ペルソナ THE PHANTOM ELEVENS ~心の怪盗団と革命の風~ 作:ヒビキ7991
~秀尽学園 正門前~
鴨志田パレスから脱出した怪盗団。気が付けば、最初に集まった秀尽学園正門前の路地に居た。服装は全員元に戻り、モルガナとグッドストライカーも元の姿に戻っていた。
杏
「ハァ………ハァ………何とか戻ってこれたね………」
天馬
「ありがとうグッディ、助かったよ。」
グッドストライカー
「おう!お前らも、お疲れさん!」
竜司
「おいみんな!ナビ見てみろ!」
何やら驚いた様子でナビを見る竜司。
イセカイナビ
『目的地が消去されました。』
ナビには目的地消去、つまりパレスに行けなくなったという通知が出ていた。
杏
「ホントだ、行けなくなってる………」
蓮
「ん?」
蓮はポケットに手を突っ込み、何かを取り出した。取り出したのは、何かの金メダルだった。
天馬
「それ、メダル?王冠はどこ行ったの?」
モルガナ
「鴨志田にとっての欲望の源が、ソレだったって事だ。ヤツにとっちゃ、そのメダルが王冠くらいの価値ある代物だったんだろう。」
竜司
「蓮、ちょっと貸してくれ。」
竜司は蓮からメダルを受け取り、メダルをよーく見る。
竜司
「やっぱり、これオリンピックのメダルだ。」
グッドストライカー
「アイツ、過去の栄光ってのにしがみついてただけみたいだな………」
天馬
「でも、これで鴨志田先生の心も変わったんだよね?」
モルガナ
「多分な。でも、鴨志田の人格に甚大な影響を与えたのは間違いない。」
杏
「今から確かめられない?」
蓮
「こればっかりは、様子を見るしか無いだろう………」
モルガナ
「多分大丈夫だぜ。アイツのシャドウも言ってただろ?現実の自分に帰るって。鴨志田卓、アイツは人間じゃない。でもあの時だけは、少しだけ人間らしかったぜ………」
杏
「モルガナ………」
天馬
「とにかく、今は待つしか無いね。」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~体育館~
そして運命の5月2日、月曜日の朝。全校朝礼の為、全校生徒が体育館に集められた。
「いきなり朝礼とか、マジでダルくない?」
「どうせ例の自殺の件だろうさ………頼まれても自殺なんかしないっての。」
朝礼に対する不満と愚痴を溢す生徒達。その中には蓮達と三島の姿もある。校長が舞台の上に現れ、朝礼が始まった。
校長
「全校朝礼を行います。先日、痛ましい事件が起きたのは皆さんも御存知の通りです。幸い心身共に異常は無く、退院も秒読みとの事です。さて、君たち未来ある若者に今一度考えてほしいのは、命の尊さ………」
ガチャ!
突然、体育館入口の扉が開き、鴨志田が姿を見せた。だが現れた鴨志田は、今までと雰囲気が丸っきり違っていた。
校長
「か、鴨志田先生!?どうし………」
鴨志田
「………私は、生まれ変わったんです。だから皆さんに、全てを告白しようと思います。」
鴨志田は静かに舞台に上がり、校長の隣に立った。突然鴨志田が全てを告白すると聞いて、蓮達を始め生徒と教員全員驚き、動揺しだす者も居た。
鴨志田
「私は、教師としてあるまじき事を繰り返してまいりました。生徒への暴言、部員への体罰、そして女子生徒への性的な嫌がらせ………先日の事件、鈴井志帆さんが飛び下りた原因は、私です!」
鴨志田は舞台に膝をつき、そして涙を堪えながら告白を続ける。
鴨志田
「私はこの学校を、自分の城のように思っていた。気に入らないというだけの理由で、退学を言い渡した生徒達も居ます。もちろん、それは撤回します。何の罪もない青少年を酷い目に逢わせて、本当に済まなかった………」
ドサッ!
