ペルソナ THE PHANTOM ELEVENS ~心の怪盗団と革命の風~   作:ヒビキ7991

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Act.17/怒りの祐介 来たれよ、俺のペルソナ!《前編》

~四軒茶屋 路地~

 

 

解散後の夕方、蓮と天馬は四軒茶屋に戻ってきた。

 

 

蓮

「今日は明日からに備えて、早く寝るとしよう。」

 

天馬

「そうだね………ん?」

 

 

だがルブランに向かおうとした途端、天馬が何かを発見したのか、直ぐ近くにあるリサイクルショップ《夢ノ島》に向かった。

 

 

蓮

「天馬?」

 

 

蓮が天馬の様子を伺っていると、天馬は手に何かを持って戻ってきた。銀・黒・水色の3色で構成された、戦闘機の壊れたオモチャの様だ。

 

 

蓮

「それ、どうしたんだ?」

 

天馬

「よく分からないんだけど、何だか不思議な感じがして………コレに呼ばれたって言うか、何て言うか………」

 

 

ゴソゴソ………

 

 

すると、今度は天馬の鞄からグッドストライカーが出てきた。

 

 

グッドストライカー

「おい天馬!それ、ルパンコレクションだぞ!?」

 

天馬

「えっ?ルパンコレクション!?」

 

グッドストライカー

「ああ!しかもソイツは、正真正銘のオリジナル。つまり俺の世界の代物だ!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~ルブラン 屋根裏部屋~

 

 

夜、天馬達はルブランの屋根裏部屋で壊れたルパンコレクションの解析を始めた。

 

 

天馬

「これがオリジナルのルパンコレクション………」

 

グッドストライカー

「コイツの名前は《世界を一緒に守ろう》。とある組織の男が大切な相棒を守る為に、特命で作らせた戦闘機を模したコレクションだ。向こうの世界じゃ見つけれなかったが、まさか此方の世界に居たなんてなぁ………」

 

蓮

「しかし、何故オリジナルのルパンコレクションが俺達の世界に?」

 

モルガナ

「グッディがパレスを通じて此方に来たように、コイツも何らかの理由で此方の世界に迷い込んだんだろう。しかし、随分とボロボロだな………」

 

 

カタカタ………

 

 

すると突然、例のルパンコレクションが僅かに動いた。

 

 

天馬

「あれ?今、動いた?」

 

グッドストライカー

「良かった、まだ生きてるみたいだ。」

 

蓮

「生きてる?」

 

グッドストライカー

「コイツもオイラと同じく意思を持つコレクションなんだ。コイツ今、オイラ達に助けを求めてる。」

 

天馬

「グッディ、分かるの?」

 

グッドストライカー

「アタボウよ!とは言っても見た目がこの状態だ。相当弱ってるな………」

 

 

すると、天馬が良い事を思い付いた。

 

 

天馬

「ねぇグッディ、俺達でこのコレクションを修理出来ないかな?確か俺のVSチェンジャーも君も、元々コレクションを改造して作られたんでしょ?」

 

モルガナ

「我輩達がコイツを新しいVSビークルに作り替えるって事か?」

 

 

カタカタ!カタカタ!

 

 

話を聞いていたのか、コレクションが又しても動いた。

 

 

グッドストライカー

「コイツも頼むって言ってるぜ。コレクションの改造、悪くねぇかも知れねぇな。アルセーヌに出来たんだから、お前らでも出来る筈だ。」

 

蓮

「俺も手伝おう。面白そうだ。」

 

天馬

「よし、じゃあルパンコレクション大改修作戦開始だ!」

 

 

こうして、ルパンコレクションの改修が始まった。アイテムが戦闘機を模している事からダイヤルファイターへの改造で決まり、天馬と蓮はグッドストライカーから教えてもらいながらコレクションを改修した。そして作業を始めて数時間後………

 

 

天馬

「終わったぁ~!」

 

