ペルソナ THE PHANTOM ELEVENS ~心の怪盗団と革命の風~   作:ヒビキ7991

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Act.12/古城崩落!結成、心の怪盗団ザ・ファントム!

~秀尽学園 正門前~

 

 

鴨志田パレスから脱出した怪盗団。気が付けば、最初に集まった秀尽学園正門前の路地に居た。服装は全員元に戻り、モルガナとグッドストライカーも元の姿に戻っていた。

 

 

「ハァ………ハァ………何とか戻ってこれたね………」

 

天馬

「ありがとうグッディ、助かったよ。」

 

グッドストライカー

「おう!お前らも、お疲れさん!」

 

竜司

「おいみんな!ナビ見てみろ!」

 

 

何やら驚いた様子でナビを見る竜司。

 

 

イセカイナビ

『目的地が消去されました。』

 

 

ナビには目的地消去、つまりパレスに行けなくなったという通知が出ていた。

 

 

「ホントだ、行けなくなってる………」

 

「ん?」

 

 

蓮はポケットに手を突っ込み、何かを取り出した。取り出したのは、何かの金メダルだった。

 

 

天馬

「それ、メダル?王冠はどこ行ったの?」

 

モルガナ

「鴨志田にとっての欲望の源が、ソレだったって事だ。ヤツにとっちゃ、そのメダルが王冠くらいの価値ある代物だったんだろう。」

 

竜司

「蓮、ちょっと貸してくれ。」

 

 

竜司は蓮からメダルを受け取り、メダルをよーく見る。

 

 

竜司

「やっぱり、これオリンピックのメダルだ。」

 

グッドストライカー

「アイツ、過去の栄光ってのにしがみついてただけみたいだな………」

 

天馬

「でも、これで鴨志田先生の心も変わったんだよね?」

 

モルガナ

「多分な。でも、鴨志田の人格に甚大な影響を与えたのは間違いない。」

 

「今から確かめられない?」

 

「こればっかりは、様子を見るしか無いだろう………」

 

モルガナ

「多分大丈夫だぜ。アイツのシャドウも言ってただろ?現実の自分に帰るって。鴨志田卓、アイツは人間じゃない。でもあの時だけは、少しだけ人間らしかったぜ………」

 

「モルガナ………」

 

天馬

「とにかく、今は待つしか無いね。」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~体育館~

 

 

そして運命の5月2日、月曜日の朝。全校朝礼の為、全校生徒が体育館に集められた。

 

 

「いきなり朝礼とか、マジでダルくない?」

 

 

「どうせ例の自殺の件だろうさ………頼まれても自殺なんかしないっての。」

 

 

朝礼に対する不満と愚痴を溢す生徒達。その中には蓮達と三島の姿もある。校長が舞台の上に現れ、朝礼が始まった。

 

 

校長

「全校朝礼を行います。先日、痛ましい事件が起きたのは皆さんも御存知の通りです。幸い心身共に異常は無く、退院も秒読みとの事です。さて、君たち未来ある若者に今一度考えてほしいのは、命の尊さ………」

 

 

ガチャ!

 

 

突然、体育館入口の扉が開き、鴨志田が姿を見せた。だが現れた鴨志田は、今までと雰囲気が丸っきり違っていた。

 

 

校長

「か、鴨志田先生!?どうし………」

 

鴨志田

「………私は、生まれ変わったんです。だから皆さんに、全てを告白しようと思います。」

 

 

鴨志田は静かに舞台に上がり、校長の隣に立った。突然鴨志田が全てを告白すると聞いて、蓮達を始め生徒と教員全員驚き、動揺しだす者も居た。

 

 

鴨志田

「私は、教師としてあるまじき事を繰り返してまいりました。生徒への暴言、部員への体罰、そして女子生徒への性的な嫌がらせ………先日の事件、鈴井志帆さんが飛び下りた原因は、私です!」

 

 

鴨志田は舞台に膝をつき、そして涙を堪えながら告白を続ける。

 

 

鴨志田

「私はこの学校を、自分の城のように思っていた。気に入らないというだけの理由で、退学を言い渡した生徒達も居ます。もちろん、それは撤回します。何の罪もない青少年を酷い目に逢わせて、本当に済まなかった………」

 

 

ドサッ!

