ペルソナ THE PHANTOM ELEVENS ~心の怪盗団と革命の風~   作:ヒビキ7991

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Act.10/俺はもっと強くなる

~稲妻町 鉄塔広場~

 

 

天馬

「うおおおおおおお!!」

 

 

ドーン!

 

 

天馬

「ドワッ!?」

 

 

4月某日、稲妻町。夕日が照らす中、鉄塔広場では天馬が特訓をしていた。服は雷門時代のユニフォームに着替え、手にはキーパー用のグローブをし、背中にタイヤを背負い、ロープで木に吊り下げたタイヤを受け止めるというもの。

 

 

天馬

「ハァ………ハァ………まだまだ!!」

 

 

ブォン! ドーン!

 

 

天馬

「ガハッ!?」

 

 

天馬はタイヤを放り投げ、勢い良く戻ってきたタイヤを再び受け止めようとする。だがタイヤの力に負け吹き飛ばされてしまう。

 

 

天馬

「くぅ………もういっちょ!!」

 

 

天馬は立ち上がり特訓を再開。そんな天馬の姿を、近くの木陰からこっそりと見る蓮・竜司・杏・モルガナ・グッドストライカーの5人。何故こうなったのか、話は数日前に遡る………

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~秀尽学園 屋上~

 

 

4月19日 火曜日の放課後。

天馬達は屋上のアジトに集まり、今後の方針について話し合っていた。

 

 

モルガナ

「取り敢えず、お宝の場所と潜入ルートは昨日の時点で確保出来た。後は予告状を出して、鴨志田の心を頂くだけだ。」

 

竜司

「なぁ、なんなら最初から予告状出しときゃよかったんじゃねぇか?」

 

モルガナ

「お宝は何時までも実体化してる訳じゃない。刷り込んだ意識が薄れれば、また消えちまう。もって1日ってとこだろうな………」

 

竜司

「………ならいっそ、理事会の前の日に仕掛けてやろうぜ?アイツの事だ、仮に今日か明日に改心させたとしても、ひょっとしたら後でまた同じことするか、もしくは忘れてるかも知れねぇ。」

 

「そうだね………理事会の前日は日曜日だから、その前………4月30日の土曜日とかどう?」

 

「いいだろう。では決行は30日の土曜日。それまでに各自で準備を整えておこう。」

 

 

蓮の言葉に一同は頷き、この日は解散となった。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~地下鉄銀坐線 渋谷駅~

 

 

解散後、蓮と天馬は銀坐線で渋谷駅に戻ってきた。

 

 

天馬

「蓮、俺ちょっと用事出来たんだ。先帰っててくれないかな?」

 

「分かった、想治郎さんには俺から伝えておこう。」

 

天馬

「うん、ありがとう。」

 

 

そう言って天馬は蓮と別れ、蓮はルブランへと真っ直ぐ帰った。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~秀尽学園 正門~

 

 

だが翌日の放課後………

 

 

竜司

「蓮、天馬、この後って暇か?」

 

「特に予定は無いが、どうした?」

 

竜司

「これからミリタリー屋に行こうと思ってんだけど、一緒に行かね?」

 

天馬

「ゴメン竜司、俺用事があるんだ。また今度ね。」

 

 

そう言って、天馬は走り去って行った。

 

 

竜司

「どうしたんだ…アイツ?」

 

「………」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~渋谷駅 駅前広場~

 

 

さらに翌日の放課後………

 

 

「ねぇ、セントラル街でハンバーガー食べて行かない?」

 

モルガナ

「良いなぁ杏殿!我輩、お供するぞ!」

 

天馬

「ゴメン、俺用事あるんだ。また今度ね。」

 

 

天馬はそう言って走り去って行った。

 

 

「天馬?」

 

「………」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~秀尽学園 屋上~

 

 

さらに翌日の放課後、アジトに集まって作戦会議を開いたが………

 

