ペルソナ THE PHANTOM ELEVENS ~心の怪盗団と革命の風~   作:ヒビキ7991

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Act.05/古城再び!轟け、俺のペルソナ!《後編》

~秀尽学園 中庭~

 

 

天馬達が鴨志田のパレスに居る頃、秀尽学園の中庭には2人の生徒が居た。1人は先ほど鴨志田の誘いを断った高巻 杏。もう1人は焦げ茶色の瞳と黒髪ポニーテールの少女。女子バレー部員の1人であり、杏の中学時代からの親友《鈴井 志帆》。

 

 

志帆

「………」

 

 

志帆は何故か暗い表情を浮かべていた。

 

 

志帆

「上手く眠れなくて………目をつぶると色々考えちゃうんだ………」

 

「志帆………」

 

 

志帆の表情を見て、心配する杏。

 

 

志帆

「全国大会近いから、考えちゃうんだ。私なんかが、スタメンなんて………」

 

「実力が認められてるんだよ!志帆、誰よりも練習頑張ってたじゃん!大丈夫、自信持って!」

 

志帆

「………ありがとう。私、バレーしか出来ないから………」

 

「それよりさ、ケガ、大丈夫?けっこう腫れてたけど………」

 

志帆

「大丈夫だよ、このくらい。大会前だし………」

 

 

と、そこへ1人の男子生徒がやって来た。男子生徒は藍色の髪に茶色の瞳、そして顔中には多くの傷があった。

 

 

男子生徒

「鈴井、その…話し中に悪い。鴨志田先生が、呼んでる………」

 

志帆

「えっ?」

 

 

志帆は何やら驚いた様な表情を見せる。

 

 

志帆

「………何の、用?」

 

男子生徒

「さぁ………」

 

「き、きっとスタメンのミーティングとかじゃない?大丈夫だって!」

 

志帆

「………そうだよね?じゃあ、私行くね?」

 

 

志帆は立ち上がり、男子生徒と共にその場を後にし、杏は志帆を見送った。

 

 

「頑張れ、志帆!」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~カモシダ・パレス 古城 セーフルーム~

 

 

その頃、パレス内の天馬達は先ほど見つけた部屋《セーフルーム》で、外から聞こえる番兵の会話を盗み聞きしていた。

 

 

『奴隷どもはどうした?』

 

 

『全員《修練場》だ。今ごろ、盛大に悲鳴を上げてるだろうぜ?』

 

 

『侵入者が居るという話もある。油断するなよ?』

 

 

ガシャッガシャッガシャッ………

 

 

番兵達はその場を去った様だ。

 

 

モルガナ

「おい、今の聞いたか?」

 

竜司

「ああ、修練場って言ってたな?」

 

グッドストライカー

「それならオイラに心当たりがあるぜ?今から行くか?」

 

モルガナ

「よし、じゃあ外に出る前に戦闘の基礎を教えておこう。原則、いつでも不意打ちを狙う。可能な限り背後から狙え。パレスの敵は、主の歪みによって支配されている。その象徴である《仮面》を剥ぎ取るんだ。成功すればどんな敵でも、必ず前後不覚になる。そこを先制攻撃だ。」

 

天馬

「後ろから不意打ちして、仮面を盗って先制攻撃だね?」

 

竜司

「………うし、分かった!じゃあ行こうぜ!」

 

モルガナ

「竜司、お前は外で見学だ。ペルソナも化身も使えないんだからな。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~古城B1F 地下牢獄~

 

 

一同はセーフルームを出て、グッドストライカーの案内である檻の近くに来た。鉄柵の前には見張りの番兵が立っている。

 

 

グッドストライカー

「あそこだぜ。」

 

「あの檻の奥が例の修練場って事か。」

 

モルガナ

「練習相手に丁度良いぜ。行くぞ!」

 

 

蓮達は番兵に向かって走り、蓮はジャンプして背後から番兵に跳びついた。

 

 

番兵

「な、何者だ!?」

 

「正体を見せろ!」

 

 

ベリッ!

 

 

蓮は番兵の仮面を引き剥がす。すると、番兵は頭に大きな赤い花がある人面花のシャドウ《マンドレイク》へと姿を変えた。

 

 

マンドレイク

「アンタたち誰よ!?」

 

モルガナ

「名乗る必要はない。ってか?」

 

「行くぞ!」

 

 

ザシュッ!

