、古城内部を進む一同。すると、道中に檻で囲まれた不思議な部屋を発見した。檻の中にはテーブルがあり、その上に何やら紙の様なモノが置いてある。

 

 

天馬

「ねぇ、檻の中に何かあるよ?」

 

蓮

「あれは………紙か?」

 

モルガナ

「これだけ厳重に守ってるって事は、何か重要な物に違いねぇ。」

 

グッドストライカー

「よし、じゃあオイラが盗ってきてやるよ!」

 

 

グッドストライカーは鉄格子の隙間から檻の中に侵入し、テーブルに置いてある紙を取って戻ってきた。紙の正体は、どうやら城の見取り図の様だ。

 

 

杏

「これって、この城の見取り図?」

 

モルガナ

「こいつはラッキーだな!見取り図は、まだ行ったことの無い場所の情報を把握出来る。まさに怪盗の必需品だ。これでパレス攻略も楽になるぞ!」

 

天馬

「でもコレ、見た感じ途中までしか無いよ?」

 

竜司

「取り敢えず分かった範囲からあたってみようぜ?そうすりゃ残りも見つかんだろ?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~東館二階 螺旋階段~

 

 

一同は手に入れた見取り図を頼りに、西館から東館に移動。そして螺旋階段の前までやって来た。

 

 

モルガナ

「これは………」

 

 

だが肝心の階段は老朽化のせいか、下側が派手に崩れ落ちていた。(そもそもパレスの建物に老朽化という概念があるのだろうか?)

 

 

竜司

「こいつは、上るのムズくね?」

 

蓮

「別の道を探すか?」

 

モルガナ

「いや待て、あれを見ろ!」

 

 

モルガナが指差したのは、階段の装飾になっている指輪を咥えた羊の首。

 

 

杏

「あ、輪っか付いてる!あそこにロープをかけて上るのね?」

 

モルガナ

「半分正解・半分ハズレだ、杏殿。怪盗ってのはもっとスマートにやるもんだ!」

 

 

そう言うと、モルガナは蓮・天馬・竜司・杏の左腕に何かを装着した。

 

 

天馬

「これは?」

 

モルガナ

「我輩が密かに準備しておいたアイテム、《ワイヤーフック》だ!そいつを使って、遠くまで行けるぜ?」

 

蓮

「なるほど、ハッ!」

 

 

バシュッ!

 

 

蓮は早速ワイヤーフックを羊の首に向けて発射。フックは見事指輪に引っ掛かり、そしてワイヤーを巻き取り階段の上へと登った。

 

 

竜司

「スッゲー!よし、俺も!」

 

杏

「私も!」

 

 

天馬・竜司・杏も蓮を真似て、ワイヤーフックで上へと登った。

 

 

モルガナ

「お前ら中々筋があるな!」

 

 

更にモルガナがグッドストライカーの背に乗って合流した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~東館三階 廊下~

 

 

一同は更に奥へと進み、現在所持している見取り図の最深部、東館三階にやって来た。

 

 

天馬

「見取り図はこの階で終わってる。」

 

グッドストライカー

「何れにしても、これ以上進むのは無理だな。」

 

 

さらに奥へと続くであろう扉には鉄格子があり、その鉄格子の側には何やら怪しい丸い窪みがある。

 

 

蓮

「このフロアで先に進む方法を探そう。」

 

 

一同は先に進む手懸かりを求め、辺りの部屋を片っ端から調べて回る。そして最終的に、巨大な書庫にたどり着いた。

 

 

杏

「うわ、カビ臭い…」

 

グッドストライカー

「なるほど書庫か………城の書庫と言えば仕掛けが付きモンだ。ちょっと調べてみようぜ?」

 

 

一同は手分けして書庫の中を調べる。

 

 

天馬

「この本棚の本、全部鴨志田先生の名前が書いてある。」

 

グッドストライカー

「『鴨志田の歴史』、『鴨志田の軌跡』、『鴨志田武勇伝』、『鴨志田の掟』………まだまだあるな。」

 

竜司

「こっちは男子生徒の名前が書いてあるぜ。」

 

モルガナ

「『卑しき猿・坂本竜司』。スカルの本もあるな?」

 

竜司

「アイツ………!」

 

杏

「こっちは女子生徒の名前ばっかり。」

 

蓮

「『魅惑の人形・高巻杏』。パンサーのもあるぞ?」

 

杏

「………読んだら殺すからね?」

 

 

すると………

 

 

天馬

「ん?コレだけ違うタイトルが書いてある。『王妃の書』?」

 

蓮

「こっちもあったぞ。『奴隷の書』だ。」

 

竜司

「俺もだ。『王の書』だってさ。」

 

モルガナ

「各々の本棚の中に、一冊だけ違う本が混じってた………ひょっとすると、コイツが仕掛けを動かす鍵かも知れないぞ?各々の本を本来の場所に戻してみようぜ?」

 

天馬

「この本も鴨志田先生の認知が関係してるとなると、王妃って女子生徒の事だよね?じゃあ此処かな?」

 

 

天馬は王妃の書を、女子生徒の本がある本棚に仕舞う。

 

 

蓮

「奴隷はおそらく、男子生徒の事だろう。此処だ。」

 

 

蓮は奴隷の書を男子生徒の本がある本棚に仕舞う。

 

 

竜司

「王ってのが鴨志田なら………此処か?」

 

 

竜司は王の書を鴨志田の本がある本棚に仕舞う。

 

 

カチッ ゴゴゴゴゴ………

 

 

すると本棚の一部が動き出し、隠し部屋が姿を見せた。

 

 

モルガナ

「よっしゃ!思った通りだ!」

 

 

だが隠し部屋の中を見て、一同は唖然とした。部屋には拘束具の他に、志帆の写真が壁に何十枚と貼られていた。

 

 

天馬

「これ、もしかして全部鈴井さんの写真!?」

 

杏

「………」

 

 

あまりの光景に言葉も出ない杏。

 

 

蓮

「………ケジメをつけさせよう、パンサー。」

 

杏

「………うん、絶対に。なんか、闘志湧いてきた!」

 

 

一同は隠し部屋を散策する。すると、天馬が何かを見つけた。

 

 

天馬

「何だコレ?メダル?」

 

 

天馬が手にしたのは、鴨志田の横顔が大きく刻印された金メダル。

 

 

竜司

「鴨志田のメダル?気味悪いな……」

 

杏

「待って!もしかしてそれ、さっきの檻を開ける鍵だったりしないかな?ほら、あの窪みに入りそうだし。」

 

モルガナ

「パンサーの言う通りだ。貰っておこうぜ。」

 

 

と、メダルの下には新たな見取り図が置いてあった。

 

 

天馬

「あった!新しい見取り図だ!」

 

 

一同は早速、見取り図でお宝の場所を確認する。

 

 

グッドストライカー

「見取り図によると、お宝は塔の最上階。王の間の奥みたいだ。距離的には残り半分ってとこだな。」

 

蓮

「どうする?このまま先に進むか?」

 

竜司

「当たり前だろ!このまま行こうぜ!」

 

 

竜司の意見に、パンサーも同意の意思を見せる。一同はこのまま、更に奥へと進む事にした。

 

 

 

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