 

 

ついに鴨志田は舞台に強く頭を打ち付け、土下座した

 

 

「私は傲慢で、浅はかで、恥ずべき人間………いや人間以下だ!………死んでお詫び致します!」

 

 

校長

「か、鴨志田先生!取り敢えず降りて………」

 

 

「逃げるな!」

 

 

動揺し混乱する生徒と教員達の声を書き消すかの様に、杏の叫び声が体育館全体に響いた。杏の叫び声を聞いて体育館は静まり返り、鴨志田は顔を上げた。

 

 

「志帆だって、辛い事件の続きをちゃんと生きてる!アンタだけ逃げないで!」

 

鴨志田

「………その通りだ、私はきちんと裁かれ罪を償うべきだ………」

 

 

鴨志田は体を起こし、ついに堪えていた涙を流した。

 

 

鴨志田

「私は、高巻さんにも酷い事をしました………鈴井さんにポジションを与えることを条件に、高巻さんに関係までも迫りました………私は今日限りで、教師の職を辞して自首致します!誰か、警察を呼んでくれ!!」

 

教師

「ちょ、朝礼は終了だ!解散!」

 

 

全校朝礼が謝罪会見に変わり、教員達は慌てて生徒達を体育館から追い出した。そして誰も居なくなった体育館には、蓮達4人が残った。

 

 

「本当に、心が変わっちゃったんだね………」

 

竜司

「みたいだな………でも、これで良かったのか?」

 

「どうだろうな………」

 

 

するとそこへ、三島と2人の女子生徒が現れた。

 

 

天馬

「三島さん!」

 

三島

「高巻さん、ゴメン!」

 

 

三島は杏を見るなり頭を下げた。

 

 

三島

「俺達、知ってたのに見てみぬフリしてた………」

 

女子生徒1

「私、誤解してて………変な噂広めちゃって、ゴメン!」

 

女子生徒2

「鴨志田に無理矢理されてたんだね………私、全然知らなくて………ごめんなさい!」

 

 

女子生徒2人は杏に頭を下げ謝罪した。

 

 

三島

「雨宮、松風君、君たちにも本当に悪い事をした………必ず、埋め合わせするから!」

 

教師

「おいそこ!早く戻れ!」

 

 

教師の指示で一同は体育館から追い出された。蓮達四人は体育館を離れ、渡り廊下に場所を変えた。

 

 

天馬

「どうやら、心が変わったのは鴨志田先生だけじゃないみたいだね。」

 

竜司

「良かったな高巻、これで妙な噂も無くなるぜ?」

 

「いいよ、私は。鴨志田に志帆の事、謝らせてやった。それで十分………」

 

「なら、早く報告してやれ。」

 

「………そうだね、そうする。」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~屋上~

 

 

放課後、天馬・蓮・竜司は屋上に集まった。そこにはモルガナとグッドストライカーの姿もあった。机の上にはパレスで手に入れた金メダルが置いてある。

 

 

天馬

「それにしても、本当に改心しててビックリだったね。」

 

竜司

「運良く廃人化も無かったし、百点満点だぜ!」

 

モルガナ

「なるほど………シャドウが死んじまう前に説得して、現実の本人の元に戻してやれば良いって事か。そうすれば、パレスが消えても廃人化は起きないって訳だ。」

 

 

ガシャン

 

 

そこへ、志帆の見舞いを終えた杏が合流した。

 

 

「ごめん、お待たせ!」

 

「見舞い、どうだった?」

 

「志帆ね、連休明けに退院するって!」

 

 

杏の言葉を聞いて、一同は驚いた。

 

 