 

 

蓮は右手にナイフを、モルガナはサーベルを装備し、二人同時にマンドレイクを切り裂く。

 

 

天馬

「俺も!」

 

 

バキューン!

 

 

天馬もVSチェンジャーを構え発砲。放たれたビームはマンドレイクに命中し、マンドレイクは消滅した。

 

 

天馬

「よっしゃ!」

 

竜司

「スゲェな、その銃!」

 

モルガナ

「よし、それじゃ行くぞ!」

 

 

蓮は扉を開け、一同は不気味な地下通路を下って行く。すると………

 

 

「おい、侵入者らしき者は居たか?」

 

 

「いや、まだ見当たらない。」

 

 

曲がり角の向こうから、兵士達の話し声が聞こえてきた。物陰から角の向こうを覗くと、二人の兵士が話し合っていた。

 

 

モルガナ

「チッ、やっぱ敵が多いな………あれじゃ、かわすのも無理か………」

 

「どうする?また倒すか?」

 

モルガナ

「簡単に言うなよ、まだ先は長いんだ。スタミナは温存しておきたいだろ?」

 

竜司

「くそっ、俺にも戦う力がありゃ、少しは手伝えんのになぁ………天馬みたいに化身とか武器とか持ってねぇし、持ってるのはオモチャだけだし………」

 

モルガナ

「オモチャ?さっきの銃か?」

 

竜司

「の、オモチャだ。見た目ソレっぽいだけで弾も出ねぇ………」

 

モルガナ

「ソレっぽい………そうか、その手だ!!」

 

 

モルガナは何か思い付いたのか、咄嗟に曲がり角の先へ向かう。

 

 

「おいモルガナ!?」

 

 

蓮達もモルガナを追うが、向かう先には兵士達が。

 

 

「ムッ?誰だ!?」

 

 

モルガナ

「天馬、そのVSチェンジャーで奴らの仮面を撃てるか?」

 

天馬

「やってみるよ。」

 

 

天馬はVSチェンジャーを構え、兵士達の仮面に向けて発砲。

 

 

バキューン! バリーン!

 

 

放たれたビームは見事仮面に命中し、仮面は粉々に砕け、兵士達はカボチャお化けのシャドウ《ジャックランタン》へと姿を変えた。

 

 

天馬

「やった!」

 

モルガナ

「蓮、さっきの銃ちゃんと持ってるか?ソイツを敵に向けて撃ってみろ!」

 

「これをか?しかし、弾も出ないと………」

 

モルガナ

「いいから騙されたと思って撃て!我輩の狙いが正しければ、きっと大丈夫だ!」

 

 

蓮は先ほど竜司から受け取ったモデルガンを右手に持ち、ジャックランタンに銃口を向け引き金を引いた。

 

 

バキューン!

 

 

すると、銃声と共にモデルガンから銃弾が放たれジャックランタン一体に命中。そしてジャックランタンは消滅した。

 

 

「ナニッ!?」

 

モルガナ

「思った通りだ!よし、じゃあ我輩も!」

 

 

パチン!

 

 

そう言うと、モルガナは何処から出したのかパチンコを左手に持ち、もう一体のジャックランタンに向けて弾を放つ。弾はジャックランタンの頭部に命中し、ジャックランタンは消滅した。

 

 

モルガナ

「よし、決まった!」

 

竜司

「い、今確かに弾出たよな?いったいどうなってやがんだよ!?」

 

 

竜司は混乱していた。先ほど蓮が使っていたのはモデルガン。なのにいざ使えば何故か銃弾が放たれたからだ。

 

 

モルガナ

「さっきも言ったが、ここは認知の世界だ。相手が対象を本物と認知する限り、それは本物になるって事さ。」

 

天馬

「………つまり、敵はそのモデルガンを本物と思い込んでるから、銃弾が出たって事?」

 

モルガナ

「そう言う事だ。幸い、見た目だけはリアルだからな。」

 

竜司

「………よくわかんねぇけど、つまり俺のモデルガンが役に立ったって事だよな?」

 

 

竜司の問いに、蓮は笑顔で頷いた。

 

 