 

コレクションの改修作業が終わり、無事コレクションは新たなダイヤルファイターに生まれ変わった。全体的な見た目はそのままに、後部にダイヤルを取り付けた見た目になっている。

 

 

グッドストライカー

「お疲れさーん!って、あれ?」

 

天馬・蓮・モルガナ

「Z………z………z………」

 

 

気付けば時刻は深夜0時過ぎ。いつの間にか天馬は机に、蓮はベッドに突っ伏した状態で眠り、モルガナは蓮の側で丸くなり眠っていた。

 

 

グッドストライカー

「オイラも寝るとすっか………」

 

 

グッドストライカーは天馬と蓮に優しく毛布をかけ、机の端に着地して眠りについた。そして夜が明け、5月19日 木曜日の朝。

 

 

コンッコンコンッ

 

 

天馬は何かに頭をつつかれる感覚がして眼を覚ました。

 

 

天馬

「ん………グッディ?」

 

 

寝ぼけながら目を開くと、目の前には昨日修理したダイヤルファイターが居た。

 

 

天馬

「うわあ!?」

 

 

天馬はビックリして飛び起き、同時に蓮・モルガナ・グッドストライカーも眼を覚ました。

 

 

グッドストライカー

「ん………どうしたんだ?」

 

 

三人が寝ぼけながら目を開くと、例のダイヤルファイターは部屋中を元気に飛び回っていた。

 

 

天馬

「って君か。ビックリした………」

 

モルガナ

「アイツ、もう元気になったのか!?」

 

蓮

「頑張って修理したお陰だな。」

 

 

ジジジジ………ガチャン!

 

 

すると、ダイヤルファイター後部のダイヤルが回転しアタックモードが発動。機首が格納され、両サイドから2本の角と4本の足が展開し、ダイヤルファイターはクワガタムシ型のメカに変形した。

 

 

天馬

「変形した!?」

 

 

そしてゆっくりと天馬の頭頂部に着陸した。

 

 

グッドストライカー

「コイツ、天馬のこと気に入ったみたいだぜ?」

 

蓮

「天馬、せっかくだし名前を付けてやったらどうだ?」

 

天馬

「名前か………」

 

 

天馬はダイヤルファイターを頭から下ろし、両手に載せた。

 

 

天馬

「何だかクワガタムシみたい………決めた、君の名前はスタッグ。《スタッグダイヤルファイター》だ!」

 

 

キュイーン!キュイーン!

 

 

スタッグダイヤルファイターは名前を気に入ったのか、その場で宙返りをした。

 

 

グッドストライカー

「どうやら気に入ったみたいだぜ?」

 

天馬

「今日からよろしくね、スタッグ!」

 

 

コクン

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~連絡通路(怪盗団アジト)~

 

 

その日の夕方、天馬達は学校を終えて怪盗団のメンバーと共に渋谷駅のアジトに集まった。天馬はそこで、スタッグダイヤルファイターをメンバーに紹介した。

 

 

天馬

「と言う訳で、新しい仲間のスタッグダイヤルファイターだよ。」

 

 

スタッグダイヤルファイターは天馬の頭の上で御辞儀をし、「よろしくお願いします」と意思表示をした。

 

 

志帆

「カッコいい!」

 

杏

「ちょっと可愛いかも?」

 

竜司

「これ、ホントに天馬と蓮が修理したのか?」

 

蓮

「ああ。グッディに教えてもらいながら、夜通しで修理したんだ。」

 

モルガナ

「にしても、まさかオリジナルのコレクションが見つかるとはな………」

 

グッドストライカー

「コイツの強さは折り紙付きだ。今後の怪盗団の力になってくれること、間違い無しだぜ?」

 

 

クイッ!クイッ!