 

「『今日は用事があって来れない、ゴメン』だそうだ。」

 

グッドストライカー

「なぁ、アイツここんとこ変じゃないか?」

 

竜司

「確かに………毎日毎日用事用事って、ちょっと可笑しいぜ?何があったんだ、天馬?」

 

「ねぇ、明日天馬の後を追ってみようよ?天馬が放課後何処で何をしてるのか、突き止めてみよ?」

 

「尾行か。なるほど、怪盗行動の特訓にもなるかも知れん。」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~渋谷駅 駅前広場~

 

 

そしてさらに翌日の放課後、この日は全員で渋谷駅に来ていた。

 

 

天馬

「じゃあ俺、用事あるから。また明日!」

 

竜司

「おう!じゃあな!」

 

 

天馬は蓮達と別れ、JL線の改札へと向かった。

 

 

「………行くぞ?」

 

 

姿が見えなくなったのを確認すると、蓮達もJL線の改札を通り天馬の後を追った。そして電車が到着し、蓮達は天馬が乗る車両の1つ後ろの車両に乗った。

 

 

竜司

「電車なんかで何処行く気だよ?アイツ………」

 

 

『稲妻町河川敷、稲妻町河川敷です。』

 

 

電車に揺られること数十分、電車は稲妻町河川敷駅に到着した。

 

 

プシュー

 

 

ドアが開き、天馬は電車を降りた。蓮達も電車を降り、後を追う。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~商店街外れ~

 

 

蓮達は天馬の後を追ったが、商店街の外れで見失った。

 

 

竜司

「あれ?何処行きやがった?」

 

「可笑しいなぁ、確かにこっちに行った筈だけど………」

 

モルガナ

「………ん?」

 

 

モルガナが何かに反応し、蓮の鞄から顔を出した。

 

 

「どうした?」

 

モルガナ

「妙な音がする………何かぶつかる様な音だ。」

 

竜司

「ぶつかる様な音?」

 

モルガナ

「ああ、それも何度も何度も………上の方からだな。」

 

「上?」

 

モルガナ

「彼処だ。」

 

 

モルガナが示す先には、丘の上に立つ鉄塔が見える。

 

 

グッドストライカー

「鉄塔か………」

 

「行ってみよう。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~鉄塔広場~

 

 

一同は丘を登り、鉄塔下の広場に着いた。

 

 

「うわぁ、キレイ!」

 

竜司

「ウヒョー!良い眺めじゃんか!」

 

 

広場から見える景色に見惚れる竜司と杏。

 

 

ドーン!

 

 

蓮・竜司・杏

「っ!?」

 

 

突然、辺りに何かがぶつかる音が響いた。音のする方を見ると、そこには傷だらけの天馬の姿があった。

 

 

天馬

「ハァ………ハァ………くそっ!!」

 

「天馬?」

 

 

蓮達は慌てて近くの木陰に隠れ、様子を見ることにした。

 

 

天馬

「まだまだ!こんなモノじゃない!」

 

 

天馬は何度もタイヤを放り投げ、何度もタイヤを受け止めようとするが………

 

 

ドーン!

 

 

天馬

「ドワッ!?」

 

 

ドーン!

 

 

天馬

「ガハッ!?」

 

 

ドーン!

 

 

天馬

「ウワッ!?」

 

 

何れもタイヤの力に負け、吹き飛ばされた。

 

 

竜司

「アイツ、まさか毎日こんな特訓やってたのか!?」

 

「でも何で………」

 

天馬

「まだだ………こんなんじゃ、蓮やみんなの力になれない!」

 

 

天馬は立ち上がり、再び特訓を再開した。

 

 

「アイツ、まさか俺達のために………」

 

モルガナ

「我輩らと違って、アイツはペルソナを持ってないからな。化身やVSビークルの力に頼りっぱなしじゃいけない。だから自分なりに、自分自身が強くなろうとしてるんだ。」

 