モルガナ

「ああ、お陰で戦術の幅が一気に広がった。偶然だろうが、よくやったぜ!」

 

竜司

「お前、何で上からなんだよ………」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~修練場前~

 

 

一同は更に奥へと進み、修練場の入口と思われる扉の前についた。

 

 

「ここが修練場か。」

 

 

扉の上にはピンクで”鴨志田愛の修練場”と大きく書かれた横断幕が架けられていた。

 

 

竜司

「愛の修練場だぁ?ふざけやがって…!」

 

天馬

「とにかく、入ってみよう。」

 

 

一同は扉を開け修練場内に侵入。すると入って早々、何やら叩くような音と叫び声と呻き声が聞こえてきた。

 

 

グッドストライカー

「おい、奥から何か聞こえるぜ?」

 

「行ってみよう。」

 

 

一同は慎重に修練場の奥へと進む。すると、前方に大きな檻を発見した。恐る恐る檻の中を覗くと………

 

 

天馬

「ええっ!?」

 

「っ!?」

 

竜司

「な、何じゃこりゃ!?」

 

 

檻の中では、全員同じユニフォームを着た奴隷達が番兵から酷い拷問を受けていた。

 

 

天馬

「これが、修練場…?」

 

グッドストライカー

「あり得ねぇ………どう見ても拷問場じゃねぇか!」

 

「酷いな…」

 

竜司

「あのヤロウ………くそ過ぎんだろ!?」

 

 

 

「や、やめろ………」

 

 

突然、一同の前に傷だらけの奴隷二人が現れた。奴隷は酷く怯えている様だ。

 

 

奴隷1

「放っといてくれよ………逆らったって無駄なんだし………」

 

奴隷2

「大人しくしてれば、お前らみたいに処刑される事は無いんだ。だから頼むよ………」

 

 

奴隷二人はそう言うと静かに去っていき、二人の話を聞いた一同は驚いた。特に竜司は。

 

 

竜司

「なあ、今のどういう意味だよ?好きでそこに居るってのかよ!?」

 

天馬

「このままに出来ないよ!何処か出入口が無いか探そう!」

 

 

天馬の言葉に、蓮、竜司、グッドストライカーは頷いた。だが直ぐ、モルガナが待ったをかけた。

 

 

モルガナ

「止めておけ。助けたい気持ちは分かるが、ソイツら助けても意味無いぞ?」

 

「どういう事だ?」

 

モルガナ

「ソイツらはこのパレスの主、つまりカモシダが認知してるだけの人間。簡単に言うなら、現実に居る本物とソックリの人形ってトコだ。お前らと違って、現実から入り込んだ訳じゃない。」

 

天馬

「そ、そうなんだ………」

 

竜司

「ったく、ややこし過ぎるっつの!」

 

 

モルガナの説明で納得した一同は、再び檻の中に目を向ける。

 

 

モルガナ

「しっかし、こりゃ酷いなぁ………現実でも奴隷扱いって事だろ?」

 

竜司

「現実でも?」

 

 

その時、竜司は思い出した。奴隷達が着ているユニフォームの正体を。

 

 

竜司

「こいつら、全員バレー部だ!鴨志田が顧問の!」

 

天馬

「ひょっとして、現実でもバレー部は鴨志田先生から暴力を受けてるって事?」

 

モルガナ

「そうなんじゃね?だってこれ、カモシダが奴隷だって思ってる事だろ?」

 

竜司

「あり得ねぇ話じゃねぇ。あくまで噂だが、鴨志田には体罰の噂があるんだ。」

 

グッドストライカー

「マジかよ!?もし本当なら、普通に警察沙汰だぞ!?」

 

竜司

「………よし、コイツら写真にして証拠にしてやる!」

 

 

竜司はそう言ってスマホを取り出し、カメラアプリを起動しようとする。だが、何故かカメラが起動しない。

 

 

竜司

「あれ、動かねぇ?」

 

 

天馬と蓮もスマホを取り出しカメラアプリを起動しようとするが、やはり何故かカメラが起動しない。いや、カメラどころかイセカイナビ以外のアプリ全てが動かなくなっていた。

 

 

「俺のもダメだ。」

 

天馬

「俺も。ナビは動くみたいだけど、他は全部ダメみたい。」

 