 

 

スタッグダイヤルファイターも角を上に上げ、やる気を見せている。

 

 

天馬

「頼りにしてるね。」

 

竜司

「うしっ!じゃあ紹介も済んだし、早いとこ斑目のとこ行こうぜ?」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~斑目パレス 美術館 特別展示室~

 

 

一行はあばら家付近に移動し、イセカイナビで斑目のパレスに侵入。以前潜入したルートで、中野原や祐介の人物画が展示されてる特別展示室までやって来た。だが以前より警戒度が上がったのか、通路のアチコチには赤外線センサーが張り巡らされ、警備員の格好をしたシャドウが巡回していた。

 

 

モルガナ

「やっぱりな………悪い噂が広まってると知って、斑目の警戒心が上がってやがる。慎重に行くぞ。」

 

 

一行は展示品の物陰を利用し、センサーと警備員シャドウの視界を掻い潜り、玄関ホールまでやって来た。天馬は近くにあった美術館のパンフレットを手に入れ、パンフレットに記載されてる館内マップでルートを確認する。

 

 

天馬

「この先に第一と第二展示室、そこを抜けると中庭がある。中庭の向こうには宝物殿があるみたいだけど、このパンフレットには宝物殿のマップは書いてないみたい。」

 

蓮

「取り敢えず行けるところまで行こう。先ず目指すは中庭だ。」

 

 

一行は第一展示室に侵入し、再びセンサーと警備員シャドウの視界を掻い潜り奥へ進む。だが………

 

 

竜司

「ゲッ!?何じゃこりゃ!?」

 

 

途中、赤外線センサーが厳重に張られた通路に到達。幾つものセンサーが縦と横に何度も交互に切り替わり、怪盗団の行く手を塞ぐ。センサーの網の向こうには警備室がある。

 

 

杏

「こんなの、通り抜けれないじゃない!」

 

蓮

「しかし、地図では此処以外に奥へ通じる道は無い。どうすれば………」

 

 

頭を悩ます怪盗団だが、天馬はこの光景に覚えがあった。

 

 

天馬

(このセンサーの動き、あの時と同じだ!)

 

 

それは以前フェイ達と共に200年後の未来世界へ行き、サッカー記念博物館から覇者の聖典を盗んだ時のこと。

 

 

天馬

「みんな、ここは俺に任せて!俺なら通り抜けられる!」

 

 

天馬は何の迷いも無く、センサーの網へと走り出す。

 

 

志帆

「ゼファー!?」

 

モルガナ

「おいバカ、無茶だ!」

 

 

シュッ!シュッ!

 

 

天馬はセンサーが切り替わるタイミングに合わせ、右に左に通路を駆け抜けセンサーを華麗に避けて行く。そしてアッと言う間に警備室の前に到着した。

 

 

天馬

「よし、上手く行った!」

 

竜司

「スッゲー!!何だ今の動き!?」

 

 

竜司を始め仰天する怪盗団。すると少し遅れて、グッドストライカーとスタッグダイヤルファイターがセンサーの網を抜け天馬と合流した。

 

 

グッドストライカー

「サイコーだぜゼファー!」

 

天馬

「ありがとう。よし、後はセンサーを解除して………」

 

 

天馬は警備室に入り、端末からセキュリティシステムにアクセスする。だが、解除にはパスワードが必要の様だ。

 

 

天馬

「これだ。でもパスワードが要るのか………ん?」

 

 

すると、スタッグダイヤルファイターが端末の画面に貼り付いた。

 

 

ジジジジ………ピッピッピッピッ

 

 

スタッグダイヤルファイターのダイヤルが回転し、それと連動するかの様に端末にパスワードが入力される。

 

 

ピー!《SYSTEM DOWN》

 

 

するとセキュリティシステムが解除され、通路に張り巡らされていたセンサーが全て消えた。

 

 

杏

「やった!センサーが消えたよ!」

 

 

外に居た怪盗団は喜び、警備室から出た天馬は驚いた。

 

 

天馬

「凄い!どうやったの?」

 

グッドストライカー

「言い忘れてたが、ダイヤルファイターには錠を開ける能力があるんだ。本来は扉の鍵とか金庫の暗証番号を解くための能力なんだが、まさかコンピューターのパスワードまで解いちまうとは思わなかったぜ………」

 

 

カチン!カチン!

