青年と少女のマルチプル・オンライン 作:グラハムさんとピンクマ
実験室…
男医師「007は上手くやってるだろうか」
医師は何かの準備をしながら007が戻ってくるのを待っている。
実験室前の廊下…
007「この部屋よ」
明日人「俺が入らされるところだった場所だ、、、」
007「窓とかは何もないから中の様子は分かんないけど、あんたを捕らえたらここに来るようにって言われてるから必ずいるはずよ」
明日人「そっか。因みに拘束してくれたりは━━」
007「する訳ないでしょ。まだあんたを完全に信用してないし」
即答された。
スティラ「では、私が行きます」
ここでスティラが名乗り出た。
ありがたいんだけど、、、。
007「あなたは治癒特化型でしょ?ある程度戦えるとはいえ、あの『身体強化』されたあの人には勝てないわ」
明日人(やっぱり)
明日人はこの先の未来が少し見え、スティラは『治癒特化型』という存在だということを理解していた。
、、、いや待て、あの医師が身体強化されてるのは知らないぞ。
007「てことで、あんたが行ってきなさい」
明日人「、、、そうだな」
そうだ、俺が行かなきゃ。傷ついたりするのは俺だけでいい。
このように考えると、気が少し楽になった。一度深呼吸をし、実験室のドアをスライドさせる。医師がこっちを向いていないかと焦ったが、運良く背をドアに向けていた。
明日人(すぐに捉える)
明日人は、部屋の右側の机に置いてあったナイフを手に取り、医師に近づく。
明日人(あれ、後ろから拘束する姿勢ってどんなの?取り敢えず首にナイフを突き立てて、反撃を喰らわないように腕も掴めばいいかな?)
迷っている場合ではないと判断し、手荒くなってしまうが首にナイフを突き立て足を蹴り、跪かせる。
男医師「なっ、いつからだ!?007は!?」
明日人「あとで会わせてやるから!大人しく、、、しろっ!」
流石に大人を押さえつけるのは辛すぎる。しかも身体強化されてるんだった。
スティラ「グラハムさん!足、抑えます!」
明日人が手間取っているのを見てるだけではいられなかったのか、スティラが駆けつけてきてくれた。
グラハム呼びになってるのは気にしない。
明日人「ありがとう、、、っ」
取り押さえて数分後、まさかの007が手頃なロープを何処からか持ってきてくれたのでそれで拘束した。医師は当然、「何故!」という顔をしていた。
明日人「ふぅ、ありがとうスティラ、007」
スティラ「いつでも力になりますよ」
007「ここであんたに死なれたら、この男に真実が聞けなくなるかもしれないからね」
男医師「裏切り者共が、、、」
007「あなた、この青年を捕らえたら自由にするって話、嘘だったの?」
男医師「嘘じゃない、、、!」
明日人「まだ言うか」
男医師「くっ、黙って従ってれば、、、いいんだよ!!」
明日人「!?」
すると突然、医師は両手に縛られたロープをとんでもない力でロープを引きちぎり、007を拳で殴りかかる。007は流石の瞬発力で咄嗟に守りの体制に入る。
007「うぅぅっ!この私が耐えられない!?」
医師の規格外のパワーに耐えられず、007は突き飛ばされ、壁にぶつかる。
007「ぐふ、、、っ!」
明日人「よくも、、、!」
明日人は医師に殴りかかるも、現実では殴り合いの経験など一切なく、あっけなく首を捕まれ棚に投げ飛ばされる。
明日人「うがっ!」
棚にぶつかった衝撃で、追撃と言わんばかりにガラス瓶が明日人の頭に落ちて割れ、破片が数個刺さる。
明日人「この、、、っ」
スティラ「止まれ!それ以上お2人を傷つけると容赦しない!」
明日人と007を傷つけられたことにより、少し冷静さを失ってしまったスティラはナイフを構えてなるべく対応しやすい距離を取る。
男医師「問題ない、明日人君はまだ実験の価値がある。003と007は処分させてもらうがな」
バンッ!…
攻撃を受け、血が床に飛び散る。だがその血はスティラから出た血ではない。
男医師「うっ、、、」
明日人「流石に、銃は効いたか、、、。投げられる前にこうすれば良かった、、、」
明日人が拳銃を取り出し、スティラが襲われる前に医師を撃ったのだ。因みに狙ったのは腰の『内蔵のなさそうな』部分。体内を完璧に把握している訳ではないので当たっていてもおかしくはないかもしれない。
男医師「くそっ、殺せ、、、」
明日人「まだ、殺すわけには、うっ、、、いかない」