ついに鴨志田は舞台に強く頭を打ち付け、土下座した
「私は傲慢で、浅はかで、恥ずべき人間………いや人間以下だ!………死んでお詫び致します!」
校長
「か、鴨志田先生!取り敢えず降りて………」
杏
「逃げるな!」
動揺し混乱する生徒と教員達の声を書き消すかの様に、杏の叫び声が体育館全体に響いた。杏の叫び声を聞いて体育館は静まり返り、鴨志田は顔を上げた。
杏
「志帆だって、辛い事件の続きをちゃんと生きてる!アンタだけ逃げないで!」
鴨志田
「………その通りだ、私はきちんと裁かれ罪を償うべきだ………」
鴨志田は体を起こし、ついに堪えていた涙を流した。
鴨志田
「私は、高巻さんにも酷い事をしました………鈴井さんにポジションを与えることを条件に、高巻さんに関係までも迫りました………私は今日限りで、教師の職を辞して自首致します!誰か、警察を呼んでくれ!!」
教師
「ちょ、朝礼は終了だ!解散!」
全校朝礼が謝罪会見に変わり、教員達は慌てて生徒達を体育館から追い出した。そして誰も居なくなった体育館には、蓮達4人が残った。
杏
「本当に、心が変わっちゃったんだね………」
竜司
「みたいだな………でも、これで良かったのか?」
蓮
「どうだろうな………」
するとそこへ、三島と2人の女子生徒が現れた。
天馬
「三島さん!」
三島
「高巻さん、ゴメン!」
三島は杏を見るなり頭を下げた。
三島
「俺達、知ってたのに見てみぬフリしてた………」
女子生徒1
「私、誤解してて………変な噂広めちゃって、ゴメン!」
女子生徒2
「鴨志田に無理矢理されてたんだね………私、全然知らなくて………ごめんなさい!」
女子生徒2人は杏に頭を下げ謝罪した。
三島
「雨宮、松風君、君たちにも本当に悪い事をした………必ず、埋め合わせするから!」
教師
「おいそこ!早く戻れ!」
教師の指示で一同は体育館から追い出された。蓮達四人は体育館を離れ、渡り廊下に場所を変えた。
天馬
「どうやら、心が変わったのは鴨志田先生だけじゃないみたいだね。」
竜司
「良かったな高巻、これで妙な噂も無くなるぜ?」
杏
「いいよ、私は。鴨志田に志帆の事、謝らせてやった。それで十分………」
蓮
「なら、早く報告してやれ。」
杏
「………そうだね、そうする。」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
~屋上~
放課後、天馬・蓮・竜司は屋上に集まった。そこにはモルガナとグッドストライカーの姿もあった。机の上にはパレスで手に入れた金メダルが置いてある。
天馬
「それにしても、本当に改心しててビックリだったね。」
竜司
「運良く廃人化も無かったし、百点満点だぜ!」
モルガナ
「なるほど………シャドウが死んじまう前に説得して、現実の本人の元に戻してやれば良いって事か。そうすれば、パレスが消えても廃人化は起きないって訳だ。」
ガシャン
そこへ、志帆の見舞いを終えた杏が合流した。
杏
「ごめん、お待たせ!」
蓮
「見舞い、どうだった?」
杏
「志帆ね、連休明けに退院するって!」
杏の言葉を聞いて、一同は驚いた。
杏
「来週から学校にも来るって言ってた!でも………」
蓮
「でも?」
杏
「志帆の両親が、近々転校させようと思うって。志帆は秀尽に居たいって言ってたけど、セクハラとか自殺未遂とか、やっぱレッテル付いて回るし………でも、私もそれで良いと思う。ここに居たら、きっと辛いし………」
天馬
「そっか………」
杏
「鴨志田が自分のしたこと認めたよって、志帆に言ったの。そしたら志帆、ごめんねって言ってくれたの。私が志帆のために鴨志田に媚びてたの、バレちゃってたみたい………謝りたいのは、私なのに………」
グッドストライカー
「悪いのは鴨志田だぜ?杏のせいじゃねぇよ。」
杏
「………そうだね。」
竜司
「にしてもお前、鴨志田のシャドウよく我慢したな?」
杏
「私はただ、鴨志田に直接謝らせたかったって言うか………」
モルガナ
「杏殿は優しいからな。」
竜司
「クズ相手でも、廃人化は寝覚めが悪いってか?」
グッドストライカー
「いやそれは違うだろ?アレは鴨志田に対する復讐だろ?」
杏