「来週から学校にも来るって言ってた!でも………」

 

「でも?」

 

「志帆の両親が、近々転校させようと思うって。志帆は秀尽に居たいって言ってたけど、セクハラとか自殺未遂とか、やっぱレッテル付いて回るし………でも、私もそれで良いと思う。ここに居たら、きっと辛いし………」

 

天馬

「そっか………」

 

「鴨志田が自分のしたこと認めたよって、志帆に言ったの。そしたら志帆、ごめんねって言ってくれたの。私が志帆のために鴨志田に媚びてたの、バレちゃってたみたい………謝りたいのは、私なのに………」

 

グッドストライカー

「悪いのは鴨志田だぜ?杏のせいじゃねぇよ。」

 

「………そうだね。」

 

竜司

「にしてもお前、鴨志田のシャドウよく我慢したな?」

 

「私はただ、鴨志田に直接謝らせたかったって言うか………」

 

モルガナ

「杏殿は優しいからな。」

 

竜司

「クズ相手でも、廃人化は寝覚めが悪いってか?」

 

グッドストライカー

「いやそれは違うだろ?アレは鴨志田に対する復讐だろ?」

 

「その通り。アイツのしたこと考えれば、生きてる間ずーっと頭下げ続けなきゃいけないじゃん?世の中、死ぬより辛い罰もあるなって思っただけ。」

 

 

杏の考えを知って、一同は内心恐怖した。

 

 

「まぁ、とにかく一件落着だな………」

 

竜司

「そう言や、1つ気になってんだ。あんな変な異世界が、何で鴨志田にだけあったんだ?」

 

モルガナ

「鴨志田に限った話じゃない。欲望で心に歪みが起きてる奴なら、誰でも持ちえるものさ。何なら確かめてみるか?」

 

竜司

「いや、今はいい。しばらくは大人しくしてねぇと、また騒がれるだろうしな………」

 

「あー、その事なんだけど………アンタ達もう噂になってるよ?結託して、鴨志田に暴力まがいの脅迫したって………」

 

 

その情報を聞いて、蓮・天馬・竜司は驚いた。

 

 

グッドストライカー

「ま、怪盗が実在するって早々に信じる奴は居ないだろうな………」

 

「あの予告状も、鴨志田の悪事を知ってた誰かの悪戯って事になってる。」

 

天馬

「ひとまず、今後の方針は騒ぎが落ち着いてからだね。」

 

竜司

「………せっかくだしよ、このメダル換金してパーっと祝杯でも上げようぜ!」

 

モルガナ

「我輩も賛成だ!怪盗の相談は、美食の席でと決まっているからな!」

 

「じゃあ、店は私が決めても良いかな?前から志帆と行きたいって言ってた店なんだけど。」

 

竜司

「意義あり!と言いたいとこだが、俺はコイツに借金があるから文句言えねぇ………」

 

 

竜司は渋々賛成し、蓮達四人も賛成した。

 

 

「行くのは連休の最後にしない?次の日からの学校生活に備えて、勢い付けるって意味で。」

 

「換金は俺達が引き受けよう。何でも買い取ってくれる店を知っている。」

 

「分かった、任せるね!」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~都内某所 高級ホテル ビュッフェ~

 

 

そして約束の5月5日、一行は都内某所にある高級ホテルのビュッフェに来ていた。

 

 

竜司

「ウマッ!」

 

モルガナ

「流石は杏殿の選んだ店!」

 

「そりゃそうだよ、有名なホテルだよ?」

 

 

一行はテーブルに沢山の料理を並べ、料理を満喫していた。

 

 

天馬

「………ところで、近々学校に警察が聞き込みに来るらしいよ?」

 

グッドストライカー

「厄介だな………ゼッテーお前達の名前出ちまうぜ?鴨志田の事で妙な噂されてるしなぁ………」

 

竜司

「けどさ、学校の奴ら盛り上がってるぜ!怪盗が本当に心を盗んだってな!マジで信じちゃいねーだろうが、中には割と本気で感謝してるヤツもいる。ほら、コレ見ろよ。」

 

