ペルソナ THE PHANTOM ELEVENS ~心の怪盗団と革命の風~   作:ヒビキ7991

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Act.14/メメントスと謎の美少年

~渋谷駅 駅前広場~

 

 

志帆が怪盗団に加わった翌日、5月8日 日曜日。

怪盗団一行は渋谷駅前広場に集まっていた。だが、そこには何故か志帆の姿が無い。

 

 

天馬

「志帆さん遅いね………」

 

「おっかしいなぁ、今まで約束の時間に遅れたこと無かったんだけど………」

 

 

すると、噂をすれば影………地下階段から志帆が姿を見せた。

 

 

志帆

「ゴメン、遅くなっちゃった………!」

 

天馬

「あ、こんにちは志帆さん!」

 

「志帆、何かあったの?」

 

志帆

「お父さんとお母さんと、少しお話ししてたの。」

 

「どうだった?両親の様子は。」

 

 

蓮が聞くと、志帆は黙り込んだ。一行は一瞬、改心は失敗したのかと思ったが………。

 

 

志帆

「無理やり転校させようとしてゴメンねって、お母さんが………転校の話は無かった事にするって、お父さんが言ってた。」

 

天馬

「それじゃあ………!」

 

志帆

「うん………私、このまま秀尽に居れる事になったの!」

 

 

志帆の言った事に、怪盗団は大いに喜んだ。特に杏は。

 

 

モルガナ

「どうやら、両親の改心は成功したみたいだな。」

 

志帆

「うん!これもみんなのお陰だよ、ありがとう!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~渋谷駅 田苑都市線・伴蔵門線地下ホーム~

 

 

その少し後、一行は渋谷駅地下ホームに下りた。

 

 

グッドストライカー

「それでモルガナ、今日はどうする?」

 

モルガナ

「今日は昨日中断した、メメントス内部の探索だ。」

 

志帆

「メメントスって、昨日のあの?どうやって行くの?」

 

天馬

「イセカイナビって言う、特殊なナビアプリを使うんです。」

 

志帆

「イセカイナビ?それって………」

 

 

志帆はポケットからスマホを取り出し、ホーム画面を見せる。ホーム画面には、イセカイナビがインストールされていた。

 

 

天馬

「それ、イセカイナビ!?」

 

志帆

「朝起きたら勝手にインストールされてたんだけど、なるほど………これで異世界に行けるんだね。」

 

竜司

「ちょっと待て!じゃあ何で昨日、志帆はメメントスに居たんだ?昨日はまだナビ持ってなかったんだろ?」

 

志帆

「みんなが青ガエルの近くで集まってるのが見えて、それでそっと近づいたらいつの間にか迷い込んでて、それから地下に下りて後を付けてたの。」

 

「つまり、いつかの私みたいに巻き込まれたんだね………」

 

天馬

「て言うか、あんな気味悪いシャドウがウジャウジャ居るのに、よく歩けましたね………」

 

モルガナ

「………まあいい、早くナビを起動しろ。ナビにメメントスって入力すれば、行けるようになる。」

 

志帆

「分かった、やってみるね。」

 

 

志帆は早速イセカイナビを開き、メメントスと入力する。

 

 

イセカイナビ

『ナビゲーションを開始します。』

 

 

駅アナウンス

『まもなく電車が通過します。黄色い線の内側まで御下がり下さい。』

 

 

ファーン!

 

 

ナビを起動したと同時に、一行の前を回送電車が通過。通過し終えると一行はいつの間にか怪盗服姿に変わり、辺りの風景もメメントスに変化していた。

 

 

志帆

「ここ、昨日の!ホントに来れちゃった………」

 

モルガナ

「そうだ、コードネームを決めないとな。」

 

志帆

「コードネーム?」

 

「私達は、怪盗として動いてる間はコードネームで互いを呼び合ってるの。」

 

竜司

「杏がパンサー、俺がスカル、リーダーの蓮がジョーカーで、サブリーダーの天馬がゼファー、それからモナとグッディだ。」

 

 

一行は先ず、志帆の怪盗服姿を見る。

 

 

竜司

「つか志帆の格好、まんまパンサーの色ちがいじゃね………?」

 

志帆

「え~っと、昨日初めて見た杏………じゃなくて、パンサーの怪盗服が凄くインパクトあったから、そのせいかな?」

 

「なんだろ、急に物凄く恥ずかしいんですけど………」

 

「うむ………なら、《レパード》でどうだ?」

 

天馬

「パンサーと同じ豹って意味だよね?良いんじゃないかな?」

 