「その通り。アイツのしたこと考えれば、生きてる間ずーっと頭下げ続けなきゃいけないじゃん?世の中、死ぬより辛い罰もあるなって思っただけ。」
杏の考えを知って、一同は内心恐怖した。
蓮
「まぁ、とにかく一件落着だな………」
竜司
「そう言や、1つ気になってんだ。あんな変な異世界が、何で鴨志田にだけあったんだ?」
モルガナ
「鴨志田に限った話じゃない。欲望で心に歪みが起きてる奴なら、誰でも持ちえるものさ。何なら確かめてみるか?」
竜司
「いや、今はいい。しばらくは大人しくしてねぇと、また騒がれるだろうしな………」
杏
「あー、その事なんだけど………アンタ達もう噂になってるよ?結託して、鴨志田に暴力まがいの脅迫したって………」
その情報を聞いて、蓮・天馬・竜司は驚いた。
グッドストライカー
「ま、怪盗が実在するって早々に信じる奴は居ないだろうな………」
杏
「あの予告状も、鴨志田の悪事を知ってた誰かの悪戯って事になってる。」
天馬
「ひとまず、今後の方針は騒ぎが落ち着いてからだね。」
竜司
「………せっかくだしよ、このメダル換金してパーっと祝杯でも上げようぜ!」
モルガナ
「我輩も賛成だ!怪盗の相談は、美食の席でと決まっているからな!」
杏
「じゃあ、店は私が決めても良いかな?前から志帆と行きたいって言ってた店なんだけど。」
竜司
「意義あり!と言いたいとこだが、俺はコイツに借金があるから文句言えねぇ………」
竜司は渋々賛成し、蓮達四人も賛成した。
杏
「行くのは連休の最後にしない?次の日からの学校生活に備えて、勢い付けるって意味で。」
蓮
「換金は俺達が引き受けよう。何でも買い取ってくれる店を知っている。」
杏
「分かった、任せるね!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~都内某所 高級ホテル ビュッフェ~
そして約束の5月5日、一行は都内某所にある高級ホテルのビュッフェに来ていた。
竜司
「ウマッ!」
モルガナ
「流石は杏殿の選んだ店!」
杏
「そりゃそうだよ、有名なホテルだよ?」
一行はテーブルに沢山の料理を並べ、料理を満喫していた。
天馬
「………ところで、近々学校に警察が聞き込みに来るらしいよ?」
グッドストライカー
「厄介だな………ゼッテーお前達の名前出ちまうぜ?鴨志田の事で妙な噂されてるしなぁ………」
竜司
「けどさ、学校の奴ら盛り上がってるぜ!怪盗が本当に心を盗んだってな!マジで信じちゃいねーだろうが、中には割と本気で感謝してるヤツもいる。ほら、コレ見ろよ。」
竜司はスマホを手に取り、あるサイトのページを開き見せた。
杏
「《怪盗お願いチャンネル》?」
天馬
「あ、それ知ってる!最近出てきたサイトだよね?」
サイトの掲示板には怪盗団を否定・批難するコメントに紛れて、怪盗団を称賛・感謝するコメントが幾つも掲載されていた。
杏
「………今まで自分の事で精一杯だったけど、こんな風に言われると、何だか不思議。」
竜司
「だよな………」
天馬
「俺、御代わり行ってくるよ。蓮も何か要る?」
蓮
「天馬に任せよう。俺はここで荷物係でもしているよ。」
竜司
「なら俺も行くぜ!牛のノルマ達成しねぇと!」
杏
「スイーツメニュー、食べ尽くさなきゃ!」
一行は蓮を残し御代わりに向かった。そして戻ってくると、全体的にバランス良く料理を選んできた天馬に対し、竜司はステーキやローストビーフと牛肉料理ばかり、杏はケーキやタルトとスイーツばかりだった。そして終了時間10分前、一行は料理を全て平らげた。
天馬
「ふぅ、美味しかったぁ………!」
グッドストライカー
「ああ、気分はチョーサイコーだぜ………!」
天馬・蓮・杏・グッドストライカーは大満足した様だが、竜司とモルガナはどうやら食べ過ぎた様だ。
モルガナ
「く、食った………」
竜司
「俺達、みんなの勝利だ………」
蓮
「おいおい、俺はまだまだ余裕だぞ?」
竜司
「嘘だろ!?パレスかよ、お前の胃袋は………」
すると、夫婦だろうか如何にも偉そうな中年の男女が近くを通り掛かった。
女
「ちょっと見て、あのテーブル………」
女は早速、テーブルに積み上げられた皿を指差した。
男