 

竜司はスマホを手に取り、あるサイトのページを開き見せた。

 

 

「《怪盗お願いチャンネル》?」

 

天馬

「あ、それ知ってる!最近出てきたサイトだよね?」

 

 

サイトの掲示板には怪盗団を否定・批難するコメントに紛れて、怪盗団を称賛・感謝するコメントが幾つも掲載されていた。

 

 

「………今まで自分の事で精一杯だったけど、こんな風に言われると、何だか不思議。」

 

竜司

「だよな………」

 

天馬

「俺、御代わり行ってくるよ。蓮も何か要る?」

 

「天馬に任せよう。俺はここで荷物係でもしているよ。」

 

竜司

「なら俺も行くぜ!牛のノルマ達成しねぇと!」

 

「スイーツメニュー、食べ尽くさなきゃ!」

 

 

一行は蓮を残し御代わりに向かった。そして戻ってくると、全体的にバランス良く料理を選んできた天馬に対し、竜司はステーキやローストビーフと牛肉料理ばかり、杏はケーキやタルトとスイーツばかりだった。そして終了時間10分前、一行は料理を全て平らげた。

 

 

天馬

「ふぅ、美味しかったぁ………!」

 

グッドストライカー

「ああ、気分はチョーサイコーだぜ………!」

 

 

天馬・蓮・杏・グッドストライカーは大満足した様だが、竜司とモルガナはどうやら食べ過ぎた様だ。

 

 

モルガナ

「く、食った………」

 

竜司

「俺達、みんなの勝利だ………」

 

「おいおい、俺はまだまだ余裕だぞ?」

 

竜司

「嘘だろ!?パレスかよ、お前の胃袋は………」

 

 

すると、夫婦だろうか如何にも偉そうな中年の男女が近くを通り掛かった。

 

 

「ちょっと見て、あのテーブル………」

 

 

女は早速、テーブルに積み上げられた皿を指差した。

 

 

「大目に見てあげようじゃないか。普段ロクな物を食べてないんだろう、きっと………」

 

「親御さんの顔が見てみたいわね………」

 

 

男女はそう言うと、静かに去っていった。

 

 

竜司

「何だと………ウップ!」

 

 

竜司はムカついたが、それどころでは無かった。

 

 

竜司

「やべぇ………俺トイレ!」

 

天馬

「ちょっと大丈夫?肩貸そうか?」

 

モルガナ

「わ、我輩も頼む!そっと運んでくれ………」

 

「仕方ない………」

 

 

モルガナは蓮に運ばれ、竜司は天馬に肩を借りトイレに向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

エレベーターホール~

 

 

トイレを済ませた4人は、エレベーターホールでエレベーターを待っていた。

 

 

モルガナ

「吐くまで食うって豪語して、ホントに吐くヤツが居るかっての?」

 

竜司

「お前もだろうが!」

 

天馬

「まぁまぁ、2人とも落ち着いて………」

 

 

4人は列の先頭でエレベーターを待っていた。すると………

 

 

ドンッ

 

 

突然、数人の黒服が4人を押し退け前に割り込んできた。

 

 

天馬

「ちょっと、いきなり何するんですか!?」

 

黒服

「何か?」

 

「何かじゃない、こっちが先だ。」

 

黒服

「急いでいる。」

 

竜司

「急いでるなら割り込み有りってか?」

 

 

竜司が割り込みを指摘するが、黒服達は全く動じない。

 

 

「しばらく見ない間に客層が変わったな………託児サービスでも始めたか?」

 

 

黒服達の雇い主だろうか、サングラスをしたスキンヘッドの男が口を開いた。

 

 

黒服

「先生、御時間が………」

 

「分かってる。」

 

 

チーン

 

 

エレベーターが到着し、男と黒服達はエレベーターに乗り込み、早々にドアを閉めた。

 