 

「せいが出るな。」

 

 

そこへ、ヘアバンドを巻いた一人の男が現れた。

 

 

天馬

「円堂監督?」

 

円堂

「久しぶりだな、天馬。」

 

天馬

「お久し振りです、監督!」

 

円堂

「………ん?」

 

 

 

円堂は天馬の傷だらけの身体を見て、何かを察した様だ。

 

 

円堂

「ずいぶん熱心に特訓してるんだな。でもサッカーの特訓じゃないだろ?」

 

天馬

「えっ?」

 

円堂

「俺も悩んだりモヤモヤしたりした時は、コイツに付き合ってもらってたんだ。何か悩みでもあるのか?あるなら話してみろ。」

 

天馬

「監督………」

 

 

天馬は特訓を中断し、円堂と共にベンチに腰掛ける。そして天馬は自分が話せる事を全て、円堂に打ち明けた。

 

 

円堂

「歪んだ欲望が生んだ異世界か………その飛び下りた生徒ってのは、友達か?」

 

天馬

「いえ。でも、その子があんな目に合ったのに………いや、それ以前に大勢の生徒が酷い目に合わされてる。なのに学校も親も見てみぬフリで、原因を引き起こした先生はまるで王様気取り………俺、それがどうしても許せないんです。俺だけじゃない………蓮や竜司、それに杏も………だからみんなで異世界に行って、その先生を改心させようって決めたんです。」

 

円堂

「なるほどな………」

 

 

話を聞いた円堂は、静かに立ち上がりタイヤの隣に立った。

 

 

天馬

「監督?」

 

円堂

「特訓再開するぞ、天馬。俺も付き合ってやる!」

 

天馬

「…………!はいっ、円堂監督!」

 

 

天馬は立ち上がり、円堂の指導の下で特訓を再開した。

 

 

「………帰ろう、みんな。」

 

竜司

「えっ?いいのかよ?」

 

「大丈夫さ、天馬なら………」

 

 

蓮は静かに鉄塔広場を後にし、竜司と杏も後に続いた。天馬の特訓は毎日続き、そして………4月28日 木曜日

 

 

ドカーン!

 

 

轟音と共に鉄塔広場周囲に砂煙が舞い上がった。

 

 

天馬

「ハァ………ハァ………」

 

円堂

「………」

 

 

拳を突き出す天馬と、静止したタイヤ、そしてそれを見る円堂。

 

 

円堂

「………見事にマスターしたな、俺の必殺技。コレで特訓は終わりだ。」

 

天馬

「監督………!」

 

円堂

「俺が手を貸してやれるのは此処までだ。後はお前次第………頑張れよ、天馬!」

 

天馬

「ハイッ!ありがとうございました!」

 

 

天馬は円堂に深く礼をした。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~秀尽学園 屋上~

 

 

翌日、4月29日 金曜日の放課後。

天馬・蓮・竜司・杏・モルガナ・グッドストライカーは秀尽学園の屋上に集まった。

 

 

竜司

「いよいよ明日だな。」

 

「明日の朝予告して、その日の内にお宝を盗むんだよね?」

 

モルガナ

「予告の効果は、長くは続かないからな。不安か?」

 

「いいや、むしろ待ちくたびれた!」

 

「ところで、肝心の予告状は誰が用意する?」

 

竜司

「俺に任せろ!」

 

 

竜司が一番に名乗りを上げた。

 

 

天馬

「竜司が?」

 

竜司

「派手にかましてやりてぇんだ。なぁ良いだろ?書かせてくれよ!」

 

「よし、では予告状は竜司に任せよう。」

 

竜司

「おう!任された!」

 

「ちょっと、ホントに大丈夫?正体バレたりしたら、これまでの苦労が………」

 

竜司

「大丈夫だって、心配すんなよ!」

 