モルガナ

「ナビ?」

 

「ああ、俺達はナビでこっちに来たんだ。」

 

竜司

「仕方ねぇ、こうなったら此処にいる全員の顔覚えて帰ってやる!」

 

 

こうして、一同は竜司に奴隷達の顔を覚えさせるために修練場内を走り回った。修練場内では他にも、水を与えずロードランナーの上を延々と走らされてる者達や、宙吊りにされて大砲から発射されるバレーボールを何度もぶつけられる者も居た。

 

 

竜司

「………OK、連中の顔全部覚えたぜ!」

 

モルガナ

「急いでズラかるぞ!」

 

 

一同は急いで修練場を離れ、城から脱出するため地上へと走る。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~古城 中央ホール~

 

 

何とか中央ホールへ戻ってきた一同だが、中央ホールにはパレスの主《シャドウ鴨志田》と、黄金の鎧を纏った番兵の隊長らしきシャドウが待っていた。

 

 

シャドウ鴨志田

「また貴様らか………過ちを二度も繰り返すとは、救い難いな!」

 

天馬

「鴨志田先生………いや、先生のシャドウ!」

 

竜司

「鴨志田、学校はテメェの城なんかじゃねぇ!」

 

「悪いが修練場の光景は拝見させてもらった。」

 

竜司

「アイツらの顔も、全員バッチリ覚えたぜ。観念すんだな!」

 

 

強気に言う竜司に対し、シャドウ鴨志田は落ち着いていた。いや、それどころか怪しい笑みすら浮かべていた。

 

 

シャドウ鴨志田

「負け犬ほどよく吠えるとは心理らしいな。陸上部のエースも落ちたモノだ………暴力騒ぎを起こし、仲間の夢を潰した『裏切りのエース』君。貴様の自分勝手の巻き添えになった連中が、いやはや…可哀想で仕方ない。」

 

 

シャドウ鴨志田の放った言葉に、竜司は少し動揺した。

 

 

天馬

「裏切りのエース?」

 

「どういう事だ?」

 

シャドウ鴨志田

「ほう、これは驚いた。知らずに付き合わされてたのか?こんな愚物に付き合わされて死ぬ羽目になるとは、運が無いな。」

 

 

ガシャン!ガシャン!

 

 

番兵隊長は番兵シャドウを召集し、番兵達は一瞬で蓮達の前に立ちはだかる。

 

 

番兵

「殺す!鴨志田様の命令で殺す!」

 

「仕方ない、やるぞ!」

 

 

蓮はナイフ、モルガナはサーベル、天馬はVSチェンジャーを装備し構える。

 

 

ドカッ!

 

 

だが背後から別のシャドウが現れ、盾で三人を突き飛ばした。

 

 

竜司

「っ!?」

 

 

三人は床にうつ伏せに倒れ、番兵達が起き上がれないように上から踏みつける。

 

 

グッドストライカー

「お前ら!?」

 

シャドウ鴨志田

「どうせ、貴様の思い付きでこうなっちまったんだろ?この俺様に手を上げやがって………臨時とはいえ、陸上部の練習をみてやった恩を忘れたか?」

 

竜司

「あんなの練習じゃねぇ…体罰だ!単にお前が、陸上部が気に食わねぇから!!」

 

シャドウ鴨志田

「目障りなんだよ!実績を上げるのは俺様だけでいい。クビになったあの救えないバカ監督も、正論言って楯突かなきゃ、エースの脚を潰すだけで済んだものを………もう一本の脚もやってやるか?どうせ、学校が正当防衛にしてくれるしな。」

 

 

シャドウ鴨志田は不気味な笑みで竜司を見る。竜司はその場で膝を付き絶望していた。

 

 

竜司

「………俺、また負けるのかよ………こんなクズ野郎のせいで走れなくなって………陸上部も無くなって………」

 

「言われっぱなしか?」

 

竜司

「っ!?」

 

 

突然、蓮が口を開いた。

 

 

「許せないんだろ?悔しいんだろ?」

 

竜司

「蓮………」

 

シャドウ鴨志田

「そこで黙って見ていろ。クズを庇って犬死する、救えないクズどもをな。」

 

 

グギギ………

 

 

竜司

「クズはお前だよ………」

 

 

竜司は拳を強く握り、ゆっくりと立ち上がりシャドウ鴨志田を睨んだ。

 

 

竜司

「さっきからニヤニヤとムカつく顔しやがって………確かに俺は救えないクズ野郎だ。でもな鴨志田、人を利用することしか見てないお前の方が、もっとクズだ!!」

 

 

竜司はシャドウ鴨志田を指差し、大声で怒鳴る。その時………

 

 

『随分と待たされたモノよ………』

 

 

ドクンッ!