志帆

「みんなが良いなら、私は大丈夫だよ?」

 

竜司

「決まりだな!」

 

 

志帆のコードネームは《レパード》に決定した。

 

 

天馬

「じゃあ、この銃の名前はレパードマグナムってところかな?」

 

 

天馬はそう言うと、昨日志帆から預かった黒い銃を取り出した。

 

 

グッドストライカー

「何かシックリ来ねーなぁ………《ファントムマグナム》にしようぜ?」

 

志帆

「その銃も、グッディが話してたルパンコレクションなの?」

 

グッドストライカー

「ああ、しかもオイラの見立て通りなら、今のところ最も強力なコレクションに該当する筈だ。扱いには気を付けろよ?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~思想奪われし路~

 

 

一行はモルガナカーに乗り込み、ホームから線路に下り、メメントス内部を探索する。

 

 

志帆

「モナって凄いね。猫なのに普通にお喋り出来るし、車にも変身できるなんて。」

 

モルガナ

「と言っても、変身できるのは異世界限定だけどな。あと、どういう訳か普通の人間には我輩の声は猫の鳴き声にしか聞こえない。あと、我輩は猫じゃねー。」

 

志帆

「メメントスって不気味な場所だね………鴨志田先生も、こんな異世界を持ってたの?」

 

モルガナ

「まぁな。だが鴨志田の場合は心の歪みが並外れて強かったから、自分が支配する自分だけのパレスを持ってたんだ。他の普通の人間は、1つに融合した巨大なパレス………つまりこのメメントスを共有してる。」

 

「個人のパレスもメメントス同様、入るにはイセカイナビが必要になるんだが、その場合は本人の名前と場所、そしてその場所を何と勘違いしてるかが必要なんだ。」

 

天馬

「鴨志田先生は学校を自分の城だと思ってた。だから鴨志田先生の場合は、先生の名前、秀尽学校、城、この3つがパレスに入るのに必要なキーワードだったんだ。」

 

志帆

「なるほど………」

 

 

キキキーッ!!

 

 

しばらく走っていると、モルガナが急ブレーキを掛け停車した。

 

 

モルガナ

「着いたぞ。」

 

 

到着したのは駅のホームの様だが、ホームには下りのエスカレーターしか設置されて居なかった。

 

 

天馬

「駅のホーム?戻って来ちゃったのかな?」

 

「いや、エスカレーターが下りしか無い。最初に来たホームとは別みたいだ。」

 

モルガナ

「そこのエスカレーターから下のエリアに下りるぞ。そこが今日の目的地だ。」

 

 

一行はモルガナカーを下り、駅のホームから下りのエスカレーターを通り下のエリアに向かう。そしてエスカレーターの先には島式のホームがあり、ホームの先には不気味な壁が存在していた。

 

 

グッドストライカー

「おいおい、何だよ行き止まりじゃねえか?」

 

「でも、何かちょっと不気味………」

 

モルガナ

「まあ見てろ………我輩の勘が正しければ、これは只の壁じゃない………」

 

 

モルガナはそう言うと、静かに不気味な壁に手を当てる。

 

 

ゴゴゴゴゴ………!

 

 

すると突然、轟音と共に不気味な壁が開き、新たな下りのエスカレーターが出現した。

 

 

イセカイナビ

『最深部に新規エリアが確認されました。案内情報を更新します。』

 

 

さらにイセカイナビが新規エリア確認の通知を発した。

 

 

天馬

「壁が開いた!?」

 

モルガナ

「見ろ!思った通りだぜ!」

 

グッドストライカー

「なぁ、いったいどういう事だ?」

 

モルガナ

「まだお前らやグッディと会う前、鴨志田のパレスに潜入する前に来たときは何も起こらなかったんだ。けどメメントスの最深部が、こ~んな何の変哲も無いフロアだなんて妙だろ?」

 

竜司

「更に奥があったって事か。」

 

モルガナ

「鴨志田のパレスが消えたし、現実でも騒がれて噂になってるだろ?だから、メメントスにも変化があるんじゃないかって思ったのさ!」

 

「てか、どんくらい下まであんの?降りてみる?」

 

モルガナ

「いや、今回はそこまでのつもりで来てない。今回の探索は此処までにして、一旦戻ろう。説明はその後だ。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~メメントス 入口~

 

 

一行は探索を終え、メメントス入口に戻ってきた。すると………

 

 

天馬

「あれ?誰か居る?」

 

 