 

 

スタッグダイヤルファイターも誇らしげに角を鳴らす。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~美術館 中央庭園~

 

 

一行はそのまま第二展示室を抜け、中央庭園にたどり着いた。庭園の奥には宝物殿の入り口だろうか、孔雀の羽の柄をした派手な大扉がある。だが庭園内には高電圧レーザーが無数に張り巡らされ、奥の宝物殿には近づけそうにない。

 

 

志帆

「これ、もしかしてレーザー光線!?」

 

モルガナ

「だな。こんだけ厳重って事は、守りたいモノがこの先にあるって証拠だ。」

 

 

すると、杏が近くに立て札を見つけた。

 

 

杏

「ナニナニ?『警備員各位に通達。展示期間中、宝物殿への扉は殿内警備室のみで開閉が管理される。外からの解錠は不可能となるため、各員とも注意されたし。』」

 

天馬

「外から開けれないんじゃ打つ手無いよ。どうしよう………」

 

 

行き詰まる怪盗団。だがモルガナとグッドストライカーは、宝物殿の大扉をジッと見ていた。

 

 

グッドストライカー

「なぁモナ、あの大扉の柄に見覚え無いか?」

 

モルガナ

「ああ、間違いない。前に斑目のあばら家で見たのと同じ柄だ。だとしたら………」

 

蓮

「どうしたモナ?」

 

モルガナ

「お前ら、一旦引き上げるぞ!アレが現実の何処の扉の認知か、検討がついた。別のやり方でこじ開けられるかも知れん!」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~渋谷駅 連絡通路(怪盗団アジト)~

 

 

一行はパレスを離れ、一旦アジトに戻った。

 

 

天馬

「モルガナ、別のやり方でこじ開けられるってどういう事?」

 

モルガナ

「前に祐介の部屋に邪魔した時、我輩とグッディを部屋の外へ偵察に出しただろ?実はあの時、あの宝物殿の扉と同じ柄の襖を見つけてたんだ。」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

~あばら家 二階廊下~

 

 

それは先日、祐介が杏の絵を描いている間に、モルガナとグッドストライカーが偵察に出ていた時のこと。

 

 

グッドストライカー

「しっかし、カビ臭い家だぜ………」

 

モルガナ

「文句言うなグッディ。杏殿が祐介を足止めしてる隙に、この屋敷の中を調べるぞ。」

 

 

すると突き当たりを左に行って直ぐ、二人は孔雀の羽の柄が描かれた派手な襖を発見した。襖には何故か、大きな錠前が掛けられている。

 

 

グッドストライカー

「これ………襖か?メッチャ派手だな。」

 

モルガナ

「それにアレは、鍵か?襖にゴツい鍵………何が入ってるんだ?」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

モルガナ

「斑目にとってあの美術館はこの屋敷。そして宝物殿の扉はその鍵の掛かった襖だとすれば、宝物殿に入る方法は一つ。斑目本人の目の前でその襖を開けて、『扉は開けられない』っていう認知を変えるのさ。そうすれば宝物殿の扉も、ひとりでに開く筈だ。」

 

竜司

「なんかピンと来ねぇなぁ………」

 

蓮

「しかし、今の俺達に出来ることはソレしかない。試してみる価値は大いにある。」

 

志帆

「でも、現実の襖にも鍵が掛かってるんだよね?」

 

グッドストライカー

「そこはオイラ達の出番だ。ダイヤルファイターの能力でなら、どんな鍵でも開けられる。だが最初から斑目の前でやるのは無理がある。オイラとスタッグが鍵を開けるまでの間、目をそらしといてくれる人が居たらなぁ………」

