青年と少女のマルチプル・オンライン 作:グラハムさんとピンクマ
明日人の見たモニターには、妙なカルテが映し出されていた。『反応速度』、『DNA』、『能力』、などなど。
明日人「これは、俺の、、、?」
そのカルテは明日人のものであった。奇妙なデータは理解できずとも、『誕生日』、『年齢』、『手術日』ではっきりと確信した。
明日人「気味悪い、、、」
そう言いながらも明日人はそのパソコンを操作しだした。1つ前の画面に移動すると、明日人以外の名前もいくつかあった。
●● ■■■ 23歳 イノベイター(不完全)
重度の脳障害が発生し死亡。
▲▲▲ ■■ 19歳 イノベイター(不完全)
脳障害に一度は耐えるも、二度目の脳障害で死亡。
繊月 明日人 17歳 イノベイター(おそらく完全)
二度目は低い影響力とはいえ、脳障害に二度も耐える。
そしてたまに確認される反応速度が我々の基準値を超えている。
明日人「俺以外にもこの地下へ来た人が、、、って当たり前か。それより、脳障害で死亡って、、、GGOで見たヒューマノイドが関わってそうだな」
『ヒューマノイド コンプリート』で脳障害を与える理由ってなんだ?
明日人はその場で考え込もうとすると、USBを差し込んだパソコンの画面が切り替わったことにより我に返る。
【ワールドデータのダウンロードが完了しました。】
明日人「あとは帰るだけ、、、けどこのデータもできるなら取りたい。この万能なUSBでダウンロードできるかな」
地下の関係者がまだ戻って来ないことを祈り、USBを仮想世界をダウンロードしたパソコンからカルテ等のパソコンに差し替えた。ダウンロード時間は2分半。
明日人「ダウンロードしてる間に他を調べよう」
明日人は辺りを見渡した。すると、暗くて見えなかったがパソコンの隣に、液体を入れた試験管を数本見つけた。
明日人「これは何だ?」
確認する為に明日人はその試験管をパソコンの光で照らした。血だ。試験管を固定していた台には人の名前がラベルで書かれている。
〘11月19日 繊月 明日人〙
俺の血だ。どうやって保存してるんだよ、今12月だぞ?
今まで痕跡を付けないように部屋の物はなるべく触らないようにしていたが、明日人は血の入った試験管を固定台ごと鞄に入れた。
家で捨ててやる。
蓋がされている為溢れることはないと思うが、試験管同士でぶつかり音がなる為帰る場合は侵入してきた時以上に警戒しなければならない。
【イノベイターカルテのダウンロードが完了しました。】
そう考えているうちにカルテのダウンロードが終了した。
あとはいじった画面をもとに戻し、家に帰るだけ。
明日人「よし、もう脱出しよう。こんな気味悪いのは警察に言えば何とかなるだろ」
明日人はパソコンからUSBを抜き、音を出さないように地下室の扉を開き、退出した。
コツッ、コツッ、コツッ
扉を閉めると誰かが階段を降りる音がしている。誰かと言っても関係者しかいないが。
明日人(タイミング最悪じゃねーか!)
見つかるとマズイ。明日人は急いで真っ暗な階段裏に身を潜めた。
明日人(階段裏なら気づかれないだろ)
すると、白衣を着た人が地下室へ入っていった。
明日人(よし、今のうちだ)
念の為、もう一人来ないかを音で確認した後、明日人は階段を登り1階へ戻った。病院から出ると、家まで全力で走った。
9時半、家の前…
明日人「ぜぇ、、、ぜぇ、、、久しぶりに全力で走った、、、。あ!無我夢中で走ったけど俺の血割れてないよな!?」
急いで鞄の中を確認すると、試験管は無事割れていなかった。
明日人「良かった、、、てかこの固定してるやつすげぇな。試験管をさらに透明の素材で包み込んでる。ってそれはあとでいいや、早く中に入ろう」
ガチャ…
明日人「ただいま〜」
咲月「おかえり!」
扉を開けると、すぐに咲月が出てきてくれた。
咲月「大丈夫だった!?」
明日人「問題なし。睨んだ通り、病院にスティラの世界があったよ。それを保存してきた」
咲月「良かった、、無事に目的は果たせたんだね!」
明日人「うん、それじゃあ早速スティラに話しに行っていいかな?」
咲月「大丈夫だよ、行ってらっしゃい♪」
明日人「ありがとう」
明日人の部屋…
明日人は自分のパソコンにUSBを差し込み、病院で見たカルテをもう一度確認した。
明日人「イノベイター、俺以外にもいたんだな。って俺、脳障害で殺されかけてたのかよ、、、。もう今日見るのは止めだ止め、スティラを帰す準備をしよう」
パソコンに差したUSBを抜き、仮想世界にログインする為の機器に差し替えた状態でGGOへログインする。
明日人「上手く行きますように、、、」
グラハムのホーム…
グラハム「スティラ、どこにいる?」
スティラ「はい、こんばんは」
スティラは私服にどこから仕入れたか分からないエプロンを着用し、リビングで掃除をしていた。
もう完全に主婦じゃん。
グラハム「掃除したら寝るところだった?」
スティラ「いえ、まだです。どうしました?」
グラハム「遂に見つけたんだよ、ユーフォニア王国へ帰る道を」
スティラ「ほ、本当ですか!?」
グラハム「あぁ、もう向かう準備もできてる。こんな時間だから明日向かう?」
スティラ「いえ、今からでも大丈夫です。向かう方法を教えて下さい」
グラハム「了解」
グラハムはスティラと一緒にシステムウィンドウを開き、転送を選んだ。あとはOKを押すだけ。
グラハム「よし、行くよ」
スティラ「はい」
グラハムとスティラはOKボタンを押すと、スティラの世界をロードする為に目の前が白く光った。
グラハム(そういや、スティラはGGOではプレイヤー扱いだったけど、ユーフォニアに戻ったらまたNPC、、AI?扱いになるのかな)
長い時間一緒にいて、ずっと親しくしていたグラハムは、スティラをNPC扱いにさせたくないようだ。そのようなことを考えていると、ログイン処理が終了した。
ピンクマ「これが今年最後の投稿になります(多分)」