改札の向こうに水色のバギーと、白い服の少年が居た。バギーの後部には木箱やら段ボール箱やらが大量に積まれており、少年は何やら目の前に浮かぶ不思議な花を見ていた。

 

 

少年

「これはどうだ?」

 

 

シュゥゥ………

 

 

すると、花が少年の手に吸い寄せられ、オレンジ色のジュースに変身したと思うと、少年は何の躊躇も無くジュースを口にした。

 

 

少年

「ぷはっ!うまっ!」

 

 

一方怪盗団は、美味しそうにジュースを飲む少年を改札の向こうから見ていた。

 

 

竜司

「アイツ、何か飲んでね?」

 

志帆

「お花がジュースになっちゃった?」

 

モルガナ

「何者だアイツ………人間なのか?」

 

 

怪盗団は改札を抜け、謎の少年に近づく。少年も怪盗団に気付いた様だ。

 

 

少年

「ん?変な気配がすると思ったら………お兄さん達、何者?」

 

モルガナ

「いやコッチが聞きてぇよ………」

 

 

少年の質問に突っ込みで返すモルガナ。

 

 

少年

「おっと、ゴメンなさい………名前を聞くときは、先ず自分から名乗るのが人間の礼儀だ。ご指摘ありがとう、タヌキ………じゃなくて猫さん?」

 

モルガナ

「迷うのかよ!?つかどっちもちげぇし!」

 

少年

「でも驚いたな、お兄さん達ふつうの人間でしょ?こんな所に来られる人も、いるんだね。」

 

モルガナ

「まぁ、我輩達が特別って言うか………って、そうじゃなくてだな!お前は何者なんだよ!?」

 

少年

「僕の名前は《ジョゼ》。花を探してるんだ。」

 

志帆

「花?」

 

「それって、さっきジュースみたいにして飲んでたやつのこと?」

 

ジョゼ

「そうだよ、綺麗なお姉さん。僕は人間を勉強しなくちゃいけなくて、あの花をいっぱい集めたいんだ。」

 

天馬

「勉強って、さっきのジュースみたいにして飲むの?」

 

グッドストライカー

「花のジュース飲むのが勉強になんのかよ………」

 

ジョゼ

「そうだ!ねぇお兄さん達、僕の勉強を手伝ってくれないかな?花を集めてきて、それを僕に譲ってほしいんだ。もちろん、只でとは言わない。僕が此処で拾った、役立ちそうな物と交換しよう?」

 

モルガナ

「それなら、我輩達にもメリットはありそうだな………いや、相手は正体不明の子供だし………」

 

 

ジョゼの正体が不明なため慎重になるモルガナだが………

 

 

「えー、手伝ってあげようよ?困ってるみたいだし、探索ついでに花集めるくらい難しい無いんじゃない?」

 

竜司

「俺は別に良いぜ?集めたらお礼くれるみたいだし。」

 

天馬

「俺も手伝うに一票。」

 

グッドストライカー

「オイラも賛成だ!」

 

志帆

「私も!」

 

「決まりだな、手伝ってやろう。」

 

ジョゼ

「ありがとう!」

 

 

他の面子は手伝う事に賛成の様で、結果自然と多数決で決定した。

 

 

モルガナ

「待て待て、コイツが何者かまだ分かんないだろ!?お前もありがとうとか言ってんじゃねえ!!」

 

 

が、モルガナは未だ反対の様だ。

 

 

ジョゼ

「猫さん凄くイライラしてるけど、疲れてるの?」

 

モルガナ

「ね、猫じゃねーし!!イラついてもねーし!!」

 

ジョゼ

「あ、分かった!お腹空いてるね?」

 

 

ジョゼはそう言うと、ポケットからクッキーを取り出しモルガナに渡した。

 

 

ジョゼ

「よかったら、どうぞ。」

 

モルガナ

「気持ちだけ貰っとく………」

 

竜司

「気い使われてんじゃねーか………完敗だな。」

 

 

竜司のこの一言が効いたのか、モルガナは崩れるように床に手をついた。それから少しして、ジョゼはバギーに乗ってメメントスの奥へと去っていった。

 

 

グッドストライカー

「何だったんだ、アイツ………」

 

天馬

「人間を勉強してるって言ってたから、人間じゃないのかな?」

 

モルガナ

「まぁでも、アイツからシャドウの気配はしなかった。少なくとも今は、危険は無さそうだ。」

 

竜司

「さっき言ってた、花?今度それ見っけたら、拾っとこうぜ?」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~渋谷駅 駅前広場~

 

 

夕方、一行はメメントスから渋谷駅前広場に戻ってきた。

 