「大目に見てあげようじゃないか。普段ロクな物を食べてないんだろう、きっと………」
女
「親御さんの顔が見てみたいわね………」
男女はそう言うと、静かに去っていった。
竜司
「何だと………ウップ!」
竜司はムカついたが、それどころでは無かった。
竜司
「やべぇ………俺トイレ!」
天馬
「ちょっと大丈夫?肩貸そうか?」
モルガナ
「わ、我輩も頼む!そっと運んでくれ………」
蓮
「仕方ない………」
モルガナは蓮に運ばれ、竜司は天馬に肩を借りトイレに向かった。
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エレベーターホール~
トイレを済ませた4人は、エレベーターホールでエレベーターを待っていた。
モルガナ
「吐くまで食うって豪語して、ホントに吐くヤツが居るかっての?」
竜司
「お前もだろうが!」
天馬
「まぁまぁ、2人とも落ち着いて………」
4人は列の先頭でエレベーターを待っていた。すると………
ドンッ
突然、数人の黒服が4人を押し退け前に割り込んできた。
天馬
「ちょっと、いきなり何するんですか!?」
黒服
「何か?」
蓮
「何かじゃない、こっちが先だ。」
黒服
「急いでいる。」
竜司
「急いでるなら割り込み有りってか?」
竜司が割り込みを指摘するが、黒服達は全く動じない。
男
「しばらく見ない間に客層が変わったな………託児サービスでも始めたか?」
黒服達の雇い主だろうか、サングラスをしたスキンヘッドの男が口を開いた。
黒服
「先生、御時間が………」
男
「分かってる。」
チーン
エレベーターが到着し、男と黒服達はエレベーターに乗り込み、早々にドアを閉めた。
竜司
「何だよあの偉そうなの………テメェ以外素で見下しやがって………!」
天馬
「まぁまぁ竜司、落ち着い………蓮?」
男の態度にイライラしている竜司に対し、蓮は顔を手で抑え冷や汗をかき、何やら気分が悪そうだった。
蓮
「今の声、何処かで………」
天馬
「蓮、大丈夫?顔色悪いけど………」
蓮
「大丈夫だ、気にするな………」
モルガナ
「普段ロクなモン食べてないからだろ?我輩もネコ缶ばっかだし………」
チーン
エレベーターが到着し、4人はエレベーターに乗り込んだ。
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~ビュッフェ~
ビュッフェに戻ってみると、杏が何やらイライラしていた。
杏
「遅い!」
竜司
「わ、悪ぃ………って、何でキレてんだ?」
グッドストライカー
「さっき他の客とトラブルになっちまってよ。向こうが杏にぶつかって、客が皿落として割っちまったんだ。悪いのは向こうなのに杏のせいだって決めつけて聞かなくてよ………」
杏
「でも大丈夫、お店の人が私を見て、『あーあ』みたいな顔してたのがさ………私ら、やっぱ場違いだったのかな………」
竜司
「………なぁ、モルガナ。」
竜司に呼ばれ、モルガナは蓮の鞄から「何だ?」と顔を出した。
竜司
「パレスってさ、誰にでもあるんだよな?」
モルガナ
「ああ、歪んだ強い欲望を持った奴ならな。」
竜司
「そいつらも鴨志田みたいに、お宝盗れば改心するんだよな?」
杏
「急にどうしたの?」
竜司
「さっき、俺らも会ったんだ。身勝手で人の事見下してくるクソな大人………俺らなら、そんな奴らを改心させられんじゃねーかと思ってよ。」
天馬
「それって、怪盗を続けるって事?」
竜司
「考えてたんだ………せっかく鴨志田を改心させたのに、怪盗のこと全然信じられてねぇ………それによ、我慢するしかなかった奴らが感謝してくれてんだぜ?」
杏
「私だって思うよ………困ってる人を見過ごしたら、前の自分に戻っちゃう………」
竜司
「俺達怪盗団なら、助けてやれんじゃねーか?」
蓮
「確かに俺達の力があれば、人助けくらいは出来るかも知れない。」
杏
「でもさ、またシャドウと戦うんだよね?」
竜司
「まぁ何とかなんだろ?な?」
蓮
「皆が良ければ、俺は構わない。」
蓮の言葉に、竜司と杏は同意の眼差しを向ける。だが、天馬だけは違った。
天馬
「………ねぇみんな、少し付き合ってくれないかな?」
竜司
「へっ?付き合うって、何処に?」