 

 

竜司

「ッ!?」

 

 

突然、激しい頭痛が竜司を襲い、竜司の頭の中に誰かが語り掛けて来た。

 

 

竜司

「ガッ!?アアァァァ!?」

 

 

竜司は激しい頭痛にもがき苦しみ、その場でのたうちまわる。

 

 

グッドストライカー

「おい、竜司!?」

 

モルガナ

「これはまさか!?」

 

 

『力が要るんだろう?ならば契約だ。どうせ消しえぬ汚名なら、旗に掲げてひと暴れ。お前の中のもう一人のお前が、そう望んでいる………』

 

 

竜司

「グッ!クッ………!」

 

 

竜司は痛みに耐えながら、ゆっくりと立ち上がる。

 

 

シャキッ!

 

 

顔を上げた次の瞬間、竜司の顔にガンメタのドクロマスクが現れた。

 

 

『我は汝、汝は我………覚悟して背負え!これからは、反逆のドクロが貴様の旗だ!』

 

 

竜司

「うおおおおおおおおおお!!」

 

 

竜司は叫びながら流血と共にマスクを引き剥がす。マスクを引き剥がした次の瞬間、竜司の身体が青白い炎に包まれた。炎が消えると、竜司は赤いマフラーをした暴走族風の黒いライダースーツ姿に変身し、背後には黒い小舟を乗りこなし、髑髏のような顔、右手には大砲を装備した海賊の姿をしたペルソナがいた。

 

 

シャドウ鴨志田

「こ、コイツもだと!?」

 

天馬

「あれって!?」

 

「ペルソナか!?」

 

グッドストライカー

「スッゲー!!」

 

モルガナ

「こりゃ驚いた………竜司にも素養があったとは!」

 

 

その場に居た一同は、突然起きた現象に驚き目を見開く。竜司は新しい自分の姿と、自分のペルソナをマジマジと見ていた。

 

 

竜司

「コレが俺のペルソナ………コイツはいい!この力がありゃ、借りが返せる!」

 

 

竜司のペルソナは右腕の大砲を蓮達を踏みつける番兵達に向ける。

 

 

竜司

「ブッ放せ、《キャプテン・キッド》!!」

 

 

竜司のペルソナ、キャプテン・キッドは大砲から雷撃を放ち、番兵達を攻撃。番兵は雷撃を受け消滅。解放された蓮達は急いで竜司のところに集まった。

 

 

「竜司!」

 

竜司

「おうよ、待たせちまったな。行くぜ!」

 

 

「「おう!!」」

 

 

一同は気合いを入れ、シャドウ鴨志田と対峙する。

 

 

番兵隊長

「鴨志田様の手を煩わす問題児が!」

 

 

番兵隊長は剣を振り下ろし、馬に乗った赤銅の騎士のシャドウ《エリゴール》へ。手下の番兵は黒い二角獣のシャドウ《バイコーン》へと姿を変えた。

 

 

竜司

「どうせ鴨志田の認知ってのは変わんねぇんだろ?だったら、問題児らしく振る舞ってやるよ!」

 

エリゴール

「調子に乗るなガキが!!」

 

 

エリゴールは槍を構え、バイコーンと共に蓮達に向けて正面から突進してくる。

 

 

天馬

「魔神ペガサスアーク!」

 

ペガサスアーク

『オオオオオオオオオオ!!』

 

 

天馬はペガサスアークを召喚。ペガサスアークは翼を羽ばたかせ突風を放ち、バイコーンを吹き飛ばした。

 

 

「アルセーヌ!」

 

 

さらに蓮が仮面を取り、アルセーヌを召喚。

 

 

ガンッ! 

 

 

ペガサスアークとアルセーヌは翼でエリゴールの突進を防ぐ。

 

 

モルガナ

「意を示せ、ゾロ!」

 

 

ドカンッ!