 

竜司

「何だよあの偉そうなの………テメェ以外素で見下しやがって………!」

 

天馬

「まぁまぁ竜司、落ち着い………蓮?」

 

 

男の態度にイライラしている竜司に対し、蓮は顔を手で抑え冷や汗をかき、何やら気分が悪そうだった。

 

 

「今の声、何処かで………」

 

天馬

「蓮、大丈夫?顔色悪いけど………」

 

「大丈夫だ、気にするな………」

 

モルガナ

「普段ロクなモン食べてないからだろ?我輩もネコ缶ばっかだし………」

 

 

チーン

 

 

エレベーターが到着し、4人はエレベーターに乗り込んだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~ビュッフェ~

 

 

ビュッフェに戻ってみると、杏が何やらイライラしていた。

 

 

「遅い!」

 

竜司

「わ、悪ぃ………って、何でキレてんだ?」

 

グッドストライカー

「さっき他の客とトラブルになっちまってよ。向こうが杏にぶつかって、客が皿落として割っちまったんだ。悪いのは向こうなのに杏のせいだって決めつけて聞かなくてよ………」

 

「でも大丈夫、お店の人が私を見て、『あーあ』みたいな顔してたのがさ………私ら、やっぱ場違いだったのかな………」

 

竜司

「………なぁ、モルガナ。」

 

 

竜司に呼ばれ、モルガナは蓮の鞄から「何だ?」と顔を出した。

 

 

竜司

「パレスってさ、誰にでもあるんだよな?」

 

モルガナ

「ああ、歪んだ強い欲望を持った奴ならな。」

 

竜司

「そいつらも鴨志田みたいに、お宝盗れば改心するんだよな?」

 

「急にどうしたの?」

 

竜司

「さっき、俺らも会ったんだ。身勝手で人の事見下してくるクソな大人………俺らなら、そんな奴らを改心させられんじゃねーかと思ってよ。」

 

天馬

「それって、怪盗を続けるって事?」

 

竜司

「考えてたんだ………せっかく鴨志田を改心させたのに、怪盗のこと全然信じられてねぇ………それによ、我慢するしかなかった奴らが感謝してくれてんだぜ?」

 

「私だって思うよ………困ってる人を見過ごしたら、前の自分に戻っちゃう………」

 

竜司

「俺達怪盗団なら、助けてやれんじゃねーか?」

 

「確かに俺達の力があれば、人助けくらいは出来るかも知れない。」

 

「でもさ、またシャドウと戦うんだよね?」

 

竜司

「まぁ何とかなんだろ?な?」

 

「皆が良ければ、俺は構わない。」

 

 

蓮の言葉に、竜司と杏は同意の眼差しを向ける。だが、天馬だけは違った。

 

 

天馬

「………ねぇみんな、少し付き合ってくれないかな?」

 

竜司

「へっ?付き合うって、何処に?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~稲妻町 鉄塔広場~

 

 

一行はホテルを離れ、稲妻町の鉄塔広場にやって来た。

 

 

天馬

「こっちこっち、早く!」

 

 

天馬は我先にと、鉄塔の梯子を上り始める。

 

 

「えっ?これ上るの?」

 

竜司

「しゃーねぇ、腹ごなしだと思って上ってやるよ!」

 

 

一行は天馬に続いて梯子を上る。そして、鉄塔の中腹にあるデッキに到着した。

 

 

「これは!?」

 

「いい眺め!」

 

竜司

「つーか高!俺ら、こんな高さまで上ったのか!?」

 

天馬

「俺の師匠のお気に入りの場所。ここからの景色を見てると、何だか自分がチッポケに見えてくるんだ。悩みとか色々………」

 

モルガナ

「ウヒョー!タケー!」

 

 

鉄塔からの景色にテンションが上がる一行。すると、天馬が何やら真剣な眼差しを向けた。

 

 

天馬

「俺、ずっと迷ってたんだ。蓮やみんなと一緒に怪盗をやるか、サッカーを続けるかで………」

 