 

竜司

「よく分かんねぇ場所だったな、メメントス………んで、最後のあの壁は何だったんだ?」

 

モルガナ

「詳しくは分からんが、アレのせいで一定より深く入れなかったんだ。だが、大衆が我輩らを信じたり受け入れたりすれば、影響はある。」

 

「ねえ、何でモルガナはあんな場所の事、色々詳しいの?」

 

モルガナ

「どうも記憶がはっきりしないんだが、メメントスの億がどうなってるのか、どうしても知りたいんだ。」

 

「どうしても?」

 

モルガナ

「メメントスはみんなのパレスだが、同時に全てのパレスの源でもある。昔は鴨志田の城みたいな、1人が支配するパレスなんて無かった。だから歪みの大元であるメメントスを何とか出来れば、我輩のこの姿だって………!」

 

志帆

「そっか、モルガナも助けて欲しかったんだね………」

 

竜司

「そうか、だから俺らにちょっかい出したり、グッディと一緒だったんだな。」

 

「私、協力してあげるよ。亡くした物、取り戻せるといいね………」

 

モルガナ

「うむ………よろしく、頼む………」

 

 

縮こまるモルガナであった。

 

 

グッドストライカー

「そう言えばずっと気になってたんだけどさ、モルガナって男なのか?女なのか?」

 

天馬

「車だったりして?」

 

モルガナ

「んな訳あるか!!ていうか、男に決まってるだろ!?………とにかく、小者の改心はメメントスで出来る事が分かった。目につく情報があれば、実践練習ついでに退治するのもアリだな。」

 

「今回は特に目ぼしいのは居なかったね………」

 

竜司

「大物改心させて怪盗団の名前を売れば、山ほど書き込まれんだろうさ?」

 

天馬

「でも、先ずは目の前の問題を片付けなきゃ。来週は中間テストだから………」

 

竜司

「そうだった、勉強しねぇと………」

 

 

「やりたくねぇ」と言いたいかの様に、肩を落とす竜司。だが、彼らを遠くから見る1人の人影が居たことに、怪盗団一行は全く気付かなかった。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~地下鉄銀坐線 渋谷駅~

 

 

それから時は流れ、5月14日 土曜日の朝。

天馬・蓮・竜司・志帆・モルガナ・グッドストライカーは渋谷駅で電車を待っていた。が、天馬と竜司はとても眠そうだ。

 

 

天馬

「ふあぁ~………」

 

志帆

「眠そうだね?徹夜でもしたの?」

 

天馬

「うん、今日は苦手科目のテストだから、昨日の夜蓮に予習手伝ってもらって、その後は気付けば朝まで自主勉………眠い………。」

 

竜司

「俺も………今日でテスト終わりって思ったらつい………張り切って徹夜でやっちまった………」

 

モルガナ

「竜司が勉強?槍でも降るんじゃねぇか?」

 

「いや、恐らくテストは諦めてゲームに精進してたってヲチじゃないのか?」

 

竜司

「ああ………今に始まった事じゃねぇからな。赤が幾つ付こうが、今さら変わんねぇよ………」

 

グッドストライカー

「開き直りやがった………」

 

 

するとそこへ、これまた眠そうな杏が合流。

 

 

「ふあぁ、おはよう………」

 

竜司

「よう、朝っぱらから大口開けてんな。」

 

「やっと試験終わりだし、最後くらい頑張ろう………っ!?」

 

 

突然、杏が何やら後ろをキョロキョロし始めた。

 

 

志帆

「どうしたの?」

 

グッドストライカー

「ひょっとして痴漢でも居たのか?こういう朝の通勤ラッシュってのは多いらしいからな。」

 

「………何でもない、気のせいだったみたい。」

 

 

杏の不安は消えないまま、一行は銀坐線に乗り込んだ。だが蒼山一丁目で下車して直ぐ、エスカレーターで杏が後方に嫌な気配を感じた。

 

 

「嘘!?アイツ降りてきた!」

 

志帆

「えっ?」

 

天馬

「………蓮、竜司、ちょっといいかな?」

 

蓮・竜司

「ん?」

 

 

天馬は蓮達に何かを伝え、一行はエスカレーターを登りきる。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~蒼山一丁目駅 出入口付近~

 

 

駅の出入口付近には、何故か杏だけが取り残されていた。1人の人影が階段を上り外に出ると、杏の背後に静かに近づき手を伸ばす。

 

 

「ッ!!」

 

 

スタッ

 

 