モルガナ

「よし、泣いても笑っても明日が勝負だ!お前ら気合い入れろよ!!」

 

 

「「おう!」」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~一階廊下 掲示板前~

 

 

そして、運命の4月30日 土曜日の朝。

掲示板の前には、何やら人だかりが出来ていた。

 

 

「予告状?」

 

 

「朝来たら貼ってあったってよ。」

 

 

そこへ何事かとやって来た天馬・蓮・竜司・杏の四人。掲示板には紅いカードが何枚も貼られていた。カードの表には何やら帽子と仮面のマーク、その下に「Take your Heart」と書かれ、裏には予告状が書いてあった。一同は予告状を一枚ずつ取り、人だかりを離れ予告状を読み始めた。

 

 

天馬

「『色欲』のクソ野郎 鴨志田卓殿。

抗できない生徒に歪んだ欲望をぶつけるお前のクソさ加減はわかっている。」

 

「だから俺たちは、お前の歪んだ欲望を盗って、お前に罪を告白させることにした。」

 

「明日やってやるから覚悟してなさい。心の怪盗団より。」

 

竜司

「中々なモンだろ?ネットでソレっぽいの調べまくったからな!」

 

「う~ん………言いたい事は分かるけど、バカな子が背伸びした感ある。」

 

 

自信満々な竜司に杏がそう言うと、蓮の鞄からモルガナ、天馬の鞄からグッドストライカーが顔を見せた。

 

 

モルガナ

「ハッキリ言ってビミョーだな………あのマークもイマイチ………」

 

竜司

「そ、そんなことねぇし!」

 

 

杏とモルガナの反応に対し、掲示板前は更に生徒が集まっていた。

 

 

グッドストライカー

「まぁ盛り上がってるみたいだし、良いんじゃないか?」

 

 

とそこへ、騒ぎに気づいた鴨志田がやって来た。

 

 

鴨志田

「だ、誰が!?貴様か!?あっ!?」

 

 

鴨志田は予告状を見て早々発狂し出し、辺りの生徒に怒鳴り始めた。生徒達は慌てて、その場から逃げて行った。

 

 

天馬

「あの感じ、どうやら効いてるみたいだね。」

 

モルガナ

「ああ、歪んだ欲望に心当たり有りまくりのリアクションだ!」

 

 

予告状の効果がある事を確認でき、一同は安心した。すると、鴨志田が天馬達を見つけ近づいてきた。モルガナとグッドストライカーは慌てて鞄の中に隠れる。

 

 

鴨志田

「おい!!お前らの仕業だな!?」

 

「何の事だ?」

 

鴨志田

「惚けるな!!………まぁいい、どうせ貴様ら時期退学だ!」

 

 

 

ジジジジジ………シュン!

 

 

突然辺りが暗くなり、鴨志田はシャドウ鴨志田へと姿を変えた。

 

 

シャドウ鴨志田

「来いよ………盗れるモンなら盗ってみな!」

 

 

シュン!

 

 

シャドウ鴨志田がそう言うと、辺りは元の光景に戻り、鴨志田も元の姿に戻っていた。

 

 

鴨志田

「チィ………!」

 

 

鴨志田はイライラしながら、その場を去っていった。

 

 

天馬

「ねぇ、今………」

 

「ああ、鴨志田のシャドウが見えた。」

 

モルガナ

「恐らく、ヤツのパレスに影響が出てる筈だ。」

 

「お宝出現って事!?今日ならイケんだよね?」

 

モルガナ

「『今日なら』じゃなくて『今日しか』だ。予告状を目にするインパクトは長続きしないし、二度目は絶対に無い。つまり、チャンスは一度きりだ。」

 

竜司

「一日もあれば十分だぜ!」

 

「放課後、正門前に集合しよう。集合して直ぐパレスに侵入して、お宝を頂く。」

 

「絶対に成功させる………志帆のために!」

 

天馬

「うん、絶対に!」

 

 

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