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~稲妻町 鉄塔広場~
一行はホテルを離れ、稲妻町の鉄塔広場にやって来た。
天馬
「こっちこっち、早く!」
天馬は我先にと、鉄塔の梯子を上り始める。
杏
「えっ?これ上るの?」
竜司
「しゃーねぇ、腹ごなしだと思って上ってやるよ!」
一行は天馬に続いて梯子を上る。そして、鉄塔の中腹にあるデッキに到着した。
蓮
「これは!?」
杏
「いい眺め!」
竜司
「つーか高!俺ら、こんな高さまで上ったのか!?」
天馬
「俺の師匠のお気に入りの場所。ここからの景色を見てると、何だか自分がチッポケに見えてくるんだ。悩みとか色々………」
モルガナ
「ウヒョー!タケー!」
鉄塔からの景色にテンションが上がる一行。すると、天馬が何やら真剣な眼差しを向けた。
天馬
「俺、ずっと迷ってたんだ。蓮やみんなと一緒に怪盗をやるか、サッカーを続けるかで………」
蓮・竜司・杏
「?」
天馬
「俺はみんなと一緒に戦いたかった。でも、そうするには大好きなサッカーから手を退かなきゃならない。俺には、大好きなサッカーを捨てる勇気が無かったんだ………でも、ここで特訓してる時に、俺の師匠………円堂監督は言ったんだ。自分の気持ちに嘘をつくなって。」
モルガナ
「自分の気持ち………」
天馬
「鴨志田先生のパレスで蓮が殺られそうになった時、その迷いが一気に吹っ飛んだ。俺は蓮やみんなと一緒に戦いたい。その為なら、サッカーを捨てても良いって!」
そう言うと、天馬はサッカー部に入るために用意した入部届を手に取り………
ビリッ!ビリッ!
グッドストライカー
「お、おい!?」
そしてビリビリに破り捨てた。
天馬
「俺、怪盗続けるよ!俺が蓮やみんなを後押しする風になってみせる!」
天馬の真っ直ぐな瞳を見て、蓮達は喜んだ。
モルガナ
「フフ…これで我輩達、駆け出しだが怪盗『団』になれるって事だな。」
杏
「駆け出しか………何だか私達っぽいね。」
竜司
「決まりだな!クソな大人どもアッと言わせて、世の中に知らしめてやろうぜ、俺らの事!」
杏
「ところで、リーダーって蓮で良いよね?」
蓮
「えっ?俺か?」
突然リーダーに指名されて戸惑う蓮。
竜司
「異議なし!俺、そういう責任感いるの苦手。」
モルガナ
「我輩を差し置いてってのはあるが………まぁ杏殿の推薦だ、許可してやる。」
蓮
「………なら、俺は天馬をサブリーダーに推薦しよう。」
天馬
「えっ?俺が!?」
杏
「さんせーい!何か天馬と蓮って相性良さそうだし。」
竜司
「同じ部屋友なんだし、引き受けてやれよ?」
天馬
「………分かった、サブリーダー引き受けるよ!」
こうして怪盗団のリーダーは蓮、サブリーダーは天馬に決まった。
グッドストライカー
「せっかくだ、怪盗団の名前決めようぜ?予告状に名前書いたらきっとカッコいいぜ?」
蓮
「なら、《ザ・ファントム》でどうだ?」
杏
「ザ・ファントム………割と良いんじゃない?」
天馬
「うん、俺もそれがいい!」
竜司
「改心させるターゲットだけどさ、あえて大物だけ狙うのはどうだ?」
天馬
「それって、有名人とか大企業の社長とか?」
竜司
「そんなとこだ。大物ならニュースになったりすんだろ?そしたら俺らを信じる奴ら、今よりずっと増える気しねぇか?」
杏
「確かに、私達のことがもっと広まれば、沢山の人に勇気をあげれるかもしれない………でも、適当に誰彼構わずってのは何か嫌じゃない?」
天馬
「なら、ターゲットは全会一致で決めた相手にしようよ。これは俺達の掟、俺達のルールって事にしてさ。」
蓮
「うん、それで行こう。」
モルガナ
「怪盗団、結成だぜ!」
こうして、心の怪盗団《ザ・ファントム》が結成された。そして鉄塔の下には、鉄塔を見上げる円堂の姿があった。
円堂
「天馬………。」
円堂は足下に目を向ける。足下には先程、天馬が破り捨てた入部届の残骸が落ちていた。
円堂
「お前がサッカーから離れるのは残念だが、お前はそれ以上に素晴らしいモノを手に入れたみたいだな………頑張れよ、天馬!」
円堂は微笑むと空に向けてガッツポーズをし、静かに鉄塔広場を後にした。