だが杏が振り向いたと同時に、天馬が上から飛び下りて目の前に着地。両サイドから蓮・竜司・志帆が現れ行く手を塞いだ。人影の正体は、青みがかった黒髪をした、蓮達と同い年くらいの美少年だった。黒いズボンと左胸に黒百合が描かれたYシャツと、秀尽とは違う学生服を着ていた。

 

 

美少年

「ん?」

 

 

美少年は不思議そうに首を傾げ、天馬達も「まさかこの人が痴漢?」と言った顔で美少年を見ていた。

 

 

美少年

「君たち、何なんだ?」

 

「何なんだって、それはこっちの台詞よ!電車の中からずっと後付けてたでしょ?」

 

美少年

「それは………」

 

 

「おい《祐介》!」

 

 

すると、階段の奥から別の少年の声が聞こえてきた。少年は階段を駆け上がり、一行の前に姿を見せる。紺色のブレザーにウェーブがかった灰色の髪。

 

 

天馬

「神童さん!?」

 

 

天馬は少年を見て思わず叫んだ。現れたのは天馬の雷門中時代のチームメイト、《神のタクト》の異名を持つ天才ゲームメーカー、神童拓人だった。

 

 

神童

「天馬!?」

 

 

神童も突然の天馬との再開に仰天。すると今度は近くの路肩に、1台の黒いセダンが停車。後部座席の窓が下り、1人の老人が姿を見せた。

 

 

老人

「やれやれ、いきなり車を降りたと思えば………呆れる程の情熱だな、《祐介》。結構結構、ハハハハハッ!」

 

 

祐介

「車から見かけて、追いかけずには居られなかった………先生の着信にも、拓人の呼び声にも気付かないほど、けど良かった。」

 

 

キリッ

 

 

祐介と言う美少年は突然、杏に鋭い眼差しを向ける。その瞳には何やら、物凄いオーラが宿っていた。

 

 

祐介

「君こそ、ずっと探していた女性だ!是非俺の………俺の絵のモデルになってくれ!」

 

杏・志帆

「モデル?」

 

祐介

「俺は今まで、納得のいくものが描けなかった………君から他の人にはないパッションを感じる。是非、協力してくれないだろうか!?」

 

竜司

「待てって!そもそも、お前ら誰よ?」

 

 

竜司が割って入り、祐介は落ち着きを取り戻した。

 

 

祐介

「ああ、失礼………俺は《都立洸星高校》美術科2年、《喜多川 祐介》だ。」

 

神童

「同じく音楽科2年、神童 拓人だ。」

 

竜司

「神童 拓人………もしかして、天才ゲームメーカーの!?」

 

 

妙に興奮する竜司と、何やらキョトンとする蓮と杏。

 

 

「もしかして有名人?」

 

竜司

「知らないのかよ!?神童 拓人は元雷門中サッカー部のキャプテン!別名、神のタクトって異名を持つ超天才ゲームメーカーなんだよ!」

 

「雷門中サッカー部と言うことは、天馬のチームメイトか?」

 

神童

「ああ、3年前に天馬がサッカー部に入部した時からの付き合いだ。進学してからしばらく連絡出来てなかったが、まさかこんなところで再会するとは。」

 

天馬

「俺もまさか、こんなところで会えるなんて思いませんでしたよ………喜多川さんとはお知り合いなんですか?」

 

神童

「祐介とは以前、学校で彼の描いた絵を見て知り合ったんだ。」

 

祐介

「俺は斑目先生の門下生で、画家を目指すため先生のアトリエに住み込みさせてもらってるんだ。」

 

「斑目って、あの?この間の『情熱帝国』に出てた!?」

 

 

斑目という名を聞いて、何やら驚きを隠せない杏。

 

 

天馬

「斑目って?」

 

志帆

「有名な日本画家だよ。世界で評価される日本画家なんだって。」

 

 

と、一行はセダンに乗る老人に目を向ける。どうやらあの老人が例の斑目らしい。

 

 

(そう言えば、前にメメントスで………)

 

祐介

「そうだ!明日から駅前のデパートで、斑目先生の個展が開かれる。初日は俺も手伝いに行くんだ。是非来てくれ!」

 

 

何処から用意してたのか、祐介はポケットからチケットを5枚取り出し、杏に渡した。そして「明日会場で!」と言い残すと、斑目の車に乗り込みその場を去った。

 

 

竜司

「わっかりやすいヤツ………」

 

モルガナ

(杏殿を狙うとは………喜多川 祐介、その顔覚えたからな!)

 

 

 

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