蓮・竜司・杏

「?」

 

天馬

「俺はみんなと一緒に戦いたかった。でも、そうするには大好きなサッカーから手を退かなきゃならない。俺には、大好きなサッカーを捨てる勇気が無かったんだ………でも、ここで特訓してる時に、俺の師匠………円堂監督は言ったんだ。自分の気持ちに嘘をつくなって。」

 

モルガナ

「自分の気持ち………」

 

天馬

「鴨志田先生のパレスで蓮が殺られそうになった時、その迷いが一気に吹っ飛んだ。俺は蓮やみんなと一緒に戦いたい。その為なら、サッカーを捨てても良いって!」

 

 

そう言うと、天馬はサッカー部に入るために用意した入部届を手に取り………

 

 

ビリッ!ビリッ!

 

 

グッドストライカー

「お、おい!?」

 

 

そしてビリビリに破り捨てた。

 

 

天馬

「俺、怪盗続けるよ!俺が蓮やみんなを後押しする風になってみせる!」

 

 

天馬の真っ直ぐな瞳を見て、蓮達は喜んだ。

 

 

モルガナ

「フフ…これで我輩達、駆け出しだが怪盗『団』になれるって事だな。」

 

「駆け出しか………何だか私達っぽいね。」

 

竜司

「決まりだな!クソな大人どもアッと言わせて、世の中に知らしめてやろうぜ、俺らの事!」

 

「ところで、リーダーって蓮で良いよね?」

 

「えっ?俺か?」

 

 

突然リーダーに指名されて戸惑う蓮。

 

 

竜司

「異議なし!俺、そういう責任感いるの苦手。」

 

モルガナ

「我輩を差し置いてってのはあるが………まぁ杏殿の推薦だ、許可してやる。」

 

「………なら、俺は天馬をサブリーダーに推薦しよう。」

 

天馬

「えっ?俺が!?」

 

「さんせーい!何か天馬と蓮って相性良さそうだし。」

 

竜司

「同じ部屋友なんだし、引き受けてやれよ?」

 

天馬

「………分かった、サブリーダー引き受けるよ!」

 

 

こうして怪盗団のリーダーは蓮、サブリーダーは天馬に決まった。

 

 

グッドストライカー

「せっかくだ、怪盗団の名前決めようぜ?予告状に名前書いたらきっとカッコいいぜ?」

 

「なら、《ザ・ファントム》でどうだ?」

 

「ザ・ファントム………割と良いんじゃない?」

 

天馬

「うん、俺もそれがいい!」

 

竜司

「改心させるターゲットだけどさ、あえて大物だけ狙うのはどうだ?」

 

天馬

「それって、有名人とか大企業の社長とか?」

 

竜司

「そんなとこだ。大物ならニュースになったりすんだろ?そしたら俺らを信じる奴ら、今よりずっと増える気しねぇか?」

 

「確かに、私達のことがもっと広まれば、沢山の人に勇気をあげれるかもしれない………でも、適当に誰彼構わずってのは何か嫌じゃない?」

 

天馬

「なら、ターゲットは全会一致で決めた相手にしようよ。これは俺達の掟、俺達のルールって事にしてさ。」

 

「うん、それで行こう。」

 

モルガナ

「怪盗団、結成だぜ!」

 

 

こうして、心の怪盗団《ザ・ファントム》が結成された。そして鉄塔の下には、鉄塔を見上げる円堂の姿があった。

 

 

円堂

「天馬………。」

 

 

円堂は足下に目を向ける。足下には先程、天馬が破り捨てた入部届の残骸が落ちていた。

 

 

円堂

「お前がサッカーから離れるのは残念だが、お前はそれ以上に素晴らしいモノを手に入れたみたいだな………頑張れよ、天馬!」

 

 

円堂は微笑むと空に向けてガッツポーズをし、静かに鉄塔広場を後にした。

 

 

 

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