明日人は体に数箇所刺さったガラス片をそっと抜くと、四つん這いで医師に近づく。
明日人「スティラの世界、、〘マルチプル・オンライン〙?の権限のパスワードを教えろ」
男医師「何、、、?」
明日人「今日からあの世界は、、、俺が管理する。じゃないと、また悪用されるかもしれないだろ?」
それさえ、それさえ聞き出せればこの出来事は解決することができる気がする、、、。
男医師「、、、あの机の上のファイルだ」
机の上を見ると、確かに青色のファイルが開いて置いてある。あれを使えば、最後にマルチプル・オンラインにログインした時の謎の施設だけを消去できるはず。
明日人「分かった。あとは、、、」
男医師「まだ何かあるのか?」
医師は呆れたような声で言った。
誰のせいだ。
明日人「人造人間のマニュアルとか、、、生態について詳しいことが書かれているレポート類も全て貰おう」
これは後々全て捨てようと思っていたのだが、スティラと007を家に迎え入れるのなら必要だろう。
男医師「言わないぞ、、、」
明日人「そっか。それなら、その場ですぐ死ぬだけだ」
男医師「ちぃ、、ファイルの横に立て掛けてある2冊のファイルだ」
今度はそちらに目を向けると、緑色のファイルが2冊立て掛けられている。
明日人「、、、確認できた。それじゃあな」
男医師「!ま、待て━━」
バンバンッ!…
もう聞くことがないので、明日人は医師の頭に2発銃弾を撃ち込んだ。
明日人「、、、また1人俺が殺した」
ポツリと呟いた後、銃をホルスターにしまう。
スティラ「グラハムさん!」
ホッと一息入れようとすると、スティラが抱きついてきた。
焦るとグラハム呼びになるよね。
明日人「ぐっ、、、っ!」
ガラス片の痛みが体に響き、スティラと一緒に膝をついた状態になる。
スティラ「す、すいません!心配しすぎてつい、、、」
明日人「う、うぅん大丈夫。すぐに動けるようになる。あっそれより007は!」
007「『あっ』て、、忘れてたなんて言わないでよ、、、っ?」
医師の遺体の先から、右腰を手で押さえ、右脚を引きずりながら007が近づいてきた。
明日人「い、言わないよ。それより酷い傷だ」
007「流石にあの力で投げ飛ばされたらね、、、っ」
スティラ「すぐに治します!」
007「ありがと、、、」
007はその場に座り込み、スティラに治療してもらう。
007「明日人、、、」
明日人「ん?」
初めて名前で呼んでくれたな。どうして名前を知ってるかと思ったけど、流石に捕らえる人の名は報告されてるか。
007「私を説得してくれて、ありがとね」
あ、あれで説得できてたのね。
明日人「いや、あの時は007が休戦を出して話を聞いてくれたからだ。それより2人が無事、、、ではないけど、生きてて良かった」
007「確かにそうだけど、自分の心配もしなさいよ」
明日人「自分の心配より人の心配が優先だから」
スティラ「明日人さんはそういう人ですもんね」
治療しながらスティラは同情した。
いや本当にその治療法どうなってんの?手を当ててるだけのようにしか見えないんだけど。
007「ふ〜ん、、、気に入った」
明日人「それは良かった」
スティラ「治療終わりました」
スティラが手を離すと、007は軽々と立ち上がってみせた。
007「ありがと。こんなに人に感謝したのは初めて」
明日人「?」
007「それより、これからはあんたの拠点でお世話になるってことでいいのよね?」
明日人「拠点て、、、まぁそういうことだね」
007「それで、もし良かったら名前が欲しいなって、、、」
明日人「あぁ確かに、番号呼びはいらないな。う〜ん、、、」
スティラ「あ、私もこの世界での名前が欲しいです!」
明日人「あ、、、」
そうだ、現実での名前だ。仮想世界の方の名前を付けるところだった。
明日人「ごめん、考える時間が欲しい。これからずっと大切にできるような名前にしたいから」
スティラ「分かりました!」
007「あなた、テンション高いわね、、、。でも、確かに名前を決めてもらうのは悪い気はしないわね」
明日人「うん、楽しみにしてて。そのためにもここから脱出するよ」
明日人は机の上の2つのファイルを手にし、さらに明日人のスマホ等の私物が偶然机に置かれていたのでそれらも回収した後、ようやく脱出を試みる。
脱出した後も〘マルチプル・オンライン〙内の施設削除とかしなきゃな。
ピンクマ「、、、」