 

 

さらに咄嗟にモルガナがゾロを召喚。ゾロはエリゴールを殴り跳ばし、エリゴールは先ほど吹き飛ばされたバイコーン集団のところまで跳ばされた。

 

 

ドーン!

 

 

さらにキャプテン・キッドが雷撃を放ち追い打ち。雷撃を受けたバイコーン達は消滅し、エリゴールにも絶大なダメージを与えた。

 

 

竜司

「ヨッシャ!!」

 

グッドストライカー

「いいじゃんお前ら!よし、フィニッシュはオイラに任せな!」

 

 

グッドストライカーはそう言うと自身の機首と翼を畳み、飛行機から自動車形態へと変形し天馬の手元へ落ちた。

 

 

グッドストライカー

「オイラをVSチェンジャーにセットしろ!そうすれば必殺技が撃てるぜ!」

 

天馬

「ホント?よし、分かった!」

 

 

天馬はペガサスアークを自身の身体に戻し、VSチェンジャーを左手に持ち、グッドストライカーを銃身にセット。

 

 

『グッドストライカー!』

 

 

グッドストライカー

「突撃よーい!」

 

 

更に黒いグリップを握り、銃身を左へ90度回す。

 

 

『一致団結!』

 

 

天馬はVSチェンジャーを両手で握り、照準をエリゴールに合わせる。銃口にエネルギーが充填され、エネルギー弾が形成され始めた。

 

 

エリゴール

「おのれ………!」

 

 

エリゴールはゆっくりと立ち上がり、再び攻撃の準備に入る。

 

 

「させるか!」

 

竜司

「いくぜ!」

 

 

ドカッ!バキッ!ドンッ!

 

 

だが蓮・竜司・モルガナが咄嗟に走り出し、蓮はナイフ、竜司は鉄パイプ、モルガナはサーベルでエリゴールに総攻撃。

 

 

天馬

「いっけえええ!」

 

 

『イチゲキ!ストライク!』

 

 

ズドーン!

 

 

そしてエリゴールがダウンした隙に天馬が巨大なエネルギー弾を発射。エネルギー弾はエリゴールに命中し、エリゴールを巨大な球体に閉じ込めた。

 

 

エリゴール

「な、何故だ?鴨志田様の臣下であるこの私が、何故敗北を!?」

 

竜司

「んなの、鴨志田が大したことないからに決まってんだろ?」

 

エリゴール

「おのれ………鴨志田様、申し訳ございません!」

 

 

ドカーン!

 

 

巨大な球体と共にエリゴールは爆発し消滅した。

 

 

竜司

「はぁ………はぁ………よっしゃ!」

 

 

蓮達はペルソナを仮面に戻し、天馬はグッドストライカーとVSチェンジャーを分離させ、一同はシャドウ鴨志田を見る。シャドウ鴨志田は相変わらずニヤついた顔をして余裕を見せていた。

 

 

竜司

「どうだ!今さら謝っても許さねぇからな?」

 

シャドウ鴨志田

「俺様が謝るだと?何を馬鹿な事を………」

 

 

「鴨志田様ぁ~♥」

 

 

と、そこへ甘い声と共に一人の少女がやってきた。

 

 

天馬

「えっ?あの人は!?」

 

蓮・竜司

「高巻!?」

 

モルガナ・グッドストライカー

「うおお!?」

 

 

現れたのは、猫耳にビキニ姿の杏だった。天馬・蓮・竜司は驚き、モルガナとグッドストライカーは驚きと共に興奮していた。

 

 

モルガナ

「ニャンて、ニャンて綺麗な女の子なんだ!!」

 

グッドストライカー

「しかもあの身体、正にセクシィ・ダイナマイト・ボディだぜ!!」

 

竜司

「んな事言ってる場合かよ!何で高巻が此処に!?」

 

 

シャドウ鴨志田はまるで猫を撫でるかの様に、杏の顎を撫で始める。

 

 

シャドウ鴨志田

「ここは俺様の城。俺様が何をしても許され、誰もが俺様に気に入られたいと願う場所。お前らの様な、頭の悪い賊以外はな!」

 

「………何か様子がおかしい。」

 

モルガナ

「おそらくあの子も、奴隷と同じく鴨志田の認知上の存在だろう。本人じゃない。」

 

シャドウ鴨志田

「羨ましいか?まぁ、お前らの様な問題だらけの不良には女は依って来ないだろうがな。」

 

 

ガシャン!ガシャン!ガシャン!