 

 

と、グッドストライカーは静かに杏の方に目を向ける。

 

 

竜司

「あー、なるほど………つーか屋敷に入るのもどうやるかなー?無理に入れば今度こそ通報だし………」

 

 

何かを察したのか、ワザとらしく困ったセリフを言いながら杏を見る竜司。蓮達もどうやら同じ考えなのか、静かに杏に目を向ける。

 

 

杏

「ちょっと、ナニ?」

 

竜司

「やっぱ………ヌードしかなくね?」

 

杏

「ヌード………はあ!?」

 

 

案の定仰天する杏。

 

 

竜司

「いや、別にマジで脱げとは言わねぇよ。今んとこ、俺達の中で屋敷に怪しまれず入れるのは杏だけ。でもって、それが一番の入る口実だ。」

 

モルガナ

「確かにな。ここは、杏殿に一芝居うってもらいたい。」

 

杏

「急にそんなこと………でも、その鍵の掛かってる場所、私知らないよ?」

 

グッドストライカー

「大丈夫だ、オイラとスタッグも一緒に行く。」

 

杏

「でもそれって、実質私一人じゃん………最悪、バレた時どうするの?」

 

天馬

「パレスに逃げ込む………とかじゃダメ?」

 

志帆

「それ、解決になってるのかな?」

 

竜司

「大丈夫だって。ちょ~っと祐介を騙して部屋に連れて行かせて、チャチャっと開けるだけじゃん?」

 

杏

「簡単に言って………分かった、分かったわよ!私が囮になるわ!その代わり、絶対に何とかしてよね!?グッディ!!」

 

グッドストライカー

「おうよ!このグッドストライカーに二言はねえ!」

 

竜司

「頼んだぜ、グッディ、スタッグ!んじゃ、早速明日決行だ!」

 

杏

「えっ?明日!?いやでも、心の準備がまだって言うか、喜多川君が良いって言うかな?」

 

蓮

「喜多川なら多分、一つ返事でOKするんじゃないか?」

 

杏

「うぅ、確かに………もう!これでパレスの扉が開かなかったら私、ファントムカイザーであの美術館ぶっ壊すから!」

 

蓮

「杏達が屋敷に居る間、残りの俺達はパレスの中庭に待機しておこう。扉が開いている間に宝物殿に入って、セキュリティを切るんだ。」

 

天馬

「OK、分かった。」

 

 

こうして、自棄になりながらも杏の囮作戦が決まった。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~あばら家 祐介自室~

 

 

翌日、5月20日 金曜日の放課後。

作戦通り、杏は再び祐介の部屋を訪れた。祐介はウキウキしながら、絵を描く準備をしている。

 

 

祐介

「ホントに来てくれるなんて………連絡くれた時は嘘だと思ったよ。」

 

杏

「ゴメンね、急で………」

 

祐介

「とんでもない。ただ昨日伝えた通り、今日は先生がもう2~30分もすると戻られる。その………気を使わせてしまうかもしれないね………」

 

杏

(だから今日、来たんだっつーの。)

 

 

かれこれ話している内に、祐介は絵を描く準備を整えた。

 

 

祐介

「これで良し。高巻さん、取り敢えずここで、その………用意、いいかな?」

 

 

流石の祐介も、杏を意識しているのか緊張している様だ。

 

 

杏

「良いけど………恥ずかしいから、アッチ向いてて?」

 

祐介

「わ、分かった………」

 

 

祐介は杏に背を向け、杏はブレザーを脱ぐ。すると、ブレザーの背中からグッドストライカーとスタッグダイヤルファイターが出てきた。

 

 

杏

(頼んだわよ。)

 

グッドストライカー

(行ってくるぜ!)