 

 

と、突撃何処から途もなく番兵達がウジャウジャと現れ始めた。

 

 

天馬

「マズイ、ここままじゃ囲まれるよ!?」

 

モルガナ

「仕方ない………ここは一旦撤退だ!急げ!!」

 

竜司

「くそっ………いつか絶対、その化けの皮剥いでやる!首洗って待ってろ!」

 

 

ズドーン!ガシャーン!

 

 

竜司は散弾銃を装備し、天井に向けて発砲。シャンデリアを吊るすロープが切れ、シャンデリアは番兵達に落下し煙を上げる。そして煙が消えると、天馬達は姿を消していた。

 

 

シャドウ鴨志田

「逃げたか………いいだろう、丁度此処の連中はいたぶり飽きてたところだ。いつでもかかって来い!命が惜しくないならな!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~古城 正門前~

 

 

一方、姿を消した天馬達は正門前に居た。

 

 

グッドストライカー

「OK、上手くまいたみたいだぜ。」

 

竜司

「………つか、何なんだよこの格好!着替えた覚えねえぞ!?」

 

 

竜司は自分の姿に混乱していた。

 

 

天馬

「中々似合ってるよ?」

 

「賊というより、族ッポイな。その格好といい鉄パイプといい。」

 

竜司

「うるせぇ!つか、マジで何なんだコレ?このマスク、ドクロか?」

 

モルガナ

「前に言ったろ?パレスの主に敵視されると、ペルソナ使いはそうなるんだよ。具体的な格好は、お前の内面の現れだ。お前に眠る反逆者の………って、言っても分かんねぇか?」

 

竜司

「すまん、分かんねぇ………」

 

モルガナ

「ならイチイチ聞かずに、自分の身に起きた事は受け入れとけ!」

 

天馬

「………ねぇ、俺達こっちで色々やってるけど、まさか現実で鴨志田先生にいたぶられたりとかって………」

 

モルガナ

「それなら大丈夫だ。現実の鴨志田は、こっちの世界の事は知り得ない。シャドウってのは元々、抑圧されていた本性。人が日ごろ目を背けてる人格だからな。」

 

グッドストライカー

「昨日の処刑の話も、本人は覚えてなかった筈だぜ?」

 

竜司

「そうか、なるほどな!じゃあ、後やることは………」

 

モルガナ

「待て。約束通り道案内してやったんだ。今度は我輩に協力してもらうぞ?そのために色々クソ丁寧に教えてやったんだからな。」

 

「協力?」

 

モルガナ

「言わなかったか?我輩は元々、調査のために此処へ来たんだ。この身が受けた歪みを消し去り、真の姿を………」

 

竜司

「何勝手に話進めてんだ?付き合うなんて一言も言ってねぇぞ?」

 

モルガナ

「えっ?」

 

 

竜司が突撃呟いた事に、モルガナはキョトンとした。

 

 

モルガナ

「………まさか、タダで世話になろうってんじゃないよな!?特にお前とお前、もう既に我輩のプランの一部なのだが!?」

 

 

モルガナは蓮と天馬を見て訴える。

 

 

竜司

「コッチは忙しいんだよ!」

 

 

と、竜司はしゃがんでモルガナの頭を撫でる。

 

 

竜司

「世話になったな。お前、中々ガッツのある猫だったぜ。またどっかでな!」

 

 

そう言うと、竜司は走り去った。

 

 

天馬

「ちょ、ちょっと竜司!?」

 

「その、何だ………お前のプランに乗るかどうかは考えておく!じゃあな!」

 

 

天馬と蓮も慌てて竜司を追い掛けた。

 

 

グッドストライカー

「あらら、行っちまった………」

 

モルガナ

「ちょ、ねーわ!マジねーわ!何イイ話風に纏めてんだコラ!?」

 

 

パレス中にモルガナの叫び声が響いた。

 

 

モルガナ

「ねーわ!!ねーわ!!ぬえぇぇーーーわああぁぁーーーッ!!!」


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