 

 

グッドストライカーとスタッグダイヤルファイターは静かに祐介の部屋を抜け出し、例の鍵の掛かった襖に向かった。そして二人が部屋を出たのを確認すると、杏は祐介に甘く問い掛けた。

 

 

杏

「ねぇ、場所変えられない?もっと雰囲気良いとこの方がいいな。鍵の掛かる部屋とか?」

 

祐介

「いや、此処で十分な気が………先生の部屋なら鍵はあるが、俺は部屋の鍵を持ってないし………」

 

 

効いているのか、祐介は明らかに動揺している。

 

 

祐介

(いや待てよ、モデルの気分を盛り上げた方が、良い絵になるかも知れない。大胆な構図や、ポーズにも協力してもらえるかも!)

 

杏

「ほら、せっかく脱ぐんだし………ね?」

 

祐介

「そ、そうだな………探せば鍵付きの部屋が有るかも………いや、だがしかし………」

 

杏

「もぅ、せっかくその気になってきたのにぃ~。ねぇ、この部屋とかダメ~?」

 

 

杏はそう言うと、いつの間にか部屋を出てブレザーを廊下に脱ぎ捨てた。祐介は杏が居ないことに気が付き、ブレザーを拾い急いで杏を追いかけた。

 

 

祐介

「ま、待ってくれ!勝手なことをされると先生に………!」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~斑目パレス 美術館 中央庭園~

 

 

その頃、蓮・天馬・竜司・志帆・モルガナは、美術館の中央庭園で待機していた。

 

 

竜司

「パンサーの奴、『演技で誘惑してみせる』とか言ってたけど、大丈夫か?」

 

天馬

「もうすぐ、斑目が帰ってくる時間の筈だけど………」

 

志帆

「開く気配しないね。」

 

竜司

「つかグッディとスタッグが鍵を開けたとしても、斑目に見せるってムズくね?見せたとしても普通、直ぐ閉めんだろ?」

 

蓮

「大丈夫だ、パンサーとグッディ達を信じよう。」

 

モルガナ

「そうだな、アイツらなら必ずやる。頼んだぞ………」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~あばら家 廊下~

 

 

一方、あばら家に居るグッドストライカーとスタッグダイヤルファイターは、例の襖に到着した。

 

 

グッドストライカー

「アレだ。頼むぞスタッグ。」

 

 

スタッグダイヤルファイターは了解し、襖の錠前に貼り付く。

 

 

キュピーン!ガチャ!

 

 

すると錠前は意図も簡単に外れ、襖が開いた。

 

 

グッドストライカー

「よっしゃ開いた!後は斑目が来れば………」

 

 

「ちょっと、いい加減に………」

 

 

するとそこへ、杏と祐介がやって来た。グッドストライカーとスタッグダイヤルファイターは例の部屋に入り、襖の影に隠れる。

 

 

杏

(モルガナとグッディが言ってたのは、確かこの先………)

 

 

杏は突き当たりを曲がり襖が開いている事を確認すると、祐介に問い掛けた。

 

 

杏

「ねぇ喜多川君、この部屋は?此処ならきっと、誰にも邪魔されないよ?」

 

祐介

「えっと、そっちは古い絵の保管庫だ。ただ、中には先生しか………えっ?」

 

 

祐介は開かない筈の保管庫が開いている事に驚いた。

 

 

祐介

「開いている?何で?」

 

 

ガラガラガラ

 

 

斑目

「帰ったぞ。」

 

 

すると、今度は斑目が外から帰ってきた。

 

 

祐介

「せ、先生!?」

 

 

斑目は屋敷に上がり、祐介と杏を見つけた。

 

 

斑目

「祐介、そんな所で何をしてるのかね?」

 

祐介

「あ、いや、これには事情が………」

 

杏

「喜多川君、こっち!」

 

 

ガシッ!

 

 

祐介

「んなっ!?」

 

 

杏は祐介の手を引き、二人は保管庫の中へ入った。

 

 

斑目

「待て!その中は………